( ゚W゚)ブーンは悪魔憑きとなったようです

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:35:06.75 ID:WXn7MLxz0
  
その2 「心臓えぐり(ハートスナッチャー)」

心臓えぐりは、ここ最近、主に下層付近を中心に起きている犯罪である。
被害者は主に女性で、襲われた人間が全て心臓をえぐられて死亡。
事件の発生する場所柄、被害者の多くが風俗関係者だった。

傷口の周囲には唾液が検出されたことから、犯人はカニバリズムであると予想されている。
このことから、合法非合法関わらずに人体の一部を食品として提供する組織が洗われたが、結果は白。
非合法組織を5つほど検挙できただけで、事件は尚も継続中。
唾液のDNA鑑定は行われているが、下層市民が正式な市民IDを持っていることは少ない。
判定結果はもちろんアンノウンで登録無し。

被害者の中には、捜査に当たった都市警の警官も含まれる。
見つかった遺体の中には発砲した痕跡も見られたが、周囲に犯人の血痕等は無し。
弾丸はそのほとんどが地面や壁に打ち込まれていた。

完全に正体を秘匿して、主に夜間に活動する殺人鬼。
犯人は単独犯である可能性が強いということがわかっただけで、捜査は完全に手詰まりだ。
昨夜に新たな犠牲者が発見され、これで被害者は総数20を越えた。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:37:50.78 ID:WXn7MLxz0
  
最下層 メインストリートから遠くはずれた路地裏。

このあたりには、浮浪者のコロニーすら存在しない。
古くなった廃材や構造体からは絶えず有害な腐敗ガスが発生し、巨大ゴキブリの巣がいくつも存在するからだ。
寝ている間に死ぬか、食い荒らされて白骨化するか、死んでから喰われるか。
いずれにしても、人間が長生きできる環境ではない。
そんな中で、一つの人影がせわしなく手を動かしていた。

(−_−)「……」

精気のない顔、かさついた肌。
一見すると浮浪者かと見間違うが、細身の腕は手元の人体を素手で割り広げていた。

――ゴキっ

男が一際大きく腕を動かすと、肋骨が筋肉を引き裂いて大きく開いた。
同時に、被害者がびくりと痙攣する。
顔がこね回されたように破壊され、乳房もちぎり取られていたが、被害者は女性。
しかも生きたまま解体されていた。

(−_−)「よいしょ、っと……」

何気ない動きで、しかし細心の注意を払いながら。
男は未だ動き続ける心臓を取り出すべく、腑分けを行う。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:41:24.24 ID:WXn7MLxz0
  
小さな頃から、男は心臓の形が大好きだった。
心臓。ハート。命のモーター。
人間が生きる上で、最も大切な器官。
とりわけ人間の心臓の形は美しかった。

男は思い出す。
初めて本物の心臓を見たのは、忘れもしない三年前。
病に伏せっていた母親の胸を割り開いた時だった。

母親は男に愛情を注いでくれたが、決して美しいとは言えない女性だった。
だが、その母の愛が詰まった心臓は、それまで見てきた何よりも美しく輝いていた。
力強く鼓動し、命を生み出し、生命を支える心臓。
とくとくと脈打つ母の心臓に衝動的にかぶりついた時、男は幸福の絶頂にあった。

『おふくろの味』を覚えた彼は、それから様々な場所で心臓を食べ歩いた。
合法非合法を問わなければ、心臓を食べさせる店は意外と多く存在した。
気の合うカニバル仲間も生まれ、行きつけの店では特別に生で食べさせてもらえるようにもなった。

しかし、どうも違うのだ。
初めて食べたおふくろの味に優る味はなかったし、皿の上で力なく横たわる心臓は美しくなかった。
どれだけ新鮮な心臓を食べても、何かが違う。ポンプに繋いでの活け作りですら、味は違った。
一度死んだ心臓は、味も完全に死んでいたのだ。
生きた心臓が食べたい、と男は考えるようになった。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:44:35.62 ID:WXn7MLxz0
  
母親殺しという罪を背負いながらも、男は一常識人として社会に生きていた。
殺人は許されないことだし、その命を奪うことは大変に重い罪となる。
しかし、男の中の欲求はとどまることをしらなかった。
毎晩のように心臓のことを考え、その味を想像しながら下層の工場で働く毎日が続く。
心臓の綺麗な姿を思い浮かべながら女性を眺めるたびに、路地裏に引っ張り込もうと思うことが何度もあった。
それでも殺人を犯さなかったのは、見つかる事への恐怖と、彼の強靱な理性の賜であった。

ある日、男は人食い仲間と酒を飲みに行った。
いつものカニバル御用達の店ではない、普通の店。
そこで隣り合った人物に、男は胸の内にわだかまる感情を吐露した。

何故、その人物に教えたのか。それはわからない。
ともかく男は『生きた心臓が食べたい』という願いをその人物に伝えた。

(  )「よろしい。では、貴方にその力をあげましょう」

顔も覚えていないその人物は、そう言った。
そして、心臓を愛する男――ヒッキーは、心臓を秘密裏に食べる力を手に入れたのだ。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:48:19.88 ID:WXn7MLxz0
  
(−_−)「ふぅ……やっぱり、刃物を買うべきかな」

作業途中のヒッキーが、汗をぬぐいながら呟く。
力を手に入れても、彼の腕力は常人と変わらない。
平均的な成人男性よりも細い腕は、それ相応の重労働を彼に強いていた。

だが、刃物は危険だ。切れすぎる。
万が一、大切な心臓に傷が入ってしまったら?
深く切りすぎて、殺してしまったら?
胃を傷つけて、汚い未消化の食べ物まみれに心臓がなってしまったら?
そう考えると、やはり素手での腑分けが一番安心だ。

(−_−)「ああ、やはり綺麗だね」

慎重に慎重を重ねて、ヒッキーは女の胸から脈打つ心臓を選り分ける。
とくとくと脈打つそれは、美しい形をしていた。
できることなら、明るい太陽の下で心臓を見てみたい衝動に駆られる。
それができない世界とルールに、ヒッキーは軽く呪いの言葉を囁いた。

彼の手元で死の痙攣にひくつく女は、メインストリートを歩いていた。
豪勢な毛皮、豪勢なバッグ、豪勢な髪の毛に豪勢な体。
それらすべてが合成であることは間違いなかったが、心臓の綺麗そうな女だった。
風俗嬢であることもよかった。
たくましい彼女の生き様は、心臓が味として全て記憶しているだろう。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:50:06.04 ID:WXn7MLxz0
  
(−_−)「それじゃ、頂きます」

行儀良く、母から教わったとおりに手を合わせる。
もちろん、頂いた後は「ごちそうさまでした」と手を合わせるつもりだ。
食事に対する感謝と、食事を与えてくれる人に対する感謝。
感謝の心を忘れないようにと、母親は教えてくれた。

心臓に顔を近づけて、そのままかぶりつく。
弾力のある筋肉に阻まれるが、そのまま一気に噛みついた。
ぶつん、といい感じに噛み切れる。
美味い!!
思わず叫びそうになるのをこらえて、ヒッキーは味を堪能する。
ぷりぷりと震える心臓。
これを食べている時、ヒッキーはこの世で特別な感情を覚える。

幸福に浸りながら、口内の肉片を咀嚼し、嚥下する。
喉越しも大切に味わいながらも、ヒッキーは再び心臓に口を近づけた。
残念なことに、心臓は早めに食べてしまわないと、味が死んでしまう。
食べ終わるまで死なない心臓があればいいのにと、ヒッキーは常々考えていた。

二口目を口に含む。
ああ、やはり美味い。
女と女の母親に感謝しながら、ヒッキーが三度口を近づけようとする。
その時、路地裏に一つの人影が現れた。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:51:59.32 ID:WXn7MLxz0
  
路地裏に入ったブーンが見た物は、胸を割り開かれた人間に覆い被さる細身の男だった。
男の口の周りは赤く染まり、腕は肘あたりまでが真っ赤だった。
その口元には心臓。それを見て、ブーンは目標を捕捉したことを確信した。

( ^ω^)「……」

ブーンは黙って男に近づく。
女はまだ生きているようだ。だが、もうすぐ死ぬだろう。
驚きはない。助けられなかった後悔も。
わざわざ男が食事中の時を見計らって近づいたのだから、当然の結果だ。

(−_−)「……なんだい。何か、用かな?」

警戒しながら立ち上がる男を無視して、ブーンは近づく。
ここでこの男を逃がすわけにはいかない。
やっと見つけた手がかりを、みすみす逃がすわけにはいかない。


だからブーンは

未だに小さく動く女の心臓を

思いっきり踏みつぶした



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:54:41.61 ID:WXn7MLxz0
  
(−_−)「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

男は自分の心臓が潰されたかのような、壮絶な悲鳴をあげた。
目の前で、何よりも大切で貴重で尊い、生きた心臓が潰される。
食べていなければ、味を予想し、諦めることもできた。
多く食べていれば、味を堪能し、諦めることもできた。
だが、二口。たったの二口しか食べていない、美しい心臓。
それを目の前で踏みつぶされた男の心情たるや、想像するに余りある。

(−_−)「きさまあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

男は何も考えずに、ブーンに殴りかかった。
生きた心臓はおふくろの味。
それを潰すことは、母親殺しの彼の母親を殺すのと同義である。

( ^ω^)「殺人鬼が……」

小さく呟いて、ブーンは大振りの一撃を難なく交わす。
カウンターに、強く握りしめた拳で男の顔面を一撃。
細身である男は、それだけで大きく吹っ飛んだ。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:56:58.07 ID:WXn7MLxz0
  
攻撃はヒッキーが最初だった。

(−_−)「痛みに打ち震えるがいい」

男が呟く。
その瞬間、男の目がギラリと暗い光を放つ。
その瞬間、ブーンの全身にナイフで切り刻まれたかのような痛みが襲いかかった。

( ゚ω゚)「うぐ、っがあああああ!?」

男の動作に注目していたブーンだが、予想外の痛みに思わず膝を折る。
痛みと痛みと痛みと痛みが、ブーンの全身をくまなく多いつくした。
脳内に直接送られてくる痛覚信号。
オーバーフローを起こすかと思うほどの痛みに、ブーンはどうと倒れ伏し、体を痙攣させる。

(;゚ω゚)「ぐぎぎぎぎぎ、あががががが」

言葉を喋ることすら出来ない痛み。
体を折るようにして震えるブーンを満足そうに見下ろし、ヒッキーはようやく冷静さを若干取り戻した。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 00:59:29.22 ID:WXn7MLxz0
  
( ゚ω゚)「く、が……なにを……」
(−_−)「……人の頭の中には、無数の電気信号が走っているんだ」

途切れ途切れに発せられるブーンの言葉を読み取って、ヒッキーが恨みを込めた声音で告げる。

(−_−)「今、君の脳内に『痛み』を連続して感じ続けるように、命令を出した」
(−_−)「口を開くだけでも相当な痛みだろう? 僕が解かない限り、その痛みは永遠に続く。」

もちろん、解くつもりなんてないけどね。
そう言って、ヒッキーは薄く笑う。

(−_−)「こうやって痛みを与えるのは、とても便利なんだ。人間は、痛みをとても嫌うからね」
(−_−)「行動する場所によって痛みを軽くしたり強くしたりすれば、逃れようとする人間を誘導することもできる」
(−_−)「そうして人気のないところに追い込めば、あとはゆっくりと心臓を食べられる」

笑みを強くして、ヒッキーがブーンを見つめる。
ブーンは未だに続く痛みに体を震わせ、うずくまるのみだ。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 01:00:58.36 ID:WXn7MLxz0
  
(−_−)「最初はびっくりしたよ。まさか、こんな力が僕に備わるなんて思わなかったから」
(−_−)「でも、今は感謝してる。とっても簡単に、心臓が食べられるようになったからね」
(−_−)「それもこれも、あの人のお陰だ。感謝してもしたりないよ」

瞬きもせずに、暗い目でブーンを見つめ続けるヒッキーが、クククと喉の奥で笑う。
あの人、と聞いたブーンが、一際大きく体を震わせる。

( ゚ω゚)「や、や……」
(−_−)「ん、何かな? 何か言いたいのかい?」

んん? とブーンの口元に耳を寄せるヒッキー。
しかし内藤は、痛みに震えるばかりで何も喋ることはできない。
ふう、とため息をつくヒッキーは、淡々と言った。

(−_−)「じゃあ、そろそろ死んでもらおうか。残念なことに、この力では人は殺せないんだ」
(−_−)「だから、首を絞めて殺す。痛みを感じながら、じわじわ死んでいくといい」

ヒッキーの手が、ブーンに伸ばされる。
赤く染まった細い指が、首に絡みつく。
ブーンの目が、見開かれた。

( ゚w゚)「やっと手がかりを見つけられた」

ブーンの腰が、大きく捻られる。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 01:03:37.52 ID:WXn7MLxz0
  
――ブォン

(−_−)「うっ!?」

突如として発生した突風に、ヒッキーが思わず手を引っ込めて目をふさぐ。
一瞬とはいえ凄まじい威力の風に、ヒッキーの纏っていたボロが強くはためいた。

(−_−)「な、なにが……」

おこった、と続けようとしたヒッキーは、目の前に信じられないものを見た。
腕。
腕が、ない。自分の腕が。
両腕が肘のあたりですっぱりと欠けていた。

(−_−)「あ、あ……?」

目の前の事態に頭が対処できず、ヒッキーは視線をあげる。
そこに、ブーンが立っていた。

( ^ω^)「どうやら、お前の力は目をつぶるとリセットされるようだお」

首にヒッキーの腕を絡みつけたまま、ブーンは静かにヒッキーを見下ろす。
ヒッキーの腕は、見事なまでに綺麗な断面をさらしてプラプラと揺れていた。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 01:05:16.88 ID:WXn7MLxz0
  
(−_−)「い、一体何を……」
( ^ω^)「ボクは特別なことはしていないお。ただ、足で蹴っただけだお」

ヒッキーの言葉を読み取り、ブーンが口を開く。
今度はブーンが説明する番だ。

( ^ω^)「お前が苦痛を操るように、ボクは風を操る。ただそれだけ」
( ゚ω゚)「お前が力を得たように、ボクも力を得たんだお」
( ゚W゚)「そして、ボクは力を与えた奴らを探している」

ブーンの足下から風が生まれる。
痛みを訴え続けるだけだったブーンの足は、力強く熱を帯びていた。

( ゚W゚)「答えろ。お前にその力を与えた人間は……お前を『悪魔憑き』にした人間は、どこだ」
(−_−)「シャアアアアアアアアア!!」

ブーンの問いかけに、ヒッキーが鋭い声を発して目を光らせる。
しかし、ブーンは慌てない。
風に乗って上昇。一瞬でヒッキーの視界から消え失せる。
上昇したブーンの体は、万有引力に従ってそのまま落下。
ヒッキーを思い切り踏みつけた。

(−_−)「ぐぎゃふっ!!」

背中を踏みつけられ、叫ぶヒッキー。
肋骨の折れる音を足下に感じながら、ブーンは冷静にヒッキーに問いかけた。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 01:08:18.92 ID:WXn7MLxz0
  
( ゚W゚)「答えろ。お前を悪魔憑きにした奴らは、どこにいる」
(−_−)「う、うぐ……し、知らない……」

視線を逃れるために背中からヒッキーを踏みつけ、ブーンは再度問いかける。
血を吐きながら、ヒッキーは応えた。

(−_−)「知らないよ、そんな事。あの人とは……あれから一度も会っていない」
( ゚W゚)「本当か」
(−_−)「嘘をついて……どうなるんだよ。僕はただ、心臓を食べたかった……だけ」

ヒッキーの声音に、嘘偽りの色はない。
おそらくは本当に知らないのだろう。

( ^ω^)「……わかったお。じゃあ、せめてそいつの特徴を教えるお」

知らないのなら、せめて新たな手がかりを。
そう考えて、ブーンは再度問いかける。
しかし

(−_−)「う、うぐ……あがぁっ!?」

ヒッキーは突然、猛烈に暴れ始めた。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 01:10:28.27 ID:WXn7MLxz0
  
(−_−)「いぎひいいいいいいいいいいあああああああああああああ!?」
(;゚ω゚)「な、なんだお!? どうしたんだお!?」

思わず声をかけるブーン。
しかし、転げ回るヒッキーにはもはやブーンの声は届いていない。
ヒッキーは笑っていた。

(−_−)「ああああああびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!」

血を盛大に吐き出しながら、ヒッキーが笑い転げる。
呆然と見つめるブーン。
そして、その目の前で

(−_−)「えひっ!!」

――ヅドンっ

ヒッキーの体が、内側から爆裂した。

(;゚ω゚)「くぉっ!?」

猛烈な爆風に押されるブーン。
生暖かい物体を全身に浴びながら、交差させた手で顔をかばう。
爆風が収まり、なんとか目をあけたブーンがヒッキーの居た場所に目を向けるが、そこには何も残っていなかった。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/10/16(月) 01:13:11.07 ID:WXn7MLxz0
  
その日を境に、心臓えぐり事件はぷつりと途絶えることとなる。
いかに話題性の強い事件でも、大多数の人にとってはテレビの中の情報でしかない。
毎日のように続いていた事件でも、いずれ忘れ去られることだろう。

しかし、そのことに疑問を抱く者もいる。
そしてその者は、水面下で起こる事態を確認するため、静かに動き始めた。


※ヒッキー 死亡
アゴニー(Agony)出身地:不明
ヒッキーの右目に憑いていた悪魔。邪霊で、分類は屍鬼。
見つめた対象に、自在に苦痛を与えることができる。
その名は「苦痛」という意味であり、神の国に生まれ変わるために自らの命を落とした殉教者のゾンビ。
自分の幸福に対する執着があったために悪魔と化してしまった。


「心臓えぐり(ハートスナッチャー)」終



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