( ∵)喋るのが得意ではないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:21:30.76 ID:FhebGC1S0

僕はビコーズ
皆からはちょっと無口な奴だって思われがちだけど、本当はすごく喋ることが大好きなんだ

今だってホラ、誰も気づいてないけど喋ってるんだよ

( ∵)「……………」

( ∵)「青巻き髪赤巻き髪黄巻き髪青まきぐふぇあっ!」

( ∵)

(。∵)

痛い…
誰か気づけよ、こんちくしょう



〜( ∵)喋るのが得意ではないようです〜



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:23:25.04 ID:FhebGC1S0


痛いよう 痛いよう
と頭の中で叫びながら、僕は道端を歩いていた

そういえばさっきの早口言葉は髪じゃなくて紙だった、なんてどうでもいいことを思ったりしながらね

だいたい、青巻き髪って、赤巻き髪って、黄巻き髪ってなにさ。
黄色い巻き毛?そんな人間なんて滅多にいるわけが…


...ξ゚听)ξ「あー、超お腹減ったし♪」


( ∵)


いた



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:24:49.49 ID:FhebGC1S0

ξ゚听)ξ「今日はパンナコッタにグラタン食べようっと☆」

鼻歌交じりに僕の目の前を歩いている彼女はツンさんだ
凄く綺麗な人なんだけど、ちょっと性格がキツいので僕はあまり得意ではない

どうしようかとその場に止まっていると、彼女は僕に気がついたようだ

ξ゚听)ξ「あれ、ビコーズじゃない。アンタこんなとこで何してんの」

( ∵)ノ

仕方なく僕は手を上げて答えた
やぁこんにちはツンさん、僕はちょっと散歩っていうか…ツンさんこそどうしたの?

ξ゚听)ξ「………ちょっと、聞いてるじゃない」

( ∵)ノシ

ご機嫌だね、いいことでもあったのかな?あっ、もしかしてブーンくんと

ξ#゚听)ξ「なんか喋れやっ!」

(;∵).゚*「あぶぇるふぁっ!」

僕は吹き飛んだ



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:26:55.24 ID:FhebGC1S0

ξ#゚听)ξ「あーもうっ超ムカツクし!」

そう言って去っていくツンさんを僕は横目で見送った
うう…い、痛い…いきなり謂れ無き暴力を受けたせいで、口から色んなものが飛び出た…

相変わらずキツい性格をしているなあ

僕は全身についた泥を叩き落とすとむっくり立ち上がった

( ∵)「どうして僕はこうなんだろう…」

地面を見つめながらぼそりと呟く
別に喋るのが嫌いなんじゃない、むしろ大好きさ

だけど人の前に立つとどうにも緊張してうまく喋れないんだ
本当は、皆と楽しくお喋りしたいのに…
その時後ろから誰かの気配がした

...(´・ω・`)「早く帰って仕込みしなくちゃ」

( ∵)!

あ、ショボンくんだ!



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:31:24.28 ID:FhebGC1S0


(´・ω・`)「あー忙しい忙しい、今は猫の手も借りたいよ」

( ,,゚Д゚)「ニャーゴルァ!ニャーゴルァ!」

(´・ω・`)「冗談だよ、君の手を借りたらグラスが毛塗れになるだろうが」

( ,,゚Д゚)「ニャンダトゴルァ…」

(;´・ω・`)(今喋った!?)

ショボンくんは近くのバーで働くお兄さんだ
ペットのギコ猫くんといつも一緒で、無口な僕にも優しく接してくれるいい人だ
僕は両手をあげて、ショボンくんを呼んだ

(;´・ω・`)(まっさかなぁ…喋らないだろ、猫だし…)

( ,,゚Д゚)「ニャゴルァ!」

σ( ∵)ノシ

おーいおーい!ショボンくーん!



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:33:13.34 ID:FhebGC1S0

(;´・ω・`)「まあ…気のせいだろうけど」

( ,,゚Д゚)「サッサトイクゾニャンゴルァ」

(;´・ω・`)「今ほとんど喋ってなかった!?」

σ(;∵)ノシ

おーい!ショボンくんてば!

(´・ω・`)「びびったぁ…僕んちの猫って喋るのか…」

( ,,゚Д゚)「ゴルァゴルァニャー」

σ( ∵)ノ

ショボ…

(´・ω・`)「今日は思わぬ収穫日だった…、おっと早く仕込みしなくちゃ。行くよギコ猫」

( ,,゚Д゚)「ニャー」

( ∵)、

…………………



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:36:40.19 ID:FhebGC1S0

行っちゃった

…ちぇ、なんだよ、無視しなくてもいいじゃないか




...( ∵)

仕方ないから、僕は公園に遊びに行くことにした
公園は人がたくさん集まるところだから、きっと僕とお話してくれる人もいるはずだ

無視されたのは悲しかったけど、これからお話できるかもしれないと思うとちょっとウキウキしてくる
僕は公園への道をスキップで進むことにした

へ.( ∵)



公園につくと、そこには予想通り人がたくさんいた

でも、あんまり知ってる人はいないなあ…



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:38:30.04 ID:FhebGC1S0


N| "゚'` {"゚`lリ  (  ゚∀゚ )  (゜д゜@  彡 l v lミ  ( l v l)

 ざわざわ…〈::゚−゚〉  (;TДT)  ||‘‐‘||レ  ( ‘∀‘)

i!iiリ゚ ヮ゚ノル イ从゚ ー゚ノi、  从´ヮ`从ト   リi、゚ー ゚イ`! 

リハ´∀`ノゝ  从リ ゚д゚ノリ  li イ ゚ -゚ノl|  (ノリ_゚_-゚ノリゝ  ヽiリ,,゚ヮ゚ノi 

ざわざわ…ざわ… |::━◎┥  (十)

 /▽▽  /◎ ) =| )   [ Д`] ざわ… 爪゚ー゚)  爪゚∀゚)   

爪゚A゚)   ( ・−・ ) ( ´_ゝ`) (´<_` )

 ノリ, ^ー^)li ( ´W`)  ( ・∀  ∀・) (;;・∀・;;)  リ´−´ル

ざわざわ… <(' _'<人ノ  <゚Д゚=>  (=゚д゚) < ゚ _・゚> ざわ …ハソ ゚−゚リ (  ゚¥゚)

  ( `ー´)( ノAヽ) (゚A゚* ) | l| ゚ー゚ノl  ミ*゚∀゚彡

  ¥・∀・¥  ざわ…ざわ…


ざわ…



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:39:26.85 ID:FhebGC1S0
あんまり、っていうよりも全然いない

というか、小さな公園なのに人口密度やばいだろこれ
誰も遊具で遊ばないでパソコン弄ってるし…

まるで使われないAAテンプレを引っ張ってきたような知らない顔ぶれに僕はうな垂れた

(´∵)

誰かに話しかけようかなあ、でも知ってる人いないしなあ…

「あれ、ビコーズじゃん、何してるんだ?」

( ∵)!

その時、後ろから声がかかった
驚いて振り向いたらそこには僕の知ってる顔が二つ



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:42:33.77 ID:FhebGC1S0

( ´_ゝ`)「公園に来るなんて珍しいな」

(´<_` )「珍しいといえば、公園で全員がPC弄ってるこの光景もだけどな」

流石くんだ!

彼らは双子の兄弟で、僕ともよく一緒に話してくれるんだ!
正確には兄者くんとよくお話しする。
兄者くんも僕に負けないくらいお喋りだから、一緒にいてすごく楽しいんだ!

( ´_ゝ`)「ところでこの面子にまぎれるなんて、流石だよな俺ら」

(´<_` )「なんの意味があるのかと問いたいところだが」

( ∵)

どうして二人ともここにいるの?兄者くんは何見てるの?

( ´_ゝ`)「ほう、俺のかっこよさの秘訣を知りたいという顔だなビコーズ…」

(´<_`;)「そうか?俺には全然そう見えないけどな」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:44:22.21 ID:FhebGC1S0

ヾ( ∵)ノシ

そうだよ!そんなことより聞いてよ、さっきショボンくんがさあ

( ´_ゝ`)「うむ、まずはそうだな、糸目になれ、あと双子になれ、そしたら人気も出てくるって」

(´<_` )「物理的に無茶なことばっかり言うなよ兄者…」

σ( ∵)

さっき僕のこと無視したんだよ、酷いよね!
僕何もしてないのに!

( ´_ゝ`)「あとはそうだな…小粋なジョークとか身に着けるとSOグッドだ。
俺のように歌もうまいといいな!」

(´<_` )「そんな設定はないだろ」

(`∵)

だから僕怒っちゃってさ!これからショボンくんとこに怒りに行こうって思うんだ!
流石くんたちも一緒にいく?



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:46:28.08 ID:FhebGC1S0

( ´_ゝ`)「しかし俺ほどのレベルになると忙しくて仕方なくなるんだ。なぁ弟者?」

(´<_` )「そんな事実もねーよ」

( ´_ゝ`)「ビコーズよ、まぁお前も俺ほどではないにしろ、頑張れ。まずは歌で喋ることの練習だ」

( ´_ゝ`)ノ◎ヾ(∵ )

そういって兄者くんは僕に一枚のCDをくれた
ケースも何も無いディスクには手書きでこう書かれている

『矢井田瞳/B′coz I Love You』


(*∵)





いやはや



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:48:20.30 ID:FhebGC1S0

兄者くんたちとの楽しいおしゃべりを終えて、僕は今度はショボンくんのいるバーボンハウスへと向かった
途中貰ったCDを歌おうとしたら頭にJがついたおじさんに怒られたのでちょっと残念だ

   ⊂⊃
ヾ( ∵)∫ ♪

その辺で拾ったフキを傘みたいに振り回しながらスキップで坂を下りていく
すると途中で、女の子がうずくまって泣いているのを見つけた

从;ー;从「ふぇえ〜…お腹痛いよう…」

( ∵)!

大変だ!
どうやらあの子はお腹が痛くて動けないらしい
僕は急いでその女の子へと近付いていった



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:52:08.58 ID:FhebGC1S0

从;ー;从「ふぇえ〜〜ん…痛い…痛いよう」

(;∵)、

どうしたの?大丈夫?今人を呼んで来るから、もうちょっと待っててね!
僕は女の子を慰めてから、周りに人がいないか見渡した

この辺は割と人通りの少ないところだから心配だったけど、
四方を見渡せば偶然にも歩いている人を発見した

( ∵)!

...川 ゚ -゚)

クー姉さんだ!



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 21:57:22.08 ID:FhebGC1S0

クー姉さんは僕の近所に住むお姉さんだ
よく僕と遊んでくれる、とてもしっかりした人だからきっと助けてくれるはず!

僕は両手をあげてクー姉さんを呼んだ

⊂(;∵)ノシ

おーいおーい!クー姉さん!ここに病人がいるんだ!
早く医者を呼んであげてよ!

川 ゚ -゚)「今日の夕飯どうしようかなあ…肉じゃがか…肉じゃがか…肉じゃがにしようかな」

ヾ(;∵)σ

そんなの全部同じだろ!いいから早くこっち来てよ!大変なんだってば!

从;ー;从「ふえぇ…」

(;∵)「……………」

ダメだ、このままじゃまた無視されてしまう



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:03:02.11 ID:FhebGC1S0

大きな声で、呼ばなくちゃ、早くしないとこの女の子が…
僕は一度大きく深呼吸して、クー姉さんの方へと向き直った
大丈夫、大丈夫だよ、もうすぐ助かるからね

(;∵)「……………ク…!」

しかし、叫ぼうとした瞬間、僕は盛大に足を滑らせた

川 ゚ -゚)「よし、やっぱりビビンバにしよう!」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
≡≡≡≡(;∵)≡≡≡≡(∴;)≡≡≡≡≡≡(;∵)≡≡

うわああああああ!とまっ、止まらないいいいい!

誰か止めて…

川 ゚ -゚)「しかし…やはり肉じゃがも捨てがたい…」

 ガッ
( ∵川;゚ -゚)「ぬるぽっ!?」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:07:29.71 ID:FhebGC1S0

止まった…

顔を上げるとクー姉さんが驚きの表情で僕を見ている

川 ゚ -゚)「ビコーズじゃないか、どうしたんだこんなところで」

あいてててて……、でも止まったぞ!
大変なんだクー姉さん!僕は急いであの女の子のことを伝えた

川 ゚ -゚)「なになに…」

/(∵)/

川 ゚ -゚)「あっちに」

\(∵)/

川 ゚ -゚)「オワテる人が」

(( ∵)) ブンブン

川 ゚ -゚)「あ、違ったか」

(⊃∵)⊃

川 ゚ -゚)「蹲ってる人がいる」

⊂(∵ )



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:11:03.32 ID:FhebGC1S0

川 ゚ -゚)「早く」

(σ∵)σ

川 ゚ -゚)「人を呼ばないと…]

\(∵)/

川 ゚ -゚)「オワテしまうとな。フム…」

川 ゚ -゚)

川;゚ -゚)「大変じゃないか!口で言えよ!」

クー姉さんはポケットから携帯を取り出しすぐどこかへ電話をかけたようだ
すごい、手早いなぁ。憧れちゃうや

川 ゚ -゚)「もしもし、病院ですか?救急車を…」

( ∵)



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:18:19.65 ID:FhebGC1S0

クー姉さんと一緒にその子のところへと駆けつけるとその子は真っ青な顔をして
今にもオワテしまいそうだった
僕は手遅れだったのかもしれないと、顔色を曇らせたが、早々に駆けつけた救急車によって病院に搬送されるのを見て
僕はほっと胸を撫で下ろした

从'ー'从「…ありが、とね…」

救急車の中に運び込まれる寸前に、その子は僕に向かって微笑みかけてくれた
僕は心の中で「どういたしまして」と呟いたけれど、その子に届いたのかどうかはわからない

ただ、あの女の子が助かってくれれば、それで嬉しいんだ

川 ゚ -゚)「よかったな」

( ∵)

クー姉さんが僕の肩に手を置いて微笑んだ。
僕は微笑み返すことはしなかったけど静かに頷く

( ..) コク

うん、よかった



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:24:34.40 ID:FhebGC1S0




川 ゚ -゚)「ところでどこかに向かっていたのか?」

それから、クー姉さんは僕を家まで送ってくれると言い出したが、僕はそれを丁重にお断りした
僕は彼女よりも年下だけどこれでも男の子だし、クー姉さんの方が美人で危ないんじゃないかと思うんだ

( ∵)σ

だからこの場でお別れしようと思ったのに、クー姉さんはそれにうんとは言わなかった

川 ゚ -゚)「バーボンハウスに行くのか?それならば私もついていこう」

( ∵)!

クー姉さんが僕の手をつないで歩き出す
止めようかとも思ったけれど、この人は僕の意見をあまり聞かない
というより聞こえてない

川 ゚ -゚)「行くぞ、ビコーズ」

( ∵)

…仕方ないか



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:30:49.74 ID:FhebGC1S0

歩いている最中、クー姉さんは僕に言い聞かすように言ってきた

川 ゚ -゚)「ビコーズ、私が言うのもなんだがな、もうちょっと感情を露にしたほうがいいと思うぞ」

僕に負けじ劣らずと無表情のくせに、そんなことを言うんだ
なんだか悔しくなってしまって、僕はちょっと拗ねて頬を膨らませて見せた

()∵)

川 ゚ -゚)「そうむくれるな。私はよくとも、お前の言ってる言葉がわからない奴も
     この世の中にはたくさんいるんだぞ」

(´∵)、

そんなの、よくわかってる
実際のところ、僕がここに来るまでの間、まともに成立した会話なんてほとんどなかったんだから
自分でも実は気づいてたさ



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:35:46.80 ID:FhebGC1S0

でも、仕方ないんだ
話そうとしても、口から声が出てこないんだよ
喉の奥に小骨が引っかかったみたいに、うまく言葉が発せない

( . .) 

がっくりとうな垂れていると、クー姉さんはちょっと困ったように僕の頭を撫でてきた

川 ゚ -゚)「…すまん、言い過ぎた」

(( ∵))

いいんだ、本当のことだから

川 ゚ -゚)「お前はお前のペースでやっていけばいいさ」

なんて、もう一度優しく微笑んでくれたものだから、僕はちょっとだけ嬉しくなってしまった
喋れなくてもいいか、なんて、思っちゃいけないのにね



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:38:05.61 ID:FhebGC1S0

川 ゚ -゚)「ところで、私の今日の夕飯、ビーフストロガノフと天丼、どっちがいいと思う?」

( ∵)

肉じゃがはどうなったのさ





(´・ω・`)「やあ、ようこそバーボンハウスへ…って、なんだい、クーじゃないか」

川 ゚ -゚)「こいつもいるぞ」

( ∵)ノシ

こんにちは

(´・ω・`)「ビコーズもか、久しぶりだね」

さっき会いました



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:42:12.63 ID:FhebGC1S0

(´・ω・`)「まあ、これはサービスだから飲んで欲しい」

そういってショボンくんは僕の前にミルクセーキ、クー姉さんの前に青汁を置いた
なんのマネかと僕は自分の目を疑ったが、クー姉さんは満足そうに飲み干している
…いいんだ…

(´・ω・`)「それより今日は驚くべきことがあったんだよ」

コップを拭きながら、嬉々としてショボンくんが話し出した
それを遮るようにクー姉さんが手を上げたけど

川 ゚ -゚)ノシ「なんだ?それよりお代わりクレ」

( ∵)ノシ

僕もミルクセーキお代わりください

(´・ω・`)「お代わりはいいけど、お代もらうよ」

川 ゚ -゚)「じゃあいいや」

(´∵)



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:47:12.14 ID:FhebGC1S0

(;´・ω・`)「冗談だよ、ほら、ビコーズにはサービス」

(*∵)

やった!ありがとうショボンくん!

川 ゚ -゚)⊃「私は?」

(´・ω・`)⊃「お代」

川 ゚ -゚)「ちぇっ」

(*´・ω・`)「まぁ、最初の一杯はサービスだけどね、それより、今日うちのギコ猫が喋ったんだよ!」

( ,,゚Д゚)「ニャンダゴルァ」

ショボンくんは拳を握って興奮するように僕たちに言い放った
でも僕知ってます、さっき見たから
ごめんなさい

クー姉さんも鼻を鳴らして「今更か」と言っている所を見ると、どうやら知っていたようだ

(;´・ω・`)「ええっ!?なんで知ってるのさ!?」

川 ゚ -゚)「なんで飼い主のお前が知らないんだ」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:51:40.59 ID:FhebGC1S0

(*∵)

あー、ミルクセーキ、美味しいなあ
この世で一番美味しい飲み物、それはミルクセーキ

ショボンくんとクー姉さんの会話を聞きながら舌の上でとろける甘みに顔を緩ませていると
話の的のギコ猫が僕に擦り寄ってきた

なんだろうと首を傾げるとギコ猫が僕の膝に乗って顔に肉きゅうを押し当ててくる

( ,,゚Д゚)「ウミャイカゴルァ!チョットヨコセニャゴルァ!」

(`∵)ノ

だ、ダメだよ!これは僕のなんだから!

( ,,゚Д゚)「ケチケチスンニャゴルァ!」



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 22:58:10.30 ID:FhebGC1S0

そういってギコ猫は僕の手にあるミルクセーキをニャーニャー言いながら狙ってくる

(;∵)

うわっ!危ない!

( ,,゚Д゚)「クレヨゴルァ!ミルクセーキウマインダゴルァ!」

(;∵)ノ日

…………

仕方ないなあ、ちょっとだけだよ
僕は手に乗せてミルクセーキをギコ猫に分けてあげることにした
ショボンくんとクー姉さんはまだ何かを話していて、僕に気づく様子はない

…ちょっとだけなんだからね

( ∵)ノ皿(゚Д゚⊂) ウミャイゾゴルァ

ギコ猫はミルクセーキを美味しそうにペロペロと舐め始めた
猫でさえこんな風に話すことが出来るのに、僕はどうして話すことが出来ないんだろう

せめて、あの女の子にお大事に、くらいは言えればよかったのに



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 23:04:12.82 ID:FhebGC1S0

( ,,゚Д゚)「ウマカッタンニャゴルァ!サンキューゴルァ!」

( ∵)

こんなふうに、お礼を言えればよかったんだ
クー姉さんに助けてもらったとき、ありがとう、って言えばよかった

本当は、もっともっと皆と色んなことを話したい
色んな人と色んな会話をしたいんだ
なのにどうして僕はこうも臆病に喋ることが出来ないんだろう?

(´・ω・`)「ビコーズ、ミルクセーキお代わりいる?」

(( ∵))

ありがとう、でももういいです
ショボンくんはこんな風に普通に接してくれるけど、本当はイライラしてないだろうか

川 ゚ -゚)「遠慮するこたない。搾り取れるだけ取っておくといいさ」

((;∵))

クー姉さんはこんな風に僕の言いたいことを読み取ってくれるけど、
本当はわずらわしいと思っていないだろうか



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 23:10:20.40 ID:FhebGC1S0

この人たちに嫌われたら僕はすごく悲しい
もしかしたら声をあげて泣いてしまうかもしれない

俯いている僕の様子が気にかかったのか、ショボンくんが声をかけてきた

(´・ω・`)「どうかしたのかい?」

( ∵)

僕自身の口下手に絶望してました

(´・ω・`)「悩みがあるんなら聞くよ?なんせこのバーのマスターだからね」

( ∵)

話せたら僕の悩みは解決するんです

川 ゚ -゚)「…おいビコーズ無理することはないんだぞ」

クー姉さんは相変わらず僕の言いたいことをわかっているようで、頭に手をおいてくしゃくしゃと
撫でてくれた
それがなんだかむしょうに情けなくなって…

( 。 。)


「ゴメ、ン、ナ…サイ…」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 23:15:43.43 ID:FhebGC1S0

川 ゚ -゚) !

(´・ω・`) !

(。∵)「ゴメ、ナ、サイ」

迷惑かけてごめんなさい
いつも構ってくれてありがとう
僕は二人とも大好きなんだ
本当は伝えたい言葉がたくさんある、なのに、こんな言葉しか出てこないなんて、僕は何処までも
ダメな奴だ

(´・ω・`)「…何に対して謝っているのか解らないけど…それなら先に言って欲しい言葉があるんだ」

( ∵)?

しかしショボンくんは優しげに笑って僕をクー姉さんと同じように撫でてくれた
クー姉さんはそれには何も言わず僕のことを抱きしめてきた

川 ゚ー゚)「そうだな、まずそのミルクセーキのお礼、位はいっておかなきゃな」

( ∵)!

「ア……」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 23:19:05.60 ID:FhebGC1S0

「アリガトウ」

「オイシイ」

「ウレシイヨ」

僕は細々と小さな声で、呟いた
それに二人は笑いながら頷いてくれる

嬉しい
嬉しいんだ

クー姉さんが僕を見て言う

川 ゚ -゚)「喋れたじゃないか」

σ(;∵)ノシ

でも、まだ全然小さい声だし、思うように伝えられないし、喋れないよ

川 ゚ー゚)「それでも、進歩だ。すごいなビコーズ」

すごい

それは僕に言ったのだろうか
今までに言われたことのない言葉で、僕はちょっとだけ照れてしまう

(*∵)



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/06/04(水) 23:23:43.77 ID:FhebGC1S0

(´・ω・`)「ふふっ、それじゃ、頑張ったビコーズにサービスだ、ミルクセーキをもう一杯!」

( ,,゚Д゚)「俺もだゴルァ!」

(;´・ω・`)(えぇ〜…普通に喋り出したよ…うちの猫…)

ショボンくんはじゃれるギコ猫を交わしながら、手にあるミルクセーキを僕に差し出した
受け取りながら僕はちょっとだけ微笑む

( ∵)「アリガト、ウ」

(´・ω・`)「うん」

川 ゚ー゚)「ふふ」

多分僕がいえるのはまだこのくらいの言葉だろう、だけど、いつかきっと
いや、近い将来ここにいる皆とお話できるようになるさ
僕は喋るのは得意じゃないけど、お話するのは大好きだから!ね


( ∵) イタダキ、マス!


〜( ∵)喋るのが得意ではないようです〜



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