( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと805,138秒 :2008/02/01(金) 22:21:37.10 ID:78KcO8fg0
ガタンガタンガタン。電車が私達二人の目の前を通過する。音をたてながら。がたんがたん。
眼鏡をかけた彼女は、なんて事なさそうに話し始めた。透き通る声は夜空に上がっていく。
真冬の夜空の星は燃えてしまいそうな位に輝いていた。それが最後の煌めきといわんばかりに。
ピカピカピカ。ガタンガタン。そして彼女は語り出す。がたんがたん。
冷たい風が吹き抜ける。夜空に舞う、落ちた葉。

从 ゚∀从「もー、何年前になんのかなァ」

水色のジャンバーを羽織った彼女。夏には短めだった髪も今ではセミロング。
早く電車は通過しないだろうか、と黒と黄色の彩色が施されている棒の手前で私達は立っている。
ふと彼女を見てみた。
やんわりとした桃色のマフラーに、黒い手袋。彼女が寒がりだというのはついこの間知った。
白い息を吐きながら、彼女は語る。カンカンカンカンと乾燥した空気に響く警告音。
そんなものはどうでもいいのだから、はやく電車を走らせろよJR。

从 ゚∀从「隣町に女の子が居てさ。女の子でさ。14歳。まぁ、今の私等と同い年だね」

278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと805,138秒 :2008/02/01(金) 22:22:25.56 ID:78KcO8fg0
カンカンカンカン。赤く点滅するランプ。
息は白く、私の頬は赤くなった。彼女の横顔は、どこか黄昏に見えた。
塾の帰り道、私達は寒空の中、肩を並べて帰る途中。脳内では先程説いた二次関数のグラフが蘇る。
A=√4。それと対になっているBは−√4。
夜空の星は輝くのを止めない。それが例え死の直前であったとしても。
彼女の声は星に届くのだろうか。セミロングの髪が風に揺れる。ふと駅のほうを見ると、電車が発進してきた。

从 ゚∀从「何でかは解らないけれどさー」

寒さに手がかじかむ。彼女は大丈夫なのだろうか。カンカンカンカン点滅するランプ。
ノイズのように聞こえる冬の風。寒くて寒くて仕方がない。
吹き抜ける風に身を任せてしまった最後の木の葉。もう終わりはすぐそこ。
彼女の口も動き出す。

从 ゚∀从「電車につっこんでさ、」

電車が音をたてながら迫ってきた。ガタンガタンと鳴る電車の車輪。がたんがたん。
聞き取りが困難になる彼女の声。彼女の横顔は、どこか遠くを見ていた。カンカンカンカン。
あと少しで、電車が目の前を過ぎる。ガタンガタン。
彼女の唇が動く。

从 ゚∀从「自殺したんだよね」

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと805,138秒 :2008/02/01(金) 22:22:42.83 ID:78KcO8fg0
ガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタン。
電車は凄まじい勢いで私達の前を過ぎていった。まるで光のように。
そしてすぐに黒と黄色の彩色の棒は上へ上がった。彼女はなんて事なく進み出す。
私もそれに続く。冷たい風も付いてくる。ひゅーひゅーと孤独を叫び出す。耳に残るあの五月蠅い音が蘇る。
カンカンカンカン。それはまるで、終わりへのいざないの音。
私は彼女の後ろ姿を見ながら、名前も顔も何も知らないその女の子に向かって、何かを想っていた。



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