( ^ω^)ブーンがアイドルマスターを目指すようです

58: 4話 :2006/10/15(日) 00:20:42.76 ID:gb5bDlnt0
  
( ^ω^)「(しかし・・・なんというか、しょぼいお)」

('A`)「(アイドル出版の看板雑誌が、こんな物置みたいな所で作られていたなんて・・・)」

(@e@)「・・・何か?」

('A`)「い、いいえ。何でもないです・・・・・・」

(@e@)「新人のアイドルのみなさん、そろって同じ反応されますよ。ここからの“取材”でも驚かれるでしょうね」

( ^ω^)「ここは“シューマイ”の新人アイドルの記事の取材場所、で合ってるお?」

(@e@)「ええ。ただ、あなた達の思っている“新人”とはだいぶかけ離れたものだとは・・・」

彡 ´ー`)「遅くなってすまんね」

(@e@)「ミヤオ編集長!」



59: 4話 :2006/10/15(日) 00:22:39.03 ID:gb5bDlnt0
  
彡 ´ー`)「『ニュー速プロダクション』のツンさんにアヤカさん、それにプロデューサーのブーン君とドクオ君だね。ショボンから話は聞いているよ。
ワシは『週間アイドルますたー』編集長、ミヤオだ」

('A`)「!!」

ξ゚听)ξ「へ、編集長・・・・・・」

( ^ω^)「ショボン社長を知っているのかお?」

彡 ´ー`)「うむ、昔からの付き合いだ。それとトンボ君」

(@e@)「は、はい」

彡 ´ー`)「ここはワシに任せて欲しい」

(@e@)「ですが・・・」

彡 ´ー`)「不正などはしないよ。ただ、旧友の船出に付き合うだけだ。早めに昼休みをもらうといい」

(@e@)「わかりました・・・・・・」

(トンボ、退出)

彡 ´ー`)「すまないね。彼は少し前までは政治部の記者だったのだが、こっちにまわされてかなり不服らしい」

( ^ω^)「そうなのかお・・・」

从'ー'从「(アイドル、嫌いなのかなぁ・・・)」

彡 ´ー`)「さて、とりあえず奥にいこうか。」



60: 4話 :2006/10/15(日) 00:23:41.41 ID:gb5bDlnt0
  
彡 ´ー`)「あらためてよろしく」

('A`)「(『アイドル出版アイドル事業部週間アイドルますたー編集長 ミヤオ・ホリ』・・・編集長ともなると名刺も豪華だなぁ)」

彡 ´ー`)「とりあえず、基本データになるからこっちの用紙にいろいろ記入してほしい。写真や履歴書ももらおうか」

ξ゚听)ξ「・・・3サイズも書かなきゃいけないんですか」

彡 ´ー`)「君が今まで読んだアイドル雑誌の中で、3サイズや身長に一言も触れていない雑誌がひとつでもあったかい?」

ξ゚听)ξ「・・・わかりました」

从'ー'从「わたし、忘れちゃったんですけど・・・」

彡 ´ー`)「また来たときにでも教えてくれればいい。その時、ワシが相手できるかどうかはわからんがな」



61: 4話 :2006/10/15(日) 00:25:06.90 ID:gb5bDlnt0
  
彡 ´ー`)「ふむ・・・これはワシが責任をもって保管し、登録しておこう。
おめでとう。今日から君たちは立派なアイドルだ」

从//ー//从「わたしが・・・・・・アイドル・・・・・・(歓泣)」

ξ////)ξ「アイドル・・・いい響きね」

(*^ω^)「おめでとうだお!本当におめでとうだお!!」

(*'A`)「今夜は赤飯だね」

彡 ´ー`)「・・・・・・気がはやいね、君達」

('A`)「コレでツンやアヤカさんも『週間アイドルますたー』に出ることになるんですか?」

彡 ´ー`)「まさか。これを見たまえ」



62: 4話 :2006/10/15(日) 00:27:05.18 ID:gb5bDlnt0
  
(4人、ミヤオが出したノートPCを見つめる)


从'ー'从「『日刊アイドルますたー』?」

彡 ´ー`)「うむ。これは我が社が独占して作っているアイドルの一覧表のようなものだ。すべての登録されているアイドルがランク付けされている。
君達はまず、この一番下の『Fランク』アイドルに分類されることになるな」

( ^ω^)「Fランクだけて・・・10000人以上もいるのかお?!」

彡 ´ー`)「全国集計だからな。アイドルを必要としている企業や個人は、まずここから候補をリストアップし、
その事務所へと連絡をいれる。いわば業務用リストのようなものだ。
『週間アイドルますたー』では、だいたい『ランクD』になったアイドルを“新人”として取り上げている。
新人アイドルがランクDになる倍率は単純計算で15倍といったところかな」

('A`)「(そういえば、マーヤさんにもらった資料にも書いてあったな・・・)」



63: 4話 :2006/10/15(日) 00:28:35.56 ID:gb5bDlnt0
  
彡 ´ー`)「別雑誌では勝手にランク付けをしているようなところもあるが、とりあえず現在のアイドル業界および
アイドルを必要としている団体の間ではこの『日刊アイドルますたー』の存在はとても大きい。
世間ではこのアイドルランクについてはおおっぴらに報道されていないし、ここの評価と食い違うものも多々ある。
ただ、上の上になるとさすがにわかるものだな」

('A`)「どういうことですか?」

彡 ´ー`)「さっきも言ったがアイドルランクは君達のような『ランクF』から、テレビで毎日のようにみかける『ランクA』まで6段階に分類される。
だが、ある4人だけは特別に『ランク特A』と分類されている」

( ^ω^)「『アイドルマスター』だお!」

彡 ´ー`)「そのとおり」



64: 4話 :2006/10/15(日) 00:30:33.73 ID:gb5bDlnt0
  
彡 ´ー`)「現在、『ランク特A』で分類されているのは世間で『アイドルマスター』『歌姫』『舞姫』『愛姫』の二つ名をもつ4人だ。
我が社がこのアイドルランク制度を確立する以前からこの名称は存在している。このふたつ名を持つのが『特A』になる条件というわけでもないが、
過去『特A』のランクまでのぼりつめたアイドルは例外なく、このふたつ名を持っていた」

ξ゚听)ξ「筆記試験でもないのに、どうやってランク付けするのよ」

彡 ´ー`)「アイドルに必要な『歌唱力・魅力・ダンス力』の総合力でレベルが決まる。
このレベルはアイドル社の調査員が持つ“アイドルスカウター”で公正に判定されている。
これにキャリアなど諸々の要素を加えてランク付けされる。キャリアはかなり重視されるよ。
力がなければキャリアもつかない、という前提ももちろんあるわけだが」

从'ー'从「じゃあ、わたしのダンスのうまさとかもわかるんですか?」

彡 ´ー`)「ふむ。見てみようか(本当は禁止なんだが・・・)」



66: 4話 :2006/10/15(日) 00:32:23.21 ID:gb5bDlnt0
  
彡 ´ー`)「ダンス力・・・たったの5・・・」

ξ゚听)ξ「ゴミね」

( ^ω^)「ちょwwおまwwww」

从:ー:从「・・・・・・」

彡 ´ー`)「気落ちすることはない。マトモな練習もしてない新人などそんなものだ。これからがんばりたまえ」

从'ー'从「・・・・・・はい!」

ξ゚听)ξ「がんばろう、アヤカ。あと、さっきのは冗談だから(ボソォ)」

彡 ´ー`)「・・・ではそろそろ私は戻るとするよ。アイドルとしての時間が君達にとって有意義なものであるよう、願っているよ」

( ^ω^)「はい」

4人「ありがとうございました」

彡 ´ー`)「では、失礼」

(ミヤオ、退出)

从'ー'从「・・・後でダンス練習場にいきませんか?」

( ^ω^)・ξ゚听)ξ・('A`)「(大分気にしてる・・・)



68: 4話 :2006/10/15(日) 00:34:50.05 ID:gb5bDlnt0
  
(@e@)「ああ、終わったんですか。どうでした?」

('A`)「ええ。いろいろ言われてしまいました」

ξ゚听)ξ「まだあたし達ははじまったばかり。これからね」

( ^ω^)「そうだお。ワタナベさんも、ツンも、いっぱいレッスンして仕事して、上を目指していくんだお!」

(@e@)「・・・・・・・・・・・・」

(@e@)「・・・そうですか」


(@e@)「・・・・・・・・・・・・」

从'ー'从「あの・・・」



69: 4話 :2006/10/15(日) 00:36:05.02 ID:gb5bDlnt0
  
 男には自らのゆく道を示す『道しるべ』が必要である。
この男、トンボにとって道そのものが『道しるべ』だった。

 小学校のころ、夏休みの課題として提出した自作新聞は自分が敷いたレールの第一歩だった。
中学、高校、大学と報道部に所属。大学を出た後、アイドル出版の政治部記者として第一線で活躍する。
彼は自分で作ったレールを順調に走り続けた。

 彼が28のとき、彼のレールは崩れおちる。
ふとしたミスで彼は左遷され、このアイドル受付室の事務員として働くことになった。
最初はそれでもテレビで輝いているアイドルに会える、と自分を慰めていたのだが、
実際に会うのは現実とのギャップに落ち込む新人アイドルのみ。
そこに輝きなどはなく、ただ打ちのめされた女の子と、異様なテンションでなぐさめようと空回りするマネージャーばかりだった。

 所詮はまがいもの。いつからか、元からほとんど持っていなかった彼のアイドル像は、世間を欺く虚像(アイドル)になっていた。



70: 4話 :2006/10/15(日) 00:36:54.11 ID:gb5bDlnt0
  
从'ー'从「話、ミヤオ編集長から聞きました。でも、アイドル嫌いにならないでください。
わたしはいろんなアイドルにあこがれてここまでがんばってきました。
アイドルになった今はアイドルとして、みなさんを元気にできるようになりたいんです。
だから・・・トンボさん。お仕事がんばってください。アイドル候補生の人たちの、最初の道しるべになってあげてください」


 トンボが高校生のころはちょうど“ムコナの10人”を中心とした『第2次アイドルブーム』の絶頂だった。
男女を問わず、ほぼすべての高校生は彼女達を輝く象徴として捉え、小さな彼女たちを心に住まわせていた。
しかし、彼にとって彼女達は(可能であれ不可能であれ)「取材対象のひとつ」でしかなかった。



71: 4話 :2006/10/15(日) 00:37:33.29 ID:gb5bDlnt0
  
 取材とかかわりない半年をおくり、暗い面ばかりを見せられてきたトンボ。彼にとって十派ひとからげになっていた新人アイドルのアヤカの言葉は彼の心を再びまっすぐにしたのだ。
そして、同年代の人間がかつて『ムコナプロ』の秘蔵っ子たち。通称“ムコナの10人”にあこがれていたのと同じように・・・



(@e@)「アヤカさん!」

从'ー'从「は、はい・・・」

(ギュッ)

(*@e@*)「オレ・・・・・・がんばります!」


ランクFの新人アイドル、アヤカ・ワタナベに憧れるようになったのだッ


(続く)

('A`)「(はやくも一人を虜に・・・アヤカ、恐ろしい子!)」



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