(´・ω・`)人間の作り方のようです

1: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:17:25.73 ID:2Ec77SZMO
むかしむかし


桃太郎よりもずーっとむかし


ちょうど地球が誕生したばかりの頃のお話です





(´・ω・`)人間の作り方のようです



3: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:19:10.99 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「今日も天気が良い」


彼の名はショボン

地球を作った、この空間で唯一の生物


今で言う神様という存在です

(´・ω・`)「せっかくここを作ったのに、ひとりでいるのはもったいないな」

広い広い空間でただひとりだけ

(´・ω・`)「毎日毎日退屈だよ」



4: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:23:45.58 ID:2Ec77SZMO
そこで彼は自分と同じ形をした

遊び相手を作ろうと考えました


(´・ω・`)「僕と同じ形なら きっとお互いのことが分かるだろうし」

彼は感情という物を知りませんでした


(´・ω・`)「そのほうが楽でいいや」


とにかく、退屈な毎日を変えたかったのです



5: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:27:57.30 ID:2Ec77SZMO
しかし、体を作ることは自分と同じ用に出来たのですが

それだけではただの置物と同じです


(´・ω・`)「言葉を話しても何かが足りないんだよね…」


ショボンは良いことを思いつきました



8: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:31:49.73 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「そうか!今まで僕が感じていたものを こいつに備え付けよう」

そう、それは『寂しさ』というものでした

『寂しさ』を備えた人間はしぃと名付けられました

(´・ω・`)「ぼくと一緒にいてね」

(*゚ー゚)「あたりまえでしょ 私もあなたと一緒じゃなきゃ嫌」

ふたりは毎日一緒にいます

まるで寂しさを分け合うかのように



9: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:34:12.40 ID:2Ec77SZMO
(*゚ー゚)「ショボン」

(´・ω・`)「しい」

二人は毎日名前を呼びあって

おしゃべりしたり

散歩したり

幸せな生活を送ります


誰かに名前を呼ばれるのも

誰かの名前を呼ぶのも 初めてのショボンにとっては

すべてが新鮮ですばらしいことに思えました



10: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:36:20.56 ID:2Ec77SZMO
しぃが出来たときから彼の中から『寂しさ』は消えました

(*゚ー゚)「今日はなにをするの?」

(´・ω・`)「今日は宇宙会議で出掛けななくちゃならないんだ」

(*゚ー゚)「どうして私をひとりにするの?」

ただ、そのまま平凡に時が過ぎていくはずもありません


(´・ω・`)「少しの時間だから我慢してよ」

(*;ー;)「ひどい!ショボンの嘘つき!一緒にいるって言ったじゃない」

(;´・ω・`)「しぃ…」

怒りたくても、

(*;ー;)「私寂しいのよ」

と言われると怒ることさえできません



12: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:40:53.78 ID:2Ec77SZMO
(*゚ー゚)「今日も一緒だよね?」

また始まった…ショボンはもううんざりです

(´・ω・`)「しょうがないだろ!火星に行かなきゃならないんだよ!!」

ついに怒鳴ってしまいました

(*;ー;)「寂しい寂しい寂しい寂しい寂しいサビシイサビシイサビシイサビシイ…」

人間には、これだけでは足りないの?

他にも何か必要なの?

ショボンは考えました

(´・ω・`)「そうか、今の僕と同じ人間をつくればいいんだ」

ショボンは新たな人間をつくることにしました



13: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:43:39.88 ID:2Ec77SZMO
そう、それは『怒り』を備えた人間です

(´・ω・`)「ギコと名付けよう」

ショボンはギコを作り、毎日怒りをぶつけあいます

(,,゚Д゚)「それはしぃってやつが悪いんだゴルァ」

(´・ω・`)「でしょでしょwwwwまだ腹立ってるし」

毎日毎日愚痴を言い合います

それはすがすがしく、爽快なものでした



14: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:47:59.61 ID:2Ec77SZMO
楽しく怒っているうちは良かったのです

(,,゚Д゚)「しぃってやつは完全に消したんだろうな?」

(´・ω・`)「い…いや、そこまでは」

今思うと、僕も悪かったのかな

とショボンは思い始めていました

しかし、ギコが怒りを止めることはありません


(,,゚Д゚)「だからオメーは生ぬるいんだゴルァ」

(´・ω・`)「なにもそこまで言わなくたって!!」


怒りを怒りで返す

ショボンはだんだんそれができなくなってきました



16: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:51:44.50 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「…僕は酷いな」

怒りを通り越し、ショボンは悲しくなってきました

(´;ω;`)「どうしてこんなことになったんだろう」

しぃの事も ギコの事も始めは二人とも大好きでした

(´;ω;`)「君たちは僕と同じじゃないの?」

ショボンはあることに気がつきます

(うω;`)「これは何?」


涙を流していたことに気付かなかったのです

ショボンは初めて涙というものに触れました



20: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 22:55:24.57 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「そうか、つぎはこれを与えよう」

そうです、『悲しみ』です

(´・ω・`)「君の名前はクーだよ」

川 ゚ -゚)「ショボン、よろしく」

クーはいつもショボンの悲しみを自分のことのように悲しみます

(´;ω;`)「僕が今までしてきたのはいけなかったのかな?」

川 ; -;)「ショボン辛かったんだな」

時には涙を流して


そして彼女は ショボンの悲しみだけではなく

ちょっとしたことにでも心を痛めます



22: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:00:30.09 ID:2Ec77SZMO
川 ゚ -゚)「今日は雨か…外に出れないな」

(´・ω・`)「クーのせいじゃないよ」

ショボンは毎日 言葉をかけてあげます

クーを傷つけないように


そんなある日

川 ゚ -゚)「花が枯れてしまっている…私はどうしたらいいんだ?」

(´・ω・`)「しょうがないことなんだ いつか花は枯れてしまう」

川 ゚ -゚)「そうか、悲しいな」

いつものように

クーが悲しみ

僕が慰めるといった

たわいもない会話



24: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:04:07.31 ID:2Ec77SZMO
でしたが、ひとつだけ違う事が起こりました

(´・ω・`)「花は枯れてなくなってしまうけど、この花はまたいつか花を咲かせるんだよ」

(´・ω・`)「終わりじゃないんだ」

そのショボンの一言にクーが

川 ゚ー゚)「そうか、それは良かった」

といって笑ったのです


(´・ω・`)「え…」

ショボンにとって予想外のことです

悲しんでいた人を自分が笑わせた

心のなかが今までに感じたことがないくらい

温かくなっていきました



25: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:05:55.48 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「もしかしたら、今の僕が一番人間に必要なものかもしれないな」

ショボンは

(´・ω・`)「よし!また新しい人間を作るぞ」

確信を得たように意気込みます



27: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:08:15.66 ID:2Ec77SZMO
『優しさ』を与えられた人間の名前

(´・ω・`)「ドクオにしよう」

('A`)「やあ、ショボン」

ドクオとの毎日は『優しさ』で溢れています

(´・ω・`)「ごめん…今日用事があって」

('A`)「別にいいよ気にしてないから」

喧嘩することもなく、お互いを気遣いながら過ぎていきます


(´・ω・`)「今日、木星でさーwwwwww」

('A`)「うけるなwwwwそれwwww」


くだらないことでも笑いあえ、とても楽しい時間です


(´・ω・`)「やっぱりこれだ」

ショボンは確信しました

人間は『優しさ』さえあればいいと



30: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:10:03.43 ID:2Ec77SZMO
しかし、そのうちに

ショボンの考えが間違っていると分かる日が来てしまいます

('A`)「ショボン、話しがあるんだ」

いつもと違うドクオの雰囲気

ショボンは戸惑います

(´・ω・`)「な…なに?」

('A`)「…んーと」

でも、なかなか話そうとしません

(´・ω・`)「いいから話してみてよ 僕は大丈夫だから」

ショボンは精一杯の『優しさ』でドクオに言います

('A`)「お…おう」

ドクオは意を決したように話し始めました



34: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:12:41.16 ID:2Ec77SZMO
('A`)「俺さ、なんていうか」

(´・ω・`)「うん」

('A`)「自分の言ってる事が嘘なんだよ」

(´・ω・`)「え…?」

('A`)「嘘じゃないけど嘘なんだよ したくないのにしちゃうんだよ 何でかな…」

ドクオは優し過ぎて自分を表に出せないのです

(´・ω・`)「ドクオ…」

(;A;)「ショボンは優しくしてくれてるのに 俺何を言ってるんだろうな」

これも彼の優しさのせいです

優し過ぎるあまりに自分を責めてしまいます

(´;ω;`)「ドクオ、いいんだよ もう、いいんだ 泣かないで」

(;A;)「すまん…すまん…俺のせいで」

ショボンは深く後悔しました

『優しさ』だけでは自分を傷つけてしまうのかと



41: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:17:08.97 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「僕はどうすればいいんだ」

ショボンはわけが分からなくなってしまっています

ただ、楽しかった日々だけは忘れられません

(´・ω・`)「もう一度だけチャンスを」

誰にともなくつぶやきます


あの楽しかった日々をもう一度だけ



46: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:19:33.63 ID:2Ec77SZMO
最後と言い聞かせて作った人間には『笑い』を与えました

(´・ω・`)「僕にあの時の楽しさを」

ショボンの願いです

(´・ω・`)「ブーンと呼ぶね」

( ^ω^)「いいなまえだおー」

ブーンと名付けられた人間は

いつも笑顔で明るい人間でした

( ^ω^)「今日 生ガンダム見たおwwww」

(´・ω・`)「嘘つくなwwwwwぶち殺すぞ」

( ^ω^)「サーセンwwww」


彼はショボンの望んだとおりの楽しい日々を取り戻してくれました

ブーンも自分の意見は言うし、ショボンも言いたいことを言います

どんな時でも笑いは絶えません



52: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:21:58.09 ID:2Ec77SZMO
楽しい日々にも影がさしてきます

(´・ω・`)「今日の会議でヘマしちゃってさー…」

( ^ω^)「そうかおそうかおwwwwそんなこともあるおwwww」

(´・ω・`)(…話しを聞いてほしいんだけど)


笑うことだけでは解決しないことはたくさんあります


(´・ω・`)「悩んでることがあるんだけど」

( ^ω^)「そのうちなんとかなるおwww笑ってれば忘れるおwww」

(´・ω・`)(…そんなに簡単な問題じゃないんだけど)



57: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:24:47.03 ID:2Ec77SZMO
笑うことは時に軽くあしらっているようにしか見えません

(´・ω・`)「またか…」

ショボンはまた同じ事をしてしまったことに気付きました

どんなに笑って会話をしていても


どこかひとりで

たったひとりでいるようにしか思えません



60: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:27:50.79 ID:2Ec77SZMO
ショボンは悩みました

(´・ω・`)「僕は僕と同じようなものが欲しかったんじゃないのかな」

その場面によって自分が違う感情を持っていたことにまだ気付いていないようです

(´・ω・`)「僕は結局ひとりになってしまった」


ショボンはまた元のように広い空間にひとり

ひとりぼっち



これからも……?



63: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:32:05.57 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「あれ?前にも同じ事を思ったような…」


ショボンは思い出したようです

彼が今感じているのは『寂しさ』でした


(´・ω・`)「僕はひとりで皆は五人」


大事な事が分かったようです


(´・ω・`)「たくさんの感情でひとりになるのか」


(´・ω・`)「しぃ、ギコ、クー、ドクオ、ブーン」


(´・ω・`)「ありがとう」



67: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:33:24.86 ID:2Ec77SZMO
(´・ω・`)「僕はやっと分かったよ」


感情がひとつだけでは


人間は成り立ちません


完璧ではないのです



ショボンはようやくこの事を理解しました



70: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:35:09.56 ID:2Ec77SZMO
それからショボンは五人に



五つずつ感情を与えました







(´・ω・`)「皆おかえり」

ショボンはそっとつぶやきます



79: ◆STUmHtKdfU :2008/03/09(日) 23:39:26.30 ID:2Ec77SZMO
五つの感情を備えた人間達は

自分達でたくさんの感情を身につけていきました

ただ、最初に与えられた感情が少し強くでてしまいましたが…


その後、たくさんの人間が誕生しました



ただ、そこにショボンの姿はありません

彼は人間達を作った親として

見守る事を決意したのです


(´・ω・`)「間違いは消えないけど、新たな感情が生まれることで新たな決意ができるからね」



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