( ゚W゚)ブーンは悪魔憑きとなったようです

2: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:12:22.11 ID:PKbhOrPi0
  
その7 「黄昏」


静まりかえった礼拝堂に小さく、しぃの嗚咽が響く。
今はもう動かないギコを抱いて、彼女は静かに泣いていた。

( ゚W゚)「ギコ……」

目をしっかりと見開いて静止した、その姿。
最期の最後までしぃの身を案じ、後悔を重ねていた男。
だが、その顔には後悔ではなく、もっと別の何かが表情として浮かんでいる。
その表情は安堵。そして、何かを守りきった達成感。

死者の感情を推測するほど愚かな行為はない。
だがブーンは、ギコが満足して逝ったことをその表情で確信した。

死体は笑わない。
死体は語らない。
死体は泣きもしないし、もう愛する人を抱きしめることもない。

ブーンは小さく、ギコの冥福を祈った。



3: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:14:40.40 ID:PKbhOrPi0
  
/ ,' 3「ふむ。ギコは死んだか」

重苦しい空気を意に介さぬ様に、荒巻が唐突に口を開く。

/ ,' 3「やれやれ。有能じゃったが、最期は女に殺されるとはの。やはり、堅物ぶっていても男は男、か」

顎髭をしごいて、言い放つ。
その口調には、たった今、目の前で一つの命が終わった深刻さなど、欠片も読み取ることは出来ない。
例えるならそれは、チェスの駒を一つ取られたような、そんな雰囲気の口調だった。

( ゚W゚)「お前……」
/ ,' 3「なんじゃ、そう睨まんでもよかろう。敵の数が一人減った、ただそれだけのことじゃろうに」
( ゚W゚)「かつての仲間だろう、ギコは」
/ ,' 3「勘違いせんで欲しいのう。儂らは何も、仲良しこよしで集まっておるわけではないのじゃからな。
    仲間はすべからく互いを利用するもので、敵になれば全力で相まみえるのみじゃ」

悪びれる風でもなく言ってのける。
荒巻の理論は正しい。
例え過去に共闘した間柄であっても、敵は敵だ。
だが、



4: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:15:47.57 ID:PKbhOrPi0
  
( ゚W゚)「お前の考えは反吐が出る」

その意思を誇示するように、唾を吐き捨てる。
どれだけ荒巻の理屈が正しかろうとも、ブーンには到底そのような考えを受け入れることは出来なかった。

( ゚W゚)「敵は敵だ。それは間違いない。でも、お前の理屈は虫唾が走る」
/ ,' 3「別に理解しろとは言うとらん。お前さんの感情はおそらく正しいじゃろうしな。
    しかしのう、儂らはそんな感情が正しい世界を壊すために動いておるんじゃ」

淡々と語る荒巻。
その表情は狂った信仰者のそれではなく、聖人のような悟りきった表情をしている。
いっそ安らかとさえ言える表情。
しかし、ブーンはその瞳の奥に、熾火のようにチロチロと燃える狂気を確認した。

( ゚W゚)「お前は狂ってる」
/ ,' 3「正常かどうかの判断など、大きすぎる世界が勝手に決めた集団妄想にすぎんよ」
( ゚W゚)「世界など関係あるか。ボクが狂っていると言ったら狂ってるんだ」
/ ,' 3「ふ……小僧っ子が、言いよるわ」

かか、と喉を見せて笑う荒巻。
その両腕の出血が、いつのまにか止まっていることにブーンは気づいた。



6: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:17:15.24 ID:PKbhOrPi0
  
/ ,' 3「まあええ。そこまで言うなら己の矜持、見事最後まで貫いてみせい」
( ゚W゚)「言われなくとも、そうしてやろう」

ブーンの周辺に漂っていた空気が、再び『ヴィゾフニル』に捉えられる。
初めはゆっくりと。徐々に速度をあげて渦巻く大気。

/ ,' 3「しぃがあのような状態なので、引き続き儂が相手をさせてもらうが、よいな?」
( ゚W゚)「無論、是非もない」

ちらりと横目でしぃを確認するブーン。
しぃは先ほどと同じ姿勢。
ギコの肩に頭を乗せて、流れるままに涙を流し続けていた。

/ ,' 3「では、行くぞぃ」
( ゚W゚)「来い」

ブーンが視線を戻す。
再び絡み合う両者の視線。

/ ,' 3「儂は荒巻……。七柱が一人、七星の四、『文曲』を頂く者。共に歩むは『アガレス』」
( ゚W゚)「ボクはブーン。『悪魔憑き』だ。ツンを返して貰うぞ」

共に、信ずるものへと名乗りをあげて。
2匹の悪魔は同時に動いた。



10: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:19:17.11 ID:PKbhOrPi0
  
(*゚ー゚)「……」

すぐ側で戦いが始まっても、しぃは動こうとはしなかった。
ぎゅっと愛しい人の亡骸を抱きしめ、その首筋に顔を埋める。
消えゆく体温の全てを感じようとするかのように、しぃはじっと佇んでいた。

(*゚ー゚)「……ねぇ、ギコくん」

ギコの耳元で、囁くように問いかけるしぃ。

(*゚ー゚)「馬鹿は……私、だったのかな。何も持たずに生きてきて、やっとあなたに出会えたのに」

ぐちゅり、と。
しぃは、ギコを貫いたままだった腕を引き抜いた。

(*゚ー゚)「わがまま言って、駄々捏ねて。それで、あなたを……殺しちゃった」

血に塗れた手を、再びギコの背中に回す。
時折、戦闘の余波で生まれた風が、突風のようにしぃとギコをなぶったが、
しぃは気にも留めずに、ただ強く亡骸を抱きしめる。



11: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:21:10.35 ID:PKbhOrPi0
  
(*゚ー゚)「ギコくん、最後に言ってくれたよね。私と一緒に居たかった、って」

少し身を離して、項垂れるように頭を垂れるギコの顔を、見開かれたままの瞳を覗き込む。

(*゚ー゚)「私もだよ。考えが違っても、敵対しても、それでも私はあなたと一緒に……」

言葉の語尾が震えて、しぃは口をつぐむ。
目の前にあるギコの顔が、ぼやけたように揺らめいた。
とすっ、と小さな音を立てて、ギコの胸に顔を埋めるしぃ。

(*゚ー゚)「……一緒に来いって……ただ、そう言って欲しかっただけなのに……」

私、もうどうしたらいいかわかんないよ……。
震える声でそう呟いて、しぃはギコの体と共に、埃まみれの床へと座り込んだ。



14: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:23:26.98 ID:PKbhOrPi0
  
( ゚W゚)「っはぁ!!」

鋭く息を吐いて、ブーンは何度目とも知れない攻撃を繰り出した。
強く羽ばたいた漆黒の翼から、無数のカマイタチが生み出される。
大気を切り裂いて飛び来るそれは、当たれば致命傷を生む一撃。
しかし、

/ ,' 3「ほ。無駄じゃ無駄じゃ」

ブーンの攻撃をあざ笑いながら、荒巻は左腕を大きく振った。
その腕からは、ブーンと同じ漆黒の翼が生えている。
ごう、と大気をかき混ぜて、凄まじい乱流を作り出す荒巻。
ブーンのカマイタチは空気の奔流に飲み込まれ、到達することなく形を失った。

( ゚W゚)「くそ……っ!?」

舌打ちをする暇もなく、その場から飛び退くブーン。
ブーンの足があった場所を、鱗を鳴らしながらヘビがなぎ払う。
獲物を捕らえ損ねたヘビは、ブーンに威嚇音を浴びせながら、荒巻の元へと戻っていった。



15: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:26:04.63 ID:PKbhOrPi0
  
/ ,' 3「よそ見しておる暇はないぞ」

そう言って、荒巻は戻ってきたヘビを掴み、肩の辺りで切れていた右腕に押し当てた。
ヘビの鱗が消え、その体は人の右腕の姿を取り始める。
瞬く間に、ヘビは荒巻の右腕へと姿を変えた。

( ゚W゚)「ふん。あまりに面白い大道芸なんで、少し見物していただけだ」
/ ,' 3「儂の力を手品呼ばわりか。強がりは時に勇気となるが、お前さんのそれは単なる蛮勇じゃの」

ゆっくりと、ヘビに姿を変えていた右腕で顎髭をしごく荒巻。
その姿には、強者に特有の泰然とした雰囲気が存在した。
余裕を見せる荒巻に対して、ブーンの表情は苦々しい。

( ゚W゚)(まさか、ここまで力に差があるとは……)

小さく舌打ちをするブーン。
荒巻の弱々しい老人の姿に騙されていたわけではないが、相手の力量を見誤っていたことは確かだ。
戦闘を始めてからこっち、ブーンの攻撃は一つとして荒巻に届いていない。



16: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:29:11.96 ID:PKbhOrPi0
  
/ ,' 3「儂の力は、確かに手品のようなものじゃがな。その力は……これこの通りじゃよ」

そう言って、荒巻は再び左腕を振る。
左腕に生えていた翼が瞬時にひっこみ、変わりに現れたのは長大な尻尾。
は虫類のそれを思わせるシルエットが、目にも止まらぬ速さでブーンに迫る。

(;゚W゚)「くおっ!!」

がつん、と鈍い音がして、ブーンは横薙ぎに吹き飛ばされた。
翼を動かして、壁にぶち当たるのだけはなんとか避ける。
攻撃を受けた左足は、力を発現させているにも関わらず、鋭い痛みをブーンに返してきた。
重く鋭い一撃。生身の上半身に喰らえば、即死は免れないだろう。

――もっとも、外見を変化させることが能力である奴もいるから、一概には言えんがな

形質変化について語ったときの、ギコの声が思い出される。
こいつがそうか、とブーンは納得し、その有用性に歯がみした。

(;゚W゚)「く……動物風情が」
/ ,' 3「動物風情? それは違うな。儂に言わせれば、何を人間風情が、じゃよ」

左腕の尻尾をくねらせて、荒巻が答える。

/ ,' 3「人間はか弱く脆い。体を守る鱗も無ければ、敵を攻撃する牙や爪もない。力は弱く、足は遅い。
    それに対して動物の、なんと力強く多種多様なことか。人間が生物の霊長というのは、傲慢な思い込みじゃ」



17: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:29:52.73 ID:PKbhOrPi0
  
この世で最も強い動物を作るにはどうすればいいか?
答えは簡単。
何でも出来ていいとこどりの動物を作ればいいのだ。

大きな翼で鳥よりも早く飛び、太い尻尾でゴリラさえ一撃で殺す。
大きな顎は象すら噛み殺し、強靱な鱗はライオンでも退ける。

/ ,' 3「いいとこどりじゃよ。儂がやっているのはな」

話し終えて、再び左手の尻尾を振り上げる。
そして、さして力も込めず、しかし確実にブーンを屠る速度で飛んでくる黒い鞭。
床を擦り、壁を破砕しながらせまるその攻撃を、ブーンは上方に跳んでよける。
だが、

/ ,' 3「上がお留守じゃのぅ!!」

荒巻が嬉しそうに笑い、右手を振り下ろす。
しなるように伸びた右手は、間接を失って軟体となり、鋭いトゲを生やした異形の尻尾を形成。
ぶうん、と派手に空気を裂いて飛び来るそれを、ブーンは

( ゚W゚)「っぐぁ!!」

あえて避けずに、左足の翼で受け止めて見せた。



19: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:32:24.43 ID:PKbhOrPi0
  
悪魔の力で形質変化を起こした体。
異形の姿となっていても、それらは全て自分の体である。
翼をトゲに貫かれ、ブーンの体を激しい痛みが襲う。
だが、ブーンは痛みに耐え、残った右足の翼を素早く、大きく打ち振った。

( ゚W゚)「くらえ!!」

肉を切らせて骨を断つ。
ばふ、と大気がかき混ぜられ、瞬間、数え切れないほどのカマイタチが発生した。
甲高い音をあげて、カマイタチは全て荒巻に命中。
激しい風の奔流が、埃を巻き上げ、一瞬全てを見えなくした。

/ ,' 3「捨て身とはな。じゃが……」

もうもうたる粉塵の中、荒巻の悠然とした声が聞こえる。
すう、と視界が晴れるに従い、目に飛び込んできたのは、荒巻を守るように突き出された無数の翼。

/ ,' 3「変化させる事が出来るのは、両腕だけとは限らんぞ?」

そう言って、足、胸、腹、背中、肩、あらゆる場所から生えていた翼を戻す荒巻。
ブーンの心に、強大な存在に対する本能的な恐怖が生まれた。



20: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:33:11.67 ID:PKbhOrPi0
  
しぃは、ぼんやりとした頭で、これからのことを考えた。
これからのこと。将来のこと。
しかし、しぃの脳裏には何一つ明確なビジョンが浮かんでは来ない。

ギコの存在は、しぃという女性の核であり、全て。
例え離れてしまっていても、ギコが同じ都市内に存在しているだけで、彼女は生きることが出来た。
そんな、大切な存在。世界で一番愛しい人。

しぃの人生は、ギコの手を握り替えした日から始まった。
かけられた言葉を信じ、握られた手の温もりを信じる。
今まで感じたことのない感情は、ただ一緒に居たいと願う単純な気持ちだった。

だが、ギコはもういない。
唯一持っていた将来の想像図、酷く曖昧それは、ただギコと一緒にいること、それだけだった。
ギコがいなくなったしぃには、もう何も残っていない。

(*゚ー゚)「何も残っていないのなら、何をしても同じだよね」

熱に浮かされたように、あははと笑う。

(*゚ー゚)「だから、こんなことしちゃうもんねーだ」

あはは、あはは。笑い声は止まらない。
そして、こちらを見る二人に、ごく自然体で言い放った。

(*゚ー゚)「はい、それまで。動かないでね二人とも」



23: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:35:59.71 ID:PKbhOrPi0
  
いつのまに移動したのか。
ブーンが気づいたときには、しぃはすでにその場に立っていた。
暗幕に隠された扉を押し開き、中の部屋から、二つの存在を抱えだして。

(*゚ー゚)「荒巻さんも、そこのきみも、動かないようにね」
/ ,' 3「……なんのつもりじゃ、しぃ?」

酷く無表情に問いかける荒巻。
その目は冷たく、すでにしぃを敵として見ているかのようだ。

/ ,' 3「その手に持つ鏡が、どれほど大切で重要なものか。お前さんはわかっておるのかね?」
(*゚ー゚)「もちろん。この鏡が悪魔をこの世につなぎ止め、組織を支えていることぐらいはね」

くすくすと笑うしぃの手には、人の頭ほどの大きさの鏡。
一点の曇りもないその表面には、ゆるゆると流れる霧が映り込んでいるように見える。

(*゚ー゚)「ありがちな展開じゃない? 恋人を殺された女幹部が、組織を裏切るって」
/ ,' 3「やれやれ……。どうしてこうも、思い通りにならん奴らばかりなのかのぅ」

荒巻が幾度目ともしれぬ深い溜息をつく。
その様子を見るしぃの腕の中で、一人の人間がピクリと動いた。



24: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:38:18.10 ID:PKbhOrPi0
  
( ゚ω゚)「……」

ブーンは、しぃの腕の中にいる存在を認めたときから、ずっと固まっていた。
流れる髪、閉じられた瞳、可憐な唇、長いまつげ。
軽くカールした金髪の女性。
その人こそ、ブーンが心から求めていた、唯一の存在。

( ゚ω゚)「つ……ツン!!」
ξ--)ξ「……ん……」

ブーンの呼びかけに答えたのか、しぃの腕の中で、再び身じろぎするツン。
若干顔色が悪い以外に、ツンに目立った外傷などはないようだ。
その様子を確認し、ブーンは目に見えて安堵した。

( ^ω^)「よかったお……ツンが無事で、本当によかったお」
(*゚ー゚)「うふふ。そうね、本当によかったわね」

笑顔で肯定しながら。
しぃは、ツンの首に腕を回した。
ぐ、と軽く腕に力が込められると、ツンの顔が赤く染まった。



26: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:41:14.16 ID:PKbhOrPi0
  
ξ;--)ξ「ぅ……く……」

意識がないながらも、苦しげに呻くツン。
白かった肌は、赤を通り越して土気色になろうとしている。

(;゚ω゚)「や、やめるお!! そんなことしたらツンが死んじゃうお!!」
(*゚ー゚)「そうねぇ、死んじゃうわねぇ」

にこにこと。
満面の笑みを浮かべながら、しかしその実がらんどうの気持ちで、しぃはツンの首を絞め続ける。
ゆっくりと、ブーンの表情の変化を楽しみながら。

(;゚ω゚)「な、なんで、なんでこんなことするんだお!! あんたは組織を……」
(*゚ー゚)「そうよ。裏切ったわね。だからこうして、『鏡』と『花嫁』を破壊しようとしているんじゃない」

わかったかなぁ? といった感じで、首をかしげてブーンを見るしぃ。
おどけた表情の中に、夜よりもなお暗い闇を垣間見て、ブーンの背筋に冷たい汗が吹き出した。
その暗闇は、人の絶望。
今のしぃは、ギコと共に生きていたしぃではない。
最下層の薄汚い小部屋で犯されていた頃の、がらんどうのしぃだった。



29: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 00:46:04.46 ID:PKbhOrPi0
  
(*゚ー゚)「『鏡』と『花嫁』を失えば、メリルヴィルの晩餐は事実上壊滅する。そうよね、荒巻さん?」
/ ,' 3「……そうじゃな。確かに、その二つを同時に失えば、我々は動くことすらできぬようになる」

淡々と語る荒巻に、にこりと笑いかけるしぃ。

(*゚ー゚)「そう。じゃあ、遠慮無く壊させてもらうわね」
/ ,' 3「果たして、お前さんにそれができるのかね?」
(*゚ー゚)「もちろんよ。なんで?」
/ ,' 3「その二つを破壊すれば、我々の目指す世界は未来永劫訪れぬ。
    お前さんはまた、全ての最底辺で生きることになるやもしれんのだぞ」
(*゚ー゚)「なんだ……何かと思えばそんなこと」

更に笑みを深めて、しぃは鏡を振り上げる。

(*゚ー゚)「だって、その世界にはギコくんがいないんだもの。そんな世界、もうなんの魅力もないわ。
    だからせめて、私とギコくんを闘わせたあなた達組織に復讐する」

それに、としぃは続けた。

(*゚ー゚)「どうせ今の私がその世界に入っても、また最底辺になるだけよ」

一瞬。ほんの一瞬だけ、悲しげに顔をゆがめて。
しぃは鏡を床に振り下ろし、ツンの首に回した手を一気に捻った。



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