( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

590: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 17:34:54.06 ID:shPMD9Zv0
(*゚∀゚)「ね、 お話しない?」

うふふふ、と満面の笑みのこの女は危険だと、脳が瞬時に判断を下していた。
うふふふと笑ってその女は長い前髪をかきあげる。それの時の流し目がなんともいえない位大人びていた。
恐らく私より年上というのだから高校三年生程度だろう。同じ制服だが学校で見たこともなかった女だ。
単純なブルースカーフに、夏服用の白いセーラー服。使い古しているのだろう、型くずれしている黒の補助バック。
この女は、危険だ。この女から今すぐにでも離れろと第六感は頭をたたく。
嫌悪を含む表情で睨み付けても、女はふわふわと笑っている。長い前髪を耳にかけたショートカット。
大体なんなんだ、この女。

(*゚∀゚)「いやぁ。私が可愛がってる後輩ちゃんがね、貴方の悪態見てられないって相談してきてさー」

その瞬間に、空気が変わった。世界は平行移動。太陽は月に食われる。
上手く表現は出来ないけれど、例えるのならば色が唐突に変わるような、変わったような感覚。

(*゚∀゚)「人でも殺す気でいるの?」

うふふふ。目が笑っていない、という言葉をこれほど使いたくなったのは初めてだ。この女の目は据わっていた。
理解不能のこの女。言葉に感情はあるのに、言葉を発する本体に感情はない。変な 女。

ξ゚听)ξ「アンタが何を言っているのか理解できない」

目はアタシではなくてもっと違う何処かを見ていた。女の目は、表現は月並みだが芯の底まで見透かされているようだった。
睨み返しても何をしても通じない女。捕まれている腕が悲鳴をあげていたけれど、そんな所には脳はかまえない。

(*゚∀゚)「あの子、このままじゃ死ぬんだから、下らない戯れ言は止めにしない?」

592: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 17:36:02.74 ID:shPMD9Zv0
高音のサイレンが鳴る。左で鳴れば右下で、右下で鳴れば左上から鳴ってくる。鬱陶しいのに塞げない耳。
“あの子”が誰だか最初から解っていた。あの一目見ただけで良い子って解るあの女。
あの朗らか過ぎる笑い方が気に入らない。あれを見ていると『嬉』という漢字を思い出した。だからハブいた。
笑うたびに出来るえくぼ、周りにいるのは頭がいいお友達。どうしていじめたか?
そんなものを聞くのは馬鹿げている。理由なんてただ一つだよ。

ξ゚听)ξ「気にくわないのよ。あれ」

バシ、とドラマティックな音。ヒリヒリと刺されるような頬の痛み。揺れる自分の前髪。――この女、何なんだ。
軽く調子のいい殺意が生まれて、女を睨んだが、女はそれ以上の殺気こもった目でアタシを見ていた。

(*゚∀゚)「幸せな子に嫉妬でもしてるんだァ。……醜いねぇ?」

浅い呼吸で笑われ、そしてその言葉に心臓を刺された。
空気を裂くような音を出しながら私の手のひらは女を殴ろうと高く伸びた。これは先程と同じ軽い殺気なんかじゃない。明確で、深く重い殺意。
けれどその殴ろうとした手は殺意の重さに比例せず、役目を果たさず女の手で止められた。月は太陽を食べる。

(*゚∀゚)「先に手ぇ出したのは自分で悪いと思ったけど、いまのアンタは酷く醜い顔してるよ」

ξ゚听)ξ「うるさい」

(*゚∀゚)「あれ。図星だった? ごめんごめん」

ξ゚听)ξ「うるさい」

(*゚∀゚)「ウルサイっていえば黙ると思った? がーきーくーさー……ふふっ」

594: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 17:36:15.88 ID:shPMD9Zv0
ξ#゚听)ξ「……殺してやる」


世界は何故か反転して、アタシと女しかいない――という感覚。それでも構わなかった。あの世界に未練なんてない。
下唇を怒りでふるわせながら、雑巾を絞ったときのような声でそういった。本気だった。女は笑わなかった。

(*゚∀゚)「アンタこそ死刑だよ」

胸に激痛。料理で使う鋭利な鉄の塊が胸に生えていた。
ふふっ、と笑って、私は現世から落ちた。



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