( ^ω^)ブーンがアイドルマスターを目指すようです
- 11: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/29(佐賀県庁) 23:58:34.26 ID:vZ+WENL70
-
〔都立きらめき高校1年3組〕
从'ー'从「Zzzzzzz....」
教師「ワタナベさん・・・ワタナベさん」
友人「(ちょっと、アヤカ・・・起きなよ)」
教師「ワタナベっ!」
从'ー'从「はっ、お待たせいたしました!!」
昨日、何百回と繰り返した言葉をおもわず口走ってしまった。教室中が爆笑する。
教師「・・・ちゃんと聞くように。それでは・・・」
从'ー'从「(あちゃぁ・・・)」
首をぐるりとまわして教科書に集中しようとするが、やはり体がけだるい。頭もボーッとしている。
从'ー'从「(みんな・・・どうしてるのかな・・・)」
- 12: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:00:55.63 ID:FEWs1DBd0
- 〔同日・午前11時・都内某所〕
川 ゚ -゚)「サングラス、かけなくて大丈夫ですか?」
川`・−)「ちょっと眠くて・・・こっちのほうが安全でしょう」
助手席のクーが台本から視線をあげ、マーヤに問いかける。よくよく考えればサングラスのまま
運転するのはかなり危険である。視界は狭くなるし、陰影はより色濃くなる。
サングラスをかけることでなく、かけないことを心配するのもおかしな話だ。
川 ゚ -゚)「・・・しかし昨日は大変でしたね」
川`・−)「本当。やっぱり本職にはかなわないわね・・・あなたも一日おつかれさま。
まさか喉なんて痛めてないでしょうね?」
川 ゚ -゚)「大丈夫です。それよりも精神的に辛かったですよ」
声優というのはキャラクターを“演じ”なくてはならない。アナウンスのように、無味乾燥としたただの情報伝達を
一日中続けるというのは、クーにとって初体験のことだった。
いつものように台本があるわけではなく、次々おくられてくる最新の情報を自分で訳し、
放送する練習など
声優時代にはありもしなかった。
- 13: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:04:20.66 ID:FEWs1DBd0
-
川 ゚ -゚)「事務的な仕事でしたから。なんだか、ちょっとタフになった気もします」
川`・−)「タフ、ね・・・」
川 ゚ -゚)「マーヤさんはツンやアヤカといっしょに売り子してたんですか?」
川`・−)「『愛姫<ビジュアルマスター>』が来てからはレジ整理やったけど、それまでは一緒だったわ。
この年でアイドルと一緒に売り子やるなんてね・・・」
川 ゚ -゚)「似合ってましたよ」
川`・−)「はいはい、ありがとう」
現場まであと10分。12時からの収録までには十分時間があることを確認し
マーヤは車のスピードを少しゆるめることにした。
- 14: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:07:46.95 ID:FEWs1DBd0
-
〔同日・ツンデレ学園・休み時間〕
ξ゚听)ξ「(あー、なんかダルぃ・・・・・・)」
友人A「どうしたの、ツンさん」
友人B「朝からずっと微妙な表情しちゃって」
ξ゚听)ξ「微妙な表情、って・・・・・・失礼ねぇ」
ξ゚听)ξ「(・・・・・・)」
友人の輪の仲から無理いってひとり抜け出し、トイレの鏡に映った自分を凝視する。
ξ゚听)ξ「(一日中愛想笑いって辛い・・・・・・)」
頬をひっぱったところで当たり前だが、元には戻らなかった。
- 15: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:09:48.08 ID:FEWs1DBd0
-
〔『ニュー速プロ』事務所〕
( ^ω^)「ダルいお・・・」
('A`)「ちょっと辛いね・・・」
(´・ω・`)「若いのにだらしのない」
事務所の中で唯一、昨日何もしていないショボンをうらめしげにブーンがにらむ。
(´・ω・`)「そうにらまないでくれ。昨日『スーパーさいたま』からもらったバイト代はそのまま給料に入れておこう」
('A`)「ちなみにいくらだったんですか?」
(´・ω・`)「日給二万円」
('A`)「高ッ!」
(´・ω・`)「・・・最も、そこから諸々ペナルティ引かれて手取りは6割程度だがな」
( ^ω^)「酷ぇwwww」
- 16: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:11:12.49 ID:FEWs1DBd0
-
(´・ω・`)「ところで予定報告書を見たが、明日は表現力レッスンと書いてあったが・・・
『ビジュアルリプレッセント』は火曜日定休だ。どこか他のところに予約をいれたのかいな」
('A`)「え・・・・・・見てみます」
起動していたパソコンを開き、お気に入りからサイトに飛ぶ。画面をスクロールして目的の情報を見つけ出した。
('A`)「本当だ・・・・・・」
(´・ω・`)「いけないな。ダンスの自習レッスンならともかく、ちゃんと予約をいれておかないと」
( ^ω^)「確かにそうだお・・・今まではショボン社長やマーヤさんがやってくれでいたけど・・・」
(´・ω・`)「月曜日は空きが多い。アヤカ君やツン君に聞いて、よければ一日スライドさせてみたらどうだい?」
('A`)「そうですね」
- 17: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:14:04.99 ID:FEWs1DBd0
-
〔都立きらめき高校1年B組〕
从'ー'从「あっ、メールだ」
〔新着メール:1件〕
From:内藤ブーンP(Boooooon_to_outskirt_at_ time@idolmaster.ne.jp)
件名:変更OKかお?
本文:『ビジュアルリプレッセント』が明日は休みみたいなんだお。
今日ならあいてるみたいなんだけど、アヤカは大丈夫かお?
从'ー'从「OKですよ、っと・・・・・・送信」
- 18: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:15:18.91 ID:FEWs1DBd0
-
ξ゚听)ξ「ん、メールだ・・・」
〔新着メール:1件〕
From:ドクオ(fuhihi_suimasen@idolmaster.ne.jp)
件名:無題
本文:今日の放課後、暇かな?
ξ゚听)ξ「・・・・・・・」
友人A「ん、どうしたの?ツンさん」
ξ゚听)ξ「あなたさっきと同じセリフね・・・ごめん。ちょっと電話してくる」
ξ#゚听)ξ「ちょっとドクオ、あのメールどういう意味よ!」
- 19: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:19:43.32 ID:FEWs1DBd0
-
ツンと電話すること15分。2分に3回は「ごめん」と謝っていたドクオがようやく通話を切った。
( ^ω^)「ドクオも大変だお・・・」
(´・ω・`)「学生の生活をそうそう壊すわけにもいかん。今日みたいな事態はできるだけ避けるようにしないといけないな」
( ^ω^)「わかりましたお。それじゃあ早速、予約をとってみるお。
ところでドクオ、アヤカたちがレッスン受けていた先生の名前おぼえてるかお?」
(´・ω・`)「(・・・ある意味、アヤカ君たちより手がかかるかもしれんな)」
- 22: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:28:53.57 ID:FEWs1DBd0
-
〔都立きらめき高校1年3組・放課後〕
教師「報告事項は・・・以上。クラス委員」
委員長「起立、礼」
教師が出て行くとにわかに教室が活気付く。クラブに所属している生徒は我先に、と
外に飛び出し、生真面目なクラス委員が掃除当番に口うるさく文句を言っている。
バイトがある生徒はHRからすでに教室にいなかった。
从'ー'从「よし、今日もがんばろっと」
友人「アーヤカ。帰ろっ」
カバンに教科書をつめこんでいると、友達が声をかけてくる。
友人「ねぇ、カラオケ行かない?流石兄弟の新曲、もう入ってると思うし」
マリコ「いいねぇ。ナオミたちも誘おうよぉ〜アヤカも行くよね?」
- 25: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:32:44.34 ID:FEWs1DBd0
-
从'ー'从「あっ・・・ごめん。今日は無理なの。今日呼ばれちゃって・・・」
マリコ「そっか・・・それは残念」
友人「呼ばれたって、誰に?」
マリコ「いいじゃない。アヤカだって用事があるよ。それより早くいこうよ〜」
友人「そうね、じゃバイバイ、アヤカ」
从'ー'从「うん、またね」
事情を知っているマリコに心の中で礼を言ってアヤカは立ち上がった。
正式にアイドルになってから自分の学生としての時間は確実に減っていた。
もちろん、そこのところの覚悟もしていたのが、やはり少し寂しい。
- 26: 第11話 :佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 00:34:33.91 ID:FEWs1DBd0
-
从'ー'从「(ま、それでもわたしには・・・)」
アイドルという自分、アヤカ・ワタナベがいる。普通の女子高生と違うのをむしろ喜ぶべきなのだ。
カバンをしゃんと背負ってイスを机にしまう。
从'ー'从「よし、ガンバロー!」
はっきりと声に出して歩き出す。クラスメイトが怪訝そうな顔をしていたが気にしない。
アイドル・アヤカとして今大切なことは、時間に遅れずに事務所に行くことだけだった。
【続く】
戻る/第12話