( ゚W゚)ブーンは悪魔憑きとなったようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:16:03.11 ID:WXn7MLxz0
  
プロローグ

目覚めたのは午前5時。
ブーンは暗いアパートのベッドから、気怠げに身を起こした。
窓のない部屋は時計の薄青い明かりに照らされるのみで、目を開けても暗闇は変わらない。
もっとも、窓があったとしても、この部屋が太陽光の恩恵を受けることはありえないのだが。

( ´ω`)「……」

中方都市最下層。
人の目を逃れるようにここに移り住んで、すでに一ヶ月。
初めこそ上層とは違う生活に戸惑いを覚えたものの、最近ではもう慣れたものだ。
吐瀉物と排泄物と香水と腐臭と、その他雑多な臭気に彩られた最下層。
今のブーンには、このような場所が相応しいとさえ思えた。

( ´ω`)「足が……痛いお……」

誰にともなく呟き、足をさする。
両足の膝から下に、いつもの鈍痛。
触っても異常は見られないし、一見健康的な普通の足だ。
だが、ブーンは自分の身に何が起こったのかを知っている。
だからこそ、彼はこんなところに住んでいる。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:16:42.15 ID:WXn7MLxz0
  
電気をつける代わりにテレビをつける。
映った内容は上層のリゾート紹介、片隅に今日の死亡者数と今月の合算。
痛みを訴える両足を動かして、洗面所へ向かう。
正座を続けた直後のような痺れを覚えるが、毎朝のことなのでもう慣れた。
じきに痛みも引いて、普通に動けるようになることもわかっている。
もっとも、痛みが引いても、根本的な原因はそのままなのだが。

( ´ω`)「ふぅ……」

ため息をつきながら洗面所で歯を磨き、洗面。
朝食を取るほど気分は晴れてない、胃も受け付けない。
口に含んだ水は浄化が不十分なのか、若干異臭が残っている。
我慢して口をゆすいだ。

――ズ キン

( ゚ω゚)「――――がッッッ!!」

不意に、足の鈍痛が鮮烈な痛みに変化する。
口内の水を吹き出し、ブーンは固いコンクリ製の床をのたうちまわった。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:18:23.20 ID:WXn7MLxz0
  
( ゚ω゚)「ふぅぎぎぎぎぎ!!」

イタイ、イタイ、イタイ、イタイ
焼けた五寸釘をぶち込まれるような痛みを連続して感じながら、それでも。
ブーンは――笑っていた。

( ゚ω゚)「ぐ、ぐっ……ははっ、はははははははははっ!!」

ブーンが待ち望んでいたモノが近くに来た。
この痛みはその証明。

待っていた。ずっと待っていた。
この機会を、この状況を。
理解せず、本能で待ち望んでいた。

一言最後に呟いて、ブーンは意識を暗闇に手放した。
その声は小さいながらも、力強く暗い。

――復讐だ。



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