( ^ω^)ブーンは天国を探すようです

149: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:56:26.61 ID:N6vzJnH10
第五話 そろそろ本質を見直すべきではないですか、と単細胞人間に尋ねてみた。

さて、天国についたら何をするべきか、それを考えなければならない。
思えば今まで天国を見つける事が出来なかったのは、
そういう目的意識が無いからではないだろうか。きっとそうだ。

クーは天国で手足をもらいたいらしい。ああ、五体不満足はその程度の願望で済むんですね。

( ^ω^)「あなたは天国に行ってどうするんですかお?」

( ・∀・)「そうですねえ、さしあたり私は、美空ひばりの歌が聴きたいですねえ」

彼が呟くと、空一面に美空ひばりの笑顔が映し出された。

じゃあ僕は、僕は天国で何をしよう。
壁に向かって未来日記を書き続けようか。右翼を煽って革命を起こそうか。
それとも、天国を裏返そうか。それは案外楽しいかもしれない。

僕たちは上り坂にさしかかった。
今までずっと平坦な道を歩んできたので、この変化には喜んだ。
もしかしたら、この坂をのぼりきったとき、そこには天国があるのかもしれない。

いや待てよ。天国は本当に上にあるんだろうか。それこそ固定概念というやつではないか。

下にあるのかもしれない。死者を土に埋めるのは、土の下に天国があるからか。



154: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 22:59:12.78 ID:N6vzJnH10
しばらく坂をのぼっていると、街が見えてきた。
地面に埋まった人間が、看板を掲げている。『ここはベドバボリバグギャ』

( ・∀・)「おあああああ、ここは、ここは私の故郷だッ」

不意に生首少年がカサカサカサカサと走り出し、あっという間に地平線の向こう側へ行ってしまった。
なるほど、だからさっきの男は地面に埋まっていたのか。

街にはいくつかの、液体水素で出来た家が建ち並んでいる。
『サワルナキケン』と書かれた張り紙がそこかしこに見かけられた。
住人は皆、土に埋まっているか、体育座りをしていた。男しかいない。
まるでさっきの動物園のようだが、全裸の女の子は浮かんでいない。残念。

街の中央に、働き蟻の形をしたダンスホールがあって、僕とクーは迷わずそこに入った。

中では黒いミラーボールが輝き、その下で客が体育座りをしていた。
演歌が三倍速で流れている中、僕は一人の客に尋ねた。

( ^ω^)「あなたたちはどうして踊らないんですかお?」

(´<_`´_ゝ`)「今はそういう時間で、こうするしか無いのです」

( ^ω^)「それは難儀なことですお」

(´<_`´_ゝ`)「あなたもはやく体育座りをしなさい。そうしないと、グギャババババメルチ」



158: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 23:02:07.83 ID:N6vzJnH10
その時、ダンスホール全体がぐらりと揺れた。
それはまるで消化器官が蠕動するようで、僕はこのダンスホールが働き蟻だったことを思い出した。
眠りから覚めたのだ。今からおそらく、エサを探して歩き回るのだろう。

衝撃に耐えるため、僕は仕方なく体育座りをした。

(´<_`´_ゝ`)「そうです、そうしておきなさい。そうすれば救われます。救われるのです」

BGMが演歌から荘厳な賛美歌に切り替わった。
ミラーボールが爆発し、代わりに無数のシャンデリアが天井に出現する。

(´<_`´_ゝ`)「皆さん、きっと人類は皆手を繋いで仲良くなれるのです。仲良くなれるのです」

いつの間にか集まってきた民衆が「そうだそうだ!」と合いの手を入れる。

(´<_`´_ゝ`)「我らが教祖様はきっと素晴らしき道を私たちに示してくださいます。
        さあ、神に向かってオナニーするのです! 生まれ来る神子に白濁の祝福を!」

その声に、周囲の人間が一斉に下着を脱いだ。
しかしあまりにも残念な事に、この街には男しかいないのである。

と思ったらクーがいた。しかし彼女は手が不自由なので脱ぐ事ができなかった。

野郎共が「アウアウアアウ」と大合唱。
嗅覚的に耐えられなくなってきはじめた頃に、民衆の頭上に巨大なプラズマテレビが落ちてきた。
下敷きになった人間がどれだけ死んだかはいまいちわからないしどうでもいい。



163: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 23:05:22.34 ID:N6vzJnH10
コンセントに繋いでもいないのにディスプレイが輝き、薄暗い独房のような場所が映し出される。
そこには一人の、白髪の女の子が立っていて、こちらに向かって手を伸ばした。

同時に僕のこめかみが彼女につかまれ、僕はそのままディスプレイの中へ引きずり込まれた。

気がついたら、僕は独房の中にいた。
そこには椅子が一つだけ置いてあり、僕は女の子に、そこへ座らされた。

( ^ω^)「何の用ですかお。人の頭を掴んじゃいけませんって習わなかったのかお」

ξ゚听)ξ「あなたはそろそろ本質を見直すべきではないでしょうか」

( ^ω^)「それはどういうことですかお?」

ξ゚听)ξ「それはそういうことです。本質を見直すのです」

( ^ω^)「申し訳ないけど、全然わかりませんお」

ξ゚听)ξ「そろそろこの物語を終わらせるべきではないのですか」

( ^ω^)「でも天国が見つかりませんお」

ξ゚听)ξ「天国ならあるじゃないですか」

( ^ω^)「どこにですかお」

ξ゚听)ξ「ここにです」

彼女が指さした先に、天国があった。



167: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 23:08:25.97 ID:N6vzJnH10
それをどう表現すればいいのかわからないがとにかくそれは天国だ。
だが僕は納得できなかった。こんなものが天国だなんて認めたくない。
天国はもっと素晴らしい場所であるべきではないのか。

ξ゚听)ξ「納得していただけましたか」

( ^ω^)「納得できませんお」

ξ゚听)ξ「納得してください」

( ^ω^)「できませんお」

ξ゚听)ξ「じゃあ死んでください」

( ^ω^)「わかりましたお」

その時、巨大なペンチが僕の頭を挟んで潰した。








( ^ω^)ブーンは天国を探すようです 終わり



173: ◆xh7i0CWaMo :2008/03/26(水) 23:11:57.15 ID:N6vzJnH10
あとがき

この話を書くのにはすごく疲れました★
まずはじめに、ブーンのキャラ付けをするのに、すっごく苦労したんです。
まぁでも、僕がこの話で一番好きなのはクーなんですが(笑

僕としては、第三話辺りが泣き所じゃないかなあって思うんですが(苦笑
みなさんはどんなことを思いましたか?????
この小説を読んで、少しでも面白いと感じてくれたら嬉しいです☆★☆

それじゃあまたたたたたたたたたたたたたたたたt

( ^ω^)ブーンは天国を探すようです 始まり

だが、彼女の言う事はもっともだ。
僕は本質を見失っていたのかも知れない。
天国に行く方法についてもっと真剣に考えるべきではないだろうか。

彼女は去り際に、僕にくまのぬいぐるみをくれた。

目が紫色に光る、とても愛らしいぬいぐるみだ。
時折、年期問題について苦言を呈する愛らしいぬいぐるみだ。

僕はそれを片手に、また天国に向かって歩き始めた。
いつの間にかまた一人に戻っていた。
生首少年は故郷に帰り着いて満足してしまったのだろう。
クーは……高ぶった男共に輪姦されているのかもしれない。いい気味だ。

第五話 終わり



戻る第六話