( ^ω^) お蔵入りされた没ネタがここに集うようです――!!

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:13:47.05 ID:Ki6JniONO
    〜〜( ^ω^)ブーンは〇〇〇〇〇のようです〜〜・番外編




タイトル未定



200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:14:16.47 ID:Ki6JniONO
昔々、まだ幕末という動乱が起こる少し前、侍が闊歩していた時代。
とある田舎村に二人の幼い姉妹とその両親がいた。

川゚-゚)「ほら、遊んでないで、畑に行くぞ」

ノパー゚)「あ! 待ってよー」

姉は紅、妹は緋と言う名だった。
双子でこそないが、大抵の人には二、三回会った程度では到底見分けがつかないほど外見は瓜二つだった。
そして、そんな彼女達の少ない見分け方を挙げるとすれば、妹の癖のある髪と、至る所に作った傷、あとは二人の対照的な性格位しかないだろう。



202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:16:16.90 ID:Ki6JniONO
二人仲良く畔道を歩いていると、道の先の木の下に一人の少年がいた。

(´・ω・)「あ、二人共遅いよ、僕待ちくたびれちゃったよ」

彼の名は諸本梵之助。父が城に務める武家だが、彼は武士という立場を嫌う珍しい人間で、今はもっぱら竹刀よりも鍬を持つ時間が多い。そんな彼の姿を見るや、駆け出して行く妹。

ノパ听)「あっ、諸本! 今日こそはお前を捩じ伏せてやるからね!」

(´・ω・)「もう、お緋ちゃんは会ったらすぐこれだよ。
     全く、お姉ちゃんみたいに少しは女性らしくなるべきだよ」

川゚-゚)「私は……そう決め付るのは嫌いだ」



204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:23:23.48 ID:Ki6JniONO
(;´・ω・)「え?」

(´ ω )「……あぁ……ごめん」

姉の冷静で、僅かに棘のある言い方で、彼も自分の言った事に気がついた。

ノパ听)「さぁ! 勝負だ!」

(´・ω・)「……分かったよ。
     その代わり今日の仕事が終わってからね」

ノハ*゚ー゚)「やった!」

満面の笑みを浮かべて、畑へと走り出す緋。
彼女が少し離れてから、諸本は、紅が聞き取れる程度の声で再度謝罪した。
聞こえたとは思うが、彼女に反応は見当たらず、彼もこれ以上は言う気は無いので、既に結構な距離を取った妹の催促の声に従うことにした。

……

…………

………………



206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:27:36.65 ID:Ki6JniONO
ノハ;;)「ウワーン、また負けたぁ!」

(;´・ω・)「……ゴメン」

川゚-゚)「今回も諸本が勝ちだな」

日が傾き掛けた頃、雑草が生い茂る開けた場所に三人はいた。
小さな体を地面に投げて泣きじゃくる妹と、そのすぐそばでバツの悪そうな顔をした少年。
その少し離れた場所から冷静に記録を木に刻む姉。
その木には、諸本と緋の名が刻まれており、諸本の下には既に幾つもの正の字が並んでいた。

ノハ;;)「くそぅ! 次こそは絶対に勝ってやるんだからな!」

おもむろに立ち上がり、そんな捨て台詞を残すと、風のように彼女は走り去って行った。



207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:28:51.77 ID:Ki6JniONO
(;´・ω・)「……」

川゚-゚)「……あの言葉には私ももう聞き飽きた。
    君の考えている通り、妹にはもう少し語彙を増やすよう伝えておこう」

(;´・ω・)「え?」

そう独り言のように呟くと、彼女もまた、妹が駆け去った道を辿るかのように歩き出した。

(;´・ω・)「ちょ、僕そんな事思ってないってば!
      って、聞いてる? ねぇ!」

そう抗議の声をあげるものの、彼女の反応は朝のそれと同じだった。



208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:31:53.38 ID:Ki6JniONO
しかし、彼はその後数年間、彼女達に会う事は無かった。
理由は至極単純、父だ。

(`・ω・´)「待て」

(´・ω・)「? なんでしょう」

(#`・ω・´)「お前と言う奴は、体を鍛えるからと言うから、今まで畑弄りなど下らん事を許してやったというのに、事もあろうか娘なんぞにうつつを抜かすとは!」

(;´・ω・)「な、うつつを抜かすなんて……。
      誤解です!」

(#`・ω・´)「黙れ! これ以上あんな下衆共と付き合うようなら……勘当だ!」

(;´ ω )「っ!」

父が口にした言葉が、彼の心に深くのしかかる。
彼にとってそれは、生き地獄か、死かの二択とほとんど変わらなかった。

(´ ω )「……分かりました」

絞り出すように父への恭順の意を表し、満足気な顔の親から逃げるように床についた。

(´ ω )「……」

……その日、彼の枕が乾く事は無かった。



209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:35:05.79 ID:Ki6JniONO
それから更に数年が経ち、様々な出来事こそあったが、彼は立派な武士として成長を遂げる事が出来た。
剣も道場の師範に十の六、七で勝てる腕を持ち、孫子や孔、孟子にも通じ、まさに文武両道といったところか。

そんな彼が唐突に暇を貰い、風のように旅に出た事は、一部の人の間でちょっとした話題となった。

いろいろな噂こそあり、ほとんど眉唾ものだったが、確証があるものも幾つかあった。
一つは、彼が実家からいなくなり、父が家中を探し回った時に見つけた置き手紙の逸話。



210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:36:38.07 ID:Ki6JniONO
(´・ω・`)「やぁ、ようこそ僕の部屋へ。
      この手紙は置き手紙だから落ち着いて読んで欲しい。
      うん、出奔なんだ、すまない。
      仏の顔もというしね、謝って許して貰おうとは思っていない。
      ただ、ここまで読んだ時、言葉に言い表せない『怒り』みたいなものを感じてくれたと思う。
      僕は父上にいつまでも従う気なんか毛頭ない。
      そう思ってこの手紙を書いたんだ。
      じゃあ、僕の望む言葉を言って貰おうか」



213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:44:10.48 ID:Ki6JniONO
それを見た父は、顔を真っ赤にしてそれを破り捨て、勘当だ! と、大声で連呼した事。
他には、彼が旅に出た時、彼の隣には癖のある髪をした女性がいた事。
彼が向かった先には、ある代官を殺した罪で獄死した異教徒の女と、死神の噂が流れる町がある事だった。

彼のその後の消息は分からない。
野たれ死んだのか、野党に殺されたか、まだどこかで生きているのか。

ただ、彼のこの先は波乱万丈なのは間違いのない事実なのだろう。

        〜〜了〜〜



215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/03/28(金) 01:47:42.51 ID:Ki6JniONO
以上で終わり
読んでくれれば多分、これがどの作品の番外編か分かる人がいるかもしれないけど、今更すました顔で戻るなんて出来る訳ないな、と思ったからここに投下した
罵声、叩きなどは甘んじて受けるよ
……Mじゃないけど



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