( ・∀・)は選ばれるようです

903: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/12(水) 18:40:50.32 ID:5RgNb1QE0
響く銃声。

飛び散る血。

その音がかすかに聞えただけだった。


しかし、俺は生きている。

( ・∀・)「うわああああああ!!!!」

俺は自分でもよくわからない奇声を上げながら体が自然と起きる。
俺は撃たれた。だがこうして意識がある。何故だろう。
その問題はすぐに解決した。

从 ゚∀从「おう。起きたか」

この女が何か知っている。そう考えるのが妥当だろう。
俺は適当にその声に相槌を打つと続けざまにこの女はしゃべりだした。

从 ゚∀从「じゃ、説明しよう。
      これから君にはあるところへ行ってもらう。
      君が意識を求めるならね」

一瞬では理解できなかった。常識的に考えて。
だが今の状態では受け入れざるを得ないだろう。



904: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/12(水) 18:44:42.75 ID:5RgNb1QE0
( ・∀・)「どういう意味だ…?」

俺は頭をさすりながらさっきより注意深く辺りを見回す。
ここは暗闇の中。辺りを見回しても暗闇しかないのだが。
そして再度正面に向きなおすと、
女の手にはヤギが簡単に食べれそうな小さなメモが握られていた。

从 ゚∀从「さあ?これをみるといい」

渡されたのはさっきの小さなメモ。
流し読める程度の文だが、そのメモの内容は衝撃的だった。

( ・∀・)「これを…?」

从 ゚∀从「あ〜そうだ。どうかね?」

俺の言葉に間髪要れずに言う辺り、どうやら面倒臭そうだ。
俺はメモを握り、詳しく説明してもらおうとする。

( ・∀・)「これはつまり」

从 ゚∀从「あ〜面倒だな。つまりお前は選ばれたの。
      無作為だけど。やるなら責任もってやってくれよ」



906: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/12(水) 18:52:08.77 ID:5RgNb1QE0
とのことだ。
無作為ってこんなことされても困るんだが。
女は言い終わると同時に身を翻し、後ろの暗闇に歩いていった。

( ・∀・)「ちょっと!」

その背中を俺は止めようとしたが、その背中からは声だけが返ってきた。

从 ゚∀从「お前ならできる。やるって顔に書いてあるぞ」

突如、女が進む方向に強い光が射す。
そして女はその光に進み、逆光の中に消えていく。

俺はただ呆然と座っているだけのはずだった。
つまり、俺は女が消えるとともに暗闇から暗闇へと包まれる。

そして俺は着いたようだ。

( ・∀・)「そうか…ここか…」



907: ◆JhoOOEkz6w :2008/03/12(水) 18:59:20.19 ID:5RgNb1QE0
見える建物の山。光、輝くネオン。
だが決定的に足りないものがある。

人がいない。

閑古鳥が鳴くとも言わず、その鳥までいないだろう。
さて、俺がやることはというと、

もう一人の自分を見つけ出せ。

らしい。
これが出来た場合の結果はまだ口に出さないことにした。

( ・∀・)「どうするか…」

俺はかなり広い、だれもいない交差点から引き寄せられるように適当な建物の中に入っていく。
光が全開なそこは、侘しさに劣らない異様な雰囲気が漂っていた。
あちらこちらにある服、どうやらここはブランドの洋服店のようだ。

少し歩くと大きな鏡。俺はその異変に気づいた。
鏡を覗いている俺の姿が見えない。
その異変もこの状況じゃ理解できなくもないが…。



910: ◆JhoOOEkz6w :2008/03/12(水) 19:05:05.07 ID:5RgNb1QE0
俺はふと、店内の端を見る。その理由は気配がしたから。
…想像より早くお目当てのものは見つかった。

(・∀ ・)「やあ」

友好的に話しかける それ 。

( ・∀・)「君か?」

もちろん話さない理由などないので話し出した。
俺は様々な思考をめぐらせ、話についていけるように返答を用意した。
だが、帰ってきたのは予想外の言葉だった。

(・∀ ・)「話している暇などないんじゃないか?
      …と、言いたいところだけど、長々話させてもらう。
      まず僕の正体。それは君自身の心さ」

とりあえず俺は黙って頷く。
様々な反論があったが、それは後に回すことにした。

(・∀ ・)「物分りが良くて話しやすいよ。もっとも僕は君なんだけどね。
      話を戻すけど、僕は君の心が生み出した感情という生命さ。
      君が怒ればそれは僕が怒っているのと一緒。一心同体ってやつさ。
      もっとも哲学的にわかりづらいと思うけど」



913: ◆JhoOOEkz6w :2008/03/12(水) 19:14:05.67 ID:5RgNb1QE0
俺を名乗った男は反論の余地を残さず、続けざまに話した。

(・∀ ・)「もちろんここら辺は理解できなくていいよ。
      本題に入るとしようか」

やっと一息を入れたようで、俺も話し出すことができた。

( ・∀・)「本題はわかりやすく頼むよ」

もっとも、その本題は俺も知っているが。
とりあえず話を聞くことにする。

(・∀ ・)「わかっているよ。
      君が銃で撃たれたときは僕も怖かったよ。そりゃね。
      しかしどこからか勇気が沸いて来た。それには感服する。
      だけどさ、死んでまで守った他人に会わなくてもいいと思うんだ」

( ・∀・)「文字通りの一心同体は敗れたかあ。
      俺は会いたいさ、会って俺の分まで生きてほしいといいたいね」

さらに俺と俺の会話は続く。

(・∀ ・)「それがエゴでも?」

「エゴでも、だ」その言葉が俺の口から発しられたのと同時に、
その男はやれやれよろしく両手を上げた。



914: ◆JhoOOEkz6w :2008/03/12(水) 19:23:02.17 ID:5RgNb1QE0
(・∀ ・)「まったくだね。本当に。
      わざわざ土下座してまで会ったのに」

( ・∀・)「あ〜土下座までしてくれたんだ。ありがとう。
      だけどこれだけは貫きたいんだ。ごめんね」

すると男は長々とまた説明し始めた。

(・∀ ・)「鏡、そこに映っているはずの自分の姿がないのは、
      はっきりいって僕のせいだよ。
      感情が半分半分になっちゃったからね。
      ま、それもじきに終わりさ」

( ・∀・)「悪かった」

すると男は鼻で笑う。

(・∀ ・)「まあまあ。とにかく一分だけらしいから。
      僕も見守っているし、早く済ませるんだよ。
      もちろん。その後のことは何があるか保障しないけど」

何があるのかこいつも知らないはずだ。
だって俺なんだから。

( ・∀・)「わかった。ありがとう」

俺のその言葉と同時に消えていく『俺』
そして俺は歩き、先ほどの鏡の前に戻る。

そこには俺と同じ服、顔をした男が立っていた。



918: ◆JhoOOEkz6w :2008/03/12(水) 19:31:28.45 ID:5RgNb1QE0
――あ、
その言葉を発したのは小さな子供だった。

( ^ω^)「あれ〜?おじちゃん、僕を守ってくれた人だおね?」

見るからに汚濁のない純粋無垢な少年。
その少年を前に俺は屈み、話しかける。

( ・∀・)「ああ。そうだよ。元気そうで何よりだ」

そして俺はその少年の頭をがさつに撫でる。
その少年のうれしそうな顔。これは俺にとって死んでも忘れられないだろう。

( ^ω^)「あの時はありがとうだお!」


( ・∀・)「どういたしまして」

( ^ω^)「おつかい頼まれたからいってくるお!
      じゃあね!おじちゃん!」

少年は手を振り、走り出す。
俺はその背中に向かって声を掛ける。

( ・∀・)「じゃあな!俺の分まで生きろよー!」

走りながら振り向き、にっこり笑う少年は誰かに面影があった。



921: ◆JhoOOEkz6w :2008/03/12(水) 19:42:55.61 ID:5RgNb1QE0
気がつくと俺は暗闇に居た。
そこには先刻の女。三十分足らずの時間のはずなのに久しぶりに感じられた。

从 ゚∀从「さて、これで用足りたかな?」

( ・∀・)「ああ」

そしてその女に問いかける。

( ・∀・)「これは何のために?」

もちろん即答された。

从 ゚∀从「聞かないでくれよ。神様の気まぐれとでも思っとけば」

( ・∀・)「俺は神様を改めて崇拝したいと思ったよ」

すると女は高笑いの如く、笑い出した。

从 ゚∀从「はっははwwちげえねえ。
      …っと。それじゃあ、また次の世界で会おう」

徐々に遠ざかる女。
俺が立っている地面が動いているようだ。
だか今回は引き止めない。
だって。守れた小さな命の笑顔が見れたから。

                                      end



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