('A`)理想桃源郷のようです

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 02:53:34.46 ID:UpTKW9GcO
 2  ハーレム

(;'A`)「……いてて、まさかあの立て札のやつ、空飛べるなんてな」

俺はといえば、看板に翻弄され、一瞬空を飛んでいた。
下が草地で助かった。コンクリとか剣山だったら生きてない。

('A`)「2個目の命だし、大事にせにゃ……ん?」

命の尊さを謳いながら、草をついて立ち上がると、向こうから少女が駆けてきた。

ζ(゚ー゚*ζ「あの、大丈夫ですか?」

(*'A`)「おぉ! 今度は完璧に可愛い!」

ζ(^ー^;ζ「え、えっ? あ……あはは〜、ありがとうございます」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、貴方もしかして新入りの方ですか?」

('A`)「新入り……まぁ、多分そうだと思う」

もしここで、彼女が可愛かろうがでなかろうが、桃源郷のことを教わっておくには丁度いい。

ζ(゚ー゚*ζ「でしたら、ちょっと付いてきて下さい! 色々教えますので!」

(*'A`)「あ、はいありがとうございます!」

少女に感謝の念を抱きながら、俺はこの桃源郷を気に入りだしていた。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 02:56:19.55 ID:UpTKW9GcO
 
長い道を歩き、一度交差点を右に曲がる。
そこからまたしばらく歩くと、彼女の家が見えたらしい。
それは、絵本に出てきそうな、簡素な作りをした家だった。

ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃん! 新入りの男の人が来たよ! うちに入れても良い?」

ξ゚听)ξ「はいはい、釣り釣り。あんたいつもそうやってぼろ人形拾ってくるんだか……」

ξ;゚听)ξ「……ら?」

(*'A`)「おおっ! 素晴らしい、姉妹で美人とは!! あ、俺、ドクオです!」

ξ;゚听)ξ「……デレ、あんたいよいよからくりに手を出したの?」

ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃん、違うってば。この人は本物。それに、そういうのは後ではっきり分かるじゃない?」

ξ゚听)ξ「……そうね。ほらほら、ドクオさん? どうぞ入って、掛けて下さいな」

少女たちは、姉の方をツン。妹の方をデレといった。
しかし、それにしては胸の膨らみが逆な気もする。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 02:59:29.56 ID:UpTKW9GcO
 
気になった事は、忘れないうちに聞いておこう。
差し出されたクラムチャウダーをふた掬い口にして、
デレが薬草を摘みにいくと言って出掛けた時に、ツンに言ってみた。

('A`)「……つかぬ事を訊きますが、あなた達は本当の姉妹なんですか?」

ξ゚听)ξ「あら。どうして?」

(*'A`)「その……胸が、妹さんのほうが大きかったので。……だから」

ξ゚听)ξ「……もう気付かれたんですか。そうです、私とデレは本当の姉妹ではありません」

ξ゚听)ξ「この桃源郷では、身内なんてそうそう流れては来ません。私も、10年前に一人でここに流されました」

ξ゚听)ξ「その後、デレが来て……他人の空似だと思ったんでしょう、妹はよく私に懐きましたわ」

ξ゚听)ξ「でも、私には妹がいた記憶なんて……」

('A`)「ツンさん……」

ξ゚听)ξ「どうか、デレには黙っていて下さい。今はもう、たった一人の私の妹なのですから」

('A`)「はい、必ず……その方が良いでしょうし」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 03:02:04.61 ID:UpTKW9GcO
 
しばらくして、デレが籠いっぱいに薬草を詰め、戻ってきた。
赤く、目に悪い色づかいのバスケットをキッチンに持ち込むと、何やらごりごり作業を始めた。

(;'A`)「……あれは?」

そうツンに尋ねると、キッチンのデレが答えた。
いつの間にか三角巾をかぶりエプロンを結んでいた。

ζ(゚ー゚*ζ「これは、アカマムシソウって言って、体の冷えなんかに効果があるんですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「こう見えて、味もいいですから、期待してて下さいね!」

(;'A`)「あぁ、うん。もちろん」

デレの手料理と言うなら、泥団子でも食う所存だが、薬膳ときたか。

ξ゚听)ξ「何だかんだ言ってもあれ、デレの腕がよくないから気をつけた方が良いですよ」

ζ(゚ー゚#ζ「お姉ちゃん! ドクオさんに変な事吹き込まないで! 絶対おいしいですから!」

('A`)「……うーん、なんか幸せだなぁ」

違うだろうけども、何となく自分を取り合いされてるような気がして、幸福を感じた。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 03:04:04.92 ID:UpTKW9GcO
 
('A`)「仲が良いんですね。微笑ましい……」

ξ゚听)ξ「ドクオさんは、御兄弟はいらっしゃったんですか?」

兄弟か。そんな物を欲しがった事もあった。

('A`)「いたらいいな、と思ったことはあります」

ξ゚听)ξ「じゃあ、いないんですか?」

('A`)「はい。でも、貴女方みたいな姉妹がいたら、楽しかったでしょうね……」

ξ゚听)ξ「……私も、ドクオさんが居てくれたら良かったと思いますよ」

ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃん! ドクオさんは私が見つけたんだから、勝手に口説かないで!」

ξ;゚听)ξ「うるさいわね、横槍入れないの!」

('A`)「もう、本当にね……」

そうして時間を潰していると、デレの薬膳が出来たようだ。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 03:07:01.19 ID:UpTKW9GcO
 
ζ(゚ー゚*ζ「はーい、アカマムシソウのフルコースでーす♪」

('A`)「ワア オイシソウ」

ξ゚听)ξ「デレ、やっぱりドクオさん、からくりなんじゃない?」

まずはお浸しに手をつけ、なかなか美味いな、と考えていると、ツンがデレに訊いていた。

ζ(゚ー゚;ζ「さぁ……ま、これではっきりするじゃん、ね?」

('A`)「あの、からくり……って何なんですか?」

どちらに向けるともなく、訊いてみた。
澄まし汁をすすり、サラダを食べると、ドレッシングの味でご飯をかきこむ。

ξ゚听)ξ「もう少ししたら、教えます」

('A`)「……ほぇい」

もう少し、というのはどれぐらいかというのには言及しなかった。
してもしょうがない。話さないのなら自ずから話すのを待つしかない。

アカマムシソウとやらは、なかなか肉厚で柔らかく、美味かった。
デレのフルコースでも平らげられたのが、その証拠だ。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 03:09:17.98 ID:UpTKW9GcO
 
('A`)「……うーん」

ζ(゚ー゚*ζ「どうされました?」

ツンが食器の片付けをしてくれていると、何だか体が熱くなってきた。

(*'A`)「……なんか、熱くてボーっとするよ。……何でだろ」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、それきっと、アカマムシソウの効果ですよ。冷えを取り、体を温めるんです」

(*'A`)「……本当に、それだけ?」

ニコニコして説明するデレを、疑ってみた。

ζ(゚ー゚*ζ「そうですねー、あとは……理性を壊し、性欲を助長する効果もあるそうです」

ζ(゚ー゚*ζ「そのせいで、記憶障害とかも起こり得るんですけど」

(*'A`)「……あぁ、やっぱりってえぇっ!?」

さらっと凄いことを言われてしまった。
じゃあ何、今の俺は理性が壊され性欲も助長された状態だって事をデレに見透かされてるの?
やだ、すっごい恥ずかしい。

ζ(゚ー゚*ζ「……ドクオさん、何なら、そこのベッドで休んだほうが良いですよ?」

(*'A`)「お言葉に甘えさせてもらいます……あーやだやだ」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/05(土) 03:11:19.14 ID:UpTKW9GcO
 
しかし、ベッドに寝っ転がった所で、いきり立つ息子が収まるはずもない。
むしろ、布団から漂う甘い匂いに、余計に興奮させられるだけだ。

(*'A`)「……やっぱりやめだ、じっとしてよう」

いっぺん立ち上がって、また座った。
その行動に、いよいよデレはしびれを切らしたのかも知れない。

ζ(゚ー゚*ζ「……ねぇ、ドクオさん?」

イスを俺の横まで引きずってきて、猫のような声で呼びかけてきた。

ζ(゚ー゚*ζ「キスしたこと、ありますか?」

(*'A`)「え! ……一応、受動態だけど」

ζ(゚ー゚*ζ「それなら、あの……私に、キスのやり方……教えてくれませんか?」

意識しないうちに体がデレの方を向く。
何やってんだ、俺。客人がそんな事していい訳ないだろ?

ζ(////*ζ「お願いです、ドクオさん……」

くそ、全然歯止めが利かねえ、自分に言い聞かせる言葉が見つかんねえぞ。
そんな事を考えているうち、デレの瞳に惹かれていく。

デレにキスしたいぞ、どうすんだこれ。



戻る