( ^ω^)ブーンがアイドルマスターを目指すようです

13: 第27話 :2006/12/19(火) 01:35:21.38 ID:62MkXG/S0
  

 あの合宿から二週間。もうすっかり普段どおりの『ニュー速プロ』が戻ってきている。


从'ー'从「ふぁぁぁ・・・・・・」

ξ゚听)ξ「眠そうね」

从'ー'从「友達から借りたマンガ読んでたら3時だったの」

ξ゚听)ξ「タフね・・・昨日も遅くまで『ギッコ』でダンスの練習してたのに」

从'ー'从「あ、ちゃんと復習もしてるよぉ」

川 ゚ -゚)「・・・ふぁぁ・・・」

ξ゚听)ξ「クーさんも眠そうですね」

川 ゚ -゚)「新番組、4話目になってくると半分は切るんだが・・・それでも半分は残るんだ」

ξ゚听)ξ「・・・はぁ」

川 ゚ -゚)「台本やダンスビデオで時間つぶして、リアルタイムで深夜アニメを見てると3時間くらいしか眠れないんだ」

ξ゚听)ξ「録画しましょうよ」



14: 第27話 :2006/12/19(火) 01:37:40.27 ID:62MkXG/S0
  

合宿から戻ってからの二週間、平日はレッスン。金曜日から日曜日にかけては仕事と、ほぼフル回転のアイドル活動。
厳しいながらも、充実した毎日。トップアイドルという漠然とした目標ももちろんあるが、現在の彼女達にとって
目の前にせまった現実的な目標が日々の練習に効いていた。
 三日ほど前、3人には最終オーディションの通知が届けられたのだ。


从'ー'从「そうだ、ブーンP。先週もらったエアギターの教本、読みましたよぉ。すっごくためになりました」

( ^ω^)「それはよかったお。はじめてプロデューサーっぽい仕事をした気がするお」

从'ー'从「またまたぁ」

ξ゚听)ξ「(あながち外れてないかも・・・)」

('A`)「でも、エアギターやるよう指示される、ってことはそこを評価されたのかもね」

从'ー'从「うん。でも、生演奏じゃなくてエアギターをやるよう指示されるアイドルってどうなのかなぁ?」

川 ゚ -゚)「私は以前、オーディションで喘ぎ声出すよう言われた事があるぞ」

( ^ω^)「それなんてエr」

川 ゚ -゚)「残念だが、普通の格闘アニメだ」



17: 第27話 :2006/12/19(火) 01:40:21.18 ID:62MkXG/S0
  

('A`)「・・・でも、最初の45人の中の9人に選ばれるなんて、改めて考えてもすごいよね」

从'ー'从「うん。5倍かぁ・・・わたしの高校の倍率って、2倍もなかったのに・・・」

ξ゚听)ξ「高校と比べてもしょうがないでしょ。高校生になるのと、アイドルになるのとは違うんだから」

(´・ω・`)「そしてアイドルになるのと有名アイドルになるのも違う」

川 ゚ -゚)「社長」

(´・ω・`)「おはよう諸君」



18: 第27話 :2006/12/19(火) 01:42:06.30 ID:62MkXG/S0
  

(´・ω・`)「今日のレッスンは昼からかね?」

('A`)「声楽スタジオに午後から行きます。夜からは番組主催の特別講義です」

ξ゚听)ξ「特別講義、っていってもギッコ先生のダンスだからいつもと変わらないけど」

从'ー'从「・・・ブーンP。今日って発声表現じゃなかったんですか?」

( ^ω^)「変更があった、って昨日言わなかったかお?」

从'ー'从「・・・・・・・・・・・・」

川 ゚ -゚)「時間もあるし、復習しようか」

从'ー'从「・・・はい」



20: 第27話 :2006/12/19(火) 01:45:03.66 ID:62MkXG/S0
  

川 ゚ -゚)「このあたりで頼む」

('A`)「わかりました」


 正午すぎ。とあるスタジオの近くに車が停車する。バンの中にはブーン達4人、それに加えてクーが乗っていた。


川 ゚ -゚)「わざわざ送ってもらってすまない」

( ^ω^)「気にすることないお。マーヤさんは出張中だし、これくらいお安い御用ですお」

('A`)「(助手席で寝てただけなのに・・・)」

ξ゚听)ξ「クーさん、アフレコがんばってください」

川 ゚ -゚)「本当はこのオーディションに集中したいのにな。一本にしぼって集中している二人に申し訳ない」

从'ー'从「そんな事ないですよ」



21: 第27話 :2006/12/19(火) 01:46:29.75 ID:62MkXG/S0
  

ξ゚听)ξ「『ビジュアルリプレッセント』や『ダンスのギッコ』の自習室でクーさんの目撃情報、いっぱい聞きますよ」

从'ー'从「二つともちゃんとできるなんてすごいです」

( ^ω^)「二束のわらじ、かっこいいですお!」

川 ゚ -゚)「・・・ありがとう。うれしいな、気をつかってもらえるというのは」

('A`)「なんでしたら、『ギッコ』に行く前に拾いますけど・・・」

川 ゚ -゚)「いや、かまわないでくれ。時間も延びるかもしれないし、そのまま電車で行くことにするよ」



22: 第27話 :2006/12/19(火) 01:48:59.62 ID:62MkXG/S0
  

 その3時間後、クーは公園にいた。


子供達「キャッキャッ」

川 ゚ -゚)「・・・子供はいいな。無邪気で」


 珍しく収録が早くおわり、二時間ちかく早く『ギッコ』の最寄り駅まで来たのはいいのだが、することがない。
 自習室に行ったが人がおおく、コンビニでパンとジュースを買って駅のあたりを散歩しているうちにこの公園へとたどり着いた。
日陰のベンチ。流れてくる風のおかげで暑さはなく、ミンミンうるさい蝉の声も逆に心地いい。
買ったばかりのマンガのページを繰っていると時間はあっというまにすぎていった。


 そろそろ行こうかと立ち上がるとボールが飛んでくる。駆けてくる少年に、ミュールをはいた足で軽くけり返してやる。


子供達「ありがとーお姉ちゃん」

川 ゚ -゚)「(お姉ちゃん、か)」



24: 第27話/ :2006/12/19(火) 01:54:22.22 ID:62MkXG/S0
  

 思わぬことからアイドルになって三ヶ月。21という年齢に不安がなかったかというと嘘になる。


川 ゚ -゚)「うん、純粋な子供が『お姉ちゃん』と思ってくれるんだ。まだまだ大丈夫だな」


 さて、夜もがんばるか。

 公園から小さな道を抜けていき、側道をあるいて駅へと出る。バスターミナル近くの広場を
『ギッコ』のにむかって歩いてゆく。

 ふと、横を向く。白い物体がどんどん大きくなるのを視認して。聴認できない。
 次の瞬間。


  クーの意識は途切れた。


       【続く】



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