( ゚W゚)ブーンは悪魔憑きとなったようです

4: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 23:57:23.32 ID:HAy5Gwiz0
  
その6 「体温」

襲撃後の後始末を終えて、ブーンとギコがバーボンハウスへとやってきたのは、翌日の昼頃。
一睡もせずに後始末に追われていたために、睡魔は限界にまで達している。
ショボンはレストルームの貸し出しを提案したが、二人はありがたく思いながらも拒否。
まだ寝るわけにはいかないし、聞きたいこと、話したいことが山ほどあるからだ。

ドクオとクックルの襲撃によって被った被害は、最下層市民の1/5の死亡。
これを多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところであるが、おそらく敵の目論見は外れたはずだ。
全市民を都市の浄化機能にて一斉に殺害するという計画からしてみれば、僥倖であったとみるべきだろう。

(,,゚Д゚)「とりあえず、都市警本部に来ている通達も『現状維持』だそうだ」

いち早く情報を聞きつけて上層へと非難していたショボンに、ギコが昨日のことを説明する。
ブーンの事情を全て聞かされていたショボンだったが、そのスケールの大きさには面食らったようだ。



5: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:00:00.91 ID:L3hgvnyl0
  
(´・ω・`)「さすが超大規模のカルト教団、といったところかな」

二人にサービステキーラを出して、自分の分を用意しながらショボンが感想を述べた。

(,,゚Д゚)「カルト教団、とは違うんだが。まあ、一般の見地から見れば同じようなものか」
( ^ω^)「そういえば、組織はどのくらいの大きさなのかお?」
(,,゚Д゚)「ああ、まだ詳しくは話せていなかったな」

良い機会だから、全て教えよう。
そう言って、ギコが自分の知りうる情報を語り始めた。

(,,゚Д゚)「『メリルヴィルの晩餐』に、俺は三年前まで入信していた。それも、七柱の一人『破軍』としてな」

その言葉を聞いて、ブーンは、やはりそうかと納得した。
ギコの今までの話しぶりからして、組織に属していたことがあることは明白だった。
しかし、まさか組織のトップである七柱の一人として所属していたとは思わなかったが。



7: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:01:22.09 ID:L3hgvnyl0
  
(,,゚Д゚)「俺が抜けた理由は……まあ、個人的な理由だ。どうでもいい。
     ちなみに、今現在『破軍』を占めるジョルジュは、俺の後釜として指定された男だ。
     以前から入信していた熱心な信者だったが、昇格して悪魔憑きとなった」
(´・ω・`)「その、七柱ってのは全員が悪魔憑きなのかい?」
(,,゚Д゚)「そうだ。逆に言えば、悪魔憑きは全て七柱に数えることが出来る」
( ^ω^)「ちょっと待って欲しいお。ボクがこの前見つけた、心臓えぐりの男は違うのかお?」
(,,゚Д゚)「それは多分……違うだろうな。奴はお前と同じく、試験的に悪魔憑きにされただけだろう。
     『文曲』――荒巻という、この前の老人がそうなんだが、奴によれば七柱に一人欠番が出ていたらしいからな」

その穴を埋めるために試験的に悪魔憑きにされたものの、上手くいかなかったので捨てられた。
つまりは、そういうことらしい。

(´・ω・`)「物騒なことだね。そんな存在を都市内に放つなんて」
(,,゚Д゚)「奴らにとってしてみれば、都市は一つの実験場みたいなものだからな。細かなフォローなぞ期待できん」
( ^ω^)「それでも、心臓えぐりの被害者は結構な数だったお……」
(,,゚Д゚)「100人前後の人死になど、奴らには些細な事だ。それは今回の襲撃計画でも明白だろう」

そう言って、テキーラを軽くあおるギコ。
それもそうだ。何せ、最下層市民を全て虐殺して『生け贄』とするような奴らなのだから。



9: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:04:27.39 ID:L3hgvnyl0
  
(,,゚Д゚)「まあ、とにかく、だ。悪魔憑きは俺達以外、全て敵。しかも七柱の人間と見て間違いないだろう。
     悪魔憑きを作れるのは組織の人間だけだし、まともな悪魔憑きは全て組織が管理するからな」
( ^ω^)「あれ……じゃあ、兄者と弟者も組織から抜けた人達なのかお?」

先の戦闘で超常の力を使役していた、顔のよく似た男達を思い出す。
あれは間違いなく悪魔憑きでしか使えない力だ。

(,,゚Д゚)「いや、あいつらは違う。あいつらは、俺が組織に対抗するために作り出したホムンクルスだ。
     あいつらは生まれつき悪魔を身に宿している。俺達のような悪魔憑きとは異なる存在だ」
(´・ω・`)「そんなことまで出来るのかい?」
(,,゚Д゚)「組織を抜ける際に、あらかじめいくつかの資器財と資料を持ち出していたからな」

そこまで言って、ブーンの責めるような視線に気づく。

(,,゚Д゚)「……俺だって、好きで戦いの道具としてあいつらを作り出したわけじゃない」
( ´ω`)「あう……ごめんだお」
(,,゚Д゚)「いや、かまわん。俺のした行為は、そういう目で見られるべきものだからな」
(´・ω・`)「本能的な嫌悪感を感じてしまうのは仕方がないからね」

さりげなくフォローを入れるショボン。
彼だけは、淡々とテキーラを口に運び続けていた。



13: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:06:25.71 ID:L3hgvnyl0
  
(´・ω・`)「それで、その兄者さんと弟者さんはどうなったの?」
(,,゚Д゚)「ああ……。あいつらは、現在療養中だ。体の浸食も進んでいたので、その治療もかねてな」
( ^ω^)「体の浸食が?」
(,,゚Д゚)「そうだ。あいつらはホムンクルスであるがゆえに、完璧に悪魔を制することができん。
     ゆえに、どれだけ破壊されようとも脳が無事な限り死にはしないが、悪魔の浸食だけは避けられん」

人間と違って、悪魔を縛る魂がないからな、と続けるギコ。

(,,゚Д゚)「あいつらは、力を使うたびに少しずつ体の浸食が進む。
     初めは肘から下、次に上腕部、胸。段々と悪魔に『喰われて』いく」

自らの腕を指でなぞりながら説明する。
そして、そのまま視線をブーンに向けた。

(,,゚Д゚)「お前も覚えがあるだろう。お前は、どれだけ進行しているんだ?」
(´・ω・`)「ブーンが……?」
( ^ω^)「……今は、足の付け根のあたりまで来てるお」

足をさすりながら、ブーンが応えた。



14: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:07:32.11 ID:L3hgvnyl0
  
異変に気づき始めたのは、丁度心臓えぐりの一見があってからだった。
初めて力を本格的に使った、悪魔憑きとの戦闘。
その後、痛みを感じていた部分が、徐々に上に上がってきていることに、ブーンは気づいていた。
初めは膝より少し下に痛みを感じていたが、戦闘後は膝が、更にジョルジュとの戦闘後は腿の半ばあたりに痛みがあった。

ブーンが感じている痛みは、不完全な悪魔との癒合による痛みである。
つまり、痛みを感じている部分が生身と悪魔との境界線。
ブーンの足は、すでにそのほとんどが悪魔化していた。

( ^ω^)「これは、他の悪魔憑きでもこうなるものなのかお?」
(,,゚Д゚)「いや、それはない。現に俺や他の悪魔憑きは、最初に悪魔を憑かせた部分から浸食は進んでいないからな」
(´・ω・`)「じゃあ、何故ブーンだけがこんなことに?」
(,,゚Д゚)「おそらくは、不完全な癒合をしてしまったせいだろう。傷口の消毒が不完全なまま放置されているようなものか」
( ^ω^)「じゃあ、このまま力を使い続けたら……」
(,,゚Д゚)「おそらく、全身を悪魔に喰われて地獄落ち……だろうな」

物騒な話を淡々と締めくくって、ギコは沈黙した。
ブーンとショボンも続けて沈黙する。
あたりに重苦しい空気が広がった。



17: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:09:45.96 ID:L3hgvnyl0
  
(,,゚Д゚)「……だが、それは逆にチャンスでもある」
(´・ω・`)「チャンス?」
(,,゚Д゚)「そうだ。浸食が今の段階まで進んだとき、ブーンは今までより遙かに強い力を発揮した。
     完全な悪魔憑きですら行うことが難しい『形質変化』をすることすらできたほどにな」
( ^ω^)「形質変化っていうと、あの翼が生えた時かお?」
(,,゚Д゚)「そうだ。悪魔の力を最大限に引き出せば、その力は肉体にまで影響を及ぼす。
     俺やジョルジュ、クックルのような場合がそれだ」

左腕を持ち上げて見せるギコ。
ブーンは戦闘時にその腕を覆っていた鱗を思い出し、頷いた。

(,,゚Д゚)「その点で言えば、ドクオはそれほど強い訳じゃない。力は強いが、形質変化を習得していなかったからな」
( ^ω^)「心臓えぐりの犯人も、外見は特に変わらなかったお」
(´・ω・`)「外見を変化させることができるかどうかが、一つの力の判断基準ってことだね」
(,,゚Д゚)「極論すればそうだ。もっとも、外見を変化させることが能力である奴もいるから、一概には言えんがな」

そう言うとグラスを持ち上げ、少なくなったテキーラを一気にあおるギコ。
ショボンがお代りを入れようとするのを止めて、ギコは体ごとブーンに向き直った。



19: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:11:57.17 ID:L3hgvnyl0
  
(,,゚Д゚)「俺がお前の浸食をチャンスだと言った理由は、二つある。一つは、敵がお前の実力を過小評価していること。
     今まではまともな戦力が俺だけだったから、相手の油断をつく意味でこれは大きい。
     二つめは、その力を使ってお前の浸食を止めた上で敵を無効化できるかもしれないことだ」
( ^ω^)「浸食を……止める?」
(,,゚Д゚)「今現在、お前を含める悪魔憑きは、全てがあの『悪魔降ろし』で召喚した悪魔を使用している」

アメリカを奈落落ちさせた、超大規模な召喚儀式。
その儀式は、大物小物を含めて、実に100を越える悪魔を呼び出したという。

(,,゚Д゚)「その儀式で使用された祭具。あの時は鏡を使用したんだが、それを破壊すれば、
     召喚された悪魔は全てこの世での力を失って、元いた場所に帰るだろう」
(´・ω・`)「儀式の核を破壊すれば、全て元の鞘におさまると。そういうことかな?」
( ^ω^)「でも、その鏡がどこにあるのかわからないお……」
(,,゚Д゚)「問題ない。鏡がどこにあるのかはわかっている」

驚いた顔をして見返してくるブーンとショボン。
二人にニヤリと笑い返して、ギコは言った。

(,,゚Д゚)「もっとも、あの場所から移動していなければの話だが……まあ、問題ないだろうな」



20: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:13:19.29 ID:L3hgvnyl0
  
『メリルヴィルの晩餐』 礼拝堂

暗く陰鬱な空間に、滲み出るようにローブを羽織った老人が現れた。

(*゚ー゚)「あら、おかえり荒巻さん」
/ ,' 3「ふむ、ただいま」

どこから持ち込んだのか、漆黒のソファに寝そべるしぃがひらひらと手を振って荒巻を出迎える。
その様子は気怠げでもあり、淫靡的な雰囲気でもある。

(*゚ー゚)「それで、どうだったの?」
/ ,' 3「うむ。やはり、ドクオとクックルはやられておったよ」
(*゚ー゚)「あらまぁ……やっぱりねー」
/ ,' 3「まったく。突っ走ったあげくに無駄死にしおって」
(*゚ー゚)「ほーんと。迷惑ったらありゃしないわ」

ぶつぶつとぼやく荒巻と、あっけらかんとした態度でそれに同意するしぃ。
二人の様子には、死んだ仲間に対する情はおろか、死者に対する敬意すら、微塵も感じ取ることはできない。



21: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:14:25.17 ID:L3hgvnyl0
  
(*゚ー゚)「まあ、ドクオっちもクックルちゃんも、あまり長生きしないタイプだったし。仕方ないんじゃない?」
/ ,' 3「仕方ないの一言ですめば苦労せんわい」
(*゚ー゚)「すまないの?」
/ ,' 3「無論じゃ。あのような奴らでも、いなくなれば戦力はガタ落ちじゃからの」

やれやれといったように、大きくため息をつく荒巻。

(*゚ー゚)「でも、どうせいらなかったんだからいいじゃない。主の力があればらくしょーでしょ」
/ ,' 3「主か……」

その名前を聞いた荒巻の顔が、苦々しげにしかめられる。

/ ,' 3「あの方の力は強大すぎる。あの方に出向いてもらうのは、最後の手段にせねばならん」
(*゚ー゚)「えー、なんでなんで?」
/ ,' 3「なんでも何も、あの方の『フェンリル』を解放すればこの都市ごとわしらまで消滅してしまうわい」
(*゚ー゚)「それは困るわねー」

こわいこわい、とおどけるしぃ。それを見て、更にため息をつく荒巻。
この所、荒巻はため息ばかりついているような気がして、更にため息をつきそうになる。

(*゚ー゚)「でも、そんなことも言ってられないんじゃない?」
/ ,' 3「なんじゃと?」
(*゚ー゚)「だってほら、お客さんが来たみたいよ」

しぃがそう言うと同時。
礼拝堂の壁が、爆発して吹き飛んだ。



22: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:15:31.51 ID:L3hgvnyl0
  
(,,゚Д゚)「よし。入り口は開いたな」
(;^ω^)「開けた、の間違いじゃないのかお……」
(,,゚Д゚)「以前も言ったが、都合の悪いことは聞こえないタチなんでな」

そう言ってニヤリと笑うギコ。
ギコは冷静沈着な性格だとブーンは思っていたが、どうやら認識を改めなければならないようだ。

( ^ω^)「それにしても、まさかこんなところに根城があるなんて思いもよらなかったお……」

呟いて、ブーンは辺りを見回す。
ここは都市最上部、自然の光を十二分に享受できる居住区のど真ん中。
その中でも一際突出した高層ビル、その最上階のある一室に『メリルヴィルの晩餐』の根城はあった。
悪魔信仰というイメージから大きくかけ離れた場所。
部屋の中こそ暗闇に満ちてはいたが、外に面した廊下の窓からは、中天にさしかかった太陽光が降り注いでいる。



24: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:17:16.55 ID:L3hgvnyl0
  
(,,゚Д゚)「思いもよらない場所にこそ、こういった悪は住み着くものだ」
/ ,' 3「えらい言われようじゃの。おまえさんだって少し前まではここにおったじゃろうに」

爆発の粉塵が落ち着いた頃、暗闇に閉ざされた部屋の中から荒巻が現れた。
相変わらず飄々とした風情で、優雅に顎髭をしごいている。

/ ,' 3「まったく。いきなり乗り込んでくるのはともかく、ノックの一つくらいしてはどうかね」
(,,゚Д゚)「すまんな。ノックはしたんだが、力加減をあやまった」
/ ,' 3「『ファフニール』で壁をぶち壊すのはノックとは言わんよ」

やれやれと頭をふる荒巻。
その時、ギコの背後に立っていたブーンが前に出て、荒巻を鋭く睨み付けた。

( ゚ω゚)「じいさん、ツンはどこだお」
/ ,' 3「む……お前さんはこの前の……」
( ゚ω゚)「ブーン、だお」
/ ,' 3「儂は荒巻じゃ。ふむ……あのお方を取り戻すために、ここまで来るということは……」

荒巻の視線が鋭くなり、ブーンを威圧するように細められる。

/ ,' 3「儂の警告は無視した、ということか。ならば、それなりの覚悟はできておるんじゃろうな」

膨れあがる殺気。
しかし、ブーンはそれを意に介さずに言葉を返す。



26: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:18:39.29 ID:L3hgvnyl0
  
( ゚ω゚)「ツンはボクの大切な、命よりも大切な人だお。ツンを助けるためなら、地獄でもどこでも行ってやるお」
/ ,' 3「ほ、いいよるわ。本当の地獄がどんなものかも知らずにな」

かか、と笑う荒巻。

/ ,' 3「まあええ。それでギコ、お前さんは今日はなんの用かね?」
(,,゚Д゚)「貴様らの力の源であるご神体を、破壊しにきた」
/ ,' 3「ほう、あの『鏡』をな。だが、我らがそれを許すと思うてか」
(,,゚Д゚)「無論、思ってなどおらん。実力行使だ」

全身から闘気を立ち上らせて、ギコが獰猛に笑う。
そして、黒い鱗を纏った左腕を持ち上げて見せた。

(,,゚Д゚)「今日こそは、貴様らの目論見全て、潰してみせる」
( ゚ω゚)「ツンも返してもらうお」
/ ,' 3「ふむ。ギコ、お前さんの用件は把握した。じゃが……」

そう言って、ブーンに視線を向ける荒巻。

/ ,' 3「わからんのはお前さんじゃよ、ブーン。あのお方とお前は、何の繋がりもない筈じゃがの?」



29: ◆DIF7VGYZpU :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 00:23:38.95 ID:L3hgvnyl0
  
ギコがその言葉を聞いて、眉をひそめる。
そしてブーンに向かって問いかけた。

(,,゚Д゚)「どういうことだ、ブーン……。その、ツンというのは、お前の恋人か何かじゃないのか?」
( ^ω^)「ボクは今まで誰かと付き合ったことはないお。ツンは、彼女なんかじゃないお」
/ ,' 3「それどころか、あのお方とお前さんは、ここに連れてこられた時期が同じなだけ。
    生まれも育ちも違うお前さん達には、それまで一度も面識などある筈もない。そうじゃろう?」

荒巻の言葉に頷くブーン。

/ ,' 3「では、何故そうまでしてあのお方に執着する。まさか一目惚れしたと言うのではあるまいな」
( ^ω^)「そんなんじゃないお。確かにツンは綺麗だし、ボクの好みにバッチリだお。でも……」

心臓辺りの服を、ぎゅっと掴むブーン。

( ゚ω゚)「そんな見た目がどうとかじやなく、ボクはツンを一目見て、大切な人に出会えたことを確信したんだお。
     ずっとずっと待っていた人に出会えたような、そんな感覚がしたんだお」
/ ,' 3「ほう……。どうやら、相当に思いこみの激しい性格か。それともただのヒロイズムに酔っているのか」
(,,゚Д゚)「……」

ブーンは荒巻をじっと見つめている。
その眼差しを見て、ギコは口を開いた。



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