( ^ω^)ブーンがアイドルマスターを目指すようです

8: 第31話 :2007/01/15(月) 23:31:42.17 ID:zR8Cvv/D0
  

観客「うぉぉぉぉぉぉ!!」


 あっさりとドレス(特注品)を脱いで現れたのは、青ホットパンツにエメラルドグリーンのキャミ。
地面につくようなスカート部で見えなかったが、靴はダンスブーツをはいていた。
額につけたティアラをはずし、後ろにぞんざいに投げ捨てる。


ξ゚听)ξ『でも、アイドルになった今。本当に魅せたいのはステージだから!
   いきます。『Shining Star』!!』


 ナミ・タマキのノンタイアップソング。大人数によるダンス曲。舞台にたったのはツン一人。
それでも舞台せましと右へ左へステップを踏み、踊り続ける彼女に似合ったパフォーマンスが最後まで続けられた。



9: 第31話 :2007/01/15(月) 23:33:51.03 ID:zR8Cvv/D0
  

マネージャーC「マズいな・・・」


 舞台ではCが鉈(レプリカ)をふりまわしている。彼女の出身地区で祭られている神様に向けた、いわば
奉納の舞。杵ではなく鉈なのは彼女たっての願いであるが。
確かに下手ではない。だが、あまりにも地味すぎた。白いワンピースタイプと帽子。舞台背景を
考えていなかったのはCサイドのミスであった。事務所のプロデュース担当者も横で苦い顔をしている。



 演舞の後、ワンテンポおいて歌のステージがはじまった。目に見えたミスはない。
むしろ、実力以上のものをだしたといってもいいだろう。

 それでも観客の反応は、同じくダンスを基調にした前のツンに比べてあきらかにまばらだった。



10: 第31話 :2007/01/15(月) 23:35:23.25 ID:zR8Cvv/D0
  

川 ゚ -゚)『とまぁ、半分が終わったわけですが・・・どうですか?審査員のみなさん』


 前半が終わったところで、打ち合わせどおりクーが審査員に声をかける。


ダンス審査員A「うん。レベルが高いね」

ヴィジュアル審査員B「自分ができる事をうまく使ってるという感じです」

記者審査員B「大舞台なのに崩れる娘がいない、ってのがいいね。」

春香「うん、みんなすっごい楽しそうにやれてますよー」


 今回の審査員はダンス、ボーカル、ビジュアルの専門家とアイドル誌の記者と企画屋から4名ずつ。
それに特別審査員として天海春香ら芸能界から3名、合計20人が就任している。
先の3組は個々ジャンルの能力を。マスコミ系2組は場への適応力を。点数もつけて選んでいる。

 最も、点数だけで測れない部分もある。それを読み取るべく呼ばれた特別審査員なのだが、
春香に関してはその重要性を理解していない節がある。
 アヤカが『THE iDOLM@STER』を歌っているとき、彼女が目を閉じて口ずさんでいるのを見て
同じく特別審査員の大御所といわれる落語家は、苦々しい表情をみせていた。



11: 第31話 :2007/01/15(月) 23:38:53.58 ID:zR8Cvv/D0
  

川 ゚ -゚)『ところで現在、先に終わった4名と中継がつながっている。見てみようか。
   中継のA、聞こえるか』

アイドルA『クーさーん、大丈夫だよ〜』


 背後のスクリーンにどアップで出てきたのは、ステージを終えてひと息ついているアイドル・・・ではなく
“合宿”に落ちてこの最終予選に進めなかったAの姿だった。


アイドルA『観客のみなさん、はじめましてー。私、Aです。好きな食べ物はカ○ビーのお菓子とカルピス。
   趣味はサイクリングで・・・・・・』

AP「(カメラ止めろッ!)」



13: 第31話 :2007/01/15(月) 23:41:52.27 ID:zR8Cvv/D0
  

川 ゚ -゚)『・・・・・・』

川 ゚ -゚)『・・・えー、カメラの調子が悪いみたいなので、後にまわすことにする
   さて、次もここで登場するアイドルたちの夏をご覧になっていただこう。これは、今夏行われた
夏合宿の映像だ』



 およそ10分のイメージビデオが流れる。終わったところで再びクーが舞台袖から出てきて、
ビデオに集中していた客席が再び騒ぎ出した。


川 ゚ -゚)『さて、後半戦といこうか。D番、『うまい棒プロダクション』所属、しぃ!』



14: 第31話 :2007/01/15(月) 23:46:04.53 ID:zR8Cvv/D0
  


 戦略は練りこんでいた。



 背景にあわせた配色にすること。
 ダンスに定評ある実力者たちを考え、歌の力で勝負すること。
 リョーコ・モモヤマのを見に来た観客に興味のひくよう、彼女の曲を選ぶこと。
 アピールの文面だって、事務所総出で考えた。

 綿密な下調べ。根回し。前半が終わるまでEおよび、彼女の担当は合格を確信していた。



 ・・・そう。しぃのステージがはじまるまでは。



15: 第31話 :2007/01/15(月) 23:49:13.55 ID:zR8Cvv/D0
  

アイドルE「カブっちゃった・・・」


 後半の先鋒、Eのひとつ前のしぃはEと同じ系統の服で、同じ系統の踊りで、同じ曲を歌っていた。
違っていたのは──実力。アピールの魅せ方も、ダンスの精度やキレも、声質ビブラートにリズムテンポ。
全てにおいて、しぃはEより2段階上のパフォーマンスを発揮していた。


アイドルE「どうしよう・・・」


 彼女にとって、ステージは針のむしろにしか感じられなった。



16: 第31話 :2007/01/15(月) 23:50:31.19 ID:zR8Cvv/D0
  

観客「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 Eの舞台にあからさまにテンションを下げていた観客達がふたたび盛り上がる。だが、それは衣装替えをしたツンや
オールラウンドに高い実力をみせたしぃとは違う、もっと根本的に別の盛り上がり方だった。


川 ゚ -゚)『・・・それか、隠し玉っていうのは』

アイドルD『えぇ、そうです。おどろきましたか?』

川 ゚ -゚)『あぁ。似合っているぞ、その眼鏡』 


 コンタクトレンズをはずして眼鏡をかける。それだけでガラッと印象が違って見えた。
これまでの6人がつけていなかったこともあって、“眼鏡キャラ”を印象づける策戦はとても有効だった。



17: 第31話 :2007/01/15(月) 23:52:19.28 ID:zR8Cvv/D0
  

 黒の淵を両手で直してクーからマイクをうけとる。


アイドルD『はじめまして、トソンです。今回はみなさんの顔をよくみたくて眼鏡をつけてみました。似合ってますか?』


観客『  に あ っ て る ー !! 』


アイドルD『ありがとうございます。それじゃあ、私は威張れるような特技もないので、2曲うたいます。
   一曲目はアミ・トキトウさんの『せんちめんたる・じぇねれーしょん』です!』


 このオーディション終了後、ある記者審査委員はこう語った。
眼鏡はいいねぇ。眼鏡はリリンの生み出した究極の文化だよ、と。



18: 第31話 :2007/01/15(月) 23:54:43.38 ID:zR8Cvv/D0
  

⌒*(゚〜゚)*⌒「アヤカさん、Bさん、ツンさん・・・さすがにみなさん、やりますわね」

 誰もいない控え室。カレハはメイクをしてもらいながら備え付けのテレビで舞台を見ていた。

エチゼン「皆様もお嬢様と同じよう、レッスンを積んできたのでしょう」
⌒*(゚〜゚)*⌒「そうでなくては勝負のしがいがありませんわ」


 ちなみに、宣戦布告は朝の時点で済ましてあった。


メイクさん「カレハ様、髪はこんなかんじでいいでしょうか?」

⌒*(゚〜゚)*⌒「そうですわね・・・もっとこう、フワッとおねがいします。ノーブルな格式が遠目からでも伝わるように・・・」

メイクさん「わ、わかりました・・・・・・」

エチゼン「・・・お嬢様。大道具の準備、OKだそうです」

⌒*(゚〜゚)*⌒「わかりました。それとエチゼン。お母様とお父様にお見せするビデオ、ぬかりはありませんわね?」

エチゼン「もちろんでございます

 カレハの舞台だが・・・3行で説明しよう。

    小林幸子
    美川謙一
    ローゼン・メイデン



19: 第31話 :2007/01/15(月) 23:57:51.08 ID:zR8Cvv/D0
  

川 ゚ -゚)『以上で全9名のステージを終了します。結果発表まで、少々お待ちください』

春香『司会者さーん』

川 ゚ -゚)『・・・はい。何ですか?』

春香『お客さんが待ってるだけというのも退屈だとおもいますし、しばらくの間、わたしが
   『太陽のジェラシー』でも歌って時間を穴埋め・・・』

川 ゚ -゚)『審査してくださいよ』



20: 第31話 :2007/01/16(火) 00:00:24.99 ID:v1gKXt820
  

 30分後、舞台には9人のアイドルが横一列に並んでいた。9人9色の衣装だった衣装は
このためか、オレンジとモスグリーンの“ミニモーにング”で統一されている。


川 ゚ -゚)『おまたせしました。これより、『VIPPER’sオーディション』の合格者を発表します』


 掛け声の練習やカメラの調整をしていたアイドルファンたちがにわかに活気づいた。



川 ゚ -゚)『先に宣言しておくと、今回の合格者は5人だ。まずは一人目から発表する。
   審査員大絶賛の一人目は・・・』


 ドラムロールがなりひびき、暗くなった会場にスポットライトが縦横無尽にかけめぐり・・・・・・




パンッ

 音がとまり、4ツのスポットライトは左から3番目のアイドル
───ツンを照らし出した。


   【続く】



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