( ^ω^)は日々変わらないようです
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 18:56:23.99 ID:fsM/IbshO
番外編第一話
('A`)は良いパパのようです
- 6 名前: . 投稿日: 2008/04/02(水) 19:02:36.30 ID:fsM/IbshO
- .
('A`)「ただいまー」
川 ゚ -゚)「おかえり、今日もお疲れさん」
俺はドクオ、31歳。
三流大学を出て、小さな会社に入り、息子と妻に良い生活をさせるため、日々頑張って働くサラリーマンだ。
('A`)「ミルナはもう寝たか?」
川 ゚ -゚)「あぁ、随分前に寝たよ」
('A`)「そっか………」
川 ゚ -゚)「まぁ、あんまり気にするな」
('A`)「ははは、分かってるよ」
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:07:16.73 ID:fsM/IbshO
- .
そんな俺には悩みがある、給料が安いだとか、お小遣いとかそんなんじゃない。
息子、ミルナのことだ。
('A`)「今日は、ミルナ何か言ってたか?」
川 ゚ -゚)「ん……、テストで良い点取ったらしいぞ」
ほれ、と言ってみせられたのは、89点と採点してあるテスト。
おぉ、確かに良い点だ。
('A`)「そのことで、もっと何か言ってなかった?」
川 ゚ -゚)「いや、何も」
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:10:52.28 ID:fsM/IbshO
- .
('A`)「そっか……」
いや、いいんだ。これは既に、何時もの事。
仕方がないと思う、朝だってミルナが起きるより早く仕事に行き、帰りはミルナが寝る頃だ。
ミルナは、俺と会話はおろか、しばらく顔も会わせていない。
仕方ないだろう。
( -д- )...zzZ
('A`)「ミルナ……」
俺はこうして、ミルナの寝顔を見てはいるが、ミルナは俺の顔を見ていない。
………ごめんな。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:15:57.62 ID:fsM/IbshO
- .
ミルナが中学生にでもなれば、俺は毎日頑張って働く、尊敬できるお父さんになれるだろう。
でもそれは、将来のことだ。
今は、父親の愛情と言う物を知らずに、分からずに育っている。
それじゃ……駄目だ。
川 ゚ -゚)「なぁ、ドクオ」
('A`)「ん、何?」
川 ゚ -゚)「来週は………わかるよな?」
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:20:30.27 ID:fsM/IbshO
- .
来週………?
結婚記念日じゃないし、俺の誕生日でもない。
えーっと……
('A`)「ミルナの誕生日か」
そうだ、ミルナの誕生日だ。去年、急用で祝ってやれなかった……
ミルナの誕生日だ。
川 ゚ -゚)「そうだ、去年はドクオがいなくて、ミルナは泣いてたんだぞ?」
川 ゚ -゚)「何が言いたいか……わかるか?」
('A`)「………ああ」
川 ゚ ー゚)「しっかりしてくれよ、パパ」
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:25:02.74 ID:fsM/IbshO
- .
ミルナの誕生日か、ミルナも、もう八歳になるんだな。
('A`)「……誕生日プレゼント、必要だよな」
当たり前だよな、誕生日だもんな。
でも、何をプレゼントしたらいいか、わからない。
クーと付き合っている時は、まだよかった。
その時も、何をあげたらいいか悩んだ、けどその時は友達に聞けば、全て解決した。
しかし、今は違う。
会社の同僚に、子持ちは少ない。それが、さらに俺を悩ませた。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:28:35.65 ID:fsM/IbshO
- .
寝てる時も、会社にいる時も、俺は悩み続けた。
しかし結局、答えなど出ず、俺は気付いたらあそこへと足を運んでいた。
ミルナは起きているだろうか?いや、もう22時だ。ミルナはもう起きていないだろう。
だったら、寄って行っても支障はないだろう。
あ、見えた。
【バー ブーン】
('A`)「この時間は、バーになるんだ……」
ガラララッ
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:31:24.05 ID:fsM/IbshO
- .
( ^ω^)「いらっしゃいませ」
从 ゚∀从「いらっしゃいませー」
('A`)「よう、お邪魔するよ」
( ^ω^)「お、よく来たお」
('A`)「あぁ、ちょっと相談があってな……」
从 ゚∀从「とりあえず、ご注文をどうぞ」
('A`)「あー、ピーナッツだけで」
从 ゚∀从「かしこまりましたー」
( ^ω^)「ハイン、よろしく頼むお」
从 ゚∀从「少々お待ち下さい」
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:34:51.75 ID:fsM/IbshO
- .
ポリポリ
ポリポリ
運ばれて来たナッツを、疲れで重い腕を使って口に運び、俺は一日の疲れを味わう。
( ^ω^)「で、相談て何だお?」
('A`)「あぁ、今度さ息子が八歳になるんだ」
从 ゚∀从「そうなんですか、おめでとうございます」
('A`)「それでさ、誕生日プレゼントを買おうと思ってるんだけど……」
('A`)「何をプレゼントしたらいいかな?」
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:39:30.16 ID:fsM/IbshO
- .
同僚に相談したら、そんなのは悩みに入らない、何でもいいんじゃないか?
と言っていた、しかし、この店では違う。ちゃんとアドバイスをくれる、それがこの店の良いところだろう。
从 ゚∀从「俺が思うに、気持ちが籠ってればいいんじゃないですか?」
('A`)「確かにそうなんだけどさ、ただ気持ちを籠めた物は、息子が飽きちゃったら……」
('A`)「意味ないと思わない?」
( ^ω^)「んー、それもそうだお」
('A`)「だからと言ってさ………」
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:43:02.50 ID:fsM/IbshO
- .
その後、一つアドバイスをくれてハインちゃんは帰ってしまい、俺とブーンの二人で一時間近くに渡り、相談を続けていた。
その結果、素晴らしい案が出た。気持ちも籠められる、恐らく飽きずに使ってくれる。
('A`)「それで、決まりだな」
( ^ω^)「おっおっ、そう言ってくれると嬉しいお」
('A`)「ははは、流石ブーンだな」
( ^ω^)「どういたしましてだお」
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:46:45.80 ID:fsM/IbshO
- .
('A`)「ん…、もうこんな時間か」
時計を覗き込むと、既にもう時間は23時だった。
やっぱり、一時間近く話していたのか……
クーに怒られるかも。
('A`)「ごめんな、ブーン。ピーナッツだけで長居しちゃって」
( ^ω^)「全然いいお、そう思ってるなら、息子の事を自慢しにまた来いお」
('A`)「あぁ、分かったよ」
ガラララッ
('A`)ノ「それじゃ、また」
( ^ω^)ノ「ありがとうございました」
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:51:53.92 ID:fsM/IbshO
- .
それにしても……とても良い考えだ、これなら喜んでくれるだろう。
ちょっと俺は嬉しくなって、クーにも満面の笑みで話した。
川 ゚ -゚)「なるほどな」
('∀`)「だろ?だろっ?」
川 ゚ -゚)「まぁ、明日ちゃんと買って来いよ」
('∀`)「あぁ!めちゃくちゃ楽しみだぜ」
川 ゚ ー゚)「ふふふ、あの子も幸せ者だな。一回でプレゼントが二つだなんて」
ミルナの喜ぶ顔、それを頭の中に思い浮かべると、夜も寝られなかった。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:56:12.11 ID:fsM/IbshO
- .
…ミルナ誕生日当日。
( ゚д゚ )「母さん、今日は父さんも来るのか?」
川 ゚ -゚)「あぁ、来るぞ。もうちょっとしたら、来るはずだ」
( ゚д゚ )「そうか、父さんと話すのは久しぶりな気がする。何だか緊張するな」
川 ゚ -゚)「何を言ってるんだ、君の父さんなんだ、何時も通りでいい」
( ゚д゚ )「むぅ、それもそうだな」
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 19:59:05.16 ID:fsM/IbshO
- .
「ただいまー」
川 ゚ -゚)「む、帰ってきたみたいだ」
( ゚д゚ ) ドキドキ
川 ゚ -゚)「お疲れ様、って言うんだぞ」
(;゚д゚) ドキドキドキ
(;'A`)「ただいま…。すまん、遅くなった……」
川 ゚ -゚)「おかえり、お疲れ様だな」
( ゚д゚ )「おかえりなさい、お疲れ様です父さん」
('A`)「ミルナ……」
( ゚д゚ )「何ですか?父さん」
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:02:24.39 ID:fsM/IbshO
- .
自分の息子、あんなにも可愛かった自分の息子、カーチャン……あんたの孫は、大人っぽい子です。
(*'A`)「八歳の誕生日、おめでとう!」
川 ゚ -゚)「先を越されたか……。ミルナ、私からも」
川 ゚ ー゚)「八歳の誕生日おめでとう」
(*゚д゚)「あははは」
川 ゚ ー゚)「私からの誕生日プレゼント、それは……」
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:08:24.13 ID:fsM/IbshO
- .
そうに言って、クーが冷蔵庫から取り出したのは、小さなケーキ。
真っ白な生クリームによって、スポンジは化粧されていて、その美しい白の上には、まるで主役だと言わんばかりに赤く、膨れ上がった苺が乗っている。
そして中心には、ガトーチョコラがちょこんと乗り、それにホワイトチョコで文字が書かれている。
【ミルナ八歳 誕生日おめでとう】
と。
川 ゚ ー゚)「私の手作りだ、気に入ったか?」
(*゚д゚) コクコク
ミルナは、その子供には魅力的すぎるケーキを見て、とても喜んでいるのだろう。
顔には笑みらしきモノが浮かんでいる。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:13:43.17 ID:fsM/IbshO
- .
(*'A`)「ミルナ、これは俺からのプレゼントだ」
(*'A`)つ□
(*゚д゚)「これは……?開けてもいいですか?」
(*'A`)「あぁ、いいぞ!」
そうすると、ミルナは俺から渡された箱の包装を破り、とても嬉しそうな顔でそれを開けようとしている。
気に入ってくれるだろうか?
あぁ、結構ドキドキするな…
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:17:16.29 ID:fsM/IbshO
- .
(*゚д゚)「わぁ………」
ミルナが、感嘆の声をあげる。その両手には、俺からのプレゼントを抱きしめている。
(*'A`)「どうだ、気に入ってくれたか?」
(*゚д゚)「はいっ!」
ミルナは本当に嬉しそうな顔で、良い返事をした。
あぁ、俺は幸せだ……
(*゚д゚)「こっちの大きいのは、父さんの?」
(*'A`)「あぁ、二人でできるようにな」
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:21:48.00 ID:fsM/IbshO
- .
そうに言うと、さらにミルナの表情は明るくなった。
(*゚д゚)「……!父さん、父さん」
(*'A`)「ん、何だ?」
(*゚д゚)「早速やりましょう、お願いします!」
そして、ミルナが両手で抱いていたうちの、大きな方。
そう、大きい方のグローブを俺に手渡し、未だ箱の中に入っていた白球を取り出した。
(*'A`)oO(行ってきていいかな?)
チラリ、とクーを見た。
川 ゚ ー゚)
よし、行こう。
(*'A`)「よし、行くぞミルナ!」
(*゚д゚)「はいっ!」
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:29:12.23 ID:fsM/IbshO
- .
真っ暗な町で、一人の男と少年が白球を追いかけている。
男は思っている、プレゼント喜んでくれて良かったな。でも、もう一つプレゼントがあるんだ。と。
そのプレゼント、それは、男から少年への、男と少年のためのプレゼント。
それは少年にとっての、最高のプレゼントだ。
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:33:50.51 ID:fsM/IbshO
- .
(*'A`)「父さんな」
パシッ
(*'A`)「毎週日曜」
パシッ
白球に想いをのせ、一言叫んではボールを投げる。
(*'A`)「だから……」
パシッ
(*'A`)「これからは、毎週遊んでやるからなっ!」
そして、白球を投げる。
しかし、白球は少年の手に入ることは無く、地を転がった。
そして、一人の男と一人の少年。
その二つの影が重なった。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/02(水) 20:37:21.80 ID:fsM/IbshO
以上で番外編
('A`)編おしまい。
次のお話しは
21時から始めます。
それまで質問受け付けますね。
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