( ^ω^)は日々変わらないようです
- 149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:29:55.08 ID:HTy3zN5SO
- 最終話(エピローグ)
( ^ω^)は
書きます
- 152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:34:00.14 ID:HTy3zN5SO
- .
陽光が煌めき、路地裏にひっそりと佇む、飲食店。
それを明るく照らす。
その照らされた店から出てくる男、その店の店長でもあり、様々な思いを背負った男。
( ^ω^)「今日もよろしくだお」
太陽が登っただけで、まだ目覚めていない街で、一人お店に向かいお辞儀をする。
- 157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:38:46.19 ID:HTy3zN5SO
- .
男は、毎朝変わらずこの行為を繰り返していた。
店を開けてから、定休日以外の日全てだ。その行為の意味、それはただの自己満足である。
自分の夢、それを叶えてくれる店。言い換えれば、それを背負ってくれている店。
それに対しての、お礼である。
( ^ω^)「今日も一日、一緒に頑張るお」
- 159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:44:35.60 ID:HTy3zN5SO
- .
お店の中に入り、調理場へと向かう。
( ^ω^)「よろしく頼むお」
そうして、また男はお辞儀をする。今度は、調理場へ。
これもまた、毎朝、調理場へと立ち入る際にする行為である。
これの理由もまた、調理場への感謝の気持ちを形にするためだ。
そうして、彼はひたすらに一日の仕込みをする。
足りない物はないか?
それも確認した。
( ^ω^)「よし、大丈夫」
そして、黙々と仕込みを始めた。
- 161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:48:37.51 ID:HTy3zN5SO
- .
ガラララッ
最初の頃は、好きだったこの引き戸を引く音。
それは、もう聞きなれてしまっていた。
この時間に、引き戸が開くこと。それは、客の来訪ではなく、従業員の訪れだと決まっている。
(#゚;;-゚)「おはよう」
( ^ω^)「おはようだお」
- 163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:54:04.76 ID:HTy3zN5SO
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しぃは、先日働きたい。と言って、定食屋の時の調理補助をしてくれている。
元々、しぃは定食屋をする予定だったし、料理の腕も自分より上。
それに、雰囲気が変わり、夢を諦めた。と言う感じだった彼女が働きたいと言ってきたのだ。
ならば、働かせたい。
( ^ω^)「じゃ、仕込みの手伝いから頼むお」
(#゚;;-゚)「うん」
むしろ、働いてもらいたかった。
- 165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 00:59:54.69 ID:HTy3zN5SO
- .
元々は、とうに死んでしまったと思っていた人。
それに、この店を建てるにあたって、あいつら達のために頑張りたい。そう思っていた内の一人だった。
それが、目の前に現れたのだ、だったら働いてもらいたい。
そうに思ったからだ。
だから働いてもらいたかった。
( ^ω^)「しぃ、そろそろ店開けるお」
(#゚;;-゚)「うん、分かった」
( ^ω^)「そんなに忙しくはならないと思うけど……頑張るお」
- 167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:04:25.44 ID:HTy3zN5SO
- .
6時になり、店を開いた。
朝は学生が基本。
たまに、サラリーマンが訪れるくらいだ。
( ^ω^)「おっおっ」
今日は誰が来るだろうか、それが毎日楽しみだった。
朝7時くらいまで、その時間辺りまではお爺さんやお婆さんが基本の客で、味噌汁とお茶をすすり、漬物を食べて帰る程度だ。
さほど、忙しくはない。
時計を見る、時刻は7時になっていた。
( ^ω^)「そろそろ少し混み始めるお」
(#゚;;-゚)「気合い入れなきゃね」
- 169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:08:51.29 ID:HTy3zN5SO
- .
ガラララッ
客が来た。
( ^ω^)「いらっしゃいませ」
(´・ω・`)「お久しぶりです」
( ゚∀゚)「どうも、ブーンさん」
( ^ω^)「おっおっ、よく来たお」
( ^ω^)「焼魚定食と、エビフライ定食でいいかお?」
(´・ω・`)「はい」
( ゚∀゚)「はい、それで」
( ^ω^)「分かったお」
厨房へと入る。
( ^ω^)「しぃ、味噌汁とキャベツの付け合わせ頼むお」
(#゚;;-゚)「分かった、油は温める?」
- 170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:15:26.74 ID:HTy3zN5SO
- .
( ^ω^)「頼むお」
七輪の上に、鱈を乗っけた。そろそろ春になるが、今旬なのはこの魚だ。
値段は張るが、仕方がない。
自分のポリシーは、一番美味い魚を安く惜しまず。
それも全て、お客様の笑顔を見るためだ。経費は半端ない、しかし、どうにかなる。
七輪の上の、鱈に醤油をかけじっくりと焼く。
(#゚;;-゚)「油あったまったよ」
( ^ω^)「うん」
そして、次にするのは海老を揚げること。この海老も、かなり値が張る。
しかし、これも関係ない。
客の笑顔を見るために。
- 172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:19:54.72 ID:HTy3zN5SO
- .
( ^ω^)「お待たせしました」
(´・ω・`)「どうも、頂きます」
( ゚∀゚)「はい、頂きます」
出来上がった品、それを渡し、僕は彼等の前で食べる様を見る。
食べている時の幸せそうな顔、それが好きなのだ。
(´・ω・`)( ゚∀゚)「「ご馳走様でした」」
そしてこの言葉と、すぐに続く、「また来ます」や「ありがとう」の言葉を聞くと、僕は幸せな気分になれた。
疲れ等、すぐに吹っ飛ぶ。
- 173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:24:42.67 ID:HTy3zN5SO
- .
お昼が近づく、そうするとしぃの仕事はもう終わりだ。
お昼からはイタリアンレストランになる、だからだ。
(#゚;;-゚)「じゃあ、片付け終わったら帰るね」
( ^ω^)「分かったお、明日も待ってるお」
(#゚;;ー゚)「うん、分かった」
そうすると、しぃは恐るべき速度で片付けをすると、さっさと帰ってしまう。
- 175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:29:38.07 ID:HTy3zN5SO
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太陽は、頂点へと昇り、この店の中を明るく照らし出す。
定食屋からレストランに変わる瞬間。それは好きな瞬間でもあるが、同時に若干の苦痛を共に運んで来る。
( ^ω^)「いらっしゃいませ」
ΩΩΩΩ ワイワイガヤガヤ
( ^ω^)「ピッツァお一つでよろしいですか?」
( ^ω^)「あ、はい。かしこまりました」
唯一、僕はあの主婦達があまり好きになれない。
頂きますも、ご馳走様も、ありがとうございますも、何の言葉も言わないから。
- 176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:35:22.77 ID:HTy3zN5SO
- .
ピッツァを焼く、これは修行でさんざんやった。
だから慣れている。
( ^ω^)「ふむ……」
一欠、味見をする。
これも何時ものこと。
カリッ、っとした生地に、ふんだんに乗せたチーズが口の中を焼くのと同時に、もっちり。とした食感を残す。
しかし、チーズをふんだんに利用したにも関わらず、爽やかな後味が広がる。
それは、バジルによる効果。それと隠し味に使ったオリーブオイルとレモンのお陰だ。
( ^ω^)「うん、良い出来だお」
- 178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:39:51.72 ID:HTy3zN5SO
- .
( ^ω^)「お待たせしました」
ΩΩΩΩ ワイワイガヤガヤ
ピッツァをお運びしても、まったく反応はない。
そしてこの客達が帰る時、それも何も言わずに帰って行く。
( ^ω^)「ありがとうございました」
ΩΩΩΩ ワイワイガヤガヤ
ほら、やっぱり。
その時だった、
,,,,,,,Ω タッタッ
Ω「あの、美味しかったです。ありがとうございました!」
- 180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/03(木) 01:43:08.03 ID:HTy3zN5SO
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だけど、こんな風に言われるとそんな気持ちは吹っ飛ぶ。
(*^ω^)「ありがとうございました!また来てください!」
こんなことにも、些細な幸せを感じる……。
だから僕はこの仕事がやめられなかった。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 21:30:14.72 ID:cXOK7NURO
- .
夕方までの客足、それは何時も通りにあまり多くない。
それでも、太陽が紅く輝き目を刺激するようになると、その光を眼を細め眺める余裕も無くなる。
ガラララッ
从 ゚∀从「おはよーございます」
( ^ω^)「おはすー」
バイトのハインの訪れにより、忙しくなる。と言うことを実感する。
( ^ω^)「じゃ、いつも通りに頼むお」
从 ゚∀从「了解です」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 21:35:54.80 ID:cXOK7NURO
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何時ものように、彼女は看板の取り替えに行く。
簡単なことだ、ただ看板を入れ替えればいいだけ。
从 ゚∀从「終わりました」
( ^ω^)「じゃ、お客様が来るまで暇しててお」
从 ゚∀从「はーい」
そうに言うと、彼女は裏に引っ込み座りこんでいる。
料理の出来ない彼女には、それくらいしかやることがないのだ。
( ^ω^)「今日も…」
来るのか?
不意にそう思ってしまう。嫌な訳ではない、むしろ楽しみだ。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 21:42:43.55 ID:cXOK7NURO
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開店当時に思っていたことだが、自分は居酒屋での接客の仕方がわからなかった。
バーのようにただ酒を出せばいいのか、バーのように、人生相談でも受ければいいのか、と。
しかしそれでは、居酒屋ではなくバーになってしまう。
三ヶ月くらい前までは、ずっと疑問だった。それが態度に表れていたのか、居酒屋での客足は、疑問が晴れるまで増えなかった。
しかしそれは、三ヶ月前をもってして、解決した。
ガラララッ
そう、彼等が現れたからだ。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 21:47:46.89 ID:cXOK7NURO
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( ´_ゝ`)「いらっしゃった」
(´<_` )「仕方なくなんだからねっ!」
( ^ω^)「いらっしゃいだおー」
彼等が現れて、ようやく分かった居酒屋での接客の仕方。
ようやく増えた、客足。
全て彼等のお陰と言えよう。
( ´_ゝ`)「じゃ、いつもの」
(´<_` )「同じく」
( ^ω^)「分かったお」
いつもの、と兄者がする注文は『いつも出すおつまみをくれ』の合図だ。
三ヶ月近く通ってくれている、それくらいは十分に把握していた。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 21:52:14.30 ID:cXOK7NURO
- .
从 ゚∀从「お待たせしましたー」
( ´_ゝ`)「ありがとう、マイエンジェル」
(´<_` )「流石だな、キモすぎるぞ兄者」
( ^ω^)「だがそれがいい」
ポリポリ
( ´_ゝ`)「うん、美味いな」
(´<_` )「いつも通りが一番だな」
( ´_ゝ`)「うむ、確かに」
( ^ω^)「いつもいつも、ありがとうだお」
( ´_ゝ`)「なに、いーんだよ」
(´<_` )「俺達は好きで来てるからな、グリーンだよ」
( ´_ゝ`)「無茶をするな、弟者」
( ^ω^)「正直つまらん」
从 ゚∀从「死ねばいいのに……」
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 21:57:19.25 ID:cXOK7NURO
- .
何気ない会話、ただくだらない話しをするだけの会話。
彼等とはそれが出来た、単純に彼等がちょっとバカなのはあると思う。
しかし、そうだからこそ、今の自分がある。
少し違っているかもしれない、でも良かった。
僕は、飾らない僕で彼等と話せる。いつの間にか、それを他の客にもするようになっていた。
ありのままの自分で、ただ客と笑い合う。
それがいいのだと。
そう思えるようになれたから、それが居酒屋の店主として一番なのだと。
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:02:14.87 ID:cXOK7NURO
- .
( ´_ゝ`)「あ!っと驚け」
(´<_` )「見て焦れ」
( ´_ゝ`)「もうこんな時間だ」(´<_` )
( ^ω^)「知ってるお」
从 ゚∀从「はははっ、もう九時ですか」
( ^ω^)「帰る時間かお」
( ´_ゝ`)「うむ、明日も仕事だからな」
(´<_` )「そうか、そんな時間か」
九時になると、彼等は帰ってしまう。兄者曰く、疲れるから。だそうだ。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:07:35.43 ID:cXOK7NURO
- .
( ´_ゝ`)「渋さんとドクオは来ないみたいだからさ、おいとまするよ」
(´<_` )「すまんな、あまり注文しなくて」
( ^ω^)「別に構わないお、来てくれれば、それで嬉しいお」
( ´_ゝ`)「そうか、ではまた来る」
(´<_` )「待っていてくれ」
( ^ω^)「分かったお」
ガラララッ
「じゃあな」と似た声が二つ重なり、黒いスーツ姿が闇に溶けてゆく。
彼等といると、時間の経過がとても早い気がした。
ここに、渋さんやドクオがいれば、また違った楽しさがある。
それも、一日の楽しみの一つだ。今日も彼等は来るかな?と言うのが。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:11:58.30 ID:cXOK7NURO
- .
二人が去り、再び静かになった店内。時間も九時だ、そろそろいいだろう。
( ^ω^)「ハイン、今日は上がっていいお」
从 ゚∀从「あ、はい。じゃあ帰ります」
九時になれば、外は危ないからと言った理由で、ハインは帰らせる。
どんなに混んでいても、だ。
ガラララッ
从 ゚∀从「お疲れ様でーす」
( ^ω^)「お疲れ様、また明日」
从*゚∀从「はい、また明日!」
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:17:16.08 ID:cXOK7NURO
- .
そうして、また静寂は訪れる。一人になった店内は、照明に変わりはないと言うに、何故か暗く感じた。
( ^ω^)「また明日…だお」
一日の楽しみ、その一つに、ハインの存在を入れていいのだろうか?
いや、入れてもいいか。
彼女が来るだけで、雰囲気が明るくなる、どこか優しい気分になれる。
夕闇に包まれたこの店、それに太陽が特別に舞い降りている。
そんな風に思えるから。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:21:31.48 ID:cXOK7NURO
- .
ガラララッ
( ・∀・)「やぁ」
(;^ω^)「……お?」
突然の来訪者、僕はそれにとても驚いた。
( ・∀・)「何だい?とぼけた顔をして」
(;^ω^)「だって、まだ九時過ぎだお。来るのが速いお」
十時に来てくれ、と言ってあるモララーが既に目の前にいる。
何故?もうちょっと僕にゆっくり考え事をする時間をくれよ。
( ・∀・)「何を言ってるんだい?もう十時だよ」
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:26:15.40 ID:cXOK7NURO
- .
(^ω^;)「お?」
確かに、時計を見るともう十時だ。いつの間にだろうか、ハインのことを考えていただけで、一時間潰してしまった。
( ^ω^)「ふがいないお……」
( ・∀・)「まぁまぁ、いいじゃないか。後でゆっくり聞くよ」
( ^ω^)「お願いするお」
なんと、モララーは何かに気付いたみたいだ。
些細な変化を汲み取ってくれる、それがモララーの良さだ。
今晩もお世話になろう。
( ・∀・)「それじゃ、看板を入れ替えて深夜営業としようか」
( ^ω^)「今日もよろしく頼むお」
そうして、深夜営業が始まった。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:31:32.31 ID:cXOK7NURO
- .
カラカラ
時は変わり深夜、営業を終え、落ち着いた雰囲気を醸し出す店内に、いつも通りの音が響き、いつも通りの光景が見られる。
( ・∀・)「で、何を悩んでいるんだい?」
( ^ω^)「……ハインのことだお」
( ・∀・)「ハインちゃんか、てっきりしぃさんの事かと思ってたんだけどね」
( ^ω^)「ふふふ、今回は違うお」
( ・∀・)「で、具体的には何を?」
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:38:27.93 ID:cXOK7NURO
- .
カラカラ
カラカラ
乾いた音が二つ重なり、一つ「ふぅ」と溜め息が漏れた。
( ^ω^)「最近、ハインと働くのが楽しみなんだお」
( ^ω^)「疲れも感じないし、楽しくなれる」
( ^ω^)「帰り際に寂しく感じるけど……」
( ・∀・)「ほう」
( ^ω^)「どう思う?」
( ・∀・)「ふふ、何がだい?」
つくづく嫌味な男だ、分かってるくせに。
( ^ω^)「分かってるくせに、よく言うお」
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:44:05.01 ID:cXOK7NURO
- .
「んー」と言って、瞳を閉じ腕を組んでじっくりとモララーは考える。
何か思いついたのか、グラスを手に取り空にすると、こちらにしっかりと向き直った。
( ・∀・)「恋、じゃないね」
( ^ω^)「そうかお?」
( ・∀・)「あぁ、一時的な病気だと思うよ」
( ^ω^)「……病気?」
( ・∀・)「そう、病気。旧友のしぃさんと再会して、昔を思い出してしまった」
( ・∀・)「その時、楽しい思い出の中の副産物として産まれた」
( ・∀・)「伝えられなかった思いのね」
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:50:11.99 ID:cXOK7NURO
- .
( ・∀・)「だからきっと、君がまた落ち着けばそれはなくなる」
( ・∀・)「いつまでもなくならなければ、それは恋だ」
( ・∀・)「その時は頑張りたまえ」
( ^ω^)「………」
( ・∀・)「気付いているのだろう?」
( ・∀・)「自分の気持ちには」
( ^ω^)「……うん」
( ・∀・)「そうか、ならそれだけだ。僕は帰るよ」
ガラララッ
( ^ω^)「お疲れ様だお、ありがとう」
( ・∀・)「なに、気にしてないよ。お疲れ」
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:54:48.40 ID:cXOK7NURO
- .
自分勝手に自分の思うことだけを言い、彼は帰って行く。
そして、ポツン。と一人残された店内からは、何故か哀愁が漂っていた。
その空気に負け、僕はノロノロと自室へと行くとベッドに疲れた体を投げ出した。
( ^ω^)「はぁー」
考えることが、とても大きすぎる気がした。
しかし、朝は待ってくれない。
寝なくては。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 22:58:21.75 ID:cXOK7NURO
- .
( -ω-) お…
朦朧とし、朧にしか掴めなくなった意識の中で、確かに感じた何か。
しかしすぐに、それの、正体に気づく。
店に対する気持ちも、
愛せる従業員達も、
ツンへの気持ちも、
日々頑張る理由も、
どれもこれも、とても大切なのだと。
それだけを思った。
- 52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/10(木) 23:01:54.99 ID:cXOK7NURO
- .
また明日も、同じような日が来る。
旧友と共に働き、微かな幸せを感じるために、主婦に耐える。
彼女と共に働き、大きな悩みを解消するために、夜も働く。
ふと思ったけど、何も変わりのない毎日だな。
ううん、だがそれがいい。
どうやら、僕の生活は
―――日々変わらないみたいだ
end
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