( ^ω^)ブーンが大仕事を成し遂げるようです

916: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 19:17 CbxzGCnbO
  

5-chapter4(3)


(; ^ω^)「なっ…何だお!?」

思わず目を丸くするブーン。

(*゚∀゚)「ア-ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

彼女が手にしているものは、先程までの赤い刃を持つ大鎌ではなかった。
本来の刃とは別に、柄の先端にもう一つの刃を持ち
計二つの巨大な刃を上下左右対称に突き出させた、言わば諸刃の大鎌。
そして刃・柄は共に赤、青、緑、黄―――
複数の色が混ざり合ったようであり、しかし暗く不気味に輝いている。
眺めているだけで精神を掻き乱されそうになる存在だ。



917: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 19:23 CbxzGCnbO
  

(*゚∀゚)「これぞロストの真の姿! どうだっ!」

より不気味なオーラを放つ大鎌を振り回しながらやかましく叫ぶつー。

(; ^ω^)「どうって言われても…もはや趣味が悪いってレベルじゃないお…気持ち悪いお」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ…どうも。
     けど凄いのは外見だけじゃないよ?」

変化した大鎌を薙ぐように投げる。
それは横に高速回転しつつ宙で停滞し、二つの刃から同色の刃を乱射。

(; ^ω^)「ちょ、どうすりゃいいお!」

よく見ると横に刃を発しているだけなので、単に避けるならば飛行能力で十分に回避可能。
だがブーンの後方にはキルサタンを修復すべく意識を集中しているしぃがいる。



918: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 19:49 CbxzGCnbO
  

( ^ω^)「しぃ! 今は避けるお!」

ブーンが振り返ると、しぃは既に身構えており
その手には銀色の鎖。

(*゚ー゚)「…丁度今修復が終わったところよ、受け取って!」

しぃはブーンへ鎖を渡しつつ、即座に光の壁を呪文で作り出し身を護る。

( ^ω^)「おっ、これがあれば!」

ブーンはキルサタンを受け取ると同時に飛翔し、不気味な刃を回避。

(*゚∀゚)「へぇ…よくよけたね」

刃による猛攻が収まり、大鎌はつーの手元へ戻る。
ブーンはそれを確認し、地に降り立つ。

( ^ω^)「…にしても直すの早かったおね」
(*゚ー゚)「再生呪文の力を物質に応用して流し込んだら案外簡単に修復出来たわ。頑丈な割に加工しやすいみたい」
( ^ω^)「よくわかんないけど感謝するお!」



919: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 19:53 CbxzGCnbO
  

だが気は抜けない。
恐らくつーは現在本気状態だ。
そして数ではこちらが上回っていても、戦闘経験や攻撃のバリエーションは彼女の方が遥かに上。

( ^ω^)「(…出現位置を割り出して一気に叩くしかないお!)」

鎖鞭を大剣へと変化させる。
本来ブーンに大剣を軽々と振り回せる程の力はないが、キルサタンは術者に応じてその重量を変化させ
しかもそれによって威力や耐久力が大きく落ちることはない。
村を護ることを目的として作られただけに、それは如何なる場合でも力を発揮するのだ。



920: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 19:55 CbxzGCnbO
  

( ^ω^)「しぃ!」
(*゚ー゚)「はい!」

ブーンの考えを把握したのか、しぃは雷をつー目掛けて放ち―――しかし回避される。
先程と同じ状況だが

(# ^ω^)「おっ!」

ブーンはすぐさま振り返り、銀色の大剣を力一杯振り回す。
すると鈍い音と共に、それを受け止める何か。

(*゚∀゚)「…ッ!」

瞬間移動でブーンの背後へ忍び寄ろうとしていたつーの持つ大鎌が大剣を押さえ、鍔迫り合いとなる。
ギリギリと、刃と刃が擦れ合う音が鳴り響く。

(*゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャ!」
(; ^ω^)「くっ…!」



921: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:00 CbxzGCnbO
  

狂気に満ちた彼女の高笑いは、それだけでブーンに対し恐怖心を植え付けてくる。
だが一瞬でも手を緩めれば、その瞬間切り裂かれる。

(; ^ω^)「(怖くない怖くない怖くない……!)」

怯んだらその時が終わりだ、と自分に言い聞かせる。
そして、その不屈の精神がブーンを動かした。

( ^ω^)「僕も男だお。これくらいじゃ…」
(*゚∀゚)「!」

さらに力を加える。

(# ^ω^)「 負 け な い お ! 」

次第に大剣が大鎌を押している。

(*゚∀゚)「(…なんつー馬鹿力!)」



922: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:05 CbxzGCnbO
  

危険を悟ったのか、つーは後方へと跳ぶ。

(*゚∀゚)「じゃ、これならどう?」

ロストを前に突き出し、手を放す。
しかしそれはロスト自身の意志により宙に停滞。

( ^ω^)「(…今後は何が来るお?)」
(*゚∀゚)「よーし…巻き起これよ、破壊の強風!」

命令と同時にロストがプロペラの如く高速で回転。
それによって発生するのは凄まじい突風だ。
ブーン達からすれば向かい風となり、立っていることが辛くなる。

(; ^ω^)「やばっ…飛ばされるお!」
(*゚ー゚)「地面をしっかり踏んで!」

何とか吹き飛ばされずにその場を維持するブーンとしぃ。
だが、強風を発しているのはあくまでロスト。
つーの両手は自由であり――

(; ^ω^)「…!」

見る。
超高速回転をしているロストの後ろにいるつーが、両手に多数の黒い刃を構えたのを。



923: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:08 CbxzGCnbO
  

(*゚∀゚)「いっくよー…『Blood Rose』!」

言葉と同時に魔光刃を宙に放り投げる。

( ^ω^)(*゚ー゚)「!」

刃は一瞬でブーンとしぃを包囲。
あの刃の乱舞を放つつもりだ。

(; ^ω^)「(まずい、お!)」

刃を打ち払う態勢をとろうとするが、強風に阻まれてうまくいかない。

( ^ω^)「(今の状態では刃を壊すことは出来ないお…
      回避出来る場所はないのかお?)」

強風に耐えつつ辺りを見渡す。
だが

(; ^ω^)「(…くそっ!)」

駄目だ。
自分達が回避運動を行うことの出来る範囲に対し、魔光刃の数が遥かに多く
さらに強風の影響もあって回避することは不可能に近い。



924: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:11 CbxzGCnbO
  

(*゚ー゚)「本当にまずい…わね」

しぃも、この絶体絶命ともいえる状況からの突破口を探し倦ねていた。
彼女が作り出す光の壁は、術者の背後までは護ってくれない。
そして刃はいつ自分達に牙を剥くか解らず、
さらにはしぃの周囲360度、どこから刃が飛んできてもおかしくない状況。
万が一背後からは攻撃が来ないとしても、無数の刃を全て打ち消す前に壁が壊されるだろう。


つーはというと、この様子を眺めたまま何もしてこない。

(*゚∀゚)「(…どうするもんかねぇ)」

それは二人がどうやって攻撃を凌ぐかを試しているかのようだ。



925: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:18 CbxzGCnbO
  

(; ^ω^)「(これでは殺され……待てお?)」

ブーンは何かを思い出した。
それはかつて実際に見たことのある、あまりにも反則的な力。

( ^ω^)「(かなり危険だけど…しぃを信じてみるお。
      一か八か、最後の手段だお!)」


( ^ω^)「しぃ、君は自分の身を護れお」
(*゚ー゚)「…貴方は?」

ブーンは一旦言葉を止め、しかしすぐに口を開いた。

( ^ω^)「…受け止めるお」
(;*゚ー゚)「…え?」
( ^ω^)「僕が刃を受け止めるお」

しぃは驚きつつ、

(*゚ー゚)「貴方正気!?
     そんなことしたら貴方の身体が持たないわよ!」
( ^ω^)「解ってるお。だから死なない程度に僕もある程度身を護りながら攻撃を受けるお。
      …そして僕が攻撃から耐えた後で君に頼みたいことがあるお」
(*゚ー゚)「…何?」
( ^ω^)「それは、君の力――」」
(*゚ー゚)「…! そういうことね」

ブーンが言い終わる前に、しぃは納得したように頷く。



926: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:22 CbxzGCnbO
  

ブーンはしぃに全てを伝えられたとわかると、少し安堵の表情を見せる。

( ^ω^)「危険ってレベルじゃないけど、もうこれしかないお。だから君に任せるお!」
(*゚ー゚)「わかったわ…死ぬんじゃないわよ?」

ブーンは強風を巻き起こしている大鎌の後ろにいるつーへ向かって叫ぶ。

( ^ω^)「さあ、どっからでもかかって来いお! いらっしゃいませー!」
(*゚∀゚)「(! 何する気だろう?)
     まあ今にわかるか…殺っちまいな!」

殺戮命令と同時にブーン達を包囲していた魔光刃が、一斉に刃を向けて迫る―――



927: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:29 CbxzGCnbO
  

魔光刃はブーン達へと飛び込んでいき、やがて血にまみれて次々と飛び出し、そして消えていく。
つまり攻撃は二人に命中しているはず。

(*゚∀゚)「…ってことはマジで死んだかもなこりゃ」

強風を止め、様子を見る。
だが予想とは違った。

(*゚∀゚)「?」

それはしぃの身を切り裂いていなかったのだ。
原因は――

(; ゚ω゚)「ぐぅぅ…!」

なんとブーンがしぃを護るような形で立ち尽くしている。
その身体には幾つもの切り傷、そして出血。

(*゚∀゚)「馬鹿じゃないの…!? 刃を全て一人で受けるなんて…」
(; ゚ω゚)「これで…いいんだお…」

全て刃が消えたことを確認し、安堵の声と共に倒れるブーン。
全身に痛々しい傷が多数あるが、致命傷となるものはないようだ。



928: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:34 CbxzGCnbO
  

それを見たしぃは倒れたブーンへと近寄り

(*゚ー゚)「今後は私の番ね…!」

ブーンの身体に手を当て、何やら呪文を唱え始める。

(*゚∀゚)「あれあれあれ…?」

つーは唖然とした様子でこれを眺めている。
それもそのはず、なんとブーンの傷がみるみる塞がっているのだ。
そして

(*゚ー゚)「はい、お待たせ致しましたー
     まもなくブーンの復活です」
( ^ω^)「イヤッッホォォォオオォオウ!
      元気100%だお!」

何事もなかったかのようにブーンは飛び起きた。



929: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:38 CbxzGCnbO
  

かつてモララーを辟易させた、傷を再生する魔法。ブーンもその存在を覚えていた。
避けられないならば、敢えて自分が攻撃を受け止める。
ブーンはしぃの力の存在を前提に、危険な賭けに出た。

要は致命傷を負わぬよう攻撃に耐えられればそれでよかった訳で、
死にさえしなければしぃが再生してくれる。

こうなれば、後は刃を全て受けて生き延びれるかの問題。
いくら傷を再生できるとはいえ、死者を生き返らせることは出来ない。
だが結果的に、ブーンの体力と身の防御が魔光刃に打ち勝ったのだ。

( ^ω^)「厄介な力も、味方に回すと心強いお!」
(*゚ー゚)「でも…まだ気は抜けないよ?」
( ^ω^)「解ってるお!」

油断することなく構える。

(*゚∀゚)「雷撃ったり傷治したり…アレが魔法ってやつか。
     あの女の力…うらやましいなぁ」

そんなことをつーが呟いていることは二人の耳には入らなかった。



930: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:45 CbxzGCnbO
  

(*゚∀゚)「さて、そろそろ攻撃していいかな?」
( ^ω^)「(…来るおね)」

一刻も早くつーを倒し、魔獣も退治しなくてはならない。
少しだが、ブーンは焦っていた。

( ^ω^)「おっしゃ、かかって来いお!」
(*゚∀゚)「ではお言葉に甘えて!」

再びロストを宙で超高速回転させ、強風が巻き起こる。

(; ^ω^)「(またかお!
      でも――!)」
(*゚∀゚)「!」

強風の抵抗を受けながらも、少しずつ前進。

(# ^ω^)「雨にも負けず…風にも負けずっ!」

そして地を強く蹴り、飛翔。

( ^ω^)「上から攻めれば強風の影響は受けないお!」

ロストは地上のブーンとしぃに対して強風を放っている。
ゆえにロストと同じ高さの位置へいなければ回避可能だ。

(*゚∀゚)「考えたな!」

つーはロストを止め、その柄を握り飛翔。

(*゚∀゚)「ならこっちからも!」
( ^ω^)「来たおね!」

再び大剣と大鎌がぶつかり合う。
だが、接近戦ならばブーンの方が若干有利だ。



931: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:49 CbxzGCnbO
  

鍔迫り合いをしながら、ブーンはその相手へと話しかける。

( ^ω^)「つー…あの時僕達に見せた君の優しい心はどこに行ったんだお?」

思わぬ問いかけに、つーは一瞬戸惑うような表情を見せる。
そして

(*゚∀゚)「うん…そのことについては本当に申し訳ないと思ってるよ。冗談抜きで。
     けど――」

彼女は一度ブーンから距離をとり

(*゚∀゚)「戦闘中はそういうことは忘れることにしてるのさ!」



932: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:51 CbxzGCnbO
  

彼女の姿が消える。

(; ^ω^)「ッ!」

見えない何かが迫ってくるような感覚に襲われ、闇雲に大剣を振るう。
次の瞬間、金属音が鳴り響いた。
大剣の先には、大鎌の刃。

(*゚∀゚)「凄いねぇ…
     魔界の不良集団なんかは今ので簡単に辻斬り出来ちゃうのにアンタときたら!」
(; ^ω^)「(偶然だお…)」

今は運良く防御することが出来たが、次はこうはいかないだろう。
地上ではしぃが狙いを付けようと、つーに向けて杖を向けている。
だが単純に雷を放っても回避されることは目に見えており、
この位置ではブーンに雷が命中してしまう危険もあった。
しぃ本人もそれを想定してか、なかなか雷を放とうとしない。

( ^ω^)「(やっぱり空中は危険だお…)」

再び地に降り、接近戦に持ち込む方が得策のようだ。



933: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:55 CbxzGCnbO
  

( ^ω^)「(そうと決まれば!)」
(*゚∀゚)「?」

ブーンは一気に急降下し、地に降り立つ。
つーは未だ夜空に停滞したまま、こちらへ目を向けている。

( ^ω^)「…とりあえず降下中に攻撃はされなかったお」

ブーンは一安心。
だが、それも束の間。
こちらへと目を向けていたつーの姿が突如消え――

(*゚∀゚)ノ「や!」
(; ^ω^)「おわっ!?」

一瞬でブーンの目の前に現れた。



934: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 20:59 CbxzGCnbO
  

(*゚∀゚)「もう逃がしゃせんよ?」
( ^ω^)「僕だって、逃げる気なんてさらさらないお!」

堂々と言い返すブーン。
するとつーは感心した様子で

(*゚∀゚)「へぇ、人間って私が思ってた以上に勇敢なんだね。惚れちゃいそうだよ全く!」
( ^ω^)「お……!?」

言葉が途切れる。

(*゚ー゚)「…?」

( ^ω^)「……」
(* ^ω^)

何故か無言で顔を赤らめるブーン。

(#*゚ー゚)「…(こんな時に何やってんの!)」

それを見て、怒りを露わにしつつ無言でブーンに歩み寄るしぃ。
そして

(#*゚ー゚)「ちょっとこいつ借りていい?」
(*゚∀゚)「え…うん、殺さなけりゃ何したっていいよ」
(*゚ー゚)「よし」
(; ^ω^)「えっ、ちょっおまqあwせdrftgyふじこlp」


「ギャー!!」


…戦闘は一時中断された模様。


(*゚∀゚)「(…人間ってよく解らないなぁ)」



935: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:02 CbxzGCnbO
  

(数十秒後)


(# ^ω^)「今度こそ、今 度 こ そマジにいくお!
      つー、早く続きいくお、一刻も早くだお! でないと…」
(*゚ー゚)「(やっとマジになった…この脳天気は何とかならないのかな)」

再び戦場へと足を踏み入れるブーン。
先程の妙な雰囲気は消え去り、周囲に冷たい空気が流れ始める。

(*゚∀゚)「そうそう…!
     この雰囲気こそ私が求めていたものだよ!」

ブーンは無視。

( ^ω^)「…いくお」

大剣を構え、つーの出方を警戒しつつ接近。
対し、つーは

(*゚∀゚)「避けてばっかじゃつまらないよねぇ…少しはぶつかってみるか!」

スキップをするかのような軽い足取りでブーンへと向かう。



936: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:04 CbxzGCnbO
  

二人の距離はすぐに狭まり――

( ^ω^)「おっ…!」

先手を取ったのはブーン。
相手が攻撃範囲内に入るや否や、大剣を横に振るう。
だが、つーは

(*゚∀゚)「甘いなぁ」

声と同時に大鎌の刃で大剣を払い

(*゚∀゚)「もう一発!」

そのまま大鎌を回転。
それによりブーンの喉元へ迫るのは、柄の先端に付けられたもう一つの刃。

(; ^ω^)「やばっ!?」

慌てて身を屈める。
次の瞬間、ブーンの真上を巨大な刃が通過。

(; ^ω^)「怖っ!」



937: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:07 CbxzGCnbO
  

だがそれだけでは終わらない。

(*゚∀゚)「君、隙だらけだよ?」

すぐさま上から下へと刃が振り下ろされる。

(; ^ω^)「おわっ…!」

地を転がり回避。
そして命中に至らなかった大鎌は、勢い余り地面に深々と突き刺さる。

(*゚∀゚)「あー…」

つーは地に刺さった大鎌を見下ろすが

(*゚∀゚)「抜けろ!」

命令と同時に、大鎌は地からいとも簡単に抜けた。
だがその時には――

(*゚∀゚)「がは…ッ!?」
( ^ω^)「おっ!」

いつの間にか再び鋭い突起物を突き出させた銀色の篭手を装着したブーンが、つーへ正拳突きを繰り出したのだ。
彼女は避ける間もなく拳をまともに受け、吹っ飛び、地を転がる。



938: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:09 CbxzGCnbO
  

( ^ω^)「やっぱり僕は『斬』より『打』だお!」

攻撃が見事に決まった為か、半ば嬉しそうに言い放つブーン。
対し、つーは

(*゚∀゚)「ごほごほっ…やったなぁ…!」

すぐさま立ち上がり、大鎌を構え直して再びブーンへと接近を開始する。

(*゚∀゚)「今度はこっちの番だよ!」
(; ^ω^)「わっ、来るお!」

――が、それには至らない。

(*゚∀゚)「!」

突然つーの姿が消え、直後彼女がいた位置を雷が通過。

(*゚ー゚)「私がいることを忘れてもらっちゃ困るわ」

ブーンから少し離れた位置でしぃが杖を掲げていた。

( ^ω^)「おっ、ナイスフォローだお!」
(*゚ー゚)b「……」

無言で親指を突き立てるしぃ。
そしてそのままの表情で

(*゚ー゚)「警戒して」
( ^ω^)「おっ…そうかお」



939: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:12 CbxzGCnbO
  

またもや、つーはなかなか姿を現そうとしない。
どこからこちらの様子を眺めているのか。

(*゚ー゚)「恐らく…今の奴の狙いは貴方よ。だから貴方は特に注意を払わなくちゃ」
( ^ω^)「そうは言ってもどこにいるのか――」

言いかけたとき。

「アヒャヒャヒャ!」
( ^ω^)「!」

つーの声。
反射的にブーンは振り返る。

(; ^ω^)「なっ――!?」

――そこにつーの姿はない。
では、どこに――

(*゚∀゚)「はい、残念でしたー」
(;*゚ー゚)「…え!?」

つーが現れた位置は、しぃの背後。
しぃはブーンに攻撃が来るものと思い込み、ブーンの背後へと注意を向けていた。
ゆえに対応が遅れ――

(*゚∀゚)「やっぱさ、遠距離から攻撃されると厄介な訳だよ。
     だからちょっと寝ててくれない?」
(*゚ー゚)「!?」

しぃへと指を向ける。
次の瞬間、見えない何か――
衝撃がしぃの脳内を駆け巡り、彼女は気を失った。

(; ^ω^)「そ…それは僕が喰らったのと同じ…」
(*゚∀゚)「相手の脳を一時的に麻痺させて気絶させる攻撃…って言えばいいのかな?
     …さあ、これからどうするよ?」
(; ^ω^)「くっ…」



940: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:16 CbxzGCnbO
  

まずい。
強力な戦力であるしぃが止められた今、攻撃の矛先は必然的にブーンへと向けられる。
そして彼女がいつ戦闘に復帰するのかも解らない。

(*゚∀゚)「そろそろ終わりにしようか!」

瞬時に現れた魔光刃をブーン目掛けて投げつける。

( ^ω^)「もうそれは通用しないお!」

すぐさま叩き落とす。
が、魔光刃を全て破壊し、つーがいた位置を見るとそこにいたはずの彼女が消えている。

( ^ω^)「どこだお!?」

慌てて振り向くが、いない。

(*゚∀゚)「……」

―――否、彼女は翼を広げて空高く真上へと飛翔していた。
だがブーンはそれに気付かない。
瞬間移動或いは姿を見えなくしていると思い込み、未だ周囲を見回している。



941: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:17 CbxzGCnbO
  

そんなブーンをつーは空から見下ろしつつ、大鎌の柄を両手で握り

(*゚∀゚)「ア-ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

全てを破壊する勢いで諸刃の大鎌を回転させつつ急降下。
狙いは真下にいるブーン。
その距離は瞬く間に縮まる。

(; ^ω^)「う、上…!?」

ブーンはようやく気付くが、間に合わない。

(*゚∀゚)「これで終わりだよ…辻斬り! アヒャ!」

回転と急降下により勢いを増した大鎌を、殴りつけるようにブーンへと―――



942: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:20 CbxzGCnbO
  

――が、それは叶わなかった。
原因はブーンを護るかのように突如現れた橙色のドーム。

(*゚∀゚)「…?」

この橙色の物体には見覚えがあった。
つーにも、そしてブーンにも。

( ^ω^)「こ…これは…バリアかお?」

身体を切り刻まれそうになっていたブーンは恐る恐る周りを見回している。

ブーンにはこのようなものを生成出来るはずはなく、しぃは現在気絶している。
仮に気絶していなくとも、彼女はドーム状のバリアを発生させることは出来ないはずだ。
では、一体誰が?



943: ◆wAHFcbB0FI :05/06(日) 21:25 CbxzGCnbO
  

それはすぐに明らかとなる。

「『バリア装置Mk-2』
 …念のために持ってきたのさ。間一髪だったね」
( ^ω^)(*゚∀゚)「その声は!」
( ・∀・)「…これまでのバリア装置を改良したもので、遠距離の者に対してもバリアを張ることが出来、耐久力も増した。
     反動を相手に返すカウンターシステムも入れる予定だったけど、生憎これはプロトタイプなんでね」

長々と解説をしながら現れたのは小型の機械を手にしたモララー。

(*゚∀゚)「まーた君か。
     命拾いしたのにまたやられに来たのかい?」
( ・∀・)「ハハ、科学者は諦めが悪くて何事にも懲りず、そして蛇みたいに執念深くてしぶといものさ。
     僕のようなマッドサイエンティストは特にね」
(; ^ω^)(;*゚∀゚)「そこまで言うか…」


戦いは、まだ続きそうだ。



戻る