( ^ω^)が空を行くようです
- 6: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:38:26.95 ID:4ji4avhG0
第十九話 「ルーレット☆ルーレット<橘玲Ver.>」
その夜。
『VIP』の乗組員たちは『鈍色の星』にある
最古参のバー『バーボンハウス』にて馬鹿騒ぎをしていた。
競馬場でジョルジュたちと別れた後、繁華街のパーツ屋を覗きまくり、
皆に遅れて『バーボンハウス』に入店してきたブーンとツンは、目の前の光景に愕然とした。
_
( ゚∀●)「おい、ブーン!こっち来てお前も飲めよ!!」
('∀`)「ぶほほほほほwwww万馬券当てたから今夜は大パーティよ!!」
すっかり出来上がってしまっているジョルジュとオカマ。
二人はブーンの所へ千鳥足でたどり着くと、両脇にブーンを抱えて彼を連行していく。
- 7: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:39:25.12 ID:4ji4avhG0
- _
( ゚∀●)「おらおら!お前も飲めよー!!」
(;^ω^)「ちょwwww僕未成年wwwwww」
('∀`)「硬いこといってんじゃないの!
硬いのは股間のプリンスだけで十分よ!!ぶほほほほwwwwwww」
( ;ω;)「イヤ――――!!
ツン!助けちくり――――――――!!」
下品な冗談とともにブーンの口に酒瓶を突っ込むオカマ。
『あっ』
という間にグデングデンになったブーンは、めでたく馬鹿騒ぎの仲間入りを果たした。
- 8: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:40:39.69 ID:4ji4avhG0
ξ゚−゚)ξ「……ハァ」
入り口に一人残されたツンは、目の前で繰り広げられている光景を見渡した。
広いバーのど真ん中で、肩を組んで歌いだすブーンとジョルジュとオカマ。
そんな三人をはやし立てる『VIP』の乗組員達。
少し離れたソファでは、モナーが両脇に数人の女性を抱えて口説きまくっている。
ξ゚−゚)ξ「……馬鹿ばっかり」
冷めた眼で彼らを一瞥し、店の隅に目線を移す。
彼女の視線の先にはカウンターで優雅にグラスを磨く蝶ネクタイ姿の落ち着いたバーテン。
その席で一人、クーが飲んでいた。
あそこなら落ち着けそうだと、ツンはカウンター席へと近づいていく。
- 11: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:42:11.00 ID:4ji4avhG0
川 ゚ -゚)「……ツンか」
ξ゚听)ξ「どうも。隣、いいですか?」
川 ゚ -゚)「かまわんよ」
クーの肯定の言葉に、ツンは彼女の隣に腰掛けた。
途端、バーテンが渋いハスキーボイスで注文を聞いてくる。
(`・ω・´)「ご注文は?」
ξ゚听)ξ「えっとー……じゃあ、ここにある一番上質な水を!」
(`・ω・´)「かしこまりました」
この世界では、長く保存のきく酒よりも上質な水の方が高かったりする。
ちゃっかり誰よりも高い飲み物を頼んだツンは、差し出された最上級の水を一気にあけた。
- 13: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:43:51.25 ID:4ji4avhG0
ξ゚ー゚)ξ「おいし〜!!」
体に満たされていく命の水。
乾いた土に水が染み込んでいく感覚を身を持って経験したツンは、
先ほどとは正反対にご機嫌な表情を浮かべる。
一方、隣では黙って酒を口にするクーの姿。
実は彼女、べろんべろんに酔っているオカマ達よりはるかに強い酒を飲んでいたりする。
にもかかわらず、なんら顔色を変えないクー。
そういえば、この人とは深く話したことは無いな。
いつもクールでポーカーフェイスな彼女には、いったいどんな過去があるのだろう?
バーに似つかわしい疑問を抱いたツンは、思い切ってクーに尋ねてみることにした。
- 14: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:45:00.68 ID:4ji4avhG0
ξ゚听)ξ「あのー……クーさん?」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
本当に何一つ表情を変えないな……。
なんてことを考えつつ、ツンは話を続ける。
ξ゚听)ξ「クーさんはどういう経緯で『VIP』のメンバーになったんですか?」
川 ゚ -゚)「……」
透明なグラスに残る酒を眺めながら、しばしの間、クーは沈黙。
手にしたグラスを口に近づけ「クイッ」と飲み干すと、静かに話し出す。
川 ゚ -゚)「あれはもう……十年以上前か。
お前達と同じように飛行機械で郵便業を営んでいた私は、
ある日、ミルナにファイブAの仕事を告げられてな……」
- 17: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:46:44.35 ID:4ji4avhG0
ξ゚听)ξ「へー、あたし達とまったく同じですね」
川 ゚ -゚)「ああ。
もちろん私も、その時点でミルナが『VIP』の副官だとは思いもしなかったよ。
……その頃の『VIP』は海賊狩りで名が売れ始めた頃でな。
私は仕事云々より、彼らの勢いの秘密を知りたくてその仕事を受けた」
ξ゚听)ξ「なるほどねー」
大げさに相づちを打ってみせるツンを横目に、クーは空のグラスを照明に輝かせている。
川 ゚ -゚)「しかし……そのあて先で見た光景に私は愕然としたよ。
そこには、空を華麗に舞う赤い飛行機械。その動きに、私は一瞬で魅入られてしまった。
『VIP』に着艦した私は艦長の申し出をすぐに受け、
晴れて『VIP』の仲間入りを果たしたのさ」
そこまで言い切ると、クーはバーテンに追加の酒を頼んだ。
彼女は出されたグラスの液体を、赤く妖艶なその唇から少しだけ口に含む。
ξ゚听)ξ「赤い飛行機械って……もしかしてモナーさんですか?」
川 ゚ -゚)「そうだ。
故郷では『蒼風』の二つ名で畏怖されていた私も、アイツには到底及ばなかった」
- 18: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:48:38.78 ID:4ji4avhG0
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ァ /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 ) ┃ ┃┃┃
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) ,. '-,,' ≦ 三
ゞ, ∧ヾ ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧ 三 ==-
/ |ヽ \-ァ, ≧=- 。
! \ イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
| >≦`Vヾ ヾ ≧
〉 ,く 。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・
その二つ名を聞き、ツンは口に含んだ水を豪快に噴出した。
ξ;゚听)ξ「ああああ、『蒼風』!?クーさんの故郷ってまさか……」
川 ゚ -゚)「……ふふふ。おまえ達と同じ『ツダンニ』だ」
静かな笑みとともに眼を細め、妖艶な漆黒の眼差しでクーはツンを見つめた。
故郷『ツダンニ』でもはや伝説として語り継がれる『桃色の乳首』と『蒼風』。
先日ジョルジュが『桃色の乳首』だと知ったが、まさか『蒼風』まで『VIP』にいたとは……。
ツンは驚きのあまり、もはや言葉も出ない。
川 ゚ -゚)「ちなみにモナーは、かつての連合艦隊の飛行機部隊のエースでな。
『レッドバロン』の二つ名で恐れられていた、いまやすっかり衰えた連合艦隊の黄金期の立役者だ」
- 19: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:49:51.62 ID:4ji4avhG0
ξ;゚听)ξ「……」
あれで衰えた?
何の気遣いもなく言ってくれた女の横顔を見つめながら、ツンは空笑いを浮かべる。
川 ゚ー゚)「そんな彼に一から飛行機械の技術を教わり、私はここまで成長したというわけさ」
そう言って、クーは手にしたグラスを見つめ、「カラン」と鳴らした。
その頬は、ほんのわずかだが赤らんで見える。
彼女のしぐさを見て一転してワイドショーを見るおばちゃんの表情になったツンは、
思い切ったことをクーに尋ねてみた。
ξ゚ー゚)ξ「もしかしてクーさん、モナーさんに憧れちゃってたりしますー?」
- 22: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:51:15.82 ID:4ji4avhG0
川 ゚ -゚)「ああ」
こちらを見て、何の恥じらいもなく言ってのけるクー。
あまりにも素直な彼女に期待を裏切られてツンがガックリしていると、
クーは急に厳しい表情になって続けた。
川 ゚ -゚)「……だがな」
ξ゚听)ξ「はい?」
クーは黙ってモナーの方を見る。
つられて顔を動かしたツンの視線の先には、
数人の女性に囲まれてニヤニヤしているモナーのだらしない顔。
川 ゚ -゚)「……あの女癖の悪さだけは……いただけんな」
そう呟いて、クーは手にしたグラスを握りつぶした。
- 23: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 22:51:47.44 ID:4ji4avhG0
<ここから分岐>
- 42: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/12/10(日) 23:07:09.87 ID:4ji4avhG0
- 支援ありがとうございます。
十九話は昔話が多く、あまり面白くは無かったと思います。
そのため、今日はこの話のパラレルワールドを用意しました。
今後の物語の進行とはまったく関係ございません。
ですので、まとめていただけるかはまとめサイトの御二人様のご判断にお任せします。
今から投下する話は>>23からのパラレルワールドです。
なお、ここからは高度に哲学的な話になりますので、
そういうのが嫌いな読者の方々はスレを閉じてあげてください。
第十九.五話 レス有:前編/後編
第十九.五話 レス無:前編/後編
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