( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

388: ('A`)文明は変化するようです1/3 :2008/02/02(土) 00:06:31.58 ID:vmv+D8Kd0
昭和を生きてきた自分にとって、文明の発達には何度も驚かされてきた。
まさかテレビがあんなに薄くなると思わなかったし、インターネットを通じて世界と交流できるなんて考えたこともなかった。

('A`) 「なあ、ツン。これどうやってメール打つんだ?」

ξ゚听)ξ 「もう、お父さんったら。本当にアナログ人間よねー」

('A`) 「はいはい、どうせ昭和の人間ですよ」

ξ゚听)ξ 「そんなこと言ってるんじゃないの。いい? メールはね……」

今だって、最近娘に、嫁さんとペアでプレゼントされた携帯電話と格闘している。
老眼には小さい文字は耐えられないし、近頃は記憶力も衰え、どのボタンを押せばいいのかもすぐに覚えられない。

('A`) (電話もずいぶん変わったよな……)

俺が青春時代を謳歌していたときは、まだ黒電話が主流であった。
数字に合わせてジコジコ回し、リンリンうるさく鳴る、あの真っ黒な電話。今では、見かけなくなったが。

あの頃は、待ち合わせしたときに遅刻をしても、相手にそれを伝える手段が無かった。
今は、携帯電話一つあれば問題ない。文明が進化するということは、やはり人間にとって良いことなのだろうか。

389: ('A`)文明は変化するようです2/3 :2008/02/02(土) 00:07:28.20 ID:vmv+D8Kd0
ξ*゚听)ξ 「あ、ちょっと友達に電話をかけなくちゃ。お父さん、ちょっと一人で頑張ってて」

('A`) 「わかったよ」

そう言うと、ツンは足早に自室へと戻っていった。その白い手に、小さな携帯電話を握り締めて。
なーにが、『友達』だ。あんなに、頬を赤く染めやがって。まったく、バレバレだって。

('A`) (だけど……俺の若い頃も、好きな人に電話をかけるのは恥ずかしかったなぁ)

学生服に学生帽、坊主頭が主流の高校時代に、一人文学少年を気取って髪を伸ばしていた自分。
いつも一人で、図書室に篭り本を読む日々を送っていた。そんなとき、彼女に出会った。
俺とそいつはお互いに魅かれあい、いつしか恋仲になっていた。相手の父親が頑固者で、おおっぴらにデートとかできなかった。

('A`) (電話をかけるのにも一苦労したねぇ)

俺が相手に電話をかけるときは、いつも親父さんがいない時間を見計らう。間違って、親父さんが出たりしたら、怒鳴られることは間違い無し。
「あの……ドクオですけど」。初めて彼女に電話をかけたときは、唇を震わせながらそう言ったのを、はっきりと覚えている。
黒電話のダイヤルに指をかけるときは、いつも心臓が激しく脈を打っていた。恐いからではない、やっぱり好きな人と喋れて嬉しかったんだと思う。

390: ('A`)文明は変化するようです3/3 :2008/02/02(土) 00:08:00.02 ID:vmv+D8Kd0
('A`) (あ……そうか)

文明の進化とか、便利性とか。そんなのはきっと関係ないんだと思う。
携帯電話を使おうと、黒電話を使おうと、心臓がドクンと跳ね、高揚とした気分になることができる。

かつて、俺が顔を赤らめながら、彼女に電話をしたように。今、俺の娘のツンが頬を赤く染めながら話している。
時代は人間の気持ちとともに動くのだろう。文明の発達などに、決して左右されることはない。

('A`) 「よし、携帯の使い方もなんとなくわかったし。初電話でもしてみるか」

あのときのようなダイヤルではない、大きくて押しやすいプッシュホン。俺はゆっくりと、番号を押していく。
あ、着信音が鳴り始めた。……相手が電話に出た。よし――。

('A`) 「あの……ドクオですけど」

川 ゚ -゚) 「かけてくるのが遅いぞ。ずっと待ってたんだからな」

俺たちは、年齢や歳月なども気にせずに、互いを見つめながら頬を赤く染めた。
あのときと同じ会話、あのときと同じ気持ちを味わいながら。

おわり



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