( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

219: ドクオは繋がらない電話で繋がるようです 1/2 :2008/02/01(金) 21:36:05.02 ID:QLivC/fdO
今日も俺は11個の数字を押し、電話を掛ける。
受話器からはいつもと同じ言葉が機械的に繰り返される

『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません。番号をお確かめになってもう一度お掛け直しください。』

そんなこと、わかってる。誰に言うでもなく呟く。
別に電話が繋がることなんて期待していない。
クーとのルールを守っているだけだ。他の何でもない。


クーとは七年間付き合っていた。ドラマみたいな熱い恋愛をしていたわけじゃない。
休日にどちらかの部屋で会って、だらだら過ごす。どこにでもいるカップルだ。
俺達はお互い無口で会話もあまり無かったが、それでも良かった。一緒にいられるだけで幸せだった。
そんな俺達の間には一つだけルールがあった。

『毎日夜十時に電話をする』

別に約束をしたわけじゃない。七年間の内にいつの間にかそんなルールが出来上がっていた。
電話での会話は、数十分続くこともあったし、数分で終わる時もあった。
時には、クーが電話に出られない場合だってあったが構わなかった。
別に話す時間が大事なのではなかった。大事なのは電話をかけたと言う事実だった。
毎日の電話は俺達を繋いでいてくれるような気がした。

220: ドクオは繋がらない電話で繋がるようです 2/2 :2008/02/01(金) 21:37:23.88 ID:QLivC/fdO










だけど、クーは一年前に交通電話で死んでしまった。
携帯は解約されて、もう繋がることは無い。でも、俺は今でも毎日電話をかけ続ける。








電話は繋がらなくても、ずっとクーと繋がっていられる気がするから。



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