(‡`Д´)Ψ悪魔がやってきたようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:33:20.77 ID:EKh9Bvo80

あるところに、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。


('、`*川「じいさんや。ちょっと肩をたたいてくれんかえ?」

( ФωФ)「無理……めっちゃ腰痛い……」

('、`*川「年だねえ……」


よぼよぼの二人は、日常生活すらままなりません。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:35:45.68 ID:EKh9Bvo80

そんなある日の事。


(‡`Д´)Ψ「ふはははー。悪魔だぞ」

('、`*川「ひえー。じいさんや、早く逃げないと魂を取られてしまうよ」

( ФωФ)「無理……腰が痛いんじゃ……切実に」

(‡`Д´)Ψ「このオイボレ共め。だが安心しろ。俺は魂とか全く興味が無いんだ」

( ФωФ)「マジ? らっきーじゃぞばあさん」

(‡`Д´)Ψ「だが頂くものはしっかり頂くぞ」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:40:22.26 ID:EKh9Bvo80

ホーリーシット。
悪魔は無情にも、このオイボレたちから何かを奪うようです。


('、`*川「鬼! 悪魔!」

(‡`Д´)Ψ「うん。俺悪魔」

( ФωФ)「お金は無いぞ。びっくりするくらい無いぞ」

(‡`Д´)Ψ「金はいらん。だが、お前らの“年”をもらう」


悪魔が呪文を唱え始めると、おじいさんとおばあさんが閃光に包まれました。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:42:28.35 ID:EKh9Bvo80
  
( ФωФ)「ぐわああああ! 馬鹿な! この俺様がああ――!!!」

(‡`Д´)Ψ「お前やられ際は凄い元気だな」




閃光が収まると、悪魔はニヤリと笑って、その場を後にしました。



「じいさんや。生きてるか?」

「ばあさん。ワシはこっちじゃ」


( ^ω^)「え」

ζ(゚ー゚*ζ「じ、じいさん?」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:44:16.62 ID:EKh9Bvo80
    
( ゚ω゚)「ばあさん若返っとるぞ!?」

ζ(゚ー゚*ζ「そういうじいさんこそ!」


( ^ω^)  ζ(゚ー゚*ζ  ……。






ん……あん……すごい……。



そいやっ そいやっ




じいさんとばあさんは、何十年かぶりの熱い夜を過ごしました。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:48:56.05 ID:EKh9Bvo80
   

〜 魔界 〜

(‡`Д´)Ψ「冥王さま。今日も人間に悪い事してきましたよ」

\(^o^)/「ほう……ではこれを見るがよい」

(‡`Д´)Ψ「え」


冥王は魔法の力を使って、空中にスクリーンを映し出しました。
なんという事でしょう。
そこには、ラブラブなじいさんとばあさんの、真夜中のランデブーが映し出されているではありませんか。


(‡`Д´)Ψ「そ、そんな馬鹿な……」

\(^o^)/「この阿呆が。我らが奪うのは、人間の幸せ、夢、未来。
       何でもかんでも奪えばいいというものではないのだたわけが」

(‡`Д´)Ψ「グス……」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:51:29.76 ID:EKh9Bvo80
    
悪魔は考えました。
どうやったら人間たちを困らせる事が出来るのか。


(‡`Д´)Ψ(新しいドラえもんの声優誰だっけ……)


一生懸命考えた結果、一つの答えにたどり着きました。
それは、殺しです。


(‡`Д´)Ψ「死は一番怖い事だ。教科書に書いてあった」


悪魔は人間たちを殺す事にしました。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:53:58.10 ID:EKh9Bvo80
   




(-_-)「……」


狭い部屋で一人きり。
少年は膝をかかえて、静かに泣いていました。

ドン! ドン! ドンガバチョ!

(-_-)「だ、誰!?」


激しいノックの音が、部屋に飛び込んできました



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 15:57:26.79 ID:EKh9Bvo80
  
『名乗るほど大した名じゃないが、悪魔だ。あんたを殺しにきた
 寒いから入れてくれないか?』

(;-_-)「悪魔!? 冗談じゃない! そんなもん呼んだ覚えは無いよ!
     消えてくれ! そこにお前がいると泣けないだろ!」


少年はドアを背中で塞いで、悪魔に向かって叫びます。


『グス……』

(-_-)「……泣いてるの?」

『だって部屋入れないんだもん……』


ル ララルラ ル ララルラ Ah〜



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:00:12.89 ID:EKh9Bvo80
  
(-_-)「ヒック……」

『グス……』


ドアを挟んで背中合わせ。
彼らの泣き声は重なり、響きあいます。


(-_-)「……」


少年は、こんな悪魔なら入れてもいいかと思えてきました。
そしてドアを開けてやろうとした、次の瞬間。

ガシャン――!


(;-_-)「うぇ!?」

(‡;Д;)Ψ「おらあ! 自力で入ってきたぜ!」


グングニル持って、泣き顔で、「あんたを殺しにきたぞ!」。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:04:41.17 ID:EKh9Bvo80
  
(#-_-)「てめえ窓ガラス割って入ってきやがって!
      ガラス代べんしょーしろべんしょー!」

(‡`Д´)Ψ「へーん! 俺悪魔だから人間の法律とか知らないもんねー!」

(#-_-)「上等だてめえ! 引きこもり3年目なめんじゃねえぞゴルァ!」


とっくみあいの喧嘩になってしまいました。
ヒッキーは運動不足でへろへろの体ですが、悪魔の方も負けず劣らず弱いです。


(‡`Д´)Ψ「はぁ……はぁ……お前、良いもの持ってるじゃねえか」

(;-_-)「ぜぇ……ぜぇ……ははは。お前もな」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:08:00.01 ID:EKh9Bvo80
  
(-_-)「お前、本当に悪魔か?」

(‡`Д´)Ψ「そうだよ。見ろこの顔の傷」

(-_-)つ‡

( `Д´)Ψ「タトゥーシールだよ悪かったな! 返せ!」


(‡`Д´)Ψ「全く……ん?」

(-_-)「……」

(‡`Д´)Ψ「そういえば、お前なんで泣いてたんだ?」


ヒッキーの頬を横切る、涙の跡を見て、悪魔が問います。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:11:48.01 ID:EKh9Bvo80
   
(-_-)「……疲れたんだ」

(‡`Д´)Ψ「疲れた? 引きこもりなのに?」

(-_-)「生きるのに疲れたんだよ」


「ふーん」悪魔はよくわかっていないようで、生返事です。


(-_-)「殺しにきたんだろ? さっさとやってくれよ」

(‡`Д´)Ψ「お、お前死ぬのが怖くないのか?」

(-_-)「このままグダグダ生きながらえる方が、よっぽど恐怖だよ……」

(‡`Д´)Ψ(話が違うじゃねえか! 教科書作った奴はどこのどいつだ!)



\(^o^)/「はっくしょん!」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:13:54.98 ID:EKh9Bvo80
   
(‡`Д´)Ψ「そうか。生きる方が恐怖なのか」

(-_-)「ああ、そうだよ。さあ殺してくれ」

(‡`Д´)Ψ「嫌だね」

(-_-)「なにぃ?」

(‡`Д´)Ψ「このままお前を生かして、たっぷりと恐怖を与えてやる」

(;-_-)「話が違うじゃないか! この悪魔! 人でなし!」

(‡`Д´)Ψ「うん。俺悪魔」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:18:08.45 ID:EKh9Bvo80
   
しかしヒッキーは不敵に笑うと、カッターナイフを取り出しました。
悪魔は何をするかわかっていないようで、目をぱちくりさせています。


(-_-)「お前が殺さないなら……自分で死んでやる!」

(‡`Д´)Ψ「何!? そうはさせるか!」


再びとっくみあいが始まりました。
二分間の壮絶な死闘の末、悪魔はついにカッターを取り上げます。


(;-_-)「く……でも無駄だね」

(‡`Д´)Ψ「何でだよ」

(-_-)「今死ねなくても、後で死ぬからさ」

(‡`Д´)Ψ「おのれちょこざいな! どうして死のうとするんだ。
       生きて苦しめばいいだろ。悪魔の俺としてはそっちの方が助かるんだが」

(-_-)「いじめられっ子だからね。小学校に入ってからずっとだよ」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:22:48.02 ID:EKh9Bvo80
   
(‡`Д´)Ψ「お前小学生か? 老けてるな」

(-_-)「僕はもう中学二年生さ。でも中学校には一度も行ってない。
     小学校の時と同じメンツで、行ったらいじめられるに決まってるからな」

(‡`Д´)Ψ「ほほう。なるほどな。では俺がそいつらを倒せば、お前は学校に行ける。
       そうすると生きる事が出来て、辛い恐怖を味わう事になる訳だな」

(-_-)「まあ……そういう事になる……かな?」


「グハハハ! 簡単な話じゃないか!」声を荒げて、勝ち誇った顔の悪魔。


(‡`Д´)Ψ「よし。では学校へ行くぞ。俺の闇の力を見せてやる」

(-_-)「えーめんどくさい。一人でいってよ」

(‡`Д´)Ψ「この引きこもりめ!」

(-_-)「うん。僕ヒッキー」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:25:51.63 ID:EKh9Bvo80
    
悪魔は最終的に土下座をして、ヒッキーを学校へ連れていきました。



(‡`Д´)Ψ「ここが中学校か。お前のクラスは何処だ?」

(-_-)「知らないよ……」

(‡`Д´)Ψ「まあそうだろうな。
      よし、ここは俺の天才的な勘を信じて、闇雲に突っ込むぞ」

(-_-)「行き当たりばったりだなあ……」


二人は一緒に校内をさまよい始めました。
そうして、十分後。

  _
( ゚∀゚)「なんだてめえら」


不良にからまれました。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:30:03.53 ID:EKh9Bvo80
    
ミ,,゚Д゚彡「みねえ面だな。二年か?」

(;-_-)「は、はひぃ!」

从 ゚∀从「やっちゃいなよジョルジュくーん」
  _
( ゚∀゚)「ケッ。こんな雑魚相手にしてどうすんだよ」

(‡`Д´)Ψ「……」
  _
( ゚∀゚)「何か文句あんのかよ」

(‡`Д´)Ψ「いえいえいえいえいえいえいえいえ」


悪魔の十八番、土下座で対処しています。
2レス連続で土下座なんて、何という魔界の恥さらしなんでしょうか。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:35:19.76 ID:EKh9Bvo80
  _
( ゚∀゚)「あ、ビコーズさん! チャース!」

ミ,,゚Д゚彡从 ゚∀从「「お疲れっす!」」

( ∵)


校舎の角から、体長が3メートルはありそうな大男が現れました。
筋肉隆々で、XXLの学ランが所々はち切れています。
みすぼらしいです。


( ∵)
  _
( ゚∀゚)「ああ、こいつらは、ここが3年のたまり場って知らなかったみたいで……」

从 ゚∀从「おい。名前聞いてるだろうが。さっさと喋れ」

(;-_-)「えぇ!? あ……ヒッキーです……ごめんなさい……」

(‡`Д´)Ψ「悪魔です」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:38:22.39 ID:EKh9Bvo80
  _
(#゚∀゚)「悪魔だぁ? てめえふざけてんのか?」

ミ,,゚Д゚彡「ちゃーすぞコラ!」

从 ゚∀从「コラ!」

(‡`Д´)Ψ「ふ、ふざけてません! これでも冥王さまの1オク番弟子で……」

(;-_-)「今小声で何か挟まなかった?」

从 ゚∀从「悪魔だったら何かやってみろよ」

ミ,,゚Д゚彡「みろよ」
  _
( ゚∀゚)「何も出来なかったら死刑な」

(‡`Д´)Ψ「は、はい……」


(‡`Д´)Ψドキドキドキ…



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:43:01.58 ID:EKh9Bvo80
   
悪魔はグングニルを振りかざし、強烈な光を放射しました。
光は近くの大岩に飛んでいき、その辺りに閃光が拡散します。


(‡`Д´)Ψ「むむむむむ……オオバ・ヤ・シモ・トコ!!!」


呪文を唱えると、閃光が一際光った後、辺りに解けるように消えていきました。
そしてそこにあったはずの大岩が、手の平に乗る程度の小石に化けていました。

  _
( ゚∀゚)「おおスゲエ! でも地味だな」

ミ,,゚Д゚彡「確かに。もっと悪魔っぽい技をして欲しかった」

从 ゚∀从「しょっぺえ悪魔だなテメエ」

(‡`Д´)Ψ ショボン…



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:46:22.50 ID:EKh9Bvo80
   
( ∵)
  _
( ゚∀゚)「え?」

ミ,,゚Д゚彡「どうしてですか?」

(#∵)

从;゚∀从「は、はい! わかりました」
  _
( ;゚∀゚)「失礼します!」

   _
-=( ゚∀゚) -=ミ,,゚Д゚彡 -=从 ゚∀从


(;-_-(‡`Д´)Ψ「?」


ビコーズを残し、三人の不良たちはどこかへ消えていきました。
ちなみに上のAAは悪魔の影に隠れる引きこもり三年目の図。



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:52:01.66 ID:EKh9Bvo80
   
( ∵)

(‡`Д´)Ψ「……」

( ∵)

(;-_-)「……」

(#∵)

(;-_-)「ひい! やっぱり喋ってた!」

(‡`Д´)Ψ「お、お、お前通訳しろよ!」

(;-_-)「まず聞こえない!」

(#∵)


ビコーズは諦めたのか、地面にがりがりと文字を書き始めました。

[ お れ を 小 さ く し ろ]



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:54:16.15 ID:EKh9Bvo80
  
(‡`Д´)Ψ「小さく? 俺の魔力で?」

( ∵)

(;-_-)「とりあえずやってみてよ」

(‡`Д´)Ψ「お、おう」


悪魔はグングニルを以下略。


(‡`Д´)Ψ「そぉれ!」

(((((( ∵)))))

( ∵)

(;-_-)「うわあ凄い小さくなった……」

(‡`Д´)Ψ「イトコのタカちゃんより小さいぞ」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 16:57:01.07 ID:EKh9Bvo80
   
( ∵)

-=( ∵)


ビコーズは満足したのか、颯爽と歩いていってしまいました。


(‡`Д´)Ψ「助かった」

(;-_-)「あ……もう下校の時間だ」

(‡`Д´)Ψ「お前がちんたらするから!」

(#-_-)「お前が闇雲に突っ込むから!」


三度目のとっくみあいを制したのは、ヒッキーでした。
地面に倒れたままの悪魔を見下ろし、唾を吐きかけます。


(-_-)「二度と僕の前に姿を見せるな……」

(‡`Д´)Ψ「グス……」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:01:21.76 ID:EKh9Bvo80
   
帰り道、ヒッキーは一人で家を目指していました。
すると後ろから、大勢の人間の笑い声が聞こえてきます。


( ・∀・)「ばっか。ぜってーピカチュウの方が強いって」

('A`)「お前ヒョードルなめんなよ。あんな鼠ボコボコだぜ」


柱|-_-)(あれは……! いじめっ子のモララーとドクオだ!)


反射的に身を隠したヒッキーは、そのまま二人をやり過ごそうとしました。
しかし……。


(‡`Д´)Ψ「おーい何処だヒッキー! あ、いたいた」


柱|;-_-)「来るんじゃねえええ!」

( ・∀・)「あ、ヒッキーだ」

('A`)「ほんどだ」


追いかけてきた悪魔によって、ヒッキーの場所がばれてしまいます。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:05:04.25 ID:EKh9Bvo80
   
ξ゚听)ξ「あ、ヒッキー」

ノパ听)「久しぶり――!!!」

(,,゚Д゚)「お前生きてたんだ」

(´・ω・`)「あれ? ヒッキーがいる」

( ´_ゝ`)「弟者。珍しい奴がいるぞ」

(´<_` )「おお。何年ぶりだろうな。兄者」



柱|;-_-)「二人かと思ったらいっぱいいるうう――!!!」


もはや隠れることも逃げることも許されない状況です。
ヒッキーは仕方なく、電柱の影から出てきました。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:08:30.07 ID:EKh9Bvo80
   
  ( ´_ゝ`)    (´<_` )

  ワイワイ   ガヤガヤ

(,,゚Д゚)  (´・(;-_-)  (・∀・ )

   ザワザワ    ワイファイ  コネクタ

 ノパ听)   ξ゚听)ξ  ('A`)



(;-_-)「や……やあ」

ξ゚听)ξ「随分久しぶりね。学校来る気になったの?」

(;-_-)「い……いやあ……まあ……」

( ・∀・)「はっきり喋れようざってえ」

(;-_-)「……ごめん」


(‡`Д´)Ψ「?」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:12:46.52 ID:EKh9Bvo80
   
(‡`Д´)Ψ「どうしたヒッキー。さっきまでのテンションは?」

('A`)「お前誰だよ」

(‡`Д´)Ψ「悪魔だ」

( ・∀・)「悪魔? はっ。馬鹿らしい」

(‡`Д´)Ψ「な、何だと?」

( ・∀・)「おいヒッキー。お前こんなのと友達なのか?」

(;-_-)「友達……じゃない」

(‡`Д´)Ψ「だろうな。さっき唾ひっかけられたし」


「うげえ!」ヒッキーは突然後ろから蹴り上げられました。
振り返ると、ニタニタと笑う男の姿が。


('A`)「へっへっへ……スカっと爽やか気分爽快だぜ」

(‡`Д´)Ψ「何というテンプレートないじめ……」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:15:11.80 ID:EKh9Bvo80
  !
(‡`Д´)Ψ ティローン!


(‡`Д´)Ψ「そうか。お前がヒッキーをいじめた奴だな?」

('A`)「ああ?」

(‡`Д´)Ψ「お前さえ倒せば、ヒッキーはもっと苦しむはずだ」

( ´_ゝ`)「どういう理論なんだ」

(‡`Д´)Ψ「魚で例えるとだな……」

(´<_` )「いや、いい」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:18:36.56 ID:EKh9Bvo80
   
ξ;゚听)ξ「ドクオ! いい加減もうやめなよ」

ノパ听)「そうだぞこの垂れ眉毛!」

(´・ω・`)「え?」

(,,゚Д゚)「チンコ口め!」

(´・ω・`)「ええ?」

('A`)「うるせえな……いじめは俺たちの生きがいなんだよ。なあモララー」

( ・∀・)「そうだ。古来より人間は争いによって……」

('A`)「な、何キャラ!?」

(;-_-)「……」


にわかに慌ただしくなった状況で、ヒッキーは頭を抱えていました。
争いはもちろん、人との交流さえ、彼にとっては苦痛なのです。



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:22:56.85 ID:EKh9Bvo80
   
(‡`Д´)Ψ「ふん。かかってこいいじめっ子共」

( ・∀・)「あぁん?」('A`)

(‡`Д´)Ψ「悪魔の恐ろしさ、とくことっ、特と味あわそ、せてやる!」


悪魔はグングニルをかざしました。
しかしその隙にデンプシーロールで懐に入ったモララーに、強烈なリバーブローをもらってしまいます。


(‡゚Д゚)Ψ「げぼお!」

( ・∀・)「俺に勝てると思うなよ。コスプレ大魔王の分際で」

ξ゚听)ξ「コスプレ大魔王なの……?」

(‡`Д´)Ψ「くそ……悔しい。やられたことよりも、大魔王って言われた事にちょっと喜んだ自分が!」



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:27:15.59 ID:EKh9Bvo80
   
(;-_-)「も、もういいよ! 無理しなくていいから!」

(‡`Д´)Ψ「何言ってんだ! 俺はお前にもっと苦しんで欲しいんだ!
      じゃないとまた給料減らされる! 嫁さんが怒るっての!」

(;-_-)「結婚してたの!?」

( ・∀・)「何ごちゃごちゃ言ってんだ。さっさと死ね!」

(‡`Д´)Ψ「ひいいいお助けえええ――!」


モララーの鋭いコークスクリューが、悪魔の眼前に迫っていきます。
バシィ!という乾いた音が、路上に響き渡りました。


(‡`Д´)Ψ「……?」


しかし、殴られたのは悪魔ではありませんでした。


((#)_-)「ぐ……あ……」

(‡`Д´)Ψ「ヒッキー!!!」



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:31:20.61 ID:EKh9Bvo80
  
ヒッキーはゆっくりと倒れていきました。
地面につく寸前で、悪魔が受け止めます。


(‡`Д´)Ψ「お、おい! しっかりしろ!」

((#)_-)「う……」

(‡`Д´)Ψ「どうしたんだよ! 急に感動に持っていこうとか無しだぜ!?」


荒い呼吸をしながら、ヒッキーは一生懸命喋ります。


((#)_-)「さっきは……唾を吐いてごめん……。
     これ以上……君に……迷惑かけたくなかったから……。
     だから……君を僕から離そうと……して……あんなことを……」

(‡`Д´)Ψ「ヒッキー……」

( ;・∀・)(え? パンチ一発で死ぬの?)



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:35:14.36 ID:EKh9Bvo80
  
((#)_-)「今まで……友達みたいな関係……作れなかった……。
     だから……君と過ごせた2時間と14分48秒は……僕のかけがいのない思い出だよ……」

(‡`Д´)Ψ「そ……そんな……。俺の事……友達って言ってくれるのか……?」

((#)_-)「も……もちろんさ……」

(‡`Д´)Ψ「嘘つけニートが! さっき友達じゃないって言っただろうが!」

((#)_-)「言葉のあやだクソ悪魔! そこは空気読めよ!」


「げほっ」ヒッキーは吐血しました。
どうやら最後が近いようです( ;・∀・)ええええ!!??



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:38:39.62 ID:EKh9Bvo80
   
((#)_-)「これでようやく死ねるよ……。
     君に会えて良かった……本当に……ありが……と……」

(‡`Д´)Ψ「おい! おい!!! 嘘だろ!? 生きろよ!
      もっと苦しめよ! なんでだよ! どうして……」


ノパ听)(´<_` ) ヒソヒソ…人殺し…

( ´_ゝ`)(´・ω・`) 懲役何年カナ……

ξ゚听)ξ('A`) 絶対ヤバイヨナ…


( ;・∀・) ソンナ目デ見ルナヨ…



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:41:11.88 ID:EKh9Bvo80
    
(‡;Д;)Ψ「ああ――!!! 俺の給料が! ボーナスが!」


(‡ Д )Ψ「……友達が――――――――」




本当は、もう悪魔の仕事なんてどうでも良かったみたいです。
この悪魔にとっても、彼は初めての友達だったから。





さて、そろそろ私のお仕事カナ。



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:44:16.10 ID:EKh9Bvo80
   



(‡`Д´)Ψ「な、何だ!?」

(´・ω・`)「急に光が……!」

( ;・∀・)「何がどうなってんだ!?」



――あーあー。マイクテストマイクテスト


ξ;゚听)ξ「え?」


――聞こえてる?


ノパ听)「そりゃもうばっちりと!!!」


――そう。良かった



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:47:54.84 ID:EKh9Bvo80
   
(‡`Д´)Ψ「誰だお前は!」


――うーん。詳しく説明することは出来ないわ


('A`)「どういうことだ?」


――あなた方が理解出来る言語で、私の存在の説明は出来ないもの


(‡`Д´)Ψ「……えぁ? あ、ああ……うん?」


――まあ理解する必要は無いわ。そうね……神さまみたいなものカナ?


(‡´Д`)Ψ「はわわわわわわ……!」


――キョドり過ぎ



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:50:41.02 ID:EKh9Bvo80
  
――で、悪魔くん


(‡`Д´)Ψ「は、はい……」


――貴方が悪魔になってからしたことを、三つ挙げてみて


(‡`Д´)Ψ「ええっと……爺さんと婆さんから年を奪って……。
      でっかい中学生を小さくして……」


――そう。それは本来、悪魔には出来ないとされてる善行なの


(‡`Д´)Ψ「ぜんぎょうって何ですか?」


――ググレ



119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:53:51.10 ID:EKh9Bvo80
  
(‡`Д´)Ψ「俺がやったことって言えば……まあその二つくらいですけど」


――ふうん……ここで貴方にアタックチャーンス!


(´・ω・`)「!!!」

('A`)「え、ショボンなんで反応した!?」

(´・ω・`)「よくわからないけど、“チャンスだ!”って思った」


(‡`Д´)Ψ「あたっく……?」


――うん。悪魔の貴方が、天使になれるチャンスって訳なの


(‡`Д´)Ψ「嘘だろ承太郎!」


――ああ……嘘だぜ。いや違う違う。ホントよ



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 17:57:37.29 ID:EKh9Bvo80
  
――善行を三つ重ねたら、悪魔でも天使になれるの


(‡`Д´)Ψ「ま、マジかよ……!」


――天使になれば、癒しの力を得るわ。そしたら、その子を生き返らせる事も出来るわよ


(‡`Д´)Ψ「本当か!? あ……でも駄目だ」


――どうして?


(‡`Д´)Ψ「それは……そうだな。魚で例えると、カツオだ」


――まだ二つしか善行が無いし、天使になってヒッキーを生き返らせようにも、ヒッキーはそれを望んでない……か


ξ;゚听)ξ「神すげえ!」



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 18:04:03.21 ID:EKh9Bvo80
   
――おバカねえ


(‡`Д´)Ψ「え?」


――貴方はもう三つの善行をしてるわ。それに、ヒッキー君、本当は生きたかったのよ


(‡`Д´)Ψ「で、でも、あいつは死にたいって……生きてる事が苦痛だって……」

( ・∀・)「……」

('A`)「……ヒッキー」


――人の気持ちは、素直に表に出ないものよ。さあ、どうする? 貴方が決めて頂戴


(‡`Д´)Ψ「……」



「俺は――――――」



133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 18:08:12.27 ID:EKh9Bvo80
   







ζ(゚ー゚*ζ「生まれるううう!」

( ^ω^)「頑張ればあさん!」

ζ(゚ー゚*ζ「もう駄目ええええ!!!」



「助けに来たぜ!」



138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 18:11:11.01 ID:EKh9Bvo80
    



(‡`Д´)Ψ「ひやっは――!」

(メ-_†)「あ、どうも失礼します」


( ;^ω^)「お前はいつぞやの悪魔! 隣の奴は誰だお?」


(‡`Д´)Ψ「新入りだよ。遙々、遠い未来からやってきたんだ。感謝しろよ」

(メ-_†)「悪魔って時間移動出来るんだね。凄いなあ」

( ;^ω^)「よくわからんが、手が離せないんだ! 後にしてくれ!」

ζ(゚ー゚*ζ「いやああ生まれるううう――――!!!!!」



140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 18:14:41.52 ID:EKh9Bvo80
  
(‡`Д´)Ψ「よおし新入り! 悪魔の力を使って微妙な嫌がらせをするぞ!」

(メ-_†)「フハハハ! どうだ産気づいている横で盆踊りを踊られる気分はああ!?」

( ;^ω^)「うぜええ――――!!! どっか消えろ!!!」


ζ(゚ー゚*ζ「あ、生まれた」


(メ-_†)「え?」


ζ(゚ー゚*ζ「なんか踊りに気を取られてたら楽に産めた」

( *^ω^)「やったお! でかしたお!」


(‡`Д´)Ψ「こらあ新入り! 出産手伝ってどうすんだよ!」

(メ-_†)「あんたがやれって言ったんだろうが死ね!」

(‡`Д´)Ψ「死ねって言った奴が死ね!」

(メ-_†)「お前も言ったぞ死ね!」



145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/02(日) 18:23:38.70 ID:EKh9Bvo80
   
ζ(゚ー゚*ζ「まあ何はともあれ、無事に産めて良かったねえじいさん」

( *^ω^)「おっおっ」

(‡`Д´)Ψ「あーあ……お前給料抜きな」

(メ-_†)「うるせえ」


自分が天使になるのではなく、彼を悪魔にすることで二人の関係は続いていきました。
よくよく考えれば、これが二人にとって、最良の選択だったのかもしれません。


(‡`Д´)Ψ「次はもっと先の時代にいってみようぜ。車が空飛んでる時代」

(メ-_†)「へー面白そうだね」

(‡`Д´)Ψ「次ヘマしたらクビだぞクビ」

(メ-_†)「僕のセリフだクソ悪魔」


二人の関係がずっとずっと続きますように。


/ ,' 3「うふ」      
              完



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