( ^ω^)唐傘男は団子好きのようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:36:13.26 ID:+KjdU9BX0
知ってるかい、江戸にゃあ兎がいるんだぜ

兎つっても、可愛らしい耳もったアレじゃねぇぜ

そりゃもう、すげぇ兎なんよ


悪党退治はお手の物

築いた屍、星の数って話だ


どんなのか分からねぇって?

しょうがねぇ、ちょいと兎について語るとするか

耳かっぽじって、よぉーく聞きやがれ


―――( ^ω^)唐傘男は団子好きのようです―――



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:37:29.82 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「このダンゴはたまらんお」

男は呟いたよ
串についた団子の残りカスも、うめぇうめぇと食べちまう

男の横には積み上げられた棒の山
食った団子の数、星さん数えるよりも困難でな


(,,゚Д゚)「うちのみたらしは美味いだろ?」

( ^ω^)「そりゃもう!こんなに美味い団子は食ったことないお!」

(,,゚Д゚)「言ってくれるねぇ!どんどん食いねぇ!」

そんだきゃ良い食いっぷり見せられちゃあよ
団子屋店主のギコも、たいそう上機嫌になってやがる

ほっぺに刺した赤い模様がその証拠さね



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:38:31.76 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「食った食った、たっぷり食ったお」

(,,゚Д゚)「いやぁ、一人でこんなに食った客さんは初めてですよ」

( ^ω^)「僕は大喰らいで有名なんだお」

ぽんと腹を叩いた姿
まるでぽんぽこ狸の太っ腹さ


(,,゚Д゚)「ひっひっひっ、そいつは良いねぇ!
     ・・・・・・んで、会計の方なんだけどよぉ」

( ^ω^)「ところで店主さん
    僕がこんな晴れた日にも唐傘持ってる意味が分かるかお?」

(,,゚Д゚)「いやぁ、皆目見当もつかねぇな。何でだ?」

首を傾げて尋ねたよ



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:39:28.14 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「そりゃあ、こうい時に便利だからだお」

突然、バッと傘を開かれたもんだからよ
ギコはビックリ仰天しちまって、その場で尻餅ついちまったよ


( ^ω^)「それじゃ、ご馳走様でしたお!」

(;,,゚Д゚)「ちょっ、まっ、食い逃げだぁあああああ!!!」

唐傘男の走る速さと言ったら
そりゃもう、下駄を履いてるのが信じられねぇくらいでさ

だけども、たった一つ言えることがあるんよ


ろくな奴じゃねぇって事をな



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:40:14.58 ID:+KjdU9BX0
悪党蔓延る江戸の世で
こんな事は日常茶飯事だからしょうがねぇ

むしろ、この程度なら嬉しいもんでさ

ひでぇ奴等は殺しに略奪、なんでもしやがる
食い逃げなんか、可愛いもんと割り切れや

そうじゃねぇと
この世を生きるにゃ、ちょいと厳しい


(;,,゚Д゚)「参ったなぁ・・・・・こいつは参った・・・・・・」

(;,,゚Д゚)「まぁた、アイツにどやされちまうよ参った・・・・・・」

不思議なのはコイツでさ
食い逃げなんかよりよっぽど怖い事があるってよ

それが何かって?



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:41:49.37 ID:+KjdU9BX0
(*゚ー゚)「まぁた、黙って食い逃げ許そうとしてんのかい・・・・・?」

(;,,゚Д゚)「ひっ!」

ギコの後ろに立った、この女
これが何より怖いんだとよ


(#゚ー゚)「男のくせに、何て不甲斐ないんだろうね!」

(;,,゚Д゚)「すまねぇ、面目ねぇ!」

尻に引かれるたぁ、この事よ
男の頭はそう簡単に下げるもんじゃ無ぇっていうのに

(*゚ー゚)「しょうがないね・・・・・・いつも通り私が何とかするから・・・・・・」

(*,,゚Д゚)「よっ!さすがしぃ!日本一!」

(#゚ー゚)「調子に乗るな!」

ギコの頭は、ぱんと叩かれたさ



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:42:29.80 ID:+KjdU9BX0
団子屋の女――しぃは走る為に構えてさ
たった一言、言ったんよ

(*゚ー゚)「うちの団子をただで食おうなんて百年甘いよ」

ドドンと音を響かして、あっという間に見えなくなっちまった

カッコイイねぇ、姐さん
唐傘男に負けねぇ、走りっぷりだよ


(,,゚Д゚)「いやぁ、流石しぃだねぇ。
      ・・・・・・あ、いらっしゃいませーー!」

この男が尻にひかれるのもよーく分かる

巷じゃしぃの事をこう言うらしいぜ
団子屋の『団子鬼』ってね

センスの欠片も感じねぇよ



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:43:10.18 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「ふいー、腹ぁ一杯だお」

そんな事は露知らず
呑気に男はぶらぶら歩く

時折ゲップをかましては
しぃーしぃ、楊枝を鳴らしてやがる


( ^ω^)「あの店主には悪いことしたお」

だが、にんまり笑顔を浮かべ


( ^ω^)「団子が美味いからいけないんだお」

まるで反省してないからな
唐傘振り回して遊んでるのさ



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:44:05.25 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「・・・・・お?」

そんな男が立ち止まる
耳に入るは異様な音の塊さ

ドドと何かが駆ける音やら
地響き唸るも甲高い声やら

聞いたこたねぇ、それらは耳にしたこたねぇ


( ^ω^)「なんだ、喧嘩でもしてるのかお?」

男は振り返ってみたのさ

そしたら、それはもう生きてて一番驚いたと
目ん玉飛び出るとは、このことかと思ったと

だって、着物来た女が空に浮いてたんだもの



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:45:09.49 ID:+KjdU9BX0
(; ゚ω゚)「もるすぁ!!」

無様な悲鳴を上げて男は吹っ飛んだよ

一回二回と転がって
路上の木に体をぶつけて、ようやく止まる事が出来たってさ

もちろん、何が起こったなんて分かりゃしない
目の前で今も尚、繰り広げられてる光景が信じられないのさ


そんな男にしぃは言ったさ

(#゚ー゚)「団子の金、払ってもらうよ!!」

ちょっとだけ、うさを晴らして満足気
ふぅと息を吐いた後のことだったよ



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:46:19.29 ID:+KjdU9BX0
(;^ω^)「団子屋の女房かお!?」

(#゚ー゚)「そうよ、旦那が頼りないから私が代わりよ」

(;^ω^)「女が、そんな乱暴なのはいけないお!」

(#゚ー゚)「私は団子の為なら女を捨てるよ」

唐傘男の背筋が凍ったね
しぃの瞳に本物の鬼を見たんだもの


(;^ω^)「・・・・・・すまねぇ!すまねぇお!」

だから素直に謝ったんだよ

(*゚ー゚) 「しょうがないねぇ、今なら金を払えば許してあげるよ」

そいつは甘いんだよ、姐さん
慈悲はそう易々と与えていいもんじゃねぇんだ



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:47:12.90 ID:+KjdU9BX0
(;^ω^)「・・・・・・無いんだお」



(*゚ー゚)「へ?」



(;^ω^)「僕は、一銭も金を持って無いんだお」



だって、こいつは性根っからのクズだもの



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:48:46.93 ID:+KjdU9BX0
.
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・

あれから三日が過ぎたかね
唐傘男の姿が団子屋にあるそうな


(#^ω^) 「くそっ、何で僕がこんな目に・・・・・・」

(#゚ー゚) 「黙って手を動かしな!」

(;^ω^) 「す、すいませんお!」


(,,゚Д゚) 「ヒヒヒ、良い気味だな」

(*゚ー゚) 「アンタもだよ!!」

(;,,゚Д゚) 「ご、ごめんなさい」

良い体した男が二人もいるのによ
女の下で、口を縛って皿洗いと団子焼き

こいつぁ、傑作な笑い話よ



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:50:31.67 ID:+KjdU9BX0
(,,゚Д゚) 「なぁ、アンタこんなとこに居ていいのかよ?」

( ^ω^)「そう言うなら、さっさと解放してくれお」

(,,゚Д゚) 「それはしぃが居る限り無理な話だ。
      ・・・・・でもよ、家のもんとか心配すんじゃねぇのか?」

( ^ω^)「心配しなくていいお、僕は根無し草の旅人だお」

ギコがほぉと唸ると
唐傘男は自慢の傘を掲げたさ


( ^ω^)「連れのもんはこいつだけ!
       一匹狼の唐傘男、それが僕なんだお!」

(#゚ー゚)「そんなとこで傘を振り回すな!!」

(;^ω^)「ひぃ、すいません」

ギコは思ったね

こんなやつが旅して生きていけるのかって



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:52:10.63 ID:+KjdU9BX0
(,,゚Д゚) 「一文無しの旅人なんて聞いたこたぁねぇよ」

( ^ω^)「お人よしに助けてもらんだお。 
       ・・・・・アンタ達みたいな」

(,,゚Д゚) 「うっはっはっ!そいつぁ笑えねぇ冗談だ!」

(*゚ー゚) 「なら、笑うなっての!」

たいそう仲が良い夫婦さ
誰が見ても、そう思うだろうよ


(*゚ー゚) 「でもさ、本当にそんなんじゃいつか、の垂れ死ぬよ?
     おちおち、夜も眠れたもんじゃないでしょ」

( ^ω^)「いざとなったら、コイツがあるから大丈夫だお?」

(,,゚Д゚) 「・・・・・・傘?」

真っ赤に染められた唐傘はよ
とてもじゃないが、高価なもんには見えなくてな

ズタぼろ、おんぼろ、雨も凌げるか分かりゃしない



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:53:30.38 ID:+KjdU9BX0
(,,゚Д゚) 「・・・・・曲芸でもするのかい?」

( ^ω^)「そんなところかも知れないお。  
       こいつを使って、ちょいと舞を踊るんだお」

(*゚ー゚) 「へぇ、そいつぁ見てみたいもんだね」

( ^ω^)「・・・・・出来れば、見せたくないもんだお」

ハハと唐傘男は笑って言ったけれども
おしどり夫婦には意味は通じていないみたいさね


そん時、聞こえた声に声
どううやら客さん、大勢来たらしい

(*゚ー゚) 「おっと、話してる場合じゃないね」

(,,゚Д゚) 「団子を焼くぜ!」

( ^ω^)「皿を洗うぜ!」

息はピッタリじゃないか
無駄にね



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:54:25.21 ID:+KjdU9BX0
.
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


たまに、男二人が団子つまみ食いする以外にはさ
特に問題無く、時間は過ぎていったね

日もとっぷりと暮れちまってよ
おてんとう様も疲れたと休みたがってやがる

茜色に団子屋も山々も染まったさ


(*゚ー゚) 「そろそろ、店じまいかね」

( ^ω^)「いよっしゃ、今日も一日働いたお!」

(,,゚Д゚) 「皿洗いで過ぎる一日って嫌なもんだな」

嫌な皮肉だね、まったく



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:55:06.87 ID:+KjdU9BX0
(*゚ー゚) 「ほれ、私からのサービスだよ。
    よーく味わって食べるんだね」

( ^ω^)「うは!こいつぁたまらん!」

しぃが差し出したのは甘蜜たっぷりかかったみたらし団子
粋だねぇ、泪もんだねぇ


(,,゚Д゚) 「好きだねぇ、団子」

( ^ω^)「そりゃもう、3度の飯より団子だお」

(*゚ー゚) 「3度の飯は団子、の間違いだろ?」

ちげぇねぇ、ちげぇねぇ

ほっぺたに蜜つけて美味そうに頬張ってるからよ
夫婦の顔も自然に綻んでくるのさ

みたらしが煌いて、そりゃもう綺麗なこと
黄金色とはよく言ったもんだよ



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:55:59.76 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「ここの団子は本当に美味いお。
       色んなとこで食ったけど、ここほど美味い団子は無かったお」

(,,゚Д゚) 「それは嬉しいねぇ、目指せ日本一だからな」

( ^ω^)「うはは、夢じゃねぇお」

こんだけ美味けりゃ、皿に残った蜜も舐めるさ
意地汚いなんて、無知の言う戯言さね


(*゚ー゚)「日本一、どころか江戸に飲まれちまいそうだけどねぇ」

(,,゚Д゚) 「ひっひっひっ、飲まれるたぁ怖い怖い。
     俺達を食ったら腹下すに決まってるのになぁ」

(*゚ー゚)「江戸のお偉いさんの腹は、鋼鉄で出来てるんだろうね」

夫婦は笑っていたけどもさ
不思議だな、なんだか寂しく映ってるんだよ

夕日で出来た影のせいなんかじゃ無いんだよねぇ



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:57:15.63 ID:+KjdU9BX0
( ^ω^)「なんか、訳有りかお?」

(*゚ー゚)「・・・・・なぁに、最近のご時世じゃよくある話さ」

(,,゚Д゚) 「流れる時の流れについていけない団子屋ってとこかね。
     ひひっ、全く最近のスイーツとやらは意味がわかんねぇよ」

( ^ω^)「スイーツねぇ・・・・・みたらしには遠く及ばないもんだったお」

唐傘男の舌には合わなかったみたいで
んだが、こいつも時代についてけねぇ奴らの一人だからねぇ


(,,゚Д゚) 「唐傘なんかより、カラフリなパラソリとやらが流行ってるそうだぜ?」

( ^ω^)「カラフルなパラソル、だお」

(*゚ー゚)「やだねぇ、見栄を張ろうとするから」

つまり似たもの同士なのさ
変わらない事を取り得にした、古き良き馬鹿なのさ

傘はこの形が完成系、ってのと同じなんだねぇ



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:58:12.36 ID:+KjdU9BX0
.
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

明くる日の事さね
今日も唐傘男が元気に皿を洗ってたらよ

がしゃんと、皿の割れる音が聞こえてきたのさ

(,,゚Д゚) 「店頭・・・・・か?」

( ^ω^)「客さん、皿を落としちまったのかお?」


しぃが何とかするだろと二人が思ったんだがな
皿割れた音より、もっとでけぇ怒鳴り声が響いてきてよ

んだもんで、自分の仕事ほっぽって二人は行ったのさ

ああ、団子が焦げちまうよ、もったいねぇ



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 19:59:20.79 ID:+KjdU9BX0
駆けつけた場所で騒然としたよ
しぃが地面に伏してたんだがらな

<ヽ`∀´>「甘味所のくせに団子しか無いだと・・・・・?
      馬鹿にするのも大概にしろや」

(;゚ー゚)「はん、嫌なら帰ればいいだろうがよ」

おや、しぃの口の端が青紫になってらぁ


<ヽ`∀´>「ふざけんな!俺はてぃらみすとか、もんぶらんとかが食いてぇんだ!
      いいから、さっさと持ってこいや!」
 
どうやら、しぃを殴ったようだねぇ、この男

それにしてもキレる内容の程度の低さと言ったら
この男の高が知れるってもんだ

・・・・・・まぁ、だからこそ厄介なんだよ
ちょっと頭のネジが外れた奴、これほど怖いもんはないねぇ



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 20:00:46.85 ID:+KjdU9BX0
(#,,゚Д゚) 「やいやい!俺の嫁に手ぇ出すとはな!
      表に出ろや、そこの角ばった顔した奴さんよ!」

<ヽ`∀´>「あぁん?俺は客だってのに良いのかよ?」

(#,,゚Д゚) 「黙れや!たとえ何千両つまれようともなぁ!
      しぃの顔に傷付けたややつぁ、殺しても許してなんかやらねぇぞゴルァ!!」

(*゚ー゚)「アンタ・・・・・・!!」

顔を赤らめてる場合じゃねぇぞ



<#ヽ`∀´>「上等だぁ!くそまじい団子なんか二度と作れねぇ体にしてやるからな!!」

(#,,゚Д゚) 「俺の団子をまじぃっていう奴はもっと許せねぇなぁ!!
      それに俺は口だけになっても団子作るから、無理な話だなぁ!!」

<#ヽ`∀´>「なら、体全体八つ裂きにしてやるよ!!」

(#,,゚Д゚) 「やってみろやぁあああ!!」

ありゃりゃ、過激なこって
お侍さんは団子屋で刀なんか振り回すもんじゃあないぜ



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 20:01:34.28 ID:+KjdU9BX0
外に出て行くゴロツキとギコをよ
唐傘男は黙って見てたのさ

( ^ω^)「・・・・・・・・・」

(*゚ー゚)「どうしたんだい?」

( ^ω^)「ギコ、このままじゃ殺されるお」

(;゚ー゚)「えっ!?」


唐傘男の目がよぉ
今までに見せた事ない達観してものになってたからよ

しぃも怖くなって尋ねたのさ   

(;゚ー゚)「ど、どういうこと?」

( ^ω^)「あのゴロツキの刀は現役、血の臭いがするお。
    ・・・・・・でも、ギコのは眠りについてしまった刀の臭いだお」

つまりは錆びの臭いがするって事らしい
そりゃ団子焼いてるだけで、刀の手入れなんか全くだからねぇ



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 20:02:28.15 ID:+KjdU9BX0
(;゚ー゚)「じゃ、じゃあギコを助けておくれよ!」

( ^ω^)「それは、ちょいとばかし難しい相談だお。
       ギコは決闘をするんだお。純粋な男の闘いだお。
       それに横槍入れる事は、双方を馬鹿にしている事に他ならないんだお」

(;゚ー゚)「でも、ギコは殺されちゃうんだろ!?」

( ^ω^)「決闘っていうのは、死を覚悟して赴くものだお
   ・    ・・・・・こうなった以上、本人達が戦意を失うか、それとも」


(;゚ー゚)「・・・・・・片方が死ぬまでは?」

( ^ω^)「決闘は、終わらない」

しぃが崩れ落ちたね
さっきまでとは、うって変わって真っ青な顔だ


顔からポロポロ零れ落ちてくるものがあるだろ

・・・・・・涙さ、大粒の。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/06(日) 20:03:50.61 ID:+KjdU9BX0
(*;ー;)「あんな奴に殺されちまうのかい!?
     豆腐の角に頭をぶつけるよりも、嫌な死に方じゃないのさ!」

( ^ω^)「今の世の中、それぐらいの事は覚悟して生きないと駄目なんだお」

(*;ー;)「だからって、見殺しにするって言うのかい!?」

( ^ω^)「ギコだって、分かっててやってる筈なんだお。
       ・・・・・・団子と連れを馬鹿にされて、黙っていられないみたいだお」

ちらと横目をやりゃあ
外でゴロツキとギコが睨みあってるのが見えたね


(*;ー;)「そりゃあ怒るさ、アイツは怒っちまうよ・・・・・・」

( ^ω^)「何でだお?」

(*;ー;)「・・・・・・私はねぇ、子供が産めないんだ」

( ^ω^)「・・・・・・お?」

仲良し夫婦に隠された秘密よ
この秘密があるからこそ、仲良しなのかも知れねぇがな



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