('、`*川 外れない予言のようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 18:59:53.00 ID:IZG7I8Z80
その女は占い好きだった。
結果は大して気にしていなかった。
占ってもらうこと、それ事態に快感をおぼえていた。

その日も女は占い屋巡りをしていた。
手相や人相、生年月日などで占ってもらったが、結果はみなバラバラだった。
そんなことはいつものことだったので、女にはどうでもいいことだった。

ある程度占ってもらい、帰ろうとしたとき、女は路上でやっている占い屋を見つけた。
若い占い師の店だったが、そこはなぜか女の心を惹きつけた。
最後にあそこで占ってもらおうか、そう思って女はその占い屋のもとへと行った。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:02:45.10 ID:IZG7I8Z80
('、`*川「こんばんは」

( ・∀・)「いらっしゃい、ペニサスさん」

('、`*川「えっ、なんで私の名前を?」

( ・∀・)「そりゃあ、占い師ですから」

('、`*川「占いっていうより超能力ね……」

('、`*川(でも、これはアタリかもしれないな)



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:06:31.45 ID:IZG7I8Z80
( ・∀・)「さて、それでは始めましょう」

('、`*川「あなたは、何占いなの?手相だとか人相だとかあるでしょ」

( ・∀・)「見ればわかります」

('、`*川「は?人相ってこと?」

( ・∀・)「あなたの名は、ペニサス伊藤。年齢は29歳。テレビ局に勤めていますね」

('、`*川「はぁ、そうですが」

( ・∀・)「東京生まれの東京育ち。3人姉妹の長女ですか」

('、`*川「えぇ」

( ・∀・)「学生時代は陸上部に所属……ほう、都大会出場とはやりますな」

('、`*川「あっ、ありがとうございます」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:09:16.27 ID:IZG7I8Z80
( ・∀・)「初体験は15歳。相手は10歳上の社会人」

('、`;川「ちょっ!なに言ってんの!?」

( ・∀・)「えっ、間違ってましたか」

('、`;川「いや当たってるけど!じゃなくて変なこと言わないでよ」

( ・∀・)「まっ、こんなところですか」

('、`*川「これだけ?」

( ・∀・)「いえ、まだわかりますが。スリーサイズとか」

('、`*川「やめて。そういうことじゃなくて、昔のことを言い当てることしかできないんですか」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:11:47.28 ID:IZG7I8Z80
( ・∀・)「えぇ、まぁ。でも当たってたでしょ。全部」

('、`*川「すべてピタリ、と」

( ・∀・)「じゃあいいじゃないですか」

('、`*川「いいわけないでしょ。未来のことを言わなければ占いじゃないもの」

( ・∀・)「未来……ねぇ」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:14:29.76 ID:IZG7I8Z80
('、`*川「できないの?」

( ・∀・)「できなくはありません……ただ」

('、`*川「ただ?」

( ・∀・)「それがあなたの未来を変えることになってはいけないのです」

('、`*川「そういうもんなの?」

( ・∀・)「そういうもんなんです。ですから、未来は……」

('、`*川「ふぅん……じゃあ私に関係ないことを言ってよ」

( ・∀・)「えぇ、まぁ、それならば可能ですが」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:18:00.85 ID:IZG7I8Z80
占い師は目を瞑り、なにかをブツブツと呟いた。
5分ほどそれを続けたあと、突然カッと目を見開いた。

('、`*川「あっ、終わった?」

( ・∀・)「終わりました」

('、`*川「長かったわね」

( ・∀・)「これ、すごく集中力が必要なんです。かなり疲れますし」

('、`*川「ふぅん、まぁいいや。それで結果は?」

( ・∀・)「一週間後、現地時間の午前7時32分、イギリスでテロが起こります」

('、`*川「うそ」

( ・∀・)「本当です」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:21:12.50 ID:IZG7I8Z80
('、`*川「信じられないなぁ」

( ・∀・)「本当です」

('、`*川「本当なら、警察かどっかに知らせないと」

( ・∀・)「警察に知らせてはいけません。誰にも言ってはいけません」

('、`*川「なんでよ」

( ・∀・)「未来を変えてはいけないのです」

('、`*川「でも」

( ・∀・)「お願いです」

('、`*川「……わかった」

( ・∀・)「こういうことになるから、未来は占いたくなかった」

('、`*川「ごめんなさい、しつこくして」

( ・∀・)「いえ……」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:24:51.62 ID:IZG7I8Z80
女はそれから、占い師の予言が頭から離れず眠れない日々が続いた。
そして一週間後の現地時間午前7時32分、ロンドンでテロが起こった。
女は占い師の予言が的中したことに驚き、その日の仕事の帰り、占い師のもとへ行った。

('、`*川「テロ、起こったわね」

( ・∀・)「えぇ」

('、`*川「何千人も死んだらしいわ」

( ・∀・)「そうですか」

('、`*川「あなたの予言を公表すれば、テロは起こらなかったかもしれない」

( ・∀・)「……」

('、`*川「人の命と、未来を変えること……どっちが大事?」

( ・∀・)「……」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:27:44.01 ID:IZG7I8Z80
('、`*川「私がテレビ局に勤めているのは、あなたもわかっているでしょう」

( ・∀・)「はい」

('、`*川「私は、あなたの番組をつくりたい」

( ・∀・)「……」

('、`*川「そして、人の命を救うの」

( ・∀・)「命を、救う」

('、`*川「どうかしら」

( ・∀・)「……考えさせてください」

('、`*川「わかった。それじゃあ」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:30:50.71 ID:IZG7I8Z80
女は帰宅したあとに連絡先を渡してないことに気付いた。
急いで戻ったが、もう占い師はその場にいなかった。
次の日も、その次の日も、占い師がいたところに通ったが、出会うことはなかった。

('、`*川「くそ、大きな魚を釣り損ねたか」

実際、女は人の命などどうでもよかった。
番組をつくるというのも、全ては金のためだった。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:33:49.64 ID:IZG7I8Z80
それから何ヶ月か経って、女の携帯電話に見慣れぬ番号からの着信がきた。
出ると、それはあの占い師だった。

( ・∀・)「お久しぶりです」

('、`*川「逃げられたかと思った」

( ・∀・)「逃げる?」

('、`*川「いや、なんでもない。どうして私の番号がわかったの?」

( ・∀・)「えっ、普通にわかりましたけど」

('、`*川「あぁ、そうか。あなたなんでもわかるのね」

( ・∀・)「まぁ、そういうことです」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:36:43.74 ID:IZG7I8Z80
('、`*川「それで、電話の用件は、あのことでしょう」

( ・∀・)「えぇ、あのことです」

('、`*川「どうなの?」

( ・∀・)「やらせてください」

('、`*川「いいのね?未来が変わることになっても」

( ・∀・)「もう、この電話をかけてしまった時点で、未来は変わったんです」

('、`*川「……わかった」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:40:30.75 ID:IZG7I8Z80
その後、女のプロデュースにより占い師の番組がつくられた。
占い師が番組内でテロを予言すると、本当にテロが起こった。
事前に対処されたおかげで被害は最小限に食い止められた。

テロのみでなく、銀行強盗などの事件も言い当てた。
占い師の言うとおりに事件は起きた。
占い師のおかげで、事件は早期に解決された。

占い師はお茶の間で圧倒的な支持を得た。
人々は彼を褒め称えた。

占い師はやがて、バラエティーに進出。自分のラジオ番組を持ち、CDデビューも果たした。
女は占い師の番組成功によって出世し、金を手に入れた。
二人はプライベートでも親しくなった。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:43:44.74 ID:IZG7I8Z80
ある日、女は占い師と食事をしていた。

('、`*川「まさか、こんなにうまくいくとはね」

( ・∀・)「なにがだい」

('、`*川「あっ、いやいや。……私たちのこと」

( ・∀・)「僕にはこうなることがわかってたよ」

('、`*川「ほんと、なんでもわかるのね」

( ・∀・)「僕はこのあと起こることもわかってる」

('、`*川「なに?」

( ・∀・)「僕のプロポーズに、君はイエスという」

('、`*川「えっ?」

( ・∀・)「結婚してくれ」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:46:54.26 ID:IZG7I8Z80
('、`*川「いや」

(;・∀・)「えっ、ちょ、マジで?ウソ!ウソでしょ!?」

('、`*川「焦りすぎ」

(;・∀・)「いや、でも」

('、`*川「いいよ」

( ・∀・)「え?」

('、`*川「結婚」

( ・∀・)「あっ、あぁ!やっぱり!?」

('、`*川「わかってて、焦った演技したんでしょ?」

( ・∀・)「あぁ、うん。どうだった?」

('、`*川「真に迫ってたね。俳優デビューもしちゃえば?」

( ・∀・)「はは、それもいいかもな」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:48:46.11 ID:IZG7I8Z80
後日、二人は結婚した。
女が占い師と結婚したのは、無論金のためだった。
占い師はもはや超売れっ子であった。

占い師は俳優デビューも果たした。
結婚生活は順調だった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/26(火) 19:53:13.02 ID:IZG7I8Z80
ある日、女は仕事に行き、家には占い師一人となった。
占い師がどこかに電話をかけた。

( ・∀・)「もしもし、私です。いやぁどうもどうも」

( ・∀・)「おかげさまで、今の地位についております」

( ・∀・)「あの女に取り入ってテレビで有名になり大儲け……うまくいきました」

( ・∀・)「あの女もモノにしましたし。いやぁ、あのときのあなた方の情報収集力は素晴らしかったですな」

( ・∀・)「初体験のことを言ったときの反応は面白かった」

( ・∀・)「……えぇ、まったくです。ははは」

( ・∀・)「それでは、今後もテロや事件の数々、頼みますよ。あなた方のおかげで、予言が成立するのですから」



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