( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと806,184秒 :2008/02/01(金) 22:04:48.76 ID:78KcO8fg0
(,,゚Д゚)「俺が死んだら、お前にだけは真実を教えてやるよ」

いつもと同じだった。
いつもと同じように朝起きて、いつもと同じように朝ご飯を食べた。
形が崩れた豆腐に、薄い味付けのみそ汁。近所のお婆さんからもらった黄色いたくあん。
日が入り込む東側の大きな窓。綺麗な白いお米。
ただ。いつもと同じだった。
違ったのは彼の淋しそうな微笑みと、「おかわり」の言葉の変わりに紡がれた言葉。
うん。それだけだった。



*




来る人は皆腰が低く、真っ黒な服を着ていた。着物を着ている女性もいれば、黒いスーツを着ている男性も居る。
白と黒が交互に入っている大きな布が掛かっている。
よく考えれば、私にとってこの日は初めてのお葬式だった。
大きな会場には色とりどりの花達。

('、`*川「まだ…二十歳になってなかったんだっけ? かーわいそーう」

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと806,184秒 :2008/02/01(金) 22:06:31.26 ID:78KcO8fg0
その声に反応して私は前を見る。そこには髪の毛を茶色に染めた若い女が立っていた。
しかし、葬式にきたとは思えないほど真っ赤な唇。華美過ぎる化粧だな、と思った。
膝上のスカートに高いハイヒール、そしてカールしている長い髪の毛が、まるで昼ドラの悪役のよう。

私はこの女を殺したい。
この女を私は知っている。彼が教えてくれた最後の事。
喉に数千匹のウジ虫が湧き出てきたような感覚に陥る。喉を焼き尽くしたい。
ざわりざわりと喉が湧く。そして同時に胸苦しくなる。私はこの女を殺したい? 違う。

殺す。
ガタッ。

私が座っていたパイプ椅子が背もたれを一位にして床に落ちた。
周りの人達はすでに葬儀場に向かってしまったらしく、この部屋には私とこの女しか居ない。
刃物もなにも持っていない私にとって、この女を殺す方法はただ一つ。私の手でこの女の首を絞めるだけだ。

('、`*川「…っ…あ」

変な声が女から出てきた。いいザマ。
私の中にあるサディステックな感情が湧き出てくる。そう、もっと苦しめ。
私の首筋から汗が噴き出てきた。

('、`*川「そー…よ」

259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと806,184秒 :2008/02/01(金) 22:06:47.00 ID:78KcO8fg0
その声に若干、首を絞めていた手の力を弱める。そう、若干。
私はこれでは昼ドラから一転、夜九時から始まる刑事ドラマじゃない、と心中笑っていた。
女は酷く息苦しいだろう。それなのに瞳の奥の芯はしっかりと私を見つめ、声も魂がこもっていた。

('、`*川「私が、殺した」

言葉を合図に、私達はそろって笑った。微笑みとか、そんなに柔らかいものではない。
冷ややかな表情。お互いを貶し合っている表情。でもそれもお終い。全部終わり、終わり、お終い。
だって、彼、もう居ないんだもん。だからさようなら。貴方も私もただのピエロだったのよ。




*




冷たい灰色の壁。耳を当ててみても何も聞こえない。冷たいコンクリート。
小さな窓からは少しの日光。ここで初めて此所が独房だと気付いた。
一体、自分は何をしているのだろうか。長い後ろ髪が前に出てしまっているが、それさえも戻す気にはならない。
自分の手を日光が差し込んでいる方向に差し出してみた。思わず鼻で笑った。

(*゚ー゚)「あーあ、愛した彼は、もういないのか……」



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