('A`)の悲惨な一日のようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:40:19.89 ID:uvvnwD7f0
誰しも、人生のうちに悲惨な一日はあるだろう。


それは、事故にあう日かもしれない

病に寝込む日かもしれない。

大切なものを失う日かもしれない。


だが、ここには、それらとは全く違う不幸を味わう人間が一人。

幸せを求めるために足掻き、そして奈落に落ちる人間が一人。


これは、そんな悲しい一日を過ごす男の物語である。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:40:53.80 ID:uvvnwD7f0


人は皆平等などという世迷言を信じるな。


敗者がいるからこそ、勝者は笑えるのだから。






―――('A`)の悲惨な一日のようです―――



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:42:32.03 ID:uvvnwD7f0
('A`)「よっこいしょーどっこいしょー」


大きな袋を担いだ男が道を歩く。
そして、彼を避けるように道は切り開かれていく。

道にいるのは、どれもカップルだった。

手は繋がれていたし、挙句の果てには路上でキスをかます。
それを見て、男――ドクオはこう呟いた。


('A`)「道端でいちゃいちゃすんなよバカップルが……」

大声で叫べないところが可愛らしい。
ただ一人、孤独に身を任せている彼は実に滑稽である。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:44:35.36 ID:uvvnwD7f0
さて、彼の荷物の中身はなんなのか。
その疑問は、瞬く間に解決することになるだろう。


('A`)「ここは……よし、行くか」

彼の目の前には有名ケーキ店。
女の子なら誰もが一度は憧れるパラダイスである。


ウイーン

店員「・・・・・い、いらっしゃいませー!」


('A`)(雌豚だらけじゃねぇか)

紅一点ならぬ、黒一点。
店員が口を濁らすのにも無理はなかった。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:47:09.40 ID:uvvnwD7f0
しかし、ドクオは臆することなくカウンターの前に立つ。
その姿には、どこか覇気のようなものが漂っていた。


店員「いらっしゃいませー、何をお求めでしょうか?」

('A`)「うーん、そうだな。迷うなぁ」

言葉とは裏腹に、ドクオはニヤリとほくそえむ。
名前に相対するだけの、毒々しさがそこには秘められていた。


('A`)「君……なんていうのはダメかな?」

店員「は?」

('A`)「あ、いや、その、何でもないです」

自分で言ったジョークに自分で照れる。
実にお茶目である。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:49:24.16 ID:uvvnwD7f0

('A`)「決めました」

店員「はい、それでは何になさいますか?」



('∀`)「ここにあるチョコを使った商品、全部ください!」


・・・・・・。

空気が凍った。
それに反して、ドクオの笑顔は実に晴々としていた。

店員も図らずしてか、可哀想な人を見る目をしている。
いや、この店の中にいる人間全員が、彼を危ない人だと認識したことだろう。

それを考えると、ドクオの笑顔もどこか狂気じみたものに見えた。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:51:42.44 ID:uvvnwD7f0
店員「あの、全てと言うと結構なお値段になりますが・・・・・・?」

('A`)「問題ない、お金はある」

ドクオが広げた財布には、諭吉さんがぎっしりと詰められていた。


店員「えーと、その、全部・・・・・・ですか?」

(*'A`)「全部、何なら君もお持ち帰りで(笑)」

店員「は?」

('A`)「なんでもないです」


さりげないジョークを混ぜるところが実にユニーク。
普通の女の子なら、あっというまに虜になるのではないだろうか。

・・・・・・いや、ないない。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:54:42.12 ID:uvvnwD7f0
その後、なんやかんやで全てのチョコ商品を買い占めたドクオ。
そして、後ろに並んでいた女の子達の泣きそうな顔を見て、笑っていた。

まさに、圧倒的外道・・・・・・ッ!


('A`)「ほいほいっと・・・・・・さて、次はどこに行きますかね」

その買ったばかりの品物を袋に詰めると、ドクオは地図を広げた。
そう、彼の荷物の中身は尋常ではない量のチョコであった。

何故か。


('A`)「バレンタイン撲滅委員会の名にかけて・・・・・・」

ぶつぶつと聞こえる独り言には、何かの恨みが込められていた。


・・・・・何を隠そう、今日はバレンタインデー!

チョコよりも甘い空気が流れる一日なのだ。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:57:03.91 ID:uvvnwD7f0
('A`)「次は・・・・・・このデパ地下の店がいいかな・・・・・・」

しかし、バレンタインデーには裏の世界がある。
それこそが、このドクオが存在している世界なのだ。


('A`)「諭吉さんも、まだまだ蠢いている・・・・・・俺の戦闘力は残り23万・・・・・・」

チョコを貰えなかった者達、敗者と呼ばれる人間達。
彼らは、そんな自分の不甲斐なさに泣き喚くのだろうか。


('A`)「フヒヒ・・・・・・チョコを買えなかった女の子の悲しそうな顔ときたら・・・・・・フヒヒ」

否、断じて、否。

男達は、その運命に屈服せず抗う道を選んだ。
その内容とは『バレンテインデーの幸せを少しでもぶち壊す』

チョコの買い占め。
ムードの破壊工作。

様々な方法を以ってして、男達は今日という日を亡きものにしようとしていた。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 21:59:50.77 ID:uvvnwD7f0
('A`)「チョコなんて砂糖の塊・・・・・・死ね死ね死ね」

彼もまた、この日を嘆く者の一人だった。
そして、運命に抗う為に様々な準備を施した。

一週間、風呂に入らなかった。
バイトで50万近いを金を貯めた。
オナ禁をして、性欲を打ち消した。

その苦労が報われ、今日の彼は正に無敵。
マリオがスターを取っている状態のようなものである。


('A`)「ん、あれは・・・・・・」

しかし、忘れてはいけない。

スター状態であろうとも、穴に落ちれば死ぬということを。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:03:04.52 ID:uvvnwD7f0
('A`)「おーい、ブーン!」

( ^ω^)「おお、ドクオおいーっす!」

ふくよかな、いや、かなりの肥満体質の男が現れた。
そして、二人は強く抱きしめあった。気持ち悪い。


(*'A`)「やっぱり人肌は気持ちいいや・・・・・・」

( ^ω^)「僕で良かったら、いつでも素肌を貸すお!」

('A`)「・・・・・・あれ?お前、どうしたんだ?」


ドクオが疑問に思ったであろう事は男の格好である。
彼は手提げ何一つ持っていない、手ぶらなのだ。

『委員会』のメンバーのはずなのに、である。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:04:48.73 ID:uvvnwD7f0
そこで、ドクオはハッとした表情を見せた。


(;'A`)「ま、まさか・・・・・・貴様、さては!!」

( ^ω^)「気付いちまったか・・・・・・」

わなわなと震えだすドクオ。
フリーザを前にした野菜王子のようである。


(;'A`)「もらったのかぁぁぁぁあああああ!!チョコをおおおおおおお!!」

( ^ω^)「YES!YES!YES!YES!YES!!」

ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!


ポージングは、吐き気を催す邪悪だった。
色んな意味で。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:06:57.75 ID:uvvnwD7f0
(#'A`)「裏切ったのか!!」

( ^ω^)「まぁまぁ落ち着け、そう慌てるなお」

この巨漢の男がチョコを貰った。
そんな事を知ったら、流石の仙道でも慌てるしかないだろう。


(#;A;)「どういう事だよ・・・・・仲間じゃなかったのか・・・・・・」

( ^ω^)「いや、これには深い事情があったんだお」

ドクオは涙を拭った。
男は汗を拭った。真冬なのに。


('A`)「・・・・・・kwsk」

( ^ω^)「ふふ、あれは3時間前のことだったお・・・・・・」

空を見上げながら、ゆっくりと話し出す男。
滴る汗が頬を伝い、地面にポタリと落ちていた。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:09:08.05 ID:uvvnwD7f0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・

( ;ω;)「ツ、ツン様ぁああ!!このブーンめにチョコをくださいませぇえ!!」

ξ#゚听)ξ「アンタには無いって言ってんでしょうが!!」

( ;ω;)「それなら、せめて、豚と罵ってくださいいい!!」

ξ#゚听)ξ「死ね!!」



( ;ω;)「踏んでくださいぃ!!殴ってくださいぃいい!!」

ξ;゚听)ξ「チョコはどうしたのよ!!」

( ;ω;)「豚ぁあああ!!ぶたあああああ!!」

ξ;゚听)ξ「人が見てるからやめてよ!!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:11:49.48 ID:uvvnwD7f0
( ;ω;)「罵って、罵ってぇええええ!!」

ξ;゚听)ξ「あーもー、これあげるから勘弁してよね!!」

パシッ

( ;ω;)「こ、これは・・・・・・!!」

ξ゚听)ξ「一応、チョコでしょ、感謝してよね」



( ;ω;)「・・・・・ああ、ありがとうごぜいませぇうう!!」

ξ#゚听)ξ「黙れ豚、二度と私に近づくなよ!」



(  ω )「ぶ、ぶた・・・・・」

(* ω )「あひぃぃいいいん!!」

ドピュ・・・・・・



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:14:11.28 ID:uvvnwD7f0
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・

( ^ω^)「と、いう事があったんだお」

もはや、言葉にも出来まい。
あげるというよりは、恐喝に近いものがあったではないか。


( A )「・・・・・・・・・・・・」

俯くドクオ。
友達がこんな奴だと知ったなら、そうなるのも自然だろう。


( ^ω^)「どうしたんだお?」

( A )「お、お前・・・・・」

さぁ、怒れドクオ。
この糞デブに現実を調教してやれ!



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:15:39.76 ID:uvvnwD7f0



(;A;)「お前、いつからそんなに、リア充になったんだよおおおお!!」






・・・・・・・・・。


現実を見失っているのは、こいつもだったようである。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:18:01.53 ID:uvvnwD7f0
('∀`)「ちょっとチョコ見せてくれよ!」

(*^ω^)「ちょこっとだけだお?」

死ねよデブ。


('∀`)「うまい棒チョコ味!!すげぇ、本当にチョコだ!!」

それは感嘆すべきところではない。
チロルチョコよりも安い代物ではないか。


( ^ω^)「驚くのはまだ早いお・・・・・・」

(;'A`)「な、なんだってー!?」

( ^ω^)「それにじっくりと触ってみればわかるお」

まさぐるようにドクオはうまい棒を触った。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:20:15.83 ID:uvvnwD7f0
(;'A`)「こ、これは・・・・・・砕けている!?」

( ^ω^)「そうだお!きっと、ツンが抱きしめていたんだお!
       僕への愛を込めるために!
       そして、思いのあまり砕け散ったダイアモンド・・・・・」

この男の能天気は計り知れない。


(;'A`)「そう言われると、温もりを感じる・・・・・・」

それは男のポケットに入っていたからである。

砕け散ったのも、実はそれが原因なのではないだろうか。
むしろ、女の人がわざと砕いたというのも捨てきれない。

名づけて、恨み棒チョコ味(笑)



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:22:22.58 ID:uvvnwD7f0
( ^ω^)「ふふ・・・・・そんなリア充の僕から、ドクオに良い情報があるお」

('∀`)「wktk!」

男は誇らしげに指を前方へと向けた。


( ^ω^)「この大通りを進めばわかる・・・・・行くが良い、勇者ドクオ!」

('∀`)「速さで世界を縮めてやんよ!」


バヒューン!!

ドクオは言葉と共に、走り抜けていった。


( ^ω^)「・・・・・・ブヒヒ」

忘れ去られたチョコ入り袋は男が持っていった。
食べながら。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:23:58.64 ID:uvvnwD7f0
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・


('A`)「なんじゃこりゃ・・・・・・」

ドクオが辿り着いた先には、妙な人だかりが出来ていた。
そして、異様なのはその面子である。

メガネ、ガリガリの体にリュックサック。
デブ、萌アニメプリントTシャツにリュックサック。
ブサ面、挙動不審な態度にリュックサック。

どれもが、常識人とは明らかに違っていた。


('A`)「・・・・・・なるほど、仲間か」

しかし、ドクオは理解をした様である。
つまり、この男達もまた、バレンタインデーの敗者なのだろう。

見た目から安易に予想出来る事であった。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:25:31.83 ID:uvvnwD7f0
そんな男達の中央にある高台。
そこに一人の女性が現れる。

けたたましい歓声が沸きあがった。
突然、自慰を始める者がいた。
フラッシュにより、視界が真っ白に染まった。

しかし、そんな会場も女の一言で静まりかえる。


川 ゚ -゚)「クー参上。
     さて、貴様ら、今日は何をしに来た?」

美しい女性だ。
その容姿は、恐らくモデル等と比べても引けをとらないだろう。

しかし、表情は無く、まさに人形のようだった。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:27:14.03 ID:uvvnwD7f0
川 ゚ -゚)「アイドルの撮影会か?馬鹿馬鹿しい」

川 ゚ -゚)「公開オナニーか?ビデオで撮らせろ」

川 ゚ -゚)「VIPのOFFか?まぁ、それはうん・・・・・・興味あるなぁ」


コホンと咳払いを一つ置いて


川 ゚ -゚)「違うだろう、貴様ら蛆虫どもはなんの為に来た?」

会場は静寂に包まれていた。
ドクオもまた、圧倒的威圧感に成す術は無かった。

そんな中でも、女の無表情は崩れはしなかった。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/14(木) 22:31:50.02 ID:uvvnwD7f0
川 ゚ -゚)「答えろ、そこの自慰をしている男の隣!!」

自慰男のチ○コをマイクに見立てて、叫ぶ。
マイクを握ると共に、白い液体が出たが、誰一人として気にはしなかった。


隣男「サー!我々はチョコが欲しいであります!!」

川 ゚ -゚)「正解だ!!ファッキン糞虫が!!」


隣男は悶絶した。
なんというドMであろうか。

しかし、ドクオの息子もいきり立っていた。
さすが同属である。



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