('A`)は世界に魔法を見つけるようです

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:43:36.97 ID:iherNopz0
そしてブーンは背後にある斧をとらなきゃ、と振り返った。

「ブーン、待って。ブーン……。いいから……」

ドクオがブーンに声をかけたとき、ブーンは涙を流して泣いていた。

「おじいさん……えーと、ポップさん……。今からギラを打ちます」

ドクオはそう言うと、杖を老人に向けて小さく「ギラ」とつぶやいた。
熱線が老人に襲い掛かるも、それもそれて奥の林をわずかに焦がした。
ドクオは「やっぱり……」とつぶやいた。

「えーと、ポップさん。つまり、あなたはなにか魔法の防護服のような
 ものを着ているわけですね……。それが魔法も剣戟もそらせてしまう……」

「ホハ!そのとおりだ。お前、目はいいな、ハ!うんうん……」

「……その防護服と、強力な魔法で、迷い込んできたモンスターを
 やっつけてきたんですね?」

「やっつけるのはしょうがねえ場合だけさ、ハ。大抵は『筒』に
 閉じ込めてある。保管してあるんだ、ハ。俺が魔界に行った時に
 帰してやろうと思ってよ……ハ 」

ドクオは一つ笑顔を見せた。そしてクーに駆け寄り「お茶にしよう?ね?」と
声をかけて焚き火の近くにつれていった。「ポップさんも」と声を
かけるのを忘れなかった。



193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:44:48.79 ID:iherNopz0


料理長は、出がらしのセ茶の葉を充分に焙じてカフェインを飛ばす。
二煎目は焙じて飲むのがセ茶の作法だ。

そこに熱い湯を注いで少し待ち、最後の一滴まで注ぐ。
香ばしい香りが二煎目の良さだ。

「どうぞ……」

「いただくとするか、ハ」

ドクオの差し出した茶を老人は受け取り、音を立ててすすった。
クーはうなだれたまま小さく「すするな。作法を知らぬのか」と言ったが、
老人は意に介さなかった。

ブーンはもう泣き止んでいたが、熱い茶に口を付けられずに
苦労していた。

料理長は自分のいれた味を確かめるように時間をかけて飲んでいる。
静かな時間の中、薪がパチリとはじけたのを契機にドクオが口を開いた。

「……ポップさんは悪人ではないんでしょう。ただ仲間を救いたい
 だけなんだ。……仲間って勇者ですか?まあ、いいんですけど……」

老人は湯飲みに口をつけたまま聞いていた。



196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:45:39.24 ID:iherNopz0
「……重要なのは、一番重要なのは、僕らにはポップさんを止める
 力がないってことだよ……。彼に攻撃は当たらないし、その気に
 なれば記憶を消してしまったり、邪魔を排除するのにもっとも
 確実な方法も取れる……」

クーは自分がしたことを思い出した。確実な、そして残酷な方法を
とった自分は、今まだ生きている。老人は悪人ではない、という
ドクオの言葉は素直に聞こえた。

「……僕らがやるべきことは、僕らができることであるべきだと思う。
 無理はできない。……無理だから。でも……準備ができる」

そう言った後で、ドクオは自分が言った言葉が自分で
理解できていないような顔をした。
クーも顔をあげて「なんだ?」と言う。

ドクオは一度頭を整理して、あらためて言った。

「えーと、つまり……ポップさん、戦い方を教えてもらえませんか?」

老人が湯飲みに口をつけたまま目を見開いていた。

「ドクオ!なにを言っているのか!こいつはこの国に災厄をもたらそうと
 している人間だぞ!」

「それは……結果論でしょ。まだ結果でてないけど……。ポップさんは
 仲間を助けたいだけなんだ。その結果、モンスターがこの地に増えるのは
 別にポップさんの目的じゃない……。目的の副産物みたいな……」



198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:46:30.85 ID:iherNopz0
「その副産物を認識しながら、それでも穴をあけるといっているのが
 こいつではないか!」

「でも……どうするの?」

「王都に戻って軍の編成を……」

「戻れないよ。僕らは戻れない。少なくとも、ポップさんが穴を開けるまで
 僕らは戻れないんだ。……そうでしょう?」

ポップは見開いた目をそのままに、口元を歪めた。

「まあそういうこった、ハ。戻るなら記憶は消させてもらう、ホ。
 船ごとバシルーラで、港までは届けてやるよ、ホハ」

「……記憶を消されれば、当然僕らは穴のことも、モンスターが
 いずれ現れることも忘れてしまう……。王都に報告はできないんだ」

ドクオはセ茶を見つめ、一気に飲み干した。

「だから、今できることは強くなることしかないんだ」

老人は嬉しそうに笑った。若者はいつの時代も育っていた。



200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:47:21.41 ID:iherNopz0


翌日から訓練が始まった。

クーは参加しなかったが、ブーンは喜んで訓練に加わった。

料理長は、オバチャンに一言伝えたそうだったが、老人の
「生きている、とだけ伝えればかえってなにがあったのか
知りたがるのが人情じゃねえの?ハ」という言葉には納得
したようだった。

老人は、まずドクオとブーンに三人の得意なことを聞いた。
ドクオは戦術と杖を使ったギラ、ブーンは力、クーは正確さと
速さが持ち味だ。

それを聞いて、老人は「てことは、ディフェンスはおまえだな、ハ」
とドクオに言った。

「……僕?僕ですか?」

「そうだ、ホ。お前が戦況を見ながら、ギラで遠距離支援をする。
 ……ディフェンスというよりは、敵が攻撃に集中できないように
 ギラで牽制するのさ、ハ」

「じゃあブーンはなんだお?」

「お前はどう考えても突撃要員だろ?ホ」

「なるほどー」とブーンは納得したが、クーが聞こえるように異論を唱えた。



204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:47:59.35 ID:iherNopz0
「ふん……なんの理論もないな。いまのブーンに必要なのは
 防御を身に付けることだ。そんなこともわからないとは……」

「お言葉だがね、おねーちゃんよ、ホ。そんなものは仲間で補い
 あえばいいのさ、ハ。

 力が強いなら、なにより攻撃力を伸ばすべきだ、ホ。
 速さがあるなら速さを伸ばせ。魔法を使えるなら魔法を伸ばせ。
 それぞれ得意な分野を伸ばして、仲間で補いあいながら戦う。
 これが最も強いのさ、ホハ」

反射的に口を開いたクーは、なにも言葉を返せない。

料理長は気をつかってかマパ茶を煎れてクーに出した。
森で見つけたフルーツもつけた。

その間、ドクオは「自分がクーを守る」ということに
爽やかな使命を感じていた。

「おうじいさん!森はどうだった?ハ」

お前のほうがじいさんだろうと思いながら料理長は返事をする。

「静かな森だったよ。怖い気配はねえな」



206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:48:43.71 ID:iherNopz0
老人はクーの皿からフルーツをつまみながら言う。

「うんうん、そうだろう、ホハ。島の東側はなんでかモンスターも
 現れないんだ。現れるのはたいてい西側さ、ハ」

「この……悪魔の目玉……だったか?なかなか森を知ってるな」

「ああ、そいつには島の監視を任せてるんだ、ホ」

老人は、心なしか胸を張ったように見える悪魔の目玉の頭を撫でる。

「……あの、じゃあ島の西側に森がなかったのは……」

「ああ、あそこがどうしても戦場になるからな。いつのまにか
 森もなくなっちまった、ハ」

そういうことだったのか、とドクオは納得した。



209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:49:29.49 ID:iherNopz0
クーは話を片耳で聞きながら茶をすすった。フルーツの甘さが
こころに染み込んで来そうで少し反発したかった。

もっとも、そのクーも後日、老人が棒切れ一本でブーンを追い詰めて
いるところを目撃してからは若干態度を変え、三日後には
一応の頭を下げて教えを乞うた。

しかし老人の驚愕の体術が、トベルーラという呪文と、体にめぐらせた
魔法力のベールを操ることでなされていると知って、小さく
「騙された」と言った。

「さて……俺の特訓を受けるなら、これを着てもらおうか、ホ」と
言って差し出した薄絹の服は、真顔でほんのり頬を赤らめるクーの目の前で
即座にドクオに焼かれた。



212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:51:29.13 ID:iherNopz0


「メシだぞう!」

島の北で料理長が叫ぶ。訓練場は島の西をつかっているが、悪魔の目玉が
料理長の声を中継して老人たちに届けた。

しばらくすると森の小道からブーンが嬉しそうにはしってくる。

「できたお!できたお!空烈斬できたお!」

老人のメラを避け切れなかったのか、服のところどころが焦げている。
遅れて老人、ドクオ、クーが歩いて戻ってきた。クーは老人に熱心に
話しかけている。マホトーン、マホカンタを使うモンスターの
外見上の特徴を尋ねているようだ。

「ししょう!ここに座るお!」

ブーンが自分の右となりを指して言った。老人はブーンの頭に手を置いて
ごしごしと撫でながら座った。クーの目が優しくなる。

料理長が給仕しながら「聖岩とやらの様子はどうだったんだ?」と
老人に聞いた。

「ああ、いい具合に貯まってたぜ、ヘ。これなら予定より早く
 行けるかも知れねえ、ヘハ」

聖岩のある、島中央部の山を見ながら老人は言った。
聖石の巨大結晶は、魔界への穴をあけるためのエネルギー庫だ。



214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:52:17.45 ID:iherNopz0
「……どれくらいで貯まりそうなんだお?」

そう聞くブーンが寂しそうなのを見て、また老人は強く頭を撫でてやる。
「お前さんが0.8人前くらいになる頃かねえ、ヘ」と冗談を言うと
クーが「一人前まで指導願いたいものだ」と真に受けた。

老人は火がついたように笑い、したたかむせたあとで言った。

「ヘハ。まあ、モヤシがヒャド系を使えるようになったし、ホ、
 守りの堅い甲殻類系モンスターにも対応できる体勢が整ってきた、ハ。

 よっぽどのことがなけりゃ、お前らが組んで戦って負けることは、ホ、
 ねえよっと、ホイ!」

掛け声と同時に足元の小石を魔法力で飛ばした。クーに向かった石は
クーの顔を通り抜けるように飛んでいった。

「へ!はは!やるねえ、おねーちゃんよ、ホ」

「できるだけ小さい動きで攻撃を避けるよう、普段から意識している」

「うわ……いま、絶対当たったと思ったよ……」

「訓練したからな」

「クーはすごいなあ……ヒャド」

氷つぶてと冷気がブーンを襲う。美味しそうにシチューをすすっていた
ブーンは前面に直撃を受けて凍った。



219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:53:58.10 ID:iherNopz0
バキバキと氷を割って、ブーンの顔が出てきた。

「……なにするんだお……」

「いつでも攻撃するから気を抜くなって言われたでしょ……」

「……そうだったお……」

「ヒャドだけとは限らないから、冷気にも熱気にも注意を……」

ドクオは言葉を切って、すばやく左後方を見た。
そこには悪魔の目玉が、触手で握った石をいままさに投げんと
ドクオに狙いを定めているところだった。

「……ホハ!やるねえ……ハ!」

「……きみ、見つけたよ。……アウト」

悪魔の目玉が残念そうに石を捨てた。

ドクオは照れたように、老人とブーンは嬉しそうに、クーは
目を伏せたまま、料理長はセ茶の準備をしながら、笑った。

老人の「とっておき」の果物が入ったシチューは、滋養だけでなく
まろやかさがあり、体に染み込みながら、同時に体を包んでくれるような
やわらかい味だった。

五人はそれを平らげ、セ茶をすすりながら午後の訓練内容について
話し合った。それが終われば、訓練の身支度を始めた。



222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:55:40.21 ID:iherNopz0
「……そういえばポップさん、前に自分は魔法使いじゃないって
 仰ってましたけど……じゃあ一体……」

ドクオが話している途中から、老人は既に胸をはり、なにかを言おうと
待ち構えていた。しかし、ドクオが話し終える直前、島の空気が
一瞬で膨張したような、耳の奥にささる衝撃が起きた。

耳に届いたのは音の高低も不明瞭な、それは啼き声だった。
皆が一斉に島の西を見ると、曇天の下、土煙とそこから突き出た長く大きな
尻尾が見えた。

ドクオは自分の目を疑った。

距離感は、見えている尻尾だけで10メートルはあると告げていた。

土煙の中から再び

「エェェェエイィィィイィィィイアァァァアアア!!」

と、災害のような啼き声が聞こえた。



226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:57:11.38 ID:iherNopz0


誰も言葉を発せずにいた。
見たものが理解できないという体の四人とは違い、老人は分析をしていた。

(あれは……スカイドラゴンに似てるが違うな……。心臓が複数……
 いや、あれは心臓の雰囲気じゃない……コア……まさか、禁呪生命体……?
 ……コアが複数ある禁呪生命体!?)

老人が驚愕の表情を隠せずにいると、悪魔の目玉から報告が入った。
『東の森にドラゴン出現』と。思わず老人は叫ぶ。

「なに!?」

「……ポ、ポップさん……あれは一体……」

老人はおびえるドクオを振り返る。ヒザが震えているのが見て取れる。
生物としてありえない大きさの禁呪生命体を目の当たりにして
まだ立っていられることを誉めてもいい。

しかしそれは生きのびることができたときだけだ。

「あ、あれも『ホイミの筒』に入れるのかお?」

「…………ホ、いーや、あれは俺が片付ける、ハ。『筒』は……
 タハ……あと一個しかないんだわ……もっと作っときゃ
 よかったな……」

「……では、その『筒』は……?」



228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:58:06.87 ID:iherNopz0
クーの言葉に老人は応える。

「おめぇらが持って東の森に行くんだ、ハ。ドラゴンがいる」

三人は立ち尽くした。ドラゴンと言ったか、この老人は。
我々三人にドラゴンを捕らえろと言ったか。

「元気なままでは入ってくれねえだろうけど、ハ、まあ
 なんとか弱らせて『イルイル』って言えば……たぶん
 大丈夫だろ、ホハ」

「た、たぶんですか……?」

「うーん……十中六七?ってとこか、ホ」

「ろくしちかお!?」

「……全滅の恐れのある作戦だと思う。……それを選択しなければ
 ならない状況なのか?」

「ホ、俺の人生の中で十本の指に入るピンチだね、ハ」

もっとも、一対一という状況に限定すれば、これほどのピンチは
シグマと戦った時以来だ。フレイザード数体と一人で戦うことを
想像した老人は小さく「うひー」と言った。

まして、禁呪生命体の能力は個体ごとに違う。目隠しで戦うようなものだった。



232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 01:59:54.53 ID:iherNopz0
「……二人とも。我々は役人だ。我々は有事において前線に立つことを
 義務としている。そして有事とは、国民の生命・財産の危機をいう」

「こ、ここに国民はいないお……」

「いる。いるよ……僕らが巻き込んだ……料理長が」

泣きそうな目をゆっくり料理長に向けたブーンは、彼をを忘れていた
ことを恥じた。

「……じいさんを頼んだぜ。ホハ」

老人は『筒』を渡すとトベルーラで西へ飛んだ。あとには四人が残された。
今にも降り出しそうな空だが、空気も澄んでいるし、草の香りもする。
夢ではないとはっきりわかる。

気を抜けば誰かが「逃げ」を口にしてしまう。そんな空気の中
のどを絞るようにクーが言った。

「……我らリンガイア公国の役人は、国民のために命を惜しまない。
 胸のひと振りのオーラブレードを振るい、始祖王ノヴァの
 私兵たる我々は、始祖王ノヴァの愛する国民を守るため
 ……これより死地を蹂躙する!」

言葉は最後には叫びになっていた。そして呼応するかちどきの声。

「……ぉぉおおお!」

「おおおおおおお!」



233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 02:01:14.90 ID:iherNopz0
料理長に必勝を宣言し、三人は東の森へ向かった。
「いざというときには逃げて欲しい。それと、協力を感謝する」
そう言われた料理長だったが、船のある場所へは向かわなかった。

かまどの火を確認し、薪を投げ入れた。

そしてポットから出がらしのマパ茶を出すと、新しい茶葉をいれた。
四人が、いつ帰ってきても必ず染み入るお茶を飲ませようと決意していた。



235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 02:02:01.65 ID:iherNopz0


「……なら、ホ、バギマ!」

老人の振る手から小さな気流が生まれる。それは魔法力の力を得て
一瞬の暴風となる。内部に真空を作るほど回転を増した暴風は
はじけるように飛竜へ向かい、最後には刃になって切りつけた。

しかしキズから血が流れ出る様子はなかった。また、傷跡も瞬時に消えた。

「再生力は充分か、ホ!」

敵の啼き声は耳に強すぎる。魔法力で耳に膜を作る。
ポツポツと降り出した雨が、魔法力のベールに沿って落ちる。

ベギラマも効かなかった。メラゾーマとマヒャドに至っては取り込まれた
気さえする。老人はマホプラウスとは違う力を感じていた。あれはまるで……

「本当にフレイザードじゃねえの?ホ」

言葉を飲み込めなかった。思い出したくもないマトリフの言葉がよみがえる。
「生まれたてで良かった」という言葉。冷気と熱気を体内に共存させ
成長した禁呪生命体の使いうる能力。それはマトリフオリジナルの呪文。

この悪い想像が現実になれば自分の消滅もありうる。



237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/20(日) 02:03:00.16 ID:iherNopz0
長年、ダイを助けるために魔法力を集め続けた人生。マァムは死んだ。
ヒュンケルも死んだ。しかし岬の「ダイのつるぎ」は輝きを失っていない。

魔法力を全身にめぐらせ、心臓を魔法力で動かし続けた。
ただダイをかえすために。

その人生が消えるかもしれないと思ったとき、ポップは萎縮した。

そのタイミングを見計らったかのように、飛竜は口を開けた。
そこには見たことのある光が貯まっていた。

戦慄の、滅却の光。



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