( ^ω^)達の世界は狭いようです

1: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/08(土) 23:49:30.02 ID:fDbKICObO
僕達の世界は

広い

広いようで狭い

喜びの隣に悲しみがあり

死の隣に生がある


僕達が良い方に進むのか

悪い方に進むのか

案外 他人が決める事かも



いつかすべてが繋がる



( ^ω^)達の世界は狭いようです



2: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/08(土) 23:51:48.64 ID:fDbKICObO
( ^ω^)編

( ^ω^)「ぽかぽか陽気だおー」

春にしては少し暑い

そういえば昨日、例年より暑くなるとお天気お姉さんがニュースで言っていた


僕は入院している友達と会うため、電車に乗っている

( ^ω^)「前より元気になってるといいお」

バイクに引き逃げされ、大怪我

残念ながら 犯人はまだ捕まっていない



4: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/08(土) 23:54:28.73 ID:fDbKICObO
最近忙しく、病院が遠いせいもあり なかなか見舞いに行けないでいた

( ^ω^)「あのクソ上司のせいだお」

本当はふたつ前の電車に乗ろうとしていたが、久々の休みについ寝過ごしてしまった

( ^ω^)「まあいいおwwwww二度寝最高だおwwwww」

ニヤニヤしているとふいに右前に座っていた子どもと目が合う

()「…」

(;^ω^)「お…?」

子どもにじーっと見つめられた

()「こら、やめなさい」

子どもが親にたしなめられる



7: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/08(土) 23:58:12.48 ID:fDbKICObO
すると、子どもが何か母親に耳打ちし始めた

(;^ω^)「なんなんだお」

僕は気まずくなり、振り返って 外を見た

ちょうど踏切にさしかかる所だった

お腹の大きな女の人と バイクに乗った男の人が立っているのが見える

( ^ω^)「なんか幸せだお 元気で生まれてくればいいお」

幸せか…最近感じる暇もなかった

仕事はあまりうまくいかないことが多い

上司に怒られる日々

今日も本当は仕事だったのだが、昨日無理を言って休ませてもらった



8: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:01:30.11 ID:2Ec77SZMO
()「明日はダメだ!」

(#^ω^)「なんでですかお!ずっと、働きっぱなしだお!一日くらい休ませてくださいお!!」

少し言い争ったが、結局上司が折れた

あいつ、おとといも早く帰ったくせに

( ^ω^)「今日がいつまでも続けばいいお」

やっぱりのんびりが一番

入院している友達は、忙しい僕を羨ましがるけど

( ^ω^)「一日中寝てる方が楽でいいお」

さっきの子どもが聞き慣れた言葉を口にした


( ^ω^)(流行ってるのかお?)

僕はにっこりと微笑む


外は 綺麗な夕焼け

病院にはまだ着きそうにない



9: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:04:02.16 ID:2Ec77SZMO
(*゚ー゚)編


(*゚ー゚)「…」

また飛び込めなかった

これで2本目の電車を見送ったことになる

(*゚ー゚)「ほんとにママは勇気がないねー」

大きくなったお腹に話し掛ける


でも、このなかの小さな命はもう動いていない

(*゚ー゚)「ママはダメね」

小さな子どもはもう生きていない

先生に無理を言って半日だけ手術を延ばしてもらった



10: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:06:58.04 ID:2Ec77SZMO
(*゚ー゚)「ママはこれからも一緒にいるからね」

昨日から何もかもがくだらなく見える

夫は仕事の事ばっかり

(*゚ー゚)「部下が休むから、自分は仕事に行かなきゃならない?バッカじゃないの」

初めて涙が出た

(*;ー;)「昨日だって途中で来たくせに」

ここにあの人がいたら、怒られたかな?

(*;ー;)「私だって怖いのよ…全然大丈夫じゃない」
いつも大丈夫といって話もろくに聞いてくれなかったもんね

三本目の電車がやって来た

赤ちゃん

行きましょうか

(*;ー;)「さよなら、あなた」



11: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:09:48.33 ID:2Ec77SZMO
()

不意に腕を掴まれる

(*;ー;)「なによ!離しなさいよ!」

さっきより大量の涙がでて来る

()「ちょっ……」

(*;ー;)「うわあああああああああああん」


(*;ー;)「ごめん…ごめん…」

きっと、死ねないのが悲しかったんじゃなくて

誰かに止められたかったから

安心したのかも

あの人は私が死んだら悲しんでくれるのかな?

私が生きていて嬉しいのかな?

赤ちゃん

私はこれでいいのかな?



13: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:15:00.20 ID:2Ec77SZMO
(,,゚Д゚)編


(,,゚Д゚)「…」

俺は今までなにをしていた?

(,,Д)「ゴルァ」

こうなったのは誰のせいだ?

(,,Д)「ゴルァ」

出来の悪い部下か?

(,,Д)「違う」

融通の効かない上司か?

(,,Д)「違う」

(,,Д)「全部俺のせいだゴルァ」

俺は目の前の妻を見て自分への怒りが止まらなかった



15: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:17:38.28 ID:2Ec77SZMO
(,,;Д;)「すまなかった」

涙なんていつぶりに流した?

(,,;Д;)「すまなかった」

謝ることしか出来ない

会社だったら謝ることなど絶対にしないのに



休ませてほしいと言う部下

(,,゚Д゚)「明日はダメだゴルァ!」

また怒る自分

いつでもこの出来の悪い部下を叱ってきた

(,,゚Д゚)「早く終わらせろゴルァ!」

自分の間違いすら認めずに

(,,゚Д゚)「お前が悪いんだゴルァ!」

何の理由も言わずに



16: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:19:31.57 ID:2Ec77SZMO
部下に追い越されるという心配がいつも絶えない

俺はそれを怒鳴り声で制圧した

(,,゚Д゚)「誰が俺を叱ってくれるんだゴルァ」

人を信じない俺が休む理由を言えるか?

追い越されるのが不安な俺が、やつの休みを断れるか?

(,,゚Д゚)「俺は逃げていたんだ」

そして、子どもが出来てからいっそうひどくなった

妻と生まれてくる子のために負けるわけには行かないと

子どもの事は妻に任せきりになった

(,,゚Д゚)「自分のためだ…全部」



18: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:22:18.21 ID:2Ec77SZMO
()「不安なのよ 一緒に来て」

(,,゚Д゚)「大丈夫だから 頑張ってくれ」

大丈夫…

自分に言い聞かせていたのかもしれない



妻を助けてくれた青年は
何故か一言「すいません」と言って去って行ったらしい

看護師から聞いた

(,,゚Д゚)「俺も謝ってやり直そう 妻にもアイツにも」


病室を包む夕焼けは、ひどく眩しかった



19: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:24:57.44 ID:2Ec77SZMO
( ゚∀゚)編


( ゚∀゚)「今日の獲物ちゃんは〜♪」

俺はちょっとやんちゃな青年

自慢のピンクのバイク(おっぱい号)が相棒


やんちゃだけあって少しボロボロ


こないだも何かにぶつかり、修理したばかりだ


とりあえず 昼間っから万引き、カツアゲなどなどなど

ろくなことなどしていない

( ゚∀゚)「される奴が悪いんだよ」

そんな感じの毎日



20: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:27:41.71 ID:2Ec77SZMO
( ゚∀゚)「お?妊娠中のおっぱい はけーん」

ちょうど口の開いた鞄を持っている

( ゚∀゚)「電車が来れば、音も消されるし気付かれないだろ」

身重なら追って来れないし

( ゚∀゚)「俺 天才」

少し様子がおかしい

下を向いてなにか話しているようだった

( ゚∀゚)「なんだ?まあいっか」



22: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:30:57.32 ID:2Ec77SZMO
おっぱい号のエンジンを止め近づいていく

( ゚∀゚)「静かに シッー」

鞄に手を伸ばそうとしたとき

線路に入っていこうとする女性

(;゚∀゚)「おいおいおいおい」

咄嗟に手をつかんでしまった

泣きじゃくり、謝る女性

(;゚∀゚)「ちょっ…」

どうやらバレたわけではないらしい

( ゚∀゚)「とりあえず 落ち着け、な?」



23: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:33:16.35 ID:2Ec77SZMO
泣きながら話す内容を聞くと

どうやらお腹の子は生きていないらしい

そして

夫の愚痴

自分の不甲斐なさ

俺はただ黙って聞くことしかできなかった

( ゚∀゚)「病院行こうぜ ほら乗れよ」

初めての二人乗りに おっぱい号も軽快なのは

相手が女性だけというばかりではなさそうだ

看護師に

( ゚∀゚)「すみません、ありがとうとだけ伝えてください」

といい、病院を去る

ある場所に向かうために

すこし怖かったが、

夕日が和らげてくれそうだ



25: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:36:30.31 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)&('A`)編


(´・ω・`)「ブーンのやつ遅いなー」

('A`)「痴漢で捕まってたりしてな」

(´・ω・`)「ありえるかもwww」

('A`)「俺、ジュース買ってくるわ 何がいい?」

(´・ω・`)「僕はいらない」

('A`)「そうか じゃ行ってくる」

ドクオが病室を出ていく

また彼が来る前の静寂が辺りを包む



26: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:37:47.18 ID:2Ec77SZMO
事故に遇ってからというもの、何もやる気がおきない

今まで仕事詰めだったのが

急に肩の力が抜けた

暇な時間が許せなかった

(´・ω・`)「僕はここにいてもいいのか」

見つからない犯人を憎んでも

救われない

先が見えない


仕事仲間が見舞いに来てくれたが

それがかえって僕をネガティブにさせた

(´・ω・`)「どうせ僕がいなくたって世界は廻る」



27: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:39:31.05 ID:2Ec77SZMO
そして今日、

( ∵)「あなたの左足と右手はもう動かないでしょう」

と言われた

覚悟しておけとは言われたが、現実になるとは思っていなかった

変な所で余裕をかましていた自分に すこしだけ笑った

(´・ω・`)「ブーンがうらやましくてしかたないよ」

まだ来ていない友をうらやむ

(´・ω・`)「君達は僕がどれだけ悩んでいるか、知らないんだ」


友達すらもけなしてしまう

自分がひどく嫌いだ



30: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:42:28.36 ID:2Ec77SZMO
体が動かなきゃ、僕の価値は

ゼロだ

屋上に来るのだって、驚く程時間がかかった

嫌になるくらいに

(´・ω・`)「さよなら」


(´・ω・`)「このありがとうはサービスだから」


いつも言っていた冗談に乗せて最後の言葉を


落ちていく僕の目に写ったのは


真っ赤な夕焼けだった



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/09(日) 00:47:14.20 ID:2Ec77SZMO
('A`)「ただいまん●」

('A`)「ん?」

ショボンがいない

('A`)「…」



枕の上には手紙



34: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:48:33.55 ID:2Ec77SZMO
【やあ(´・ω・`)ようこそ、バーボンハウスへ

このありがとうはサービスだから、まず落ち着いて読んでほしい。

うん、「さよなら」なんだ。済まない

仏の顔もって言うしね、謝ってゆるしてもら……】

(;A;)「ばかやろう」

俺は走る

きっと前に三人でいった場所だ

(;A;)「まだブーンに会ってないだろ」

俺は涙を拭うこともせず

ただ走る

屋上に出たときに見えたのは


やけに綺麗な夕日だけだった



36: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:52:24.95 ID:2Ec77SZMO
( ・∀・)編


( ・∀・)「…」

ニヤニヤしてる兄ちゃん へんなの

ξ゚听)ξ「こらやめなさい」

お母さんに怒られた

だって…

コソコソと耳打ちをする

( ・∀・)「お母さん、あの兄ちゃんの後ろに男の人がいるよ?」

ξ゚听)ξ「また変な事言って…そんな人いるわけないでしょ」

本当にいるのに

見ないようにしても見えちゃうんだよな…



39: ◆BlFGqLFeMs :2008/03/09(日) 00:54:26.72 ID:2Ec77SZMO
今度は なんか喋ってる

( ・∀・)「この」

( ・∀・)「あり」

( ・∀・)「が」

( ・∀・)「とうは」

( ・∀・)「サービス」

( ・∀・)「だ」

その後は良く分からなかった

けど、兄ちゃんが驚いた顔をした

僕はすこし嬉しかった

認められた気がして


真っ赤な夕日も僕を照らしてくれている



戻るあとがき