( ^ω^)ブーンは天国を探すようです
- 28: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:28:46.85 ID:N6vzJnH10
- 第二話 さようなら。さようなら。言葉など必要ないが。せめて文学的でありますように。
僕と、クーと名乗った女の子は長い長い旅路をひたすら歩いていた。
でも、どれだけ進んでも天国は見えてこない。
いやいや待てよ、僕たちは本当に前へ進んでいるのだろうか。
もしかしたら後退しているのかもしれないよ。
どうだい、その証拠に、前へ進んでいるという明確な描写が一つも無いじゃないか。
( ^ω^)「後ろに下がってしまったら、たぶん地獄に行き着くお」
川 ゚ -゚)「それは困ります。地獄に棲む悪魔は、腎臓が大好きだと聞きますゆえ」
それにこのお話のタイトルはあくまで、「ブーンが天国を探すようです」であって、
決して「ブーンが地獄で静かに蜘蛛の糸を待つようです」ではないのだ。
地獄に辿り着いてしまっては、話が真逆の方向へ走り出してしまう。
そんな一抹の安心を得て、僕たちは再び(恐らく)前の方へと歩き出した。
すると、足下からボコリと地鳴りのような音がした。
見下ろすと、地面から少年の首が突き出ていた。
「いさだくてけ助、いさだくてけ助」(・∀・ )
( ^ω^)「お?」
「すましい願おいさだくてけ助、すでのたっましてっま埋に土」(・∀・ )
- 32: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:30:43.56 ID:N6vzJnH10
- 時々口から砂やらミミズやらナメクジやらを吐き出しながら少年は何かを呟いている。
だけれども、今の僕には彼の言語が理解できなかった。だから不用意に助ける事もできないのだ。
もしかしたら彼は「僕の鼻柱を折ってください」と懇願しているのかも知れない。
いやそうだ、きっとそうなのだ。彼は鼻柱を折って欲しそうな目でこちらを見ているではないか。
僕は少し後退してその少年と距離を置いた。
「かすでんるすを何かすでんるすを何かすでんるすを何かすでんるすを何」(・∀・ )
少年は突然慌てたように、しかし未だ理解しがたい言葉を発した。
この少年はきっと狂人なんだなあ、異常すぎて母親にも捨てられてしまったんだなあ。
挙げ句の果てに土に埋められてしまって……などと考えると笑いが止まらない。
僕は地面を蹴って、少年の首向けて走り出した。
ジャガーのようなスピードで僕は走る。なおも走る。なおも走る。
そうして接近し、右脚を後に振り上げて、そのまま少年の鼻っ面にぶつけようと試みた。
「すまいましでん死すまいましでん死すでめだすでめだすでめだ、ヒギアッ」( ・∀・ )
だが、すんでの所で少年が顔を動かしたため、僕のキックは目標を外し、
代わりに彼の喉元を華麗に蹴り上げた。
少年の首はいとも簡単にちぎれて飛び、彼方の地面にボトリを落ちた。
多分土の中には胴体が眠っているのだろうが、僕にはそれを確認する術はない。
だがそこに心臓が埋まっているのかと考えると、思わずよだれが滴り落ちた。
- 36: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:32:31.10 ID:N6vzJnH10
- ( ^ω^)「掘り出さねば!掘り出さねばならぬ!」
我慢できなくなって、僕は少年の心臓を掘り出す事に決めた。
僕は今までに人の心臓を食べた事が一度もない。考えればそれはとてもおかしなことだった。
今までありとあらゆる食べ物を口にしてきた。
それなのに何故僕は一度足りと人の心臓を口に運んだ事がないのか。
FBIだ。FBIが悪いに違いない。
川 ゚ -゚)「手伝いたいものですが、あいにく私の手足は弱り切ってますゆえに、
土を掘り返す力などあるはずもございません」
首の断面からは、際限なく芋虫が這いだしていた。
それをいちいち踏み潰すのだが、そのたびに芋虫が「ピギャア」と叫ぶため五月蠅くて仕方がない。
( ・∀・)「やあやあやあ、ありがとうございます。おかげで文体が元に戻りました」
見ると、先程の少年が生首姿でこちらに近づいてきていた。
どうやら、断面から無数の毛細血管を伸ばし、それを脚のように使って移動しているらしい。
彼が這いずるあとには血液の川が通っている。
だが僕にとってそれはあまりにもどうでもいい、アフリカ難民ぐらいどうでもいい些末な問題だった。
何せ、ついに少年の胴体を掘り出す事に成功したからだ。
( ^ω^)「やったお、僕はついにやったんだお!」
僕は早速左胸に噛みついた。そのまま勢いよく肉を引きちぎり、組織液を貪った。
ああ美味い、なんて美味いんだろう。美味すぎて青菜仁志夫のようになってしまいそうだ。
ところで僕は何故生の人肉をそのまま食べる事ができるのだろう。
ああ美味いなあ。美味すぎる。
だが安心してはいけない。これはまだ前菜なのだ。挿入前なのだ。
- 41: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:36:07.09 ID:N6vzJnH10
- (´・ω・`)「お待ち」
店主が鉄板の上で音を立てている心臓を運んできた。
するとそこはたちまち古びたバーの店内へと変貌し、クーや生首少年はどこへともなく消えていった。
客は僕一人しかいなかった。後は、カウンターの中でグラスを磨いている店主だけだ。
厳かなクラシック・ミュージックが流れている。飾り気のないランプが艶やかに輝いている。
何故バーで心臓のステーキが出てくるのかはわからないが、ともかく僕はフォークで右心房を突き刺し、
湯気を立てているそれにむしゃぶりついた。
( ^ω^)「オウ、食のファンタジスタ!」
僕はあまりの美味さに飛び上がり、火星に頭をぶつけてから再び椅子に座った。
柔らかさの中に潜んだ、どこかコリコリとした食感がたまらない。
普通の肉よりも甘さが多く含まれていて、芸術的な味をつくりあげていた。
( ^ω^)「マスター、なぜ人の右心房はこんなに美味いんだお?」
(´・ω・`)「それはね、この世には完全たる球体が存在しないからだよ」
( ;ω;)「!!」
その答えは、イデアをも超越した素晴らしい解答で、僕は思わず涙を零した。
ああ、なんて僕は幸せなのだろう。なんて僕は幸せなんだろう。
僕は喜びを噛みしめながら、左心房を口に放り込んだ。美味い。美味すぎる。
このご恩をなんとかしてマスターにお返ししなければならない。
そう考えて僕がズボンを脱いでペニスをまろび出したとき、店内に汽笛が響き渡った。
- 45: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:39:06.44 ID:N6vzJnH10
- プワアアアアアアアアアアアアアア
ア ア
ア ア
ア ア
ア
ア ア
ア ア
ア ア
ア ア
ア ア
ア ア
ア ア
ア ア
ア ア
ンと汽笛が鳴り響き、僕はその場に立ち竦んだ。
しばらくして思い出す。そうだ、ここは食堂車だった。ええと、僕の席はどこだっけ。
(´・ω・`)「天国に行きたいなら右の扉、地獄に行きたいなら左の扉だ」
( ^ω^)「何から何まで……本当にありがとうですお」
僕は感謝のしるしに、カウンターテーブルに精液をぶちまけてから、右の扉に向かって歩き出した。
扉に手をかけると同時に振り返ると、そこにはテーブルに乗っかって、
僕の精液を一心不乱に舐め回している店主の姿があった。
僕にもできることがあるんだ。
そうだ、この世に必要のない人間なんて一人もいないんだね!
再びこみ上げてきた涙をこらえつつ、僕は扉を開いた。
- 49: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:41:51.68 ID:N6vzJnH10
- ( `ハ´)「異議アル! 被告人確実に嘘ついてるネ!」
扉の先は法廷だった。静まりかえっている空間で、弁護士検事双方が火花を散らしていた。
(*゚ー゚)「ほ、ほんとですぅ! あたしドットバルパなんて盗んでませんー」
( `ハ´)「黙るヨロシ! アリバイはすでに崩れているアルよ!」
(,,゚Д゚)「彼女は逮捕時にドットバルパをもってなかったじゃねーか!」
( `ハ´)「ドットバルパなんて食べてしまえばもうわかんなくなるアル!」
(*゚ー゚)「あたしぃ、ドットバルパなんてぇ」
(,,゚Д゚)「証拠不十分だゴルァ!」
( `ハ´)「なんですとこのイエローモンキー」
(,,゚Д゚)「なんだゴルァ、やんのか?」
(#`ハ´)「大体お前はドットバルパを小看過多!もっと關於這個東西很好地應該知道。然後法庭出來!」
(,,゚Д゚)「なんだとゴルァ。大体Ein Chinesischs weder das Recht noch die Linke
arbeitet nicht als ein Amalt!」
( `ハ´)「死對祖國道歉,這個第瘋人!!」
(,,゚Д゚)「Halten Sie lauten Narren an und grabt das Olfeld schnell!!」
でも僕は、裁判に大して興味が無いので、すぐに次の扉を開いた。
- 50: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:44:15.01 ID:N6vzJnH10
- 次の空間はようやく客車で、僕はやっと指定された席に座る事ができた。
窓を開けると、外の空には大量の星が瞬いている。
よく見るとそれらは一つ一つ、人の顔をしていた。
モンゴロイドだけでなく、コーカソイドやネグロイドまで様々な人種の顔が夜空に輝いているのだ。
中には法華経を唱えている、熱心な主婦の顔面まである。
僕は心の中で「くろんぼ死に晒せ」などと不謹慎にも道徳的な事を考えながら、
しばらく窓外の風景に思いを馳せていた。
汽車は赤黒い煙をあげながら、地面と垂直に、空へ向かって走っていた。
ああ、やはり天国は雲の上にあるのだろうか。
いっそ、マライア・キャリーの胃袋が、イコール天国だったら面白かったのに。
地上では、大音響で鳴り響くボラーレのリズムに乗って、
エヴァンゲリオン二号機と巨大化したウッドペッカーがダンスを踊っている。
まるでそれは夢のような光景だった。だがこれは夢ではないのだ。
夢ではないのだ。夢でなくしてしまったのは、他ならぬこの僕だ。
( ´∀`)「えぇ、本日は、当汽車にご乗車いただきぃ、まことにありがとうございますモナ」
振り返ると、狙撃銃を両手に抱えた、駅員らしき制服を来た男が立っていた。
( ^ω^)「あなたは誰ですかお?」
( ´∀`)「私、この汽車の運転手でありますモナ」
( ^ω^)「変な語尾つけてんじゃねーお」
( ´∀`)「いやあ、これを付けとかないと各所から文句を言われるでありますモナ」
- 54: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:46:31.27 ID:N6vzJnH10
- ( ´∀`)「ところで、退屈しのぎにゲームをやりませんかモナ?」
そういって彼は狙撃銃を僕に手渡して、説明を始めた。
( ´∀`)「あそこに浮かんでいる顔面星を撃ち落とすモナ。
黄色人種だったら五点、黒人だったら十点、白人なら二十点モナ。
あと、たまに出現するデーモン小暮閣下を撃ち落とせば六十点モナモナ」
( ^ω^)「でも僕、射撃ゲームは苦手だお」
( ´∀`)「大丈夫モナ、もう随分星に近づいたから、狙いやすいモナ」
言われて僕は再度窓外を眺めた。
なるほど、確かに星々は先程よりもかなり近い距離にある。手を伸ばせば届きそうだ。
試しに手を伸ばしたら、案の定掴む事が出来た。
だが、掴んだ顔面星が奇跡的に不細工だったので、僕は慌ててそれを地面に向かって投げ落とした。
狙撃銃を構え、適当にトリガーを引く。
それでも銃弾は次々と様々な顔面に直撃していく。
世界平和を訴えているモンゴロイドの顔を撃ち抜いて肉を破裂させるのはこの上ない快感だ。
三人目のデーモン小暮閣下が出現したとき、僕は気付いた。
( ^ω^)「あなたはこの汽車の運転手なのかお?」
( ´∀`)「そうですモナ」
( ^ω^)「じゃあ今、この汽車は誰が運転しているのかお?」
( ∀ )「……」
- 58: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 21:48:21.99 ID:N6vzJnH10
- 運転手の顔がみるみるうちに紅潮し、そして彼は叫んだ。
(#´∀`)「言わなければ! 言わなければ気付かなかったのに!
貴様がそんなことを言わなければ! 気付かなければこの汽車は落ちなかったのに!」
それは、言うなれば当然の怒りだったのだろう。
僕は、不用意な台詞を吐いた自分を恥じた。しかし最早取り戻せない失態だ。
運転手が怒りのあまりに吐血して、同時に車体がガクンと揺れた。
( ´∀`)「ああ……汽車がセックスしている……」
確かにこの挙動は、性交時の腰の動きと同じ感覚だ。
きっとこの汽車もそのうち絶頂に達するのだ。そうなれば、どうなってしまうか……誰が考えても明らかである。
( ;ω;)「ごめんなさいお! ごめんなさいお!」
( ´∀`)「うるせえ! お前の点数は560点だ! 560点だ!」
( ;ω;)「おお、ありがてえ!」
「オウオウオウ黄桜応央王Ohおうおうおうおうおうおう」と、汽車が快感に身を震わせている。
僕はその間、椅子に座って頭を抱えていた。僕があんなことを言ったから、この汽車はもうすぐ落ちるのだ。
やがて汽車は一際大きく「アアゥ」と叫び、射精した。
つまりここが絶頂というわけで、あとは落ちていくばかりだ。
(#゜∀`)「560点だ! 560点だ!」
白く濁った、温かな液体を全身に浴びながら、僕の身体はゆっくりと地面に落下していった。
第二話 終わり
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