(´・ω・`)の恨み代理店のようです

5: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:24:57.05 ID:xRs/hnzh0

<第5話 死んでゴメン>

カラン。

扉についている鈴を鳴らしながら、一人の男が入ってくる。

( ´_ゝ`)「いらっしゃいましたー」

入ってきたのは陽気そうな男。
その男はカウンターの向こうに立つ者を見るなり背筋を伸ばし歩き出す。

( ´_ゝ`)「名前を教えて下さい」

男はそう言うとカウンター前の椅子に腰掛ける。
キラキラと目を輝かせ見つめる先、そこにはクー。
男はクーの手を取ろうとする、が。

(メ´_ゝ`)「調子のりました。本当にごめんなさい」



6: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:27:15.29 ID:xRs/hnzh0

(´・ω・`)「・・・僕喋っても良い?」

ショボンがそう言うと、男は黙ってショボンの方を向く。
男に水を出すとショボンは話を始める。

(´・ω・`)「落ち着いて訊いて欲しい。ここは死後の世界、つまり君は死んだんだ。
      しかも、人の意志によってね。殺されたってことさ」

( ´_ゝ`)「あ、やっぱり?」

男はさほど気にしていないようで、軽く返事をする。

(´・ω・`)「・・・殺された原因わかる?」

そう訊かれると男はさらりと答える。



7: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:29:07.52 ID:xRs/hnzh0

( ´_ゝ`)「理由がありすぎて困るな。おそらく全部だろうが」

男は少し微笑むと水の入ったコップを手に取り、氷を廻す。
それを口に運ぶわけではなく、ただ、カラカラと弄ぶ。

(´・ω・`)「この店は<この世>と<天国>の間にある。君にはこれから選択してもらう。
      天国に逝くか、自分を殺した相手に恨みを晴らすか。この2つからね」

ショボンが言い終わると男はコップをカウンターに置く。
そうすると、男はショボンを見据える。

( ´_ゝ`)「天国?俺が?なんで?」

男はまるで「地獄に逝くはずだった」とでも言わんばかりにショボンに言葉をなげる。
ショボンの方は至って冷静で、表情一つ変えずに男に言葉を返す。

(´・ω・`)「酷い罪がない限りは<天国コース>なんだ。君は罪を犯していない。
      悪いことはしててもね、それは地獄に逝くまでのことじゃないって事だろう」

男はそれを訊いたとたんに泣きそうになる。
ショボンが指を鳴らしスクリーンを下ろすと映像が流れ始める。
映像を見た男の目からは涙がポロポロと落ちはじめた。



12: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:32:01.74 ID:xRs/hnzh0

映像を見て10分ほど経つと、男は泣きやんでいた。
今は目が赤く腫れ、鼻をすすっている。

(´・ω・`)「人は80年生きるんだ。途中で死んでしまったら、残りは天国か地獄で過ごす。
      天国に逝ったならいつでも<この世>に生まれること、つまり<転生>ができる。
      でも地獄に逝ったら80年ぶんしっかり過ごさなくちゃならない」

ショボンがそこまで言うと男は疑問を口にする。

( ´_ゝ`)「……<この世>で80年生きたらどうなるんだ?」

ショボンはその質問にゆったりと、そして優しく答える。

(´・ω・`)「地獄に逝くことなくそのまま転生だよ。ただし、生き物の種類は選べない。
      蟻かもしれないし、植物かもしれない」

男はそれを訊いて、もともとの陽気さを取り戻してくる。

( ´_ゝ`)「な、なあ!弟者は80年生きられるのか?」

男はカウンターに身を乗り出し答えを求める。
しかしショボンは今までと違い、質問に答えない。



15: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:34:37.55 ID:xRs/hnzh0

( ´_ゝ`)「黙ってないで教えてくれ!」

ショボンは興奮する男を椅子に座らせる。
普段下がっている眉が、いつもより下がっている様に見えた。

(´・ω・`)「そればっかりは何とも言えないね……」

ここで励ますつもりで根も葉もない事を言っても何にもならない。
ショボンはそれを分かっているから軽はずみなことを言わなかった。
それを訊いた男は「そうか」、と力無く言うだけで、何も行動は起こさない。

(´・ω・`)「……君さ、弟者君を殺したい?」

それを言ったショボンを、男はキッ、と睨み付ける。
ショボンは微笑むと、指を鳴らす。

何もない壁に現れたのは扉。

(´・ω・`)「あの扉は天国に繋がってる。残りの時間はあっちで過ごすと良い」



18: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:36:10.62 ID:xRs/hnzh0

( ´_ゝ`)「転生しないで80年生きたら……、また双子になれるかな?」

ショボンはそれに応えない。
ただし、それは無表情ではない。
男はその顔を見ると満足したように扉を開ける。

(´・ω・`)「なぜだか君は何でも出来るような気がするよ。兄者君」

それを訊いた男は少し振り返り、言う。


「なんたって俺は……、俺達は流石だからな」

男が扉を閉めると、そこには壁だけが残る。
ショボンはスクリーンをしまい次の客を待つ。

クーはただ、コップを洗っていた。



20: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:38:53.88 ID:xRs/hnzh0

兄者が扉を開けて見えたモノ。
それは「雲の上」としか形容できないようなものだった。

(;´_ゝ`)「天国ベタだな……」

兄者はそう言って辺りを見回す。
人がそれなりに多く、泣いている者や、笑っている者。
様々な表情をしている者がいた。

よく見るとそれらは列になっているようで、
列の先はテーマパークなどの入場門のようになっている。

( ´_ゝ`)「並べばいいのかな?」

兄者は一番近くにあった列に並び、順番を待ちわびる。

どれくらい時間が経ったのか、兄者にはそれが全く分かっていなかったが、
とうとう自分の番までまわってきた。



23: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:41:22.02 ID:xRs/hnzh0

(*゚ー゚)「ようこそ天国へ。これをどうぞー」

(*´_ゝ`)「はい(……可愛い)」

兄者は何かを手渡されると、門をくぐる。
そこは、やはり天国と言うにふさわしく、雲の上のような場所。

少し進んで椅子を見つけると、兄者はそこに座る。

( ´_ゝ`)「さっき渡されたのなんだろ……。ラヴレターかな?」

ラブではなくラヴという兄者。
どことなく気持ち悪い。

( ´_ゝ`)「携帯と冊子?」

渡された物には愛など微塵も感じさせない機械と、プリントされた文字で書かれた案内書。
兄者はそれに目を通す。



24: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:43:08.11 ID:xRs/hnzh0

( ´_ゝ`)「何々?機械の電源を入れて下さい?やり方は……」

見た目はスライド式の携帯。
だがスライドさせても数字はついていない。

兄者は案内書に書かれている通りに機械を操作する。
するとディスプレイに明かりがともる。

( ´_ゝ`)「55?」

兄者は画面に表示された数字が何かを調べる。

( ´_ゝ`)「なるほど、これが余命か」

死んでいるのに余命というのも変だな、と兄者は笑う。
兄者は立ち上がると付属のストラップで機械を首に掛ける。



26: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:45:47.80 ID:xRs/hnzh0

( ´_ゝ`)「天国って本当にあったんだなー」

兄者はキョロキョロと視線を動かしながら辺りを見る。

小さな子供や、年老いた人、容姿はバラバラだが同じところが一つ。
みんな笑顔で、とても楽しそうにしている。

何をするわけでもなく、只歩き回る。

兄者は機械をスライドさせる。
数字のついたボタンの代わりに、違うモノがついている。

兄者はそのうちの一つを押すと画面が余命の表示から切り替わる。
そして天国の地図であろうものがうつる。



27: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:48:00.23 ID:xRs/hnzh0

( ´_ゝ`)「……商店街?」

兄者はその文字を見ると、再び歩き出す。
進む方向から考えるに商店街だろう。


商店街に近づくほど人が多くなり、賑わっていた。
すれ違う人はみんな首から機械をぶら下げている。

(*´_ゝ`)「あ、幼女だ!!」

兄者の視線の先には見るからに幼い子供。
6歳ほどだろう。

*(‘‘)* 「ふう、人気者になる才能買ったし……、あれも買ったこれも買った。あとは……」

( ´_ゝ`)「幼・・・女?」

兄者は大人数が歩いて進む中、一人立ち止まる。
道行く人は何も無いかのように進んでいく。



29: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:50:33.15 ID:xRs/hnzh0

*(‘‘)* 「あ、素敵な外見も買わないと」

幼女の皮をかぶった何かは走り去っていく。
見かけとはまるで違う、リアルな台詞を吐き捨てて。

( ´_ゝ`)「俺いつから地獄にいたの?」

兄者は精神的にダメージを受けたようで、まだ突っ立ている。


20分もすると流石に歩き出せるようで、また人の流れに合わせ道を歩く。
商店街は、市場に近い雰囲気を持っており、
いくつものテントのようなモノが連なり道が出来ていた。

( ´_ゝ`)「一言に才能って言ってもいろいろあるんだな」

兄者はゆっくりと自分のペースで商品を眺めている。
才能というのはスーパーボールのような見た目で、飲み込むと次の生命に影響があるとのこと。

兄者は恨み代理店にいたときの辛さを忘れ、今を楽しんでいた。



31: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:52:47.50 ID:xRs/hnzh0

(*´_ゝ`)「うおお!これ凄いな!!」

兄者は何か面白そうなモノを見つけたようで、
今までにないぐらいはしゃいでいる。

(*´_ゝ`)「ホラホラ、弟者も見てみ……」

兄者が振り返るがそこに弟者はいない。
視界に入るのはテントと、道行く人のみ。

( ´_ゝ`)「……」

兄者は黙って走り出す。
何度も何度も人にぶつかって、その度に「気にしないで」と言われ。
その度に転びそうになって、泣きそうになる。

もう、弟者は隣にいないのだと。



34: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:54:43.14 ID:xRs/hnzh0

どれくらい走っただろうか。
息は切れない、足は痛くならない、全然疲れない。
なのに生きていたとき以上の苦しさ。

周りに誰もいない静かな場所で、兄者は泣いていた。
何度も宙に謝り、言葉は消える。

( ;_ゝ;)「何でみんな笑ってるんだよ!!何で誰も俺を攻めない!?」

兄者は自分を恨んだ。
そして行き場のない悔しさを誰かに、何かにぶつけないでいられなかった。

天国の人はみんな楽しそうで、当たり前のように「ここに来て良かった」と思っている。
しかし兄者はここに来たことを後悔していた。
もし、自分が死なないで、生き延びていたらきっと弟者は地獄に逝かなくてすんだ、と。

ふと兄者は生きていたときのことを思い出す。



36: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:56:32.49 ID:xRs/hnzh0

兄者はテストでいい点を取らなかった。
勉強は出来るはずだが、なぜだかいい点を取ろうとしなかった。
よく悪戯もして、その度に母者に叱られていた。
だがその時は一人ではなく、悪い点を取っても、悪戯をしても、いつも父者も怒られてくれた。
悪いのは兄者だけなのに「二人で怒られれば辛いのも半分」と優しい言葉を掛けていた。
休日には家族みんなをドライブに連れていったりと、みんなから好かれている父親だった。


母者はいつも怒ってはいるが、それが相手を思ってのことだとみんな分かっていた。
高校に受かったときも涙を流して喜んでくれた。
誰よりも強くて、人間かどうかも不安になるような人だったけど、それでも母親に代わりはなかった。


兄者、弟者が高校3年生のころ、年甲斐もなく「デート」と言って出かけていった両親は、
デートから帰ってきたときには生きていなかった。

高速道路を車で走っている時に、前のトラックの積み荷が落下。
それに直撃したらしい。

誰もが人間離れしていると思った人ですら、あっけなくこの世を去った。



37: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/15(月) 23:59:03.51 ID:xRs/hnzh0

高校を卒業すると、兄者は家からでなくなった。
それは次第にエスカレートしていき、仕舞いにはほとんど部屋から出なくなった。

弟者は志望していた大学を諦め、就職した。
決して大きな会社ではなかったが、それでも妹者をしっかり育てたいという気持ちがあったのだろう。
毎日毎日文句も言わず働いた。

姉者は大学を卒業し、それなりの企業に着き、遊ぶ暇も惜しみ働いた。
休日は妹者と遊び、一家を養っていくという立場になりながらも、
決して泣こうともせず、今まで通りみんなと接していた。

妹者は最初こそ泣いていたが、迷惑を掛けることはしたくないと思ったのか、
毎日笑顔を振りまき、食卓を明るくしてくれた。



39: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:02:07.53 ID:Cv2ZbZht0

( ;_ゝ;)「弟者にいつも八つ当たりして、働きもしないのに飯だけはたらふく食って」

泉のような場所、周りには誰もいない。
兄者はそこで泣き叫ぶ。

( ;_ゝ;)「弟者・・・ごめん。姉者、妹者・・・ごめん」

兄者はわんわんと叫ぶ。
誰かに聞かれていようが関係ないといったように。

そこに一人の女性が近づく。
美人だが、どこか攻撃的な雰囲気を持つ女性は、兄者のそばによる。

从 ゚∀从 「人のお気に入りの場所でなにやってんだ」

兄者は地面にひざを付ける形で振り返る。
本来の兄者ならここで飛び付くかもしれない、が、今の兄者はさめている。



41: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:04:12.73 ID:Cv2ZbZht0

从 ゚∀从 「天国なんだから楽しそうにしろよなー」

女性はいつの間にか置いてあるベンチに腰を掛ける。
座れよ、女性が言うと兄者は黙って立ち上がり、隣に座る。

( ´_ゝ`)「天国にはさ……、神様っているの?」

兄者がそう言うと女性は実にめんどくさそうに答える。

从 ゚∀从 「いたとしたらどうするよ?願い事でも叶えて貰うのか?」

女性の服装は腕まくりをしたワイシャツにネクタイ、デニムの短パン。
何をする服装なのかまるでわからない。
いつの間にか煙草を口にくわえており、ゆっくりと煙を吐き出す。

( ´_ゝ`)「ああ、とりあえず一回殴ってから願いを聞いて貰う」



42: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:06:23.63 ID:Cv2ZbZht0

それを聞くと女性は腹を抱えて笑い出す。
兄者は比較的まじめに言っていたようで、語尾を怒らせ女性に言う。

( #´_ゝ`)「何がおかしい!!あとあんた誰だよ!?」

女性は目に涙をため、煙草を右手でつまむ。

从 ゚∀从 「俺の名前はハインリッヒだ、ハインとでも呼んでくれ。
      笑ったのは、あれだ、ずいぶん自分勝手だと思ってな」

ハインが言い終えると、今度は兄者が口を開く。

( #´_ゝ`)「五月蠅い!!なんで良いことをした弟者が地獄に逝くはめになるんだ!!
       悪いのは俺なのに……、自分勝手なのは俺じゃなくて神様だろうが」

兄者はハインを怒鳴りつける。
目の前にいる女性が神様だとも知らずに。



43: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:08:21.42 ID:Cv2ZbZht0

从 -∀从 「お前、生きてるときに何に願った?失敗したとき何を馬鹿にした?」

ハインは静かに言い放つ。
兄者は言葉が出ないようで、黙りこくる。

从 ゚∀从 「それに、地獄逝きを選ぶのは神様じゃねえ」

ハインがそう言うと兄者は顔を上げる。

( ´_ゝ`)「そうか……、神様にあったら謝らないとな」

それを訊いたハインはまた笑顔になり、煙草を1本差し出す。
兄者は煙草を吸ったことが無く、それを遠慮する。

从 ゚∀从「もう健康気にする必要なんて無いのに……」

それを訊いて兄者も笑う。
そしてまた口を開く。



44: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:10:12.97 ID:Cv2ZbZht0

( ´_ゝ`)「神様にあったら、もう一度弟者と兄弟にしてくれるよう頼む」

兄者は上を見上げている。
ハインは兄者の向いている方に視線をやり、訪ねる。

从 ゚∀从「もし、その願いが聞いてもらえなかったら?」

( ´_ゝ`)「殴ってでも聞いてもらうさ」

从 ゚∀从「……そうか」

ハインはそう言って立ち上がると、手を上に伸ばし、背筋を伸ばす。
兄者がハインに「どこかに行くのか」と訪ねる。

从 ゚∀从「生憎、殴られるのは趣味じゃないんでね」

(;´_ゝ`)「え……、あんたまs」

兄者はハインを引き止めようとしたが、それは失敗に終わる。
ハインは煙のように姿を消した。



45: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:12:00.63 ID:Cv2ZbZht0

( ´_ゝ`)「神様……、か」

ハインが座っていた位置には煙草とライターが置かれている。
兄者はそれを手に取ると、また上に目をやる。

( ´_ゝ`)「あれは、空なのか?本物の太陽なのか?」

答えてくれる人はいない。



恨み代理店で見た映像。
それはコンクリートで出来た壁の部屋の隅で膝を抱えている弟者。
何度も何度も「兄者ゴメン」と繰り返し呟いていた。

それを見たとき、兄者は謝った。
妹者に、兄ちゃんをいなくしてしまってゴメンと。
姉者に、今まで無理させてゴメンと。

そして、弟者に「死んでゴメン」と。



52: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:15:05.53 ID:Cv2ZbZht0

( ´_ゝ`)「さて……どうするかな」

兄者は少し考えると、何かを思いついたように手を叩く。

( ´_ゝ`)「母者と父者が天国にいるかもしれない!探すか!」

でも焦らず行こう、無駄に時間が出来ちゃったしな。
兄者はそう言うと煙草を口にくわえて、火をつける。

( ´_ゝ`)「……まずい」

ベンチの下には神様が使っていた灰皿が置いてあった。
兄者はそれに煙草を押しつけ火を消す。
空には蒼が一面に広がっていて、そこに円く白い穴が空いている。
穴は輝きを放っていてとてもじゃないが直視できない。

( ´_ゝ`)「世界中の窓からー」

兄者は一人、歌を歌う。
神様のお気に入りの場所で。

そして、生前の口癖を、つい口にする。

             
                   「流石だよな、俺達」



53: ◆1opJeO9WQk (新潟県) :2008/09/16(火) 00:16:02.21 ID:Cv2ZbZht0

<第5話 死んでゴメン> END



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