(´・ω・`)のバーボンハウスのようです

72: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:18:10.66 ID:n5ok9DQh0
きっと俺には、どこにも居場所なんか無い。





番外編 ('A`)



73: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:18:29.95 ID:n5ok9DQh0
( ^Д^)「おい、ドクオ!ちょっといつものやってくれよ!!」

<ヽ`∀´>「早く見せるニダ!!」

(;'A`)「え……あ………」




( 'A`)  イキルノマンドクセ
 ノ( ヘヘ



74: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:20:28.48 ID:n5ok9DQh0
<ヽ`∀´>「ウェー、ハッハッハwwwマンドクセとは傑作ニダwwwww」

( ^Д^)「お前すごいぜ!それだけだけど!!!」

俺がいつものようにそれをやらされると、教室がにわかに活気づいた。
彼らDQNの嘲笑だけでなく、クラスメイト達も見下したような眼でこちらを見ている。

('A`)(なんだよ……、こんなことの何が面白いんだよ……)



75: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:20:42.56 ID:n5ok9DQh0
そう心の中で思っていても、口には出さない。
そんなことしたって、状況は良くならないばかりか、悪化するのは目に見えてるから。

中学校に入ってからまだ一ケ月と経たぬうちに作られたパラーバランスは、もう決して変えることはできないだろう。

もともと人づきあいが巧いタイプではないのは、自分でもよくわかっていた。
小学校では幼なじみも一緒だったので、それで困ることはなかった。

彼女のおかげで友達も増え、周りの皆よりも勉強もでき、むしろ充実した小学校時代を送れたといえる。



76: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:05.11 ID:n5ok9DQh0
そして、失敗した。
自分の力を過信しすぎた結果であることは分かっている。

心配するクーに見栄を張り、ランクが一つ上の中学校に入学したのだ。

そこには口下手な自分を気遣う世話やきなどおらず、俺はそう長い時を待たずに、“学校”というものが嫌いになった。

やがて1年が過ぎたが、結局クラス替えでもプギャー達と離れることはなく、そしてそのことに対しても別に何も感じなくなってしまった自分がいた。



77: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:18.73 ID:n5ok9DQh0
昼休みはずっと、プギャー達にからかわれながら過ごす毎日だった。
弁当を食べながら、そして、食べ終わっても。
執拗に茶化してくるプギャーとニダーにうんざりしながらも、日課のように毎日を過ごしていた。

( ^Д^)「このウインナー、もらうぜ」

<ヽ`∀´>「ホルホルホル!この卵焼き、ウリの家のほうがよっぽど美味しいニダ!!」

もう食事をしていても、味など分からない。
砂を噛むような、ただの作業としての食事。

考えてみると、この中学に入ってからの1年間で、多くのものを失った。
自分にはもう何の価値もないのではないかと思え、生きることすら億劫だった。

自分が心地よい居場所なんて、どこにもないと自身に言い聞かせていた。

いつ消えて無くなっても、納得できるように。



78: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:31.40 ID:n5ok9DQh0
だが、変化は突然に訪れた。
プギャー達を避けるため、放課後すぐに向かう図書室で、そいつは話しかけてきた。

(´・ω・`)「きみ、西VIP小のドクオだよね。
       なんであんな奴らとつるんでるの?」

クラスが変わったばかりで名前と顔は一致してなかったため、俺はぽかんとそいつの顔を見上げた。
俺は床に体育座りしていたせいか、自然と首を上げる格好になる。
よくよく見ると、新しくクラスメートになったメンバーに、いたような気もする。

('A`)「……」

しかし、別に話すことなんてない。
それすらも面倒臭いし、何より変な同情もされたくない。

俺は、このまま、あいつらに、馬鹿にされ続ける人生でも、いい。



79: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:21:44.72 ID:n5ok9DQh0
黙っている俺を見て、何も話すつもりがないことを見抜いたのかは分からないが、そいつは話しだす。

(´・ω・`)「僕は中央小のショボン。聞いたことないかな」

クーが嬉々として、『中央小に君みたいな天才がいるらしい』と言っていたのを瞬時に思い出したが、俺は何も言わない。

(´・ω・`)「なんかすごい子がいるって聞いて、友達になれるかと思ったけど。」

別に友達なんて欲しくもない。
みんなして俺を見下すに決まっているから。

(´・ω・`)「あんな奴らと一緒になって馬鹿やってるようじゃ、無理だね」



80: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:22:06.99 ID:n5ok9DQh0
ショボンはすぐに歩きだす。

その背中に向けて、俺は聞こえるかどうかというようなトーンで、言った。





('A`)「別に俺だって、そうしたい訳じゃねぇよ」



81: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:22:55.12 ID:n5ok9DQh0
ショボンは立ち止まり、こちらを振り返って言う。

(´・ω・`)「でも君は、それを良しとしてるんだろう。
       それならそれは、君が選んだ道なんだ。
       責任持ってまっとうしなよ」

静かな図書室に響いた声は、はっきりと俺の耳に吸い込まれていく。

(´・ω・`)「別にそういう道でも悪いとは言わないよ。
       でも世の中には、自分の将来を良いように期待され、親の敷いたレールの上を歩まなきゃならない人もいるんだ。
       そんな中、あの程度のことで自分の人生が決められたように悲観する君には、虫唾が走るんだよ」



82: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:25:28.01 ID:n5ok9DQh0
流石の俺でも本来なら怒るような場面だったが、彼から出てきた言葉に完全に心を奪われていた。



(´・ω・`)「せっかくそれなりの力を持って生まれたんだ―――――





       それなら、いっそ君にしかできないことをやりなよ」



83: 番外編 ◆KAKASHIqlM :2008/04/01(火) 02:25:43.54 ID:n5ok9DQh0
変わるなら、今しかない。

心のどこかで、俺の叫び声が聞こえた。

どこにもないと思った俺の場所、


こいつなら―――――ショボンなら、教えてくれる気がした。



戻る