川 ゚ -゚)クーたちは想像上の生物のようです
- 3: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:45:02.08 ID:YLpfK4OI0
- 第五話『擾擾地獄』
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「落ち着いたか」
( ´ω`)「すまなかったお」
从 ゚∀从「気にすんなよ。元々そこまで芯の強いとは思ってなかったし」
( ´ω`)「……ところで、なんでハインはここにいるんだお?」
从 ゚∀从「……ここって、どこだよ」
( ´ω`)「僕の部屋だお」
从 ゚∀从「あー、ああ。そうかそうか。ここはお前の部屋か」
( ´ω`)「なんだか自然な流れでここまで来ちゃったお」
从 ゚∀从「これは……ナニな展開だな」
( ´ω`)「いや、違うお」
从 ゚∀从「こう見えて初心だからな、優しくしろよ」
( ´ω`)「いやだからね」
- 4: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:47:20.31 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「さあエロ本探すところから始めようか」
( ´ω`)「そんなもん置いてないお」
从 ゚∀从「あー、今の時代あれだもんなー。ハードディスク?」
( ´ω`)「そういう問題じゃない」
从 ゚∀从「間違ってるか?」
( ^ω^)「……まあ、その話は置いておくお」
从 ゚∀从「ヒドイワ、アタシトイウオンナガアリナガラ」
( ^ω^)「棒読みだお」
从 ゚∀从「まあ、今はお前の身の問題の方が重要だからな。そっちから聴かせてもらおう」
( ^ω^)「了解しましたお」
从 ゚∀从「ハードディスクの中身を聞くのはその後だ」
( ^ω^)「そんなもん聞いてどうするんだお?」
从 ゚∀从「努力するよ」
( ^ω^)「なにを……?」
- 5: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:49:46.43 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「さて、それじゃあ話してもらうぜ。色々な」
( ^ω^)「うん……ハイン」
从 ゚∀从「ん?」
( ^ω^)「今から言うこと、信用してもらえないと思うお」
从 ゚∀从「まー、とりあえず話せよ。それに、前に言ったろ? お前は俺に嘘つけねーって」
( ^ω^)「……ええと、実は」
从 ゚∀从「うん」
( ^ω^)「斯く斯く」
从 ゚∀从「ほうほう」
( ^ω^)「然々」
从 ゚∀从「ははあ」
( ^ω^)「斯く斯く」
从 ゚∀从「ふむふむ」
( ^ω^)「然々」
- 7: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:51:50.13 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「なるほどなあ……」
( ^ω^)「分かったかお?」
从 ゚∀从「なんとなく、分かった。つまりお前と、お前と同じ属性の奴らの記憶以外が、
変容しているってことか。それも随分と大胆に」
( ^ω^)「そうなんだお……」
从 ゚∀从「で、お前が以前住んでた世界じゃあ、雨は透明だったわけだ」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「それに、赤ん坊ドッジボールもやってなかった、と。成る程なあ」
( ´ω`)「ハインは、あのドッジボールに参加したことあるのかお?」
从 ゚∀从「小学校の頃はよくやってたかなあ。最近はとんと」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「っていう記憶も、お前にとっては間違ってるわけだ」
( ´ω`)「お?」
- 8: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:54:03.98 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「俺たち……お前らを除く大多数の人間の記憶は、都合良く改竄されているわけだ。
そして、それに気付くことも出来やしない」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「恐ろしいぜ、こいつは」
( ´ω`)「……そっち側の発想は無かったお」
从 ゚∀从「まあお前は渦中の人だからな。冷静には考えられないだろう」
( ´ω`)「朝、あの小人の雨を見ただけで死にそうだったお。
というか、ハインたちは不思議じゃないのかお?」
从 ゚∀从「何が?」
( ´ω`)「雨にせよ赤ちゃんのドッジボールにせよ……常識的に考えて、やっちゃいけないお」
从 ゚∀从「常識的に、ねえ。お前、そりゃ難しいよ」
( ´ω`)「スピーカーから音が出てこない」
从 ゚∀从「だって、俺たちにとっては、赤ん坊を投げることが常識だもの」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「小人の雨だってそうさ。お前の世界に虹はあったか?」
- 9: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:56:06.07 ID:YLpfK4OI0
- ( ´ω`)「虹って七色のあれかお?」
从 ゚∀从「うん」
( ´ω`)「あったお」
从 ゚∀从「あれの発生原理、知ってるか?」
( ´ω`)「うっすら……説明しろと言われても出来ないお」
从 ゚∀从「そんなもんだろ? 雨も虹も自然現象だから、
あーこういうもんかって納得すればいいんだよ」
( ´ω`)「じゃあ僕は、赤ん坊投げも、あーこういうもんかって納得しなければいけないのかお」
从 ゚∀从「それで、悩んでたんだろ?」
( ´ω`)「ん……」
从 ゚∀从「……」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「ああ、そうそう。色々調べてきたんだよ、俺も」
- 10: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 22:58:56.19 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「まあ……結論から言ってしまえば、大した情報は得られなかったんだけどな」
( ´ω`)「……いや、でも、ありがとうだお。わざわざ申し訳なかったお」
从 ゚∀从「なに、気にすんな。こんな状況になったから俺のやったことも、
それなりには意味を持つことになったが、最初は単に興味が湧いて調べただけだからな。
それで、だ……特殊性夢遊病ってのが確認されたのがまだ最近……
正確には七ヶ月と二十五日前なんだよ。だから、
世俗的な噂や見解なんかはやたらと溢れているが、有意義な研究ってのは、
まだどこでも進んでないわけ。だからその線で知識的に調べるのは無理だった」
( ´ω`)「仕方ないお」
从 ゚∀从「だから、ここは経験者に語ってもらう他はねえって訳で、色々と調べてだな」
( ´ω`)「うん」
从 ゚∀从「ちょっくら電話してみた」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「まあ、したと言っても、十人ぐらいだが」
( ´ω`)「したのかお」
从 ゚∀从「したよ」
- 13: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:02:05.02 ID:YLpfK4OI0
- ( ´ω`)「相変わらずの行動力に僕は感心しきりだお」
从 ゚∀从「馬鹿野郎、それぐらい、俺にとっては当たり前……そういえばさ」
( ´ω`)「なんだお?」
从 ゚∀从「お前の話によると、変容するのは環境だけじゃなくて人物そのものもなんだよな」
( ´ω`)「ああ……うん。そうだお。ドクオは以前、もっとアグレッシブな感じだったはずなんだお」
从 ゚∀从「あー、じゃあさ、その、俺はどうなんだ?」
( ´ω`)「お?」
从 ゚∀从「俺もどこか、変わってたりするか?」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「……」
( ^ω^)「……」
从;゚∀从「……ど、どうなんだよ」
( ^ω^)「変わってないと思うお。たぶん……性格とか容姿とか、基本的なところは」
- 14: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:04:48.63 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「おー、そうかそうか。安心したぜ」
( ^ω^)「そんなもんかお」
从 ゚∀从「当たり前だろ。もしも容姿がひどく変わってたり、以前はおしとやかだったのが、
こういうのになった、ってなことになってみろ、しれっと彼女ヅラなんて出来たもんじゃねえ」
( ^ω^)「なるほど……」
从 ゚∀从「と、いうわけでこれからもよろしくな」
( ^ω^)「いえいえこちらこそ」
从 ゚∀从「よし、話を戻すぞ」
( ^ω^)「お」
从 ゚∀从「それでまあ、十人ぐらいに電話してみたわけなんだけど……な。
どうもいまいち要領を得ないっつーか、なんだろうな。
どいつもあまり喋ってくれないんだ。俺がいろいろ訊いても笑ったり怯えたりしてな」
( ^ω^)「それは、多分みんな混乱しているんだと思うお。
普通、誰かに話して信じてもらえるようなことでもないし……。僕だって、
見ず知らずの人から電話かかってきてそんなこと尋ねられたら、混乱すると思うお」
- 15: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:07:01.24 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「なるほどな。つまり……電話した相手のやつらにもブーンと同じようなことが起きている」
( ^ω^)「その可能性は高いと思うお」
从 ゚∀从「じゃあやっぱり、この現象は特殊性夢遊病患者特有のものってわけか。
ブーンが魔法少女を生み出したのも偶然じゃなく、ある種運命的なことだったってわけだ」
( ^ω^)「そういうことになるお……」
从 ゚∀从「しかし、こうなるとますます厄介だなあ……」
( ^ω^)「?」
从 ゚∀从「この現象はさあ、実際に自分で体験してみないと実感が掴めねえと思うわけよ。
こんな時に空気読めないこと言っちまってすまんが、
俺もそっち側の立場に立てたらなあって思うぜ。
実感が掴めねえままだと、解決方法も見出せないわけでな」
( ^ω^)「解決方法……」
从 ゚∀从「ああ。解決まで辿り着けなくても、せめてこう、理由とかそういうのは知りたいじゃねえか。
何故、どういう風に、何によってこんなことが発生したのか。
その点で俺たちはまだ、スタート地点にも立っちゃいねえよ」
( ^ω^)「……僕がさっき言った、夢の部屋で会った人が言ってたお」
从 ゚∀从「ああ、パソコンしかないっていうチンケな部屋のことか。で、なんだって?」
( ´ω`)「流れに身を任せるしかない……って」
- 16: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:08:59.65 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「随分と達観した奴だな。爺さんか」
( ´ω`)「いや、確か大学生だった気がするお。作家志望なんだって」
从 ゚∀从「ああ、ワナビか。それじゃあまともに聞いちゃいけねえな」
( ´ω`)「そうなのかお?」
从 ゚∀从「そうだよ。このご時世、作家目指すなんて抜かす奴にはロクな奴がいねえ」
( ´ω`)「ははあ……」
从 ゚∀从「ま、偏見だけどな。それにしてもだ、お前はいいのか?このまま流れに身を任せるだけで」
( ´ω`)「……正直、解決できるような問題ではない気がするお。
それでも、出来るなら……出来るなら。
僕には、変化する世界についていける自信がないお」
从 ゚∀从「まあ、無意識や何やが関わってるなら、荷が重過ぎるわな。
俺たちが自覚していることなんて、意識全体からしてみれば、
氷山の一角みたいなもんだって言うし。畜生、やっぱ俺も体験してえなあ、お前みたくさ」
( ´ω`)「……難しいことだと思うお」
从 ゚∀从「たとえばさ、俺がお前を抱き締めるじゃん」
( ´ω`)「うん」
- 18: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:12:01.07 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「そんで、お前が寝るじゃん」
( ´ω`)「……うん」
从 ゚∀从「夢、見るじゃん」
( ´ω`)「うん」
从 ゚∀从「お前消えるじゃん」
( ´ω`)「うん」
从 ゚∀从「俺も一緒に消えないかな」
( ´ω`)「……仮に消えたとして、こっちに戻ってこれる保証が無いお」
从 ゚∀从「あーそうか。そうだよなあ。戻ってこなくちゃ意味がねえ」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「……」
( ´ω`)「……はあ、疲れたお」
从 ゚∀从「まあ、今日一日はお前にとって超絶ハードだったろうな。
もっとも……今日一日だけじゃ済まないだろうが」
- 19: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:14:11.20 ID:YLpfK4OI0
- ( ´ω`)「はあ、そのうちボロが出るお。僕の考え方がみんなと違うってバレちゃうお。
そうなったら、もしそうなったら僕は……」
从 ゚∀从「……」
( ´ω`)「黄色い救急車に連れて行かれちゃうお」
从 ゚∀从「黄色い救急車?」
( ´ω`)「頭のおかしい人は黄色い救急車に乗せられて、
鉄格子つきの病院に連れて行かれちゃうんだお」
从 ゚∀从「……え、マジ?」
( ´ω`)「なんだ、ハインは知らないのかお?」
从 ゚∀从「いや、そうじゃなくて……」
( ´ω`)「ああー、そもそも白い救急車にも乗ったことが無いのに……」
从 ゚∀从「あのさー、ブーン。非常に申し訳ないけど、無いからね」
( ´ω`)「何がだお?」
从 ゚∀从「黄色い救急車。あれ、都市伝説だよ」
( ´ω`)「都市伝説?」
- 21: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:16:18.01 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「うん、都市伝説。実在しないからな」
( ´ω`)「え……だって、だってほら、僕小さい頃よくカーチャンにそう言われたお」
从 ゚∀从「随分えげつないかーちゃんだな、そりゃ」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「どうした?」
( ´ω`)「実在、しないの?」
从 ゚∀从「ああ」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「なんというか、お前さー」
( ´ω`)「やめて、言わないで」
从 ゚∀从「……ま、まあでも、お前の居た世界にはあったのかもしれないな。
うん、きっとそうだ。そうだろう、な?」
( ´ω`)「なんかこう、耳の奥を割り箸でつつかれているような」
- 23: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:18:12.78 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「まあ、その話は置いておこう。とりあえず、今話せることはこれぐらいか」
( ´ω`)「カピバラが通った」
从 ゚∀从「……んー、やっぱ、悔しいけど俺たちだけじゃあ限界があるぜ。
もっと権力がある誰かを頼れればいいんだが……。
警察とかな。それでなくても、もっとこのことが公に……いや、無理か。
ブーン側がの人間が多いならまだしも、多いのは世界に適応している奴らだ。
きっと……ブーンたちは狂人扱いされて……それが特殊夢遊病患者全てに渡っても、
集団ヒステリーみたいな怪現象として片付けられるんだろうな。
この場合、弱者は明らかに俺たち側の人間なんだが、誰も認めないだろうし」
( ´ω`)「とにかく、ありがとうだお」
从 ゚∀从「気にすんなよ、俺はお前の恋人だ」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「マンガとかだとさ、この難事件に二人で立ち向かって、
それでますますオアツい関係になるんだよな」
( ´ω`)「……まあ」
从 ゚∀从「銀行強盗」
( ´ω`)「そうだお」
- 24: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:22:24.32 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「そうなればいいんだけどな」
( ´ω`)「……でも、その」
从 ゚∀从「批判的思考」
( ´ω`)「本当に、感謝してるお。なんというか、その」
从 ゚∀从「……ああうん、皆まで言うなよ」
( ´ω`)「今日の夜は錠剤四つと粉薬二包」
从 ゚∀从「分かるから」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「なんか青春っぽいな」
( ´ω`)「奇妙なものだお。僕はすごく大変な状況なのに」
从 ゚∀从「財布の中にカードが十五枚。小銭が十三枚」
( ´ω`)「ちょっとだけ、安心出来てるお」
从 ゚∀从「ほお、なんかあれだな、ジュブナイルだな」
( ´ω`)「机の上の携帯電話の上」
- 26: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:26:49.76 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「さて、結構長居したな、そろそろ帰るか」
( ´ω`)「ん……そうかお」
从 ゚∀从「おっと、そうだ、最後に」
( ´ω`)「お?」
从 ゚∀从「キスしようぜ」
( ´ω`)「おお」
从 ゚∀从「僕は阪神タイガースが好きだ」
( ´ω`)「ゲームを十本売り払った。一万円手に入った」
从 ゚∀从「カエルが鳴いている」
( ´ω`)「もうすぐサザエさんが終わる」
从 ゚∀从「犬が死んだ」
( ´ω`)「き、キスするのかお!?」
从 ゚∀从「なんだ、嫌なのか?」
( ´ω`)「ラー油入りのカップラーメンは美味い」
从 ゚∀从「目の前にストローが三十本以上」
- 27: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:29:56.01 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「なんだ、いやなのか?」
( ´ω`)「イヤではないけど……ええと、ええと」
从 ゚∀从「普通こういうのは五人が乗っていた渡し船が突風に遭って沈没した。
幸いにも二隻の救命ボートに乗り移ることが出来た。
一隻にはマリーという若い男からするもんじゃないか?」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「誰と喋ってるんだ?」
( ´ω`)「誰と喋ってるんだお?」
从 ゚∀从「……」
( ´ω`)「……」
从 ゚∀从「キスしようぜ」
( ´ω`)「うん」
从 ゚∀从「虹が見えるな」
( ´ω`)「ここは僕の部屋だお」
从 ゚∀从「あれ、お前唇が無いぞ」
- 28: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:31:12.43 ID:YLpfK4OI0
- ( ´ω`)「どこにいるんだお?」
从 ゚∀从「虹が見える」
( ´ω`)「あれが虹かお?」
从 ゚∀从「あれが虹だよ」
( ´ω`)「白黒だお」
从 ゚∀从「虹ってそういうもんだろ?」
( ´ω`)「七色じゃないのかお?」
从 ゚∀从「白から段階的に黒になっている。合計七段階」
( ´ω`)「どこだお?」
从 ゚∀从「ここだよ」
( ´ω`)「さっきまでここにいたお」
从 ゚∀从「ずっと同じ場所にいるよ」
( ´ω`)「え?」
从 ゚∀从「あ?」
- 30: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:34:18.62 ID:YLpfK4OI0
- ( ´ω`)「どこにいるんだお?」
从 ゚∀从「お前の後ろ」
( ´ω`)「なんでだお?」
从 ゚∀从「殺すんだよ、お前を」
( ´ω`)「なんで、なんで殺すんだお?」
从 ゚∀从「キスしようぜ」
( ´ω`)「うん」
从 ゚∀从「殺さないといけないんだ、俺は」
( ´ω`)「黄色い救急車に連れて行かれちゃうお」
从 ゚∀从「サイレンがきこえる」
( ´ω`)「黄色い救急車は実在したお」
从 ゚∀从「どうやらそのようだな」
- 31: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:37:05.28 ID:YLpfK4OI0
- ( ´ω`)「殺すのかお」
从 ゚∀从「殺すよ」
( ´ω`)「流れに身を任せるお」
从 ゚∀从「作家志望にロクな奴はいねえよ」
( ´ω`)「変わってないお。容姿とか性格とか基本的なところは」
从 ゚∀从「ここはどこだ?」
( ´ω`)「聞かなくても分かるはずだお。ハインにも眼があるお」
从 ゚∀从「描写されてねえよ」
( ´ω`)「え?」
从 ゚∀从「俺たち……お前らを除く大多数の人間の記憶は、都合良く改竄されているわけだ。
そして、それに気付くことも出来やしない」
( ´ω`)「ハインはあのドッジボールに参加したことあるのかお?」
从 ゚∀从「慣れると楽しいぜ」
( ´ω`)「どこに行くんだお?」
从 ゚∀从「夢の中へ」
( ´ω`)「夢の中へ」
- 32: ◆xh7i0CWaMo :2008/12/20(土) 23:40:35.05 ID:YLpfK4OI0
- 从 ゚∀从「……ここって、どこだよ」
( ´ω`)「僕の部屋だお」
从 ゚∀从「違うだろ。だって、雨が降ってるぜ」
( ´ω`)「ああ」
ふとブーンは目を開ける。ぼんやりとした視界は全体が赤色に染まっている。
揺らぐ意識の中でブーンは考えた。ここはどこだろう。
身体中が冷たい。水滴に打たれている。雨だ。小人の雨が降っている。
ということはここは外だ。おかしい、自分は家の中にいたはずなのに。
長い間動かずにいたかのように、身体の芯から冷え切っている。
そうだ、ハインはどこにいるのだろう。ブーンはぐるりと首を回す。
わざわざ僕に会いに来てくれたのだ。こんなに嬉しいことは無い。
そうだ、僕は今はっきりと気付かなければならない。僕は、ハインのことが好きなんだ。
だがそこにハインは居なかった。
( ω )「ハイン……?」
塀にもたれかかっていたはずのハイン。部屋の中で会話していたはずのハイン。
帰り際にブーンにキスをしようとしたハイン。その彼女が、消失している。
彼女はどこにもいずに、雨ばかりが降り続いている。ここは自宅の前だ。
或いは彼女は最初からいなかったのだろうか。僕は夢を見ていたのだろうか。
第五話『擾擾地獄』終わり。
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