( ^ω^)変わった人達のようです

265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 00:52:36.53 ID:vLZM/8dRO



 それは、とある恋人の話。

 それは、死んだ恋人の話。

 それは、その恋人の話。

 彼女は死んだ恋人の頭を抱き締めて、何を求めるのでしょうか。



『ななつばらばら。』



 始まりは、七つの鍵。



268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 00:54:53.17 ID:vLZM/8dRO

 ぜえ、ぜえ。
 息を荒くして、しゃくりあげながら僕は立ち上がり、袖を涙でぐちゃぐちゃにしながら次の扉の前へと。

 けほ、と一つ咳をして鼻水をすすってから、そのドアを開けました。


川 ゚ -゚)「む、内藤か」

( ;ω;)「ひざ、じ、ぶり……だお……」

川;゚ -゚)「どうした内藤、何故泣いている?」

( ;ω;)「ぁ、……あっ……僕、が……悪……っ」

川;゚ -゚)「先ずは泣き止め、ほら椅子に座れ」

( ;ω;)「ぁあ……ああああ…………」

川;゚ -゚)「落ち着け内藤、ただ泣かれていては私だって困るんだぞ」

( ;ω;)「ごめ、ざ……ごめん、なざ、ぃ…………」

川;゚ -゚)「ああもう、今のは私が悪かった、だから泣くな内藤」



270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 00:56:11.55 ID:vLZM/8dRO

 幼馴染みであり、友人であり、親友の恋人でもある彼女に背中を擦って貰いながら、僕は必死に込み上げる涙を止めようとしていました。

 たっぷりの時間をかけて止まった涙の所為で彼女は少し疲れたらしく、ベッドに腰かけて僕を覗き込んでいます。

 ぐじ、と涙を拭ってから数回咳をして、彼女に笑いかけました。


( ^ω^)「ごめんだお、もう大丈夫だお」

川 ゚ -゚)「ああ泣き止んだか、いきなり入ってきて泣かれたから驚いた」

(;^ω^)「ご、ごめんなさいお……遅くなったけど、お邪魔しますお」

川 ゚ -゚)「ようこそ、何もない部屋だがな。で、何の用だ?」

( ^ω^)「お……」

川 ゚ -゚)「ただ遊びに来たと言う訳じゃ無いんだろう、ここにドクオそのものは居ないぞ」

( ^ω^)「お、ドクオは、」

川 ゚ -゚)「私が食った、お前も知ってるだろう」



273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 00:58:18.98 ID:vLZM/8dRO

( ^ω^)「……知ってるお、その事をちゃんと聞きたくて、来たんだお」

川 ゚ -゚)「なるほどな、お前はドクオの親友だった……とは言っても隠す事も無いし言い忘れた事も大して無い、お前が知る事ばかりだ」

( ^ω^)「それでも……聞かせて、もらえるかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、分かった。道徳的にも人道的にも最低な行為だと分かっているんだがな、」

( ^ω^)「笑いも罵りも蔑みもしないお」

川 ゚ -゚)「当たり前だ猫殺し、お前に言われる筋合いは無い」

( ;ω;)「お……っ」

川;゚ -゚)「おい、その事で泣いてたのか? ああ悪かった悪かった、もう言わないから泣くなよ」

( ぅω;)「ごめんお……気にしないで欲しいお……」

川;゚ -゚)「気にするのが普通だ馬鹿め、ええい、もう話を始めるぞ」

( ぅω;)「お願いするお……クーとなら、僕も緊張せずに話せるお……」

川;゚ -゚)「ああそうかい。ええとだな、アレはドクオが引きこもってた中学時代か」



276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:01:14.07 ID:vLZM/8dRO

( ^ω^)「ぐずっ……クーがドクオと付き合うようになった理由かお?」

川 ゚ -゚)「お、泣き止んだな。
     そうだ、誰も信じられないんだーとか言って部屋に七つも鍵をかけて引きこもっていた典型的な中二病だったあの頃だ」

(;^ω^)「その通りだけど何かひでぇお……確かそこに、クーがドアぶち破って入ったんだったかお?」

川 ゚ -゚)「事実だ。ああ、自慰中だったから泣いていたが気にせずにぶん殴ったがな」

(;^ω^)「小さい時から変わんないおね……そう言う傍若無人なとこ……」

川 ゚ -゚)「お前のにやけ面もドクオのマイナス思考も小さい頃から変わらんが」

(;^ω^)「地顔に文句言うなお……」

川 ゚ -゚)「小さい頃から何でこいつらと遊んでたんだろうな、私は。でだ、」

( ^ω^)「ひでぇ言葉が聞こえた気がするお……」

川 ゚ -゚)「でだ、」

( ^ω^)「はい」



280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:03:26.97 ID:vLZM/8dRO

川 ゚ -゚)「何か知らんがドクオが好きだったんだ、私は」

( ^ω^)「はい」

川 ゚ -゚)「まあ顔は程ほどだったしマイナス思考もあいまって『私が何とかしなきゃっ☆』って思ったんだろうな、スイーツ(笑)」

( ^ω^)「自分で言うなお自分で」

川 ゚ -゚)「まあ好きだったからかは知らんが、ドクオ社会適合者計画を一人で立ち上げた私はドクオに決死の告白をした」

( ^ω^)「『私と付き合え愚図め』が告白かお」

川 ゚ -゚)「何で知ってる」

( ^ω^)「ドクオに聞いたお」

川 ゚ -゚)「これは酷い、下半身裸だった癖にあいつめ」

( ^ω^)「それはクーの入ったタイミングが悪かったんだお」

川 ゚ -゚)「取り敢えず二次元から三次元の私に意識を向かせようと服を脱ごうとしたら泣きながら土下座しだしたんだけど」

( ^ω^)「お前は何をしてるんだお」



282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:05:47.77 ID:vLZM/8dRO

川 ゚ -゚)「いや、セクシービーム出るかと思って。
     ま、何はともあれ私はあの童貞と付き合う事になった」

( ^ω^)「押しきる形で?」

川 ゚ -゚)「ああそうだよ煩いわ白豚」

( ^ω^)「ひっでぇ。で?」

川 ゚ -゚)「で、まあ普通のアベックらしい事をしたくて街に連れていって服を買ったりしてな」

( ^ω^)「涙目のドクオが安易に想像できるお」

川 ゚ -゚)「その通り涙目だったよ煩いなもう。
     でー……ああ、だらだら付き合ってたら中学卒業してたな」

( ^ω^)「そういや高校生になった時、僕にも彼女ができたお」

川 ゚ -゚)「黙れ振られた癖に。高校に入って暫くした頃に、私の処女をドクオに捧げたな」

( ;ω;)

川 ゚ -゚)「この童貞め。
     お互い初めてだからまあ下手くそ下手くそ、キスしたら歯が当たって悶絶する始末」



285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:07:28.16 ID:vLZM/8dRO

( ;ω;)「ドクオがリア充に……」

川 ゚ -゚)「ひがむな童貞。
     ま、何だかんだでドクオも私を好きになってくれたみたいでな、高校生活の間に夜の営みも多少は上手くなった」

( ^ω^)「夜の営み言うなお」

川 ゚ -゚)「セクロ「シャラップ!」(^ω^#)

川 ゚ -゚)「煩い男だ……んで高校を卒業した私達は同じ大学に行こうと思ったんだがな」

( ^ω^)「……ドクオ、大学落ちちゃったんだお……」

川 ゚ -゚)「ああ……その事で凹んで凹んで、私に会わせる顔が無いとか言ってまた引きこもる様になりくさってな」

( ^ω^)「僕も何とか元気になるように、立ち直れるように何度も会いに行ったお……」

川 ゚ -゚)「それでも、会わなかっただろう」

( ´ω`)

川 ゚ -゚)「私とは会ったがな」

( ´ω`)「うわ自慢気だお……」

川 ゚ -゚)「フッフーン」



287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:10:09.57 ID:vLZM/8dRO

川 ゚ -゚)「まあお前らがどんなに頑張っても会えなかったドクオに会って?
     ぶん殴って話してヤッて立ち直らせたりしましたけど? みたいな?」

( ´ω`)「うわあ良い話の筈なのに妙にうっぜぇお……」

川 ゚ -゚)「ハッハーン」

( ^ω^)「で?」

川 ゚ -゚)「流しやがった。で、まあその頃には私も普通にドクオが好きでな、結構真剣だったよ。
     お前がそんなでも私はお前が好きなんだ、お前も少しでも私が好きなら本気を見せろと」

( ^ω^)「男らしいお……」

川 ゚ -゚)「ドクオがまた泣いてな、もう気持ち悪いくらいに泣いてな。
     私も少し泣いて、あいつ私がドクオを嫌いになったんじゃないかと思ってたらしくて、涙引っ込めてぶん殴った」

( ^ω^)「ドクオ……」

川 ゚ -゚)「大学なんか私からしてみればどうでも良いんだ、大学よりもドクオが大事だった。
     でもな、どうしても大学に行ってたら忙しくなるだろう」

( ^ω^)「なるお、僕も地味に忙しかったお」



290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:12:19.51 ID:vLZM/8dRO

川 ゚ -゚)「そうしたら、なかなかドクオにも会えなくてな」

( ^ω^)「おー……」

川 ゚ -゚)「そんな時にドクオのマイナス思考が炸裂して、メンヘラ炸裂で。
     あいつ、自殺しやがりました」

( ´ω`)「お……ドク、オ…………」

川 ゚ -゚)「独り暮らし始めてたから、たまには料理でもしに行こうと思ったら、風呂場で冷たくなってるんだ、ドクオ」

( ´ω`)「…………」

川 ゚ -゚)「どんなに話しかけても、殴ってもキスしても起きなくて、悲しくなってな。
     風呂桶に張った水が真っ赤になっていて、ドクオの千切れそうなくらいに深く切られた傷からは、もう血も出なくなってた」

( ;ω;)「……お、ぉ……」

川 ゚ -゚)「ああ悪い、お前はドクオの親友だからな……泣くなよ、内藤」

( ぅω;)「ごめんお、大丈夫だから、続けてくれお……」

川 ゚ -゚)「ああ、分かった。
     部屋に行くのが遅かったんだな、もう死んで一日くらい経ってるみたいだった。冬だった事もあって、身体はかちこちになってて」



292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:15:06.49 ID:vLZM/8dRO

川 ゚ -゚)「でも、真っ白な顔をしたドクオは綺麗だった。
     私はドクオをマットに寝かせてな、台所から包丁を持ってきた」

( ぅω;)「おー……」

川 ゚ -゚)「綺麗だったから、腐らせたくはなかった。このまま燃やして灰になんかさせてたまるか。
     そんな事をさせるくらいなら、切り刻んで煮込んで食って私の血肉にしてやる」

( ^ω^)「……クー、」

川 ゚ -゚)「大変だった、かちかちになってるし男の身体だ、包丁を温めながらせっせと解体作業」

( ^ω^)「クー、そんなに力は強くないから大変そうだお……」

川 ゚ -゚)「手伝って欲しいくらいだったよ。
     でも何とかばらばらにして、手足と頭、胴体を上半身と下半身にばらばらに。
     内臓を綺麗にして、肉を削いで、頭だけは冷凍庫に仕舞って……寸胴鍋買ってきた」

(;^ω^)「寸胴て……」

川 ゚ -゚)「しょうがないだろ、大きくないと煮込みきれない」

( ^ω^)「少しずつ料理に使えば良かったんじゃないのかお?」



298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:17:16.69 ID:vLZM/8dRO

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「うっさいhageろ」

( ^ω^)「これはひどい」

川#゚ -゚)「い、一気に煮込みたかったの! 煮込みたかったの!」

( ^ω^)「はいはい、で?」

川#゚ -゚)「じっくりことこと煮込んで食った! 終わり!」

( ^ω^)「キレんなお……」

川#゚ -゚)「黙れ白豚! ドクオアタック!」


川#゚ -゚)ノシ 三( 'A`) )ω゚)ボゴォ!



304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:19:37.67 ID:vLZM/8dRO


( #)ω^)「ドクオの頭を投げるなお……」

川#゚ -゚)「うっさい馬鹿! うっさい馬鹿! 死ね! hageろ!」

川#゚ -゚)つ'A`)「そうだーhageろhageろー」

( #)ω^)「腹話術すんなお……」

川 ゚ -゚)つ'A`)「まあ何はともあれ」

( ^ω^)「ドクオ置きなさいお」

∩ 'A`)∩
川 ゚ -゚)「でだ」

( ^ω^)「頭に乗せない」

( 'A`)
川 ゚ -゚)「まあ、今もドクオは私の中で生きてるとでも言うのか、結構な、幸せだ」

( ^ω^)「……お」

( 'A`)
川 ゚ -゚)「心残りは煮込んだドクオの骨でダシを取れなかった事か、まあ……もう部屋には戻れないからな」



308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:21:36.36 ID:vLZM/8dRO

( 'A`)
川 ゚ -゚)「こんな話だったが、少しは楽しめたか? いちいち突っ込みを入れられたが」

( ^ω^)「有り難うだお、こんなに会話をしたのは久し振りだお」

( 'A`)
川 ゚ -゚)「私もさ、楽しかった」

( ^ω^)「クーには、どうしてとか聞かなくても分かるから……少し、気楽だったお」

( 'A`)
川 ゚ -゚)「お前も私もドクオも、幼稚園の頃からずっと一緒だったんだ……今さらどうしてとか、要らないさ」

( ^ω^)「そうだおね、……それじゃあ、僕はそろそろ失礼するお」

( '∀`)
川 ゚ -゚)「ああ、またな白豚、遊びに来いよ」

( ^ω^)「お前時々ドクオが乗り移ってないかお?」

( 'A`)、
川 ゚ -゚)「変な事を言うな、お前は」

( ^ω^)「えええ……」



314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/09/25(木) 01:24:41.79 ID:vLZM/8dRO

( 'A`)
川 ゚ -゚)「少し話し疲れたな、私は寝る」

( ^ω^)「分かったお、お邪魔しましたおー」

( '∀`)ノシ
川 ゚ -゚)「……内藤、私は─────」


ぱたん。



良い彼女だったのだろうか。



 僕は、とても良い彼女だったと思うよ、クー。




『ななつばらばら。』
おしまい。



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