( ^ω^)ブーン系小説・短レス祭典!のようです('A`)

619: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 18:44:58.60 ID:shPMD9Zv0
がやがや五月蝿い美術の授業中、俺何するわけでもなくボーっとしていた。
兄貴からのお下がりのアクリル絵の具セットは汚くていじる気もおきない。

('、`*川「ギコ」

隣の女子に名を呼ばれ振り返る。
此奴とは家庭科の授業でも同じ席だったりと何かと縁があった。まあ名前の順だからだと知っているけれど。
なに、と返事もしていないのに女子は話し出す。

('、`*川「いい加減にちゃんとやりなさいよ」

下書きだって、私が描いてあげたんだからと先生に聞こえないようボソリといった。
確かにこの画用紙に鉛筆で書かれている下書きは全部此奴が書いてくれたのだ。
あまりにも進んでいない俺を見かねたのもあるだろうが、此奴だって絵描きの血でも騒いだんだろう。
小学校の頃は絵画教室に通っていたのを俺は知っている。
簡単で良いから描いてくれといったら、案外高度な感じの絵が出来上がってしまった。
真っ白なピアノの鍵盤を細く美しい指が叩き、周りには四分音符とか八分音符とかが散りばめられていた。

(,,゚Д゚)「ここの色は何にすればいい?」
('、`*川「それくらい自分で考えなさい。私だって色々と忙しいんだから」

そう言って奴は自分の絵に筆を入れる。その絵は不思議な絵だった。
コンクリートのような、箱のようなカラフルなものが積み上げられていて、そこに一輪だけ花が咲いていた。
その花は存在しない架空の花だと先生に奴が語っていたのを思い出す。
架空の、奴の花は空に向かって賢明に背伸びをしているようなそんな印象だった。鮮やかな桃色は、中心に向かって深い赤になっていた。

620: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 18:45:40.98 ID:shPMD9Zv0
(,,゚Д゚)「なにこれ?」
('、`*川「んー、嘘の固まり達。咲いてるのは芽生えた罪悪感……かな」
(;,,゚Д゚)「うぇー」
('、`*川「何よ」
(,,゚Д゚)「奥が深すぎて分からない」
('、`*川「……人間、良くも悪くも嘘つくでしょ。それをイメージしたのよ。悪かったわね」

だから早く自分の絵を完成させなさい。軽い命令口調。従おうかどうか迷っている俺。
横では、あー、恥ずかしい。アンタなんかに説明するんじゃなかったとぼやく。

('、`*川「大体受験生でしょ。内申に響いたらどうするのよ」
(,,゚Д゚)「ああ」
('、`*川「ああ、て。何それ」
(,,゚Д゚)「だって俺はもう決まったもん」
('、`*川「え、嘘。私立にしたの?」
(,,゚Д゚)「ラウンジ学園落ちたし、VIP学園は保留できちゃったからVIPに決めた」

621: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 18:45:58.24 ID:shPMD9Zv0
('、`;川「……」
(,,゚Д゚)「今、馬鹿って思ったろ」
('、`*川「少し……ね」

喋っても何をしても周りのざわめきなんて変わらない。
斜め前の奴はピカソみたい。後ろの席の奴はゴッホ気取り。前の席は真っ黒真っ黒。

('、`*川「煙草、やめたら?」

知ってたんだ、俺は思わず奴の目を凝視する。
みんな吸ってるよ、そう言おうと思ったけど、奴は綺麗な眉毛をいつもより下げていた。
花が咲き始める。蓄積された何かが咲く。口が、自然と動いた。

(,,゚Д゚)「……もう、やめたから」

笑いながら思わず、花を咲かせた。



戻る