( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)
- 303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと804,340秒 :2008/02/01(金) 22:42:09.86 ID:78KcO8fg0
- ξ゚听)ξ「人ってこんなに簡単に死ぬのね」
ツインテール。黒の喪服に黒の革靴をはいた少女は、そんな事をいった。
僕は成人式に着るはずだったた高いスーツを初披露。ネクタイは黒と決められていた。
こんな所で着るなんて想像していなかった。
ξ゚听)ξ「これから燃やすんでしょ?」
遺影を見つめる少女。まだお昼前よ、と言っていた。
お坊さんは訳の分からない呪文を唱える。ぽくぽく木魚が鳴る音。
オーソドックスな儀式。
(´・ω・`)「そうだよ」
昨日が最後の晩餐だと、あの人は知っていたのだろうか。
最後のお別れをどうぞ、とお坊さんがいった。若いお坊さんだ。二十四だと先ほど話していたのを聞いた。
ツインテールの少女。
黒ばかりの靴下のなか、少女の真っ白な靴下が異様に目立っていた。
こんな日が来ることを、僕はずっと前から知っていたのに、どうしてこんな気持ちになるのだろう。
ツインテールの少女は白い桶の前に立つ。
そこから少しだけ背伸びをして、白い桶をみて、言った。
「チャオ」
- 305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと803,845秒 :2008/02/01(金) 22:42:36.21 ID:78KcO8fg0
- 人って、こんなにも儚いのね。
と、言われた気がした。
おはよう。こんにちは。こんにちは。もうお昼だよ。もうすぐ燃やされちゃうよ? ねぇねぇ。
チャオ。チャオ。おはよう。おはよう。こんにちは。チャオ。チャオ。
おはよう。こんにちは。
さようなら。
- 322: (´・ω・`)ショボンが夏休みの思い出を作るそうです :2008/02/01(金) 22:59:26.03 ID:wDhJtX+u0
- 今、大人になって、僕は子供の頃の思い出を思い出すようになっていた。
あの頃、僕らは若かった。という有名な言葉がある。
ほんの前までは、あまりその言葉について考えたことは無かった。が、社会人になってから、何故かその言葉がふと、頭をよぎることが多くなった。
(´・ω・`)「ハァ……」
最近、ため息が多くなったのはストレスのせいだろうか。
ミスもちらほら目立ち始めた。最近は「ごめんなさい」「すいません」しか上司に言ってないような気がする。
気が付けば、僕一人だけが居残って残業していたということもしばしば、だ。
子供の頃、僕は目立たない子供だった。
まるで、空気のような存在。友人も殆どおらず、かといっていじめられもしなかった。何の特徴も無いのが特徴の、普通の子供だった。
中学、高校……とくに印象深い思い出もなく、気づけば、そこら辺にある中堅の株式会社へと入社していた。
そして、このザマだ……。
(´・ω・`)「僕の人生って、なんなんだろう……」
昼休み。屋上に吹く風はとても清清しく、このどんよりとした空気も少しは和らいだ。
夏の香りが、屋上を駆け抜ける。
(´・ω・`)「そういえば……夏休み、どんな思い出があったかな」
そういえば、夏休みの思いでも定かではない。が、きっと覚えるまでも無かったのだろう。
- 323: (´・ω・`)ショボンが夏休みの思い出を作るそうです :2008/02/01(金) 23:00:34.36 ID:wDhJtX+u0
- (´・ω・`)「夏休みの思い出……作ってみようかな」
そういえば明日は給料日。有給休暇も結構溜まっているはずだ。
ビルの狭間から見える入道雲は、とても綺麗な白色に輝いている。
もうすぐ、夏休みが、やってくる。
fin
- 325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと803,195秒 :2008/02/01(金) 23:02:21.41 ID:vU6bihGF0
- それは一本の電話から始まった。
「みかんは好きですか?」
好きですと答えたら、続けて楽しそうに弾む声がまくし立てる。
「みかんといえばこたつ、こたつといえばみかんという無限ループって素敵ですよね?
私たちは今日本人が忘れているその温もりを思い出してもらうべく電話しているのです。
ほかほかこたつで温まりながらひんやりつめたいみかんを頬張る。
甘さにとろけるもよし、すっぱさに顔をすぼめるもよし、テレビを眺めるのもオツですね。
あなたもやってみてはいかがですか?」
それだけ言うと、静かに電話は沈黙した。
('A`)「懐かしいねぇ、こたつにみかん。じいちゃん死んでからやってねぇや」
俺はばあちゃんを呼びつけると、こたつをどこに仕舞い込んだのか確かめる。
確認するや否や、俺は押入れを開け放ってこたつを引きずり出した。
手早くセッティングする。もちろん24インチのアナログなテレビを正面に持ってくる。
これで窓の外に雪でも降っていれば最高だった。
「ああ、懐かしい光景だね? ドクオ、ばあちゃんも入っていいかね」
('A`)「勿論。俺は平成の、ばあちゃんは昭和の思い出に浸ればいい。これは今からタイムマシンさ」
「あらあら、面白そうね。それじゃ、タイムトラベルと行きましょう」
- 326: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:02:57.27 ID:vU6bihGF0
- 思い出話に花を咲かせる俺たち。
こたつの暑さに少しゆだってきたらみかんを頬張り、その甘さと冷たさに腑抜ける。
腑抜けながら、話のネタは尽きることがない。
じいちゃんのこととか、父さんの事とか、母さんを連れてきたときとか、俺が生まれたときとか。
ばあちゃんは穏やかに話し続ける。俺も記憶を辿って、いなくなったみんなを思い出していく。
('A`)「なあばあちゃん」
「なんだい?」
('A`)「寂しく、ないか?」
少しきょとんとした後、ばあちゃんは、やっぱり穏やかに笑いながら言った。
「私はね、皆のことを覚えているよ。おじいさんも、ドクオのお父さんも、お母さんも。
今こたつに入ってみかん食べてるとね、ゆっくりゆっくり、思い出すんだよ。
だからね、少し悲しいけれど、さびしくはないよ」
ドクオがいるからねと付け加えて、テレビの天気予報に視線を向けた。
自分たちが住んでいる地域の天気を見て、俺はベランダに走る。
('A`)「俺さ、」
「なんだい、ドクオ?」
- 328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:03:50.44 ID:vU6bihGF0
- ('A`)「皆が死んだとき、泣けなかった。泣かないよう頑張ったんじゃなくて、泣けなかったんだ。皆唐突だったからな」
「知ってるよ」
('A`)「それでいいと思ってた。泣かないほうがいいって思ってた」
窓の外を少し眺めて、振り返った。
('A`)「でもさ、皆優しいよな」
優しい雪が降る窓を背に、ドクオはこたつを見た。
ばあちゃんと向かい合うように、じいちゃんが。
二人の間に、両親が、座っている。
('A`)「まったく、あの電話に感謝しなきゃな。言い忘れた事を言えることに」
俺も、笑い返す。
皆の顔を忘れないように。けれど、ちゃんと言える様に。
「ありがとう。さよなら」
やっと泣けるなと、俺は小さくつぶやいていた。
- 331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:06:04.12 ID:78KcO8fg0
- 流れる教頭先生のダミ声。それに合わせて動き出す周り。
/ ,' 3「これから避難訓練を始めます。生徒の皆さんは速やかにグラウンドに避難してください」
ああ。ハイ。そうですか。設定は地震が起こって調理室のガス栓的なものが壊れて火が出てきたって。
火が回る前に逃げてくださいですって。ああ、ハイ。そうですか。
そんな怠いこと、俺は出来なくて、逃げるふりをしてトイレで適当に時間をつぶしていた。
先生には保健室に行ってくるといったが、どうせ保健室に行ったって追い出されるだけだ。
ちなみに俺の学校の保健室は避難訓練だろうが授業参観だろうが具合が悪ければいけるようになっている。
あー、そろそろ帰っても良いかな、と思って教室に戻ったが誰もいなかった。
ふう、とため息を吐いて自分の席に座ろうとした時だった。不意に、背後から声が聞こえた。
(*゚∀゚)「あんた、死んでるよ」
これが本番だったらね。
笑ってきたのは保健委員の女だった。
グラウンドからは教頭先生のダミ声が聞こえた。よくこんな声を聞いている生徒が居るもんだと思った。
(*゚∀゚)「今はねー。火災発生から6分47秒。調理室の上にあるこのクラスは火に包まれているわよ」
ふふふふ。あんた今更丸焦げよ、とまた笑う。
今更珍しい高い位置で縛られているポニーテール。そして赤い赤いスカーフ。俺はまたため息を吐いた。
膝下と決められているスカート。白と決められたソックス。第一ボタンもあけてはいけない学ラン。
決めつけられた校則。古びた校舎。汚い黒板。
- 334: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:07:34.87 ID:78KcO8fg0
- (*゚∀゚)「ねー。知ってる?」
(,,゚Д゚)「……何」
(*゚∀゚)「この学校でねー、昔ねー、女の子が屋上から飛び降りたんだってー」
(,,゚Д゚)「……へぇ」
(*゚∀゚)「落ちるときって一体、どんな感じなのかな?」
首をかしげて、髪が揺れる。ふふふ、少しだけ上品な笑い方。俺はベランダに出て空を眺めた。
下では多くの生徒と少数の先生が座って教頭先生のお話を聞いていた。怠くないのかね。
ああ、はいはいはい。座って聞くふりが大切なんだよね。
(*゚∀゚)「ねーえー」
(,,゚Д゚)「何?」
(*゚∀゚)「おちてみないー?」
は? と俺は後ろを振り返る。窓から流れてきた風に、奴の赤いスカーフが揺れる。ニヤリと笑う奴。
膝下と決められているスカートが揺れる。白と決められたソックス。第一ボタンもあけてはいけない制服。
決めつけられた古くからの校則。いつのまにか古びた校舎。白い後が残る汚い黒板。
(*゚∀゚)「どうせ私達、今更丸焦げ。死んでるよー」
- 335: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:09:04.91 ID:78KcO8fg0
- 首をかしげて、髪が揺れる。ふふふ、少しだけ上品な笑い方。俺は目を細める。
今更珍しい高い位置で縛られているポニーテール。そして揺れる揺れる赤い赤いスカーフ。
胸が焼けこげるような感覚。麻痺していく脳髄。女は俺の元へやってきて、不意に俺の手を握った。
(*゚∀゚)「どうせ焼け死んでるよ。私達。だから――」
膝下と決められているスカートは風と共に揺れる。白と決められたソックス。第一ボタンもあけてはいけない制服。
決めつけられた古くからの厳しい校則。いつのまにか古びてしまった校舎。白い後が微妙に残る汚い黒板。
流れる教頭先生のダミ声。それに合わせて動き出す周り。よくこんな声を聞いている生徒が居るもんだ。
(*゚∀゚)「一緒に落ちてみようよ」
首をかしげて、髪が揺れる。ふふふ、少しだけ上品な笑い方。俺は目を細めて、笑った。
- 343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:20:42.90 ID:1G9pl9SxO
- (*゚ー゚) 「……それは、」
( ・∀・) 「ぜんぶ水に流して、日記も焼いて捨ててしまって、パン屋で出逢って同じカレーパンを手に取るところからやり直すんだ。ぼくらにはその価値があると思う」
(*゚ー゚) 「でも私はもう、本当にこうするしかないの……ごめんなさい」
( ・∀・) 「……しぃ、君はこうすることで、幸せになれるんだね?」
(*゚ー゚) 「あなたには悪いけど……ええ」
( ・∀・) 「そっか。君が幸せになれるなら、ぼくはどんな仕打ちでも甘んじて受けよう」
男は腕を広げる。知性を感じさせる顔が、公園のライトに照らされて露わになる。
その目は、同じように照らされた女の顔を見ていた。そして、その手の中で震える一本のナイフも。
( ・∀・) 「しぃ、おいで。いま楽にしてあげる」
(*゚ー゚) 「……モララー、わたし、あなたと暮らせてとても楽しかったわ」
女の体が男に寄りかかる。握られたナイフは男の皮を突き破り肉を突き進み骨に阻まれて停止する。
それでも、死ねる怪我であることに違いはない。
- 346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:24:51.25 ID:1G9pl9SxO
- ( ・∀・) 「ハハ……そうかい、それは光栄だ……」
胸から血がとめどなく流れ出ている。不思議と痛みはない。後悔はあるが、彼女の幸せな比べればちっぽけなものだ。そう、自分の命さえ、彼にとっては。
(*;ー;) 「ありがとうモララー。さようなら」
ああ、泣いちゃだめだよ しぃ。ぼくまで泣きたくなってくるじゃないか。男は言おうとする。しかし、それは血泡にしかならない。
( ・∀・) (こちらこそありがとう。さよなら)
徐々に掠れてきた最愛を焼き付けんと目を見開く。広がって行く血溜まりの中にいるその姿は、神々しくさえある。
( ・∀・) (何度見てもキレイだなぁ)
女の泣き顔を見て、男はそんなことを思った。彼女の泣かせたのはこれで何回目だっけ、そんなことを。
そして、
( ・∀・) 「……しぃ、」
――――世界が、
fin.
- 351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:40:27.72 ID:orpb0uytO
- ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
( ^ω^)「ダダダダダダダダ」
ガチャ
('A`)「コラ、インターホンを連打するんじゃないよ」
( ^ω^)「え、だってドクオん家だし」
('A`)「俺ん家だったらなにしてもいいのか?」
( ^ω^)「火をつけても許されると思ってる」
('A`)「帰れ」
( ^ω^)「お邪魔しまーす」
('A`)「言い得て妙だ」
- 352: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:41:09.24 ID:orpb0uytO
- ('A`)「で、何しに来たの?」
( ^ω^)「ウンコしに」
('A`)「トイレ貸してもらえるのは決定なんだ。ソコの一番奥ね」
( ^ω^)「ほいほーい」
ガチャ
(*゚ー゚)「え?」
( ^ω^)「あ」
(*///)「キャー!」
( ^ω^)「何してるんだお?」
(;゚ー゚)「え、いやあの……」
- 353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:42:06.46 ID:orpb0uytO
- ('A`)「大便だろ、どうみても」
( ^ω^)「ああ、どうりで」
(*///)「小です!! ……ていうかどうりでって何が!?」
('A`)「ちゃんと鍵を閉めなさいよ」
(*゚ー゚)「それより早く閉めなさいよ」
バタン
('A`)「じゃあ、もう少し我慢してくれ」
( ^ω^)「ああ、それならもういいんだお」
('A`)「……え?」
(^ω^ )「……」
ジャ〜……
- 356: ブーンは速すぎるようです :2008/02/01(金) 23:45:00.26 ID:ToFXUtes0
- ⊂二二二( ^ω^)二⊃「ブーン!」
僕は光の速さをも超える速度で彼女の元へ走る。
( ^ω^)「ふぅ、着いたお! ツンー! …あれ?」
僕が待ち合わせ場所に着くと、そこには彼女そっくりの銅像があった。
[忠人 ツンデレ]
…そこには書かれていた。
( ^ω^)「ちょっくら本気だしすぎたお…」
fin
- 363: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:53:46.79 ID:wDhJtX+u0
- ブルルル……ブルルル……。マナーモード状態にしていた電話が着信を告げる。
携帯を開くと、液晶画面には「非通知」と表示されていた。
とりあえず、出てみる。
( ・∀・)】「もしもし?」
【<……
返事が無い。ただの無言電話だろうか?
それ以上何にも無いと判断した俺は、携帯を閉じてポケットに再び突っ込んだ。
ふと、また携帯が着信を告げるために震える。
しかし、またもや非通知……。再び、電話に出る。
( ・∀・)】「もしもし?」
【<……@※*%$#$*+?〜?
( ・∀・)】「もしもし〜?よく聞き取れないんですが〜?」
【<も*@#聞こ*るか〜?……お〜い、モララー、聞こえるか〜?
( ・∀・)】「……ギコ?」
ギコは、半年前に交通事故で死んでいる。
当然、電話ができるのはずがない。はずなんだが……
(,,゚Д゚)】『そうだぜ〜。やっと通じるようになって俺はうれしいぜ』
(;・∀・)】「……?なんでお前が」
(,,゚Д゚)】『まあ、落ち着けって。それでさ、新しい商売始めないか?』
(;・∀・)】「んで、死人が商売の話をするんだ?」
(,,゚Д゚)】『死人が最期にし忘れたことの代理だよ』
( ・∀・)モララーは死人代行人を始めるようです 終わり
- 365: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/01(金) 23:56:36.37 ID:FdF8/PRl0
- 電子音が響く。
その音は止むことなく鳴り続けた。
(;'A`)「頼むから、出てくれよ……」
その音は止まらない。
うるさく響く音に苛立ちと不安だけが募る。
目の前には鳴り続ける携帯電話。
ノハ )「……」
目の前には愛する人の亡骸。
(;A;)「うるさいのはお前の役目だろ? なあ?」
止まらない音。
止まってしまった彼女。
- 367: アノ頃ノ思イ出 ◆3mfWSeVk8Q :2008/02/01(金) 23:58:17.15 ID:SEWMYbtv0
- ビリヤードが好きだった。
百円二百円のジュースを賭けて、クラスメイトと勝負をするのが好きだった。
ゲーセンの地下のビリヤード場は、俺たちの戦場だったんだ。
('A`) 「……今日の勝負は?」
( ФωФ) 「ナインボールなんてのは、どうだね?」
('A`) 「オーケイ、シンプルだ」
今じゃ、百円二百円じゃあ満足なんて出来なくなっていた。
学生時代よりも、ゼロが四つ程増えた勝負。
下手をすれば、人一人の命と釣り合う値段を賭けて、俺は今日も勝負をする。
VIPしか入れない、裏のハスラーが集う、このカジノで。
( ФωФ) 「バンクショットは、少し苦手でね」
負け惜しみのセリフを、聞き流し、俺は笑った。
ブレイクショットにはちょっとした自信があるからだ。
たった一発で、ナインの黄色い玉をどうやったら落とせるか。
俺はそればかりを研究してきたんだ。
('A`) 「悪いな、この勝負は、俺の勝ちだ……!」
キューを構えながら、ぼろい商売に笑いそうになるのを堪えて、一気に、撞きだす。
その瞬間。
鳴り響く、着信音。
――カツッ!
- 368: アノ頃ノ思イ出 ◆3mfWSeVk8Q :2008/02/01(金) 23:58:32.32 ID:SEWMYbtv0
- ('A`) 「なっ!?」
ポケットからの振動で、俺の指がかすかに上ずる。
同時に、キューも上を向き、結果、手玉は、十センチも進まないうちに止まる。
痛恨の、ミスだ。
( ФωФ) 「奇妙なことがあるものだな。ブレイクショットには……なんと言っていたかな?」
('A`) 「……ブレイクショットは、少し苦手でな?」
勝負の結果は……まぁ、言いたくは無い、と言えば、大体察しがつくだろう。
当面の生活費やら何やら、根こそぎ持っていかれた。
いや、元々持ち合わせが掛け金に足りてなかったんだ、この程度で済んでよかったのだ。
('A`) 「にしても……」
一体、誰があんなタイミングで、電話なんてかけてきたんだ。
アレさえなければ……と、多少、恨みがましく思いながら、携帯を見ると、
一通のメールが届いていた。
('A`) 「内藤……あ、ブーンの奴か」
( ^ω^) 『おいすードクオ! 久しぶりにビリヤードやらないかお?』
『最近、僕もリッチになってきたお、だから、晩飯を賭けて勝負しないかお?』
('A`) 「………………」
……まったく、誰のせいで、今の俺が素寒貧になったと思っているんだか。
だけど、まぁたまにはいいか、昔を思い出すのも。
丁度、ヒヤヒヤし通しの勝負にも、飽きがきていたところだ。いや、言い訳じゃあなく、本心から。
まぁ、今日のところは、晩飯代ぐらいは、稼がせてもらうとするか。
- 369: コピペ的なシュール2 :2008/02/01(金) 23:59:16.18 ID:m0dSnTvrO
- 从 ゚∀从「だから、根本が違うんだよ」
彼女はそう、さも当然だという風に言う。
从 ゚∀从「俺か私、って話になると、根本の違いなんだよ」
あぁうん、と返す。さっき聞いたよ、とは言わない。彼女はナイーブだからだ。
从 ゚∀从「そりゃ、周りが男兄弟ばかりで育ったならさ、俺でいいよ。でも女兄弟だったらさ、なんか、違うだろ?」
そうだね、と返す。彼女はナイーブだから、僕は「ホントお前は頭が弱いな」とは言わない。
彼女はナイーブだからだ。
从 ゚∀从「もう根本が違うんだから。俺なんか一人っ子だし」
ハハハ、と笑って返す。彼女はナイーブなんだから、僕は「は?」とは言わない。
彼女はナイーブだから、後でバッティングセンターに行こうと思う。
从 ゚∀从「とりあえずたこ焼きでも食べる?」
僕はお腹が空いていない事を彼に告げる。
あぁそう、と彼女は眉を落とし、たこ焼きを口に運んだ。
- 375: 川 ゚ -゚)ノパ听)lw´‐ _‐ノvあっち向いてホイのようです :2008/02/02(土) 00:01:31.97 ID:i+ETb35rO
- ノパ听)「姉ちゃん!」
川 ゚ -゚)「なんだ」
ノパ听)「あっち向いてホイしようううぜええええええええええ!!」
川 ゚ -゚)「いいぞ」
ノパ听)「ジャアアアアアアンケンンンンンンン!!」
川 ゚ -゚)「p…」
ノパ听)「ンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!」
川 ゚ -゚)「長いn」
ノパ听)「ボォン!」
川 ゚ -゚)「あ、じゃあグー」
ノパ听)「いよっしゃああああああああああああ勝ったあああああああ!!!」
- 378: 川 ゚ -゚)ノパ听)lw´‐ _‐ノvあっち向いてホイのようです :2008/02/02(土) 00:01:51.22 ID:i+ETb35rO
- 川 ゚ -゚)「あっち向いてホイだr」
ノパ听)「あっちいいいいいいいいいいい!!!!!」
川 ゚ -゚)「うん」
ノハ;゚听)「むっ、むいてええええええええええええええええええ!!!」
川 ゚ -゚)「うん」
ノハ;゚听)б「ほぉぁ…………………」
川 ゚ -゚)「……………」
ノハ;゚听)б「……………」
川 ゚ -)クル
ノハ*゚听)б「い!! やったあああああああああああああああ!!」
川 ゚ -゚)(………負けたのに良い気分だ)
lw´‐ _‐ノv「よしヒートお姉ちゃん。私とやろうよ、本気で」
ノパ听)「いいぞ!」
数分後そこには泣きじゃくるヒートと低い声で笑うシュールの姿が!
終
- 380: 電話 1/2 :2008/02/02(土) 00:03:27.53 ID:N2wgpRCvO
- ( ФωФ)「コーヒーでいいかね」
爪'ー`)y‐「ああ。どうせ相変わらず酒は無いんだろ?」
( ФωФ)「勿論だ」
長い黒髪をかきあげながら彼女は煙草を美味しそうに吸う。
右手には携帯を持ったまま。
珍しくフォックスから誘いがかかった。
曰わく、久しぶりにお前の手料理が食いたいから何か作れ、と。
昔からの友人であるこの女性の頼みを断る筈も無く、楽しく食事を終えて今に至る。
爪'ー`)y‐「変わんねえな。お前は」
( ФωФ)「おぬしもな。そろそろ結婚でもしたらどうなのだ」
右手の携帯をせわしなく開け閉めしながらフォックスか顔を歪めて笑った。
爪'ー`)y‐「てめえには言われたくねえよこの偏屈が。恋愛なんかしねえくせに」
( ФωФ)「それこそおぬしも同じであろう」
コーヒーに口をつける。
うん、我ながらやはり旨い。
爪'ー`)y‐「あたしをもらう男なんざいねえよ」
- 382: 電話 2/2 :2008/02/02(土) 00:03:54.90 ID:N2wgpRCvO
- 爪'ー`)y‐「よっぽどの物好きだ。お前みたいな」
フォックスもコーヒーに口を付けた。
だが視線はテーブルに置いた携帯に向いている。
( ФωФ)「それは35過ぎても独りなら結婚って話をさしているのか?」
爪'ー`)y‐「他に何があるんだよ」
( ФωФ)「まぁ無いな。しかしその必要は無いように見受けるが」
爪'ー`)y‐「あ?どーいう意味だよ」
カップを置いて軽く凄む。
だがその表情の中にはかすかな焦りともっとかすかな照れが見えた。
( ФωФ)「その携帯、誰かからの連絡を待っているのであろ?」
爪'ー`)y‐「ばっ……」
( ФωФ)「目の前にこんな色男がいるのに失礼だな」
そう言った顔は心なしか笑みに緩んでいるのが自分でも分かった。
黙るフォックスは頬が赤い。
時間は穏やかに流れていた。
- 388: ('A`)文明は変化するようです1/3 :2008/02/02(土) 00:06:31.58 ID:vmv+D8Kd0
- 昭和を生きてきた自分にとって、文明の発達には何度も驚かされてきた。
まさかテレビがあんなに薄くなると思わなかったし、インターネットを通じて世界と交流できるなんて考えたこともなかった。
('A`) 「なあ、ツン。これどうやってメール打つんだ?」
ξ゚听)ξ 「もう、お父さんったら。本当にアナログ人間よねー」
('A`) 「はいはい、どうせ昭和の人間ですよ」
ξ゚听)ξ 「そんなこと言ってるんじゃないの。いい? メールはね……」
今だって、最近娘に、嫁さんとペアでプレゼントされた携帯電話と格闘している。
老眼には小さい文字は耐えられないし、近頃は記憶力も衰え、どのボタンを押せばいいのかもすぐに覚えられない。
('A`) (電話もずいぶん変わったよな……)
俺が青春時代を謳歌していたときは、まだ黒電話が主流であった。
数字に合わせてジコジコ回し、リンリンうるさく鳴る、あの真っ黒な電話。今では、見かけなくなったが。
あの頃は、待ち合わせしたときに遅刻をしても、相手にそれを伝える手段が無かった。
今は、携帯電話一つあれば問題ない。文明が進化するということは、やはり人間にとって良いことなのだろうか。
- 389: ('A`)文明は変化するようです2/3 :2008/02/02(土) 00:07:28.20 ID:vmv+D8Kd0
- ξ*゚听)ξ 「あ、ちょっと友達に電話をかけなくちゃ。お父さん、ちょっと一人で頑張ってて」
('A`) 「わかったよ」
そう言うと、ツンは足早に自室へと戻っていった。その白い手に、小さな携帯電話を握り締めて。
なーにが、『友達』だ。あんなに、頬を赤く染めやがって。まったく、バレバレだって。
('A`) (だけど……俺の若い頃も、好きな人に電話をかけるのは恥ずかしかったなぁ)
学生服に学生帽、坊主頭が主流の高校時代に、一人文学少年を気取って髪を伸ばしていた自分。
いつも一人で、図書室に篭り本を読む日々を送っていた。そんなとき、彼女に出会った。
俺とそいつはお互いに魅かれあい、いつしか恋仲になっていた。相手の父親が頑固者で、おおっぴらにデートとかできなかった。
('A`) (電話をかけるのにも一苦労したねぇ)
俺が相手に電話をかけるときは、いつも親父さんがいない時間を見計らう。間違って、親父さんが出たりしたら、怒鳴られることは間違い無し。
「あの……ドクオですけど」。初めて彼女に電話をかけたときは、唇を震わせながらそう言ったのを、はっきりと覚えている。
黒電話のダイヤルに指をかけるときは、いつも心臓が激しく脈を打っていた。恐いからではない、やっぱり好きな人と喋れて嬉しかったんだと思う。
- 390: ('A`)文明は変化するようです3/3 :2008/02/02(土) 00:08:00.02 ID:vmv+D8Kd0
- ('A`) (あ……そうか)
文明の進化とか、便利性とか。そんなのはきっと関係ないんだと思う。
携帯電話を使おうと、黒電話を使おうと、心臓がドクンと跳ね、高揚とした気分になることができる。
かつて、俺が顔を赤らめながら、彼女に電話をしたように。今、俺の娘のツンが頬を赤く染めながら話している。
時代は人間の気持ちとともに動くのだろう。文明の発達などに、決して左右されることはない。
('A`) 「よし、携帯の使い方もなんとなくわかったし。初電話でもしてみるか」
あのときのようなダイヤルではない、大きくて押しやすいプッシュホン。俺はゆっくりと、番号を押していく。
あ、着信音が鳴り始めた。……相手が電話に出た。よし――。
('A`) 「あの……ドクオですけど」
川 ゚ -゚) 「かけてくるのが遅いぞ。ずっと待ってたんだからな」
俺たちは、年齢や歳月なども気にせずに、互いを見つめながら頬を赤く染めた。
あのときと同じ会話、あのときと同じ気持ちを味わいながら。
おわり
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