( ^ω^)明け方のようです
- 1: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 04:47:07.87 ID:arltjQvt0
- 午前3時
普通の人ならとっくに寝ている時間だろう
よほど特殊な職業や一日中ネトゲとかしている人達以外は
そんな朝になりかけの夜に
彼は目を覚ました
- 3: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 04:49:59.27 ID:arltjQvt0
- ( ^ω^)「・・・」
彼は普通のサラリーマンだ
昨日も仕事を終え
家に帰り
風呂に入り
夕飯を食べて
眠った
何時も通りの生活
何時も通りならば普段は朝の6時とかに起きる
だけど今日はこの時間に目が覚めた
- 4: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 04:53:33.74 ID:arltjQvt0
- 二度寝しようかともう一度布団に潜るが
なぜか目が冴えて眠れなかった
( ^ω^)「どうしたもんかお・・・」
とりあえず机の電気を点け、椅子の上のパソコンを点ける
ブウンという機動音がなり、立ち上がるまでしばし待つ
完全に立ち上がったら、メールが来てないか確認する
( ^ω^)「・・・新着メールなしっと」
そして彼は静かにパソコンを閉じた
- 5: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 04:56:58.52 ID:arltjQvt0
- ちらっと時計を見てみると、まだ3時10分だ
( ^ω^)「コーヒーでも飲むかお」
彼は自前のコーヒーメーカーを出し
手馴れた作業でコーヒーを炒れる
豆はインスタントだが
缶コーヒーとはまた違う味わいが彼にとってのこだわりだった
そして目覚めのコーヒーを口にする
( ^ω^)「苦い・・・砂糖を入れるお」
- 6: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:01:36.55 ID:arltjQvt0
- 一息ついたところで彼は考え込む
とりあえず二度寝したらそのまま起きれない可能性がある
ならこのまま起きてるのもいいかなと
( ^ω^)「・・・ズズっ」
コーヒーをすすり、ふとベランダに出てみる
雲が無く、星は弱弱しく輝いていた
だが、月だけははっきりと光を放っていた
その明るさは夜の太陽と言っても良いかもしれない
明るくなりかけている空にとてもマッチしている
( ^ω^)「さっきまで左側にあった月が今は右側にあるおー・・・」
- 7: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:03:53.72 ID:arltjQvt0
- 月を見てると地球が回っているということを実感する
同時に子供の頃、疑問に思っていたことを思い出す
地球は丸いし回転している
なら下側の人間はどうして落ちないんだろう
大人になった今となっては馬鹿馬鹿しい疑問だ
ふふっと笑いながらコーヒーをすする
そして、あの頃の記憶がよみがえる
- 8: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:07:21.55 ID:arltjQvt0
- 〜〜〜〜〜
彼は小学生の頃、大事なものがたくさんあった
大好きなヒーローの人形
友達から貰ったゲームソフト
親には内緒の秘密基地
どれも大切なものばかりだったが一番大事だったのは
( ^ω^)「おかーさんーwww」
J( 'ー`)し「あら、ブーンどうしたの?」
- 10: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:12:24.01 ID:arltjQvt0
- ( ^ω^)「あっちのほうにね、凄くきれいな花があったんだお」
( ^ω^)「だから・・・これ!プレゼントだお!」
彼は照れくさそうに花を渡す
J( 'ー`)し「ありがとう、ブーン」
(*^ω^)「えへへ」
彼は母親が大好きだった
父親は小さい頃の他界し、女手一つで育ててくれた
たまに怒ったりもするけど、優しい母だった
( ^ω^)「僕、大きくなったらウルトラマンになるんだお!」
( ^ω^)「ウルトラマンになって怪獣からおかあさんを守るんだお!」
J( 'ー`)し「あらあらwじゃあ今のうちにいっぱい食べて大きくならないとね」
( ^ω^)「うん!おかわりだお!」
- 11: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:17:21.91 ID:arltjQvt0
- ずっと一緒だった
風邪をひいたら看病もしてくれた
おねしょをしても笑って許してくれた
決して裕福ではなかったけど、いつも美味しいご飯を作ってくれた
そんな母親が大好きだった
J( 'ー`)し「ブーン、今日はどこにいくの?」
( ^ω^)「ああん?どこだっていいだろうが」
中学に上がると、彼は何かと反発するようになった
俗に言う反抗期である
この時はタバコや酒など悪いことを覚えようとした
普通の人間なら意外とこのまま中学生活を終えるだろう
だが2年の頃、彼は見た
夜中に薬を飲む母親の姿を
- 12: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:20:04.50 ID:arltjQvt0
- 思えば女手一つで自分をここまで育ててくれたのだ
疲れとかがないはずが無いのだ
そんなことにも気づかない自分は、やはりガキなんだ
そして彼の反抗期は終わった
同時に新たな夢が出来た
( ^ω^)「(早く大人になって仕事するお!)」
( ^ω^)「どんな仕事でいいお、とにかくかーちゃんに楽させるお」
- 13: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:25:06.58 ID:arltjQvt0
- 高校に入ってからは必死に勉強した
元々成績自体はよくないのだが、やる気は誰にも負けなかった
その成果もあってか、テストの回数を重ねるごとに順位は少しずつ上がっていった
J( 'ー`)し「ブーンもすっかり大きくなったわね・・・」
J( 'ー`)し「!! ゴホッ!」
しかしそれと比例するように、母親の体調は悪くなっていった
薬の量も増え、月に二度は病院に通うようになった
( ^ω^)「アルバイトするお!」
少しでも母親の助けになりたかった彼はコンビニでアルバイトを始めた
そしてバイトの半分以上は母に渡していた
- 14: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:29:13.73 ID:arltjQvt0
- その間、勉強も怠らなかった
ある日、期末テスト前日に徹夜で勉強していたときに母が部屋を訪ねてきた
(;^ω^)「かーちゃん!?こんな時間に寝てなくて大丈夫なのかお?」
J( 'ー`)し「目が覚めちゃってね、はいコーヒー入れたから飲んで」
母は自分の為に夜遅くに起きてコーヒーを入れてくれた
それが彼には凄く嬉しかった
彼はあまりコーヒーを飲まないのだが
その時の美味さは今でも覚えている
そして3年の卒業間近のとき
母親は倒れた
- 17: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:33:50.34 ID:arltjQvt0
- (;^ω^)「かーちゃん!かーちゃん!」
J( 'ー`)し「ブーン・・・」
この時彼は、就職が決まり、春に向けて準備をしていたときだった
ようやく、楽をさせられる
そう思っていた矢先の事だった
医者の話によれば、長い間に重ねられた疲労がここで全部襲ってきたらしい
もう長いこと持たないだろうと
( ;ω;)「やっと・・・かーちゃんに楽させてあげられるのに・・・!」
それからしばらくの間
学校を休み、母親の側にいた
いつも側にいてくれた母親
今度は自分が側にいてあげたい
むしろ、今の自分にはそれしかできなかったのである
- 18: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:38:23.02 ID:arltjQvt0
- そしてある日の夜
J( 'ー`)し「今日は月が綺麗ねー・・・」
( ^ω^)「うん・・・」
その日は満月で、空にははっきりと月が浮かんでいた
J( 'ー`)し「ブーンももう社会人なのね・・・早いものだわ」
( ^ω^)「・・・」
J( 'ー`)し「こんなに立派な息子がいるなんて、本当に自慢になるわw」
( ^ω^)「僕は・・・何もできなかったお」
( ^ω^)「僕はかーちゃんに助けられっぱなしだったお」
(#^ω^)「だからようやく親孝行できると思っていたのに・・・!」
- 20: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:41:53.20 ID:arltjQvt0
- J( 'ー`)し「あら、親孝行なら充分してもらったわ」
( ^ω^)「?」
J( 'ー`)し「ブーン過ごした毎日、その全てが親孝行だったよ」
J( 'ー`)し「私は本当に幸せ者だなぁ・・・」
J( 'ー`)し「お父さんも喜んでるわよ・・・」
( ;ω;)「・・・カーチャン」
そして母は
ゆっくりと目を閉じ
二度と起きることは無かった
( ;ω;)「・・・ありがとう、かーちゃん」
- 23: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:47:38.88 ID:arltjQvt0
- 〜〜〜〜〜
気づけばコーヒーはすっかり冷めていた
そして月は消え、朝日が昇ろうとしていた
( ;ω;)
彼は泣いていた
今、自分は何のために働いているのか
もっと色々してやりたかった
あの日の記憶と想いが、溢れてくる
- 24: ◆FOy3FlOjcQ :2008/07/19(土) 05:48:21.65 ID:arltjQvt0
- ( ;ω;)
( ^ω^)
( ^ω^)「・・・さて、シャワー浴びて準備するかお」
そして彼は、残っているコーヒーを一気に飲み干した
太陽はすっかり昇り、朝になった
そしてまた、一日が始まる
( ^ω^)明け方のようです 終
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