( ^ω^)ブーンは天国を探すようです

69: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:07:23.82 ID:N6vzJnH10
第三話 やがて時も止まる。鼓動も止まる。必然にも程があるから、障害者をバカにした。

僕は落下していた。
もう一度言う。僕は落下している。
何度でも言おう。僕は落下していると。
だから俺は落下してるってんだろうが!

いや、間違えた、もう落下は終わっている。
いつ落下が終了したのかはわからない。或いは僕が感じていないだけで、
本当は未だに落下し続けているのかも知れない。
いや、感じていないのであれば落下しているかわからないので本質的には落下していない、
そういうことになって落下しているという前言はやはり嘘になってしまう。
落下落下落下落下落下落下落下落下落下落下落下……。

ともかく僕は今地に足をつけている。
誰もいない。僕しかいない。いやむしろ僕もいない。
そういえば、経験論上、死は存在しないんだって。へー。

僕は天国に歩き出さなければならない。
何故なら、僕が天国を見つけない限りこの話が終わらないからだ。

ふと、象の鳴き声が耳を突き刺した。
そこでようやく気付く。

おお、ここは動物園だ。

( ^ω^)「これは楽しそうだお」

僕はお金を持っていなかったけれど、窓口が見あたらないので、警備員を殺して中に入った。



75: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:13:47.53 ID:N6vzJnH10
しかし、なんと凄惨な場所なのだろう。ここはまるで地獄のようだ。
女の子の惨殺死体がそこら中に浮かんでいて、
なぜか男しかいない客は、それを見つけると一目散に走って、その股ぐらに挿入する。

周りには動物たちもいるのに、誰もそれを見ようとしない。
僕は胎児と思しき小さな赤い物体を犯している老人を見つけ、声をかけた。

( ^ω^)「具合はどうですかお」

/ ,' 3 「この齢になるとなぁ、こういう小さいのしか入らないんだよ」

だろう,rヮ・'''''''ヽ¬納得した。そりゃあそうだ。
この、レ"    `''lしかしそれではまるでキリストではないか。
ところ|  .0___0,  .|非難できようか。我々は一億を以て一を成すのだ。
    \.| .▼ .| _,i´
だが,,-''`゚'''ー‐'“`'ーe、,、僕はすぐさまロケットランチャーを老人に向けた。  
,r'’ _,l       'l, `ヽ、
(|,,,/゜|       .|‘-、│、お前はこの世の害悪だお! さっさと死ねお!」
    |       .|  `'''"
老人の|         |彼は僕の攻撃をいとも簡単に避けた。    
そして ]i、_  、 .,,彳空中に消失してしまった。    
しかた l `゙゙广゙゙|゛ │僕は彼が残していった胎児をひっつかんだ。
    l゙  /  |  .|    
ところト--′  ヽ, .} 僕の言葉はつたわったのだろうか。



78: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:15:59.74 ID:N6vzJnH10
胎児を右手で振り回しながら、僕は更に奥へと歩き進んだ。
すると、ここは動物園のはずなのに、てっぺんが見えないほど巨大な観覧車が現れた。
僕は認知症じゃないので思い出した。
そうだ、さっきの天国行きの汽車は上へ向かっていた。
観覧車は当然上へ昇る。つまり、この観覧者を使えば天国へ行けるかも知れない。

入り口近くに一人だけ、係員らしき女が立っていた。

从'ー'从「入場料おねがいしまぁす」

( ^ω^)「いくらだお?」

从'ー'从「胎児一人でぇす」

「少し壊れてますけど……」と申し訳なさそうに呟いて、僕は女に胎児を手渡した。
女は瞬く間に胎児を平らげて、僕をゴンドラへと案内した。

よく見るとこの観覧車にはゴンドラが一つしかついていない。
僕専用か。マイ観覧車とは、僕も優雅な地位に上り詰めた物だ。跪け愚民共。
僕は未だ見ぬ天国と、ドアラの死に様に胸をときめかせながらゴンドラに乗り込んだ。

从'ー'从「それではぁ、行ってらっしゃいませぇ」

そういって係員が扉を閉めた瞬間、ゴンドラは凄まじい勢いで降下した。



84: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:19:48.35 ID:N6vzJnH10
ああ、やはり人生、思い通りにはいかないものなのだなあ、とばかりに、
僕はほとんど諦観の境地に至っていた。

そういえば、ニーチェがこんなことを言っていた。
「人は諦めを重ねる事で人生のイバラを乗り越えていく」と。
いや、言ってなかったっけ。そもそも僕は生きているんだっけ。大体僕は人だっけ。
人じゃなくてただの顔文字だよなァ、実際。

ゴンドラはまだまだ加速しながら降下していく。
でも時々UFOがちらほら浮遊しているだけで、後は何も無いからちっとも面白くない。

( ^ω^)「文明開化……文明開化……文明開化……」

そのままでおよそ二千年の時が流れて、ふと気付いたら僕は大宇宙を外側から観測していた。
無数の銀河と星々が渦を巻いている。顔面星ではない、正真正銘の星達だ。
ああ、宇宙はこんな形をしていたんだね、宇宙は秋葉原の形をしていたんだね。

そのうち、星がやがて中心へと収束し始めて、弾けた。
「なんでやねん、ナンデヤネン」と悲鳴をあげながら、周囲へ飛び散っていく。

('、`*川「申し訳ありません。ここから先の時間が無いのです」

地球の形をした女の子が僕にそう言った。



88: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:22:35.66 ID:N6vzJnH10
( ^ω^)「時間がないとは、時間が無いとはどういうことですかお!?」

('、`*川「あなたが全てを消してしまったから、時間も消えてしまったのです。
     だからここから先の時間へ進むのは無理なのです。
     この空間は未来永劫4009年3月26日午後10時22分なのです」

( ^ω^)「でも、今まではちゃんと時間は普通に進行していましたお。
      それに、今現在も時間は確実に顕著に進行しているのではありませんかお」

('、`*川「時間は壁沿いを進んでいたから問題ないのです」

( ^ω^)「あなたは僕のお母さんですかお?」

('、`*川「いいえ、私の子宮は未使用です」

( ^ω^)「あなたは僕のお母さんですかお?」

('、`*川「いいえ、私の子宮は未使用です」

そんな問答を繰り返していると、
周囲の空間がおびただしい数のカイゼル髭で埋め尽くされていった。

('、`*川「ああ、時間が逆流を始めました。時間が濁流をつくっています。
     ああ、さようなら、さようなら、もう二度とあなたと会う事もないでしょう」

( ^ω^)「あなたとはもっと早く出会えればよかったのに」

('、`*川「隠していましたが、本当は、私はあなたのお父さんなのですよ」

( ^ω^)ノ「バイバイ僕のお父さん、アリクイにレイプされませんように」



95: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:26:03.97 ID:N6vzJnH10
そうして彼女は影も形も無くなって、やがて
                        僕
                       の
                      意
                     識
                    や
                   記
                  憶
                 も
                た
               ち
              ま
             ち
            曖
           昧
          に
         な
        り
       遂
      に
     は
    そ
   の
  存
 在
自体が失われてしまった。さて、いつからいつまでかは定かでない。

( ・∀・)「やあやあやあ、ありがとうございます。おかげで文体が元に戻りました」

見ると、先程の少年が生首姿でこちらに近づいてきていた。



100: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:29:06.96 ID:N6vzJnH10
( ^?^)「うーん……ω」

僕は何か大切な事を忘れているような気がする。
そう、それは明日の晩ご飯の献立ぐらい大切な事なのだ。
でも思い出せない。僕の頭はカオスに満ちて、まるで中国のようにぐちゃぐちゃだ。

川 ゚ -゚)「どうなさいました、どうなさいました」

カタワの女の子が僕に尋ねかけてくる。
そうだった、僕は天国を探さなければならないのだ。
この、赤と青と緑の発光空間の中から、桃源郷を見つけ出さねばならないのだ。

僕は先に進み始めた。女の子と、生首少年もついてくる。

パレード・マーチが流れ始めた。
僕たちの後にはいつのまにか、小さな靴とか鉛筆削りとかシルクハットとかが、
ぴょんぴょん跳ねながらついてきていた。
みんな僕の友達なんだ! 戦争反対! ラブ&ピース!

僕たちは自然と笑い出した。
僕も女の子も生首も、鉛筆削りもカスタネットも掃除機も、みんなして笑い出した。
笑いながらさらに進んでいく。どうしたものか、笑いが止まらない。



106: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:31:53.43 ID:N6vzJnH10
笑いが止まらないwwwwwに陥るという事だ。
ああ、ついに文体にも笑いが侵食し始めた。これwwwwwない。
僕がだんだんと歩調を緩めると、みんなが笑いながらwwwwwww追い抜いていった。

wwwwwwwwwwwww、笑いがwwwwwwwww」

ついに僕は歩く事も出来なくなって、wwwwwwwwwww
wwwwwwwwwwwところがwwwwwwwwwwww

( ^wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww、死んでしまうおww

どうしようもなく楽しいwwwwwwwwww。wwwwwwwwwwww
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

( wωwwwwwwwwwwwww、うほwwwwwwwwwwはwwwwwwwww」

そうして、僕は死んだ。
天国に行き着くまでもなく、僕は死んでしまった。
残念、ブーンの旅はここでおしまいだョ★

しかしそれでは話が前へ進まなくなってしまうので、僕は生き返らされてしまった。

( ^ω^)「ああ……神様は不公平だ」

(*゚ー゚)「そうね……」

隣のベッドで寝込んでいる少女が、小さく呟いた。

第三話 終



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