( ^ω^)ブーンは、春がくるたび戸惑うようです

2: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:24:10.78 ID:9rDi+FIR0
遠く西の空に、かすかなオレンジの残光をともして、夕陽が沈んだ。

空はもうすぐ真っ暗になって、ちゃんとした夜がくるだろう。

その証拠、とでも言わんばかりに、冷えた風がふく。
体の内側にまで、染み込んでくるような、そんな冷たさだった。


ちょっと考えれば、わかる事だったのに、どうして気付かなかったんだろう。
住む世界が変われば、当然、人も変わる、あたりまえの事じゃないか。

『きっと、あの子も』

なんていう思いは、想いでも何でもなくて、僕の、勝手な妄想に過ぎない。
こうだったらいいのに、という理想の押し付け、いわゆる、中二病だ。


ζ( 、 *ζ あの……よかったら、一緒に帰りませんか?

だと言うのに、僕は、どうしてこんなに、落ち込んでいるんだろう。
この、胸のすぐ下に溜まっていくような、重苦しい感覚は何なんだろう。



5: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:27:18.54 ID:9rDi+FIR0
どうして僕は、あの時。

ζ( 、 ;ζ そう、ですか……じゃあ、また、あした……

色々な、問いたい事を放棄して、逃げてしまったんだろう。


いや……理由なんてわかってる。

僕は、怖くなったんだ、彼女の口から、語られるであろう言葉が。
あれが、あの子だと理解した瞬間、僕は同時に納得をしたから。



  デレ譲には  が居るのさ、それも、とびっきりのが



そもそも、本当に僕は、ツンが好きだったんだろうか?

ずっと好きだと思っていた、だから、今まで恋することはなかった。
それは間違いないと思う、だけど、そのツンとは、誰の事だったんだろう、
僕の中にだけ居る彼女を、好きだと思い込んでいた、だけなんじゃないのか。



9: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:30:50.54 ID:9rDi+FIR0
ははは、だとしたら、僕ってばとても最低じゃないか。
勝手に期待して、勝手に失望してるんだから。


はっはっは……いやいや、いいじゃないか別に、最低でも。
何でもいいさ、それの何が、何が悪いって言うんだ。


(  ω )「………」


集め終えたゴミを、収集所に捨て、中庭へと戻る、その途中。

グラウンドに建てられた、大きな照明に照らされて、
夕闇に、大きな校舎が浮かび上がる、その下で。

僕は一人、グラウンドの遠い先を見つめていた。

視線の先には、人影が二つ、寄り添うように、歩いている。
その、どちらの隣も、一度は、居たいと願った場所。


僕はただ、唇をかみしめ、その姿を目で追うことしか、できなかった。



12: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:33:43.86 ID:9rDi+FIR0
   ;;;   :::: ...        ::::: ::;;;:::.....
;;;; ,,, 、、   ,i'            :;;::.,,:  丶;;:;;:
      ヾヾ              ゞ  ```
ゞゝ;;;ヾ  :::,r'  `  `          i、;;;ヽ;;;  ヾ;;;
i;;;::::′~^        `    `        ;;; ″~  ~
ii;;::iヽ /      `               ゞ:,,,:: ヾ 〃::;:
iii;::i `           `     `          ii;;;;::: ::   
iii;;::i    `F「僕らの休日、はじめました」   iii;;;;::: ::
iiiii;;::i      `               `      iii;;;;::: ::
iii.,ii;;:i,                          iii;;;;::: :::
iiiii゚i;;:i            `        `      iiiii;;; :::::
iiiiiii;;::i                         ||iiii;;;;::::
iiiiiii;;::::ヽ;;,,';;"'';;";;""~"`"`;.";;""'"~"`~"'';;,,,   /iiiiii;;;;o;;;
iiiiiii;;::;';;"                    `;;/i:ii iii;;;;;::::



13: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:35:43.93 ID:9rDi+FIR0
( ^ω^)「ここですかお」

時は流れて、ただいま土曜の昼下がり。

ちょっと前にたてた、散髪フラグを消化するため、
弟者さんの運転で、車に揺られること、15分ほどだろうか。
やや都心から離れた、パチンコ屋さんの先に、目指す場所はあった。

(´<_` )「んじゃ、終わったら電話して」

( ^ω^)「はいですお」

僕を降ろすと、しばらくぶらついて来る、と言って、
弟者さんの車は、ぶおおん、と音をこだませ、走り去った。


( ^ω^)「…さて、と」

そして、残された僕は、美容院へと向きあう。

クリーム色した壁には、細長い形のガラスが、いくつも埋め込まれている、
なんだか明るくて、都会っぽい、お洒落な雰囲気のお店だ。



14: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:37:45.25 ID:9rDi+FIR0
うう……今更だけど、緊張してきたぞ…。
あ、あわわわ、て、手がちょっと震えてきた。

やっぱり、弟者さんに紹介してもらえばよかったかなぁ。

いやいやいや、小さい子じゃあるまいし、そんな情けない真似できるかって。
とにかく行こう、こういうのは始めの一歩が肝心だ、


( ^ω^)「……けど」

【 ΩSYAKINΩ 】

ふと、歩きだす前に、店の看板を見上げた。
名前が、店の名前が、なんか凄いぞ、いいのかこれ。


(;^ω^)「……借金って……」

(´・ω・`) 「いやいや、シャキン、だよ内藤君」

( ゚ω゚)「うわあお!!」



16: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:41:15.27 ID:9rDi+FIR0
あ、ありのままに、今起こったことを説明するぜ。

僕は一人、美容院、いや美容室、の前で、看板を見上げていたんだ、
そして、いきなり声をかけられたと思ったら、隣に誰か居たんだよ。

…ん? 隣に誰か居るんだから、声をかけられるのは普通じゃないか。
あれ、別に何もおかしくないじゃん、なあんだ、僕ってばもう。


(;^ω^)「っていうか、ショボン君!?」

(´・ω・`) 「うん、しかし君も、妙なリアクションするね」

(;^ω^)「い、いや、ちょっと既に緊張しまくってまして……」

(´・ω・`) 「ふーん…それで、何してんのさ?」

(;^ω^)「いや、それはこっちの台詞だお、何でショボン君がここに……」

(´・ω・`) 「何でって、ここ、僕の家だし」


そう言うと、ショボン君は、大きな一軒家を指差した。
うはー、またいいとこに住んでるんだなぁ……。
とはいえ、まあ今の僕もあまり、人のこと言えたもんじゃないけど。



18: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:43:49.33 ID:9rDi+FIR0
……ん、いや待てよ?

ちなみにこの家と、隣の美容室、実は隣っていうか、
ほとんど、合体してるんだよ、二つで一つ状態。
それが意味することは……つまり。


(;^ω^)「え、じゃあ…この美容室って…」

(´・ω・`) 「うん、僕の親が経営してるとこだね」

(;^ω^)「まじか……これはたまげたお」

(´・ω・`) 「うん、僕も驚いたよ、お客さんが来たと思ったら、君なんだもの」

(;^ω^)「あ、そこまで見てたの……」

何でも、ショボン君は、さっきから店内に居て、
いつまで立っても、入ってこない僕が気になって、見に来たらしい。


(´・ω・`) 「ま、立ち話もなんだし、行こうか」

( ^ω^)「あいお」



19: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:46:15.14 ID:9rDi+FIR0
ドアを開けると、カランカランと音が鳴って、
空気が吸い込まれていく感じと一緒に、いい匂いがした。

店内には、聞いたことのない洋楽が流れて、
お決まりの大きな鏡と、その数だけ椅子が並んでいる。
そして、一番奥の席では、いま正に女性が髪を切られていた。

待合所と思わしき場所には、ガラステーブルに雑誌が置かれていて、
壁は落ちついた木目調、真っ白い天井には、扇風機みたいなのが回っていた。


('、`*川「こんにちわー、ってあらら、ほんとに友達なんだ」

(´・ω・`) 「うん、まあ、ちょっと変わってるけど」

('、`*川「へぇ?」


(*^ω^)(と、ともだち……ふひひ……)

('、`;川(……確かに変な子ねぇ)


('、`*川「……ちなみに、本当に、ただの友達? それだけなの?」

(´・ω・`) 「当たり前でしょ」



20: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:49:15.05 ID:9rDi+FIR0
('、`*川「ちぇ、つまんないの…」

(;´・ω・`) 「……何が言いたいのさ」

('ー`*川「ふふー、べーつーにー?」

(;^ω^)「ん?」


(´・ω・`) 「まあ、とにかく、見たまんま初めての子なんだけど、どうします?」

('、`*川「はいー、じゃあ私が担当しちゃおう、こっちへどうぞー」

(;^ω^)「はいですおー」

店員のお姉さんは、なんだか含み笑いを浮かべた。
ちなみに、店員じゃなくてスタイリストさん、というらしい。
だがしかし、そんな事は、とても些細なことなのであった。

そうして、鏡の前にある席につくと、彼女はおもむろに、
僕の髪をくしゃくしゃ、と、遊ぶように弄りだした。

……ああ、せっかく外出用に、整えてきたのに。



22: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:51:25.87 ID:9rDi+FIR0
('、`*川「えーと、じゃあ、どうしようか?」

(;^ω^)「どうって……こう、短くしてもらえれば……?」

('、`*川「ふむ、どのくらい? 思い切って立たせちゃう?」

(;^ω^)「あ、はい」

('、`*川「それとも、こっちを残して、立たせないままとか」

(;^ω^)「そ、そうですね」

('、`*川「うーん、髪の量おおいもんね、とりあえず、大分すいちゃおっか」

(;^ω^)「はぁ……」

('、`*川「前はどうしよう、軽く残す感じでいいかな」

(;^ω^)「はい……」

日本語でおK、と言いたい気持ちを堪えて、相槌をうっていたら、
どうやら、無事に髪型が決まったらしい、もう、なんか既に疲れてきたよ…。



24: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:54:03.35 ID:9rDi+FIR0
(;^ω^)(……結局、どうなったんだろうか…)

('、`*川「じゃ、まず洗っちゃおうか、こっち来て」

呼ばれて、店の奥までついて行くと、そこは流し台があった。
言われるがまま、されるがまま、腰掛けると、首にいろいろ巻かれた。


その際、苦しいだろう、と聞かれて、はい、と答えたんだけど、無視された。
続いて、たおす、たおしますの言葉と共に、椅子がゆっくり倒れていく。

僕は、天井が見えたので、天井の染みを数えようと思った、
きっと、そうしてる間に終わると思ったから。


しかし、すぐに白い布が、顔面に被せられたので、悔しいけど眼を閉じた。
代わりに両手を組んで、お腹の上に置いた、いわゆる死体ごっこだ。
しばらく息を止めていたら、すぐに苦しくなって、咳き込んだ。


そうこうする間に、耳のすぐ後ろで、シャワーの音が聞こえてきた。


首筋に温かな湯気を感じる、なんだか心地よい、
とか思っていると、しゃかしゃかと、洗い始められた。



26: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/11(火) 23:58:42.43 ID:9rDi+FIR0
すると「熱っ」って声が聞こえた、なんかこわい。


ところで……なんだろう、気のせいか、左頬が変だ、じりじりする。
この強烈な違和感は、いったい何だ、何かがおかしい。

例えるなら……そう、あれだ。

眼を閉じて、シャーペンを、自分のおでこに近づけた時のような、
あの、目の裏っかわが痺れる様な、ちょっと気持ちいい感覚。


と、その時。

何かが頬に触れた、というか、ぐい、と押し当てられた。

感じたのは、厚い生地と、その奥にある肉質的な柔らかさ。
この、馴染みもないのに、うれしはずかしな感触は、もしかして…。

ちょっとだけ、目を開けて、視線を左に動かす。
すると、僕の顔面を覆う、白い布の隙間からみえたのは。


Vネックの服を、窮屈そうに押し上げる、大きな谷間と。
その片側にある、ほくろと言う名の、小さな黒点だった。

……。



28: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:02:17.19 ID:yV2Izyvp0
(; ω )ハッ

僕は、慌てて目を閉じた。
あわわ、思いっきり見てしまったぞ。
まだ目に焼きついています、なんという、ああ、なんという。

ていうか、近い、近すぎる、目の前にあったよ。
ちょっとこう、顔を動かせば触れてしまうような、そんな距離。

……そう、ちょっと動かせば……。

い、いや……いかん、いかんよ、何考えてるんだ僕は。
それはいわゆる、セクハラです、痴漢だよ、だめだ、だめなんだよ……だめだって。


こうして、目を開けたい衝動を、どうにか必死でこらえる事数分。
鼓膜を叩くシャワーの音が、止まった、どうやら終わりらしい。


長いようで、短いシャワータイムでした。

我慢したことに対して、ちょっぴり後悔と、名残惜しさを感じた。
けど……僕は、僕は間違ってない、間違ってないぞ……。


('、`*川「はい、おつかれさまでしたー」

(;^ω^)「あ、ありがとうでしたお……」



29: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:05:06.60 ID:yV2Izyvp0
('、`*川「じゃ、向こうにどぞー」

(;^ω^)「は、はい……」

(;^ω^)「………」

('、`*川「………?」


('、`*川「どうしたの? もう立っていいよ?」

(;^ω^)「い、いえ……もう立ってます…」

思わず、素直に応えてしまった。

するとお姉さんは、どこか満足気に、ニヤァっと口の端を吊り上げて、
意地悪げな笑顔を浮かべて、ゆっくりと口を開いた。


( ー *川「ん〜…? ……ナニが、かな?」

先生……都会の美容室は……怖いところです。



(´・ω・`) 「…仕事しなよ」

('、`*川「まじめに働いたら負けかな、と思ってる」



30: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:07:53.14 ID:yV2Izyvp0
………。


それから、一時間ほどだろうか、カットも終え、
再び洗髪……ちなみに今度は、ショボン君が洗ってくれた。

その手つきは、非情にスムーズで、とてもこなれている感があった。
聞けば、バイトみたいな物で、昔から手伝っているらしい。

スタイリストを目指してるのか、と問えば、
うーん、どうだろ、という曖昧な返事が返ってきた。


(´・ω・`) 「熱かったら言ってね」

(;^ω^)「うん、いや、はい、わかりましたお」

(´・ω・`) 「はは、なにそれ」

どうにもこうにも、顔見知りに頭を洗われる、というのも、なんだ。

気まずいと言うか、変な感じというか、まるで、別人のように感じる。
おかげで、ついつい敬語になってしまって、笑われてしまった。


とまあ、そんなこんなで、その後もいろいろあって、
僕の都会・美容室デビューは終わりを告げた。



36: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:10:53.36 ID:yV2Izyvp0
( ^ω^)「やー、すっきりしたお」

そして会計を済ませた僕は、一人、店の前で立っていた。

ちなみに、弟者さんには、既にメールを送ってある。
だから後は、こうして待つだけ、なのだった。

あ、そういえば、髪型をセットするコツ、みたいなのを聞いたけど、
こんなの、自宅でできるわけないよね……。

すっかり軽くなった頭に触れながら、待ちぼうけていると、
美容室の隣、おおきな家の扉が開いて、ショボン君が出てきた。


(´・ω・`) 「や、お待たせ」

( ^ω^)「はいお、それで、ジョルジュも来るのかお?」

(´・ω・`) 「うん、向こうで合流するってさ」

その時、マナーモードの携帯がぶるぶる震えて、僕の腰を刺激した。
開けば、さっき弟者さんに送ったメールの、返事がきていた。



37: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:14:18.39 ID:yV2Izyvp0
『把握した、こっちは気にしないでいいから、楽しんでおいで』

と、絵文字つきの明るい文面で書かれていた。
ちなみに、さっき僕が送ったメールの内容は、

『友達に会って、遊びに誘われたんだけど、行っていいですか?』

こんな感じだったりする。


( ^ω^)(帰りは…バスで、かえります……と、送信…)

(´・ω・`) 「…じゃ、行こっか」

( ^ω^)「おー」

最後に、もう一度メールを送って、僕は携帯を閉じた。
それを待って、ショボン君が先導して、僕は早足でそれに並んだ。

見上げた空は、たくさんの雲に覆われて、やや怪しい天気だった。
予報は見なかったから、果たして、降るのか、降らないのか…。


(´・ω・`) 「降らない、とは言ってたけどね」

( ^ω^)「おお、そりゃよかったお」



40: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:17:25.84 ID:yV2Izyvp0
そんな、他愛のない事を話しながら、僕らはまばらな人波に混ざり、
信号待ちの車を追い越しながら、一路、ある場所を目指す。

……その名は、エクストタウン。

多種の遊戯物にくわえ、ゲームセンター、カラオケ、ボーリングに温泉と、
さまざまなアトラクションが、一つの建物に収まっている、小さなテーマパークだ。

しかも、入場料を払えば、中の物は遊び放題だという。
近頃はそう珍しくもないそうだが、噂にしか聞いたことなかったので。
こうして、実際に行くことになろうとは……楽しみすぐる。

ああ、もう、あまりにウキウキして早足になってしまうよ。
カービィのパクリと評判の、マスコットキャラを早く見たい。

(´・ω・`) 「でも、中身は変わらないからね、何度も行った事あったり、
       ずっと居たりすると、わりとすぐ飽きちゃうんだよねぇ……」

ショボン君は苦笑いして、僕をたしなめるように言った。
ふーむ……そうなのだろうか、一日中遊べそうなのになぁ。



43: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:20:27.27 ID:yV2Izyvp0
しばらく歩いていると、雲の切れ間に、太陽っぽいのが見えた。
これは、このまま晴れちゃう勢いだろうか。


(´・ω・`) 「…? ねえ、あれって…」

( ^ω^)「うん、そうだお…雲がかかったって、目に見えないだけで、
       青い空はかならず、そこにあるんだお…」

(;´・ω・`) 「いや、そんな事はいいから、それより、あれ見て」

(;^ω^)「お…なんだお?」

言われるまま、前を見る、人だらけだ、目がまわる。
どうもこう、人がうじゃうじゃ居るのは、慣れないな…。

だから僕はさっきから、空ばかり見てるわけだが。


(;^ω^)「…?」

しかし、人は多いが、別に変わった様子はない、何なんだろう、
もしかして、あれか、ラピュタ王の前ふりってやつか。

……しょうがないな、まあ、一度は言ってみたい台詞だもんね。



46: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:23:59.65 ID:yV2Izyvp0
(´・ω・`) 「ほら、あそこに居るの、スナオさんじゃない?」

人がごみの、と、口から出かけた所で、ショボン君が指を向けた。

喫茶店の、屋根つきテラスにて、女の子が三人、茶ぁしばいてる。
確かに、よくみれば…あの白いニット帽からのぞく、特徴的な赤い髪は…。

あ、やっぱり、ヒートさんだ。
それに……のこる二人は、もしかして…。

ノハ*゚ -゚) !

とか思っていると、僕らに気付いてしまったらしい。
立ち上がって、おーい、と言わんばかりに、手を挙げている。


ノハ*゚听)ノシ

川川 ゚) ?

ノハ*゚ー゚)б 

川 ゚ -゚) ……

川 ゚ -゚) !

lw´‐ _‐ノv ?



47: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:27:12.44 ID:yV2Izyvp0
おーい、と今度ははっきりと、声をはりあげ、ヒートさんが僕らを呼ぶ。
するとショボン君が、どうする? と僕に判断をゆだねてきた。

そりゃ、まあ…こうして、出会ってしまったからには……。


( ^ω^)「おいすー」

川 ゚ー゚)「…奇遇d」
ノハ*゚听)「おおう、なんだなんだあ、二人して、どうしたんだああああ!」

川 ゚ -゚)「……」


(´・ω・`) 「うん、エクストにでもいこうかとね、そっちは買い物かい?」

ノパ听)「まあな! たまには姉妹そろって仲良くさー!」

川 ゚ -゚)「……あれ、内藤君、髪切ったんだ」

( ^ω^)「切りたてほやほやだお」



49: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:29:13.42 ID:yV2Izyvp0
川 ゚ -゚)「……その」

ノパ∀゚)「わお、ほんとだ、似合う似合うー」

( ^ω^)「そうかお?」

lw´‐ _‐ノv「…におうにおう」

(;^ω^)「……そうかお?」

lw´‐ _‐ノv「いいえ、にぁうにぁう…猫のものまね、でし……た」

( ^ω^)「うん……ごめん、突っ込みどころが見えないや……」


(´・ω・`) 「えーと、この子は…?」

ノパ听)「妹のシュールだぞっ」

( ^ω^)「米仙人ちゃんだお」

lw´‐ _‐ノv「シュワちゃんです」


(;´・ω・`) 「…な、なんだって?」

    、 
川 ゚ -゚)(……似合うって、言いそびれてしまった…)



53: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:32:35.67 ID:yV2Izyvp0
……。


(;^ω^)「おおー……こりゃすごいお」

エクストタウンの、テラファンキーな文字で描かれた、大きな看板が見えてきた。
でも、それ以上に目をひくのは、看板の掛けられた、巨大な建築物だ。

なんていうか、サンシャインって感じです。

そうして、ぽかーんと見上げながら、その入り口と思わしき場所を見た。
人がごったがえし、車が行ったり来たり、それにバス停まであるぞ。

あ、あと、ジョルジュまである……じゃなくて、ジョルジュが居た。


ひとまず、あえて声はかけずに、ショボン君が携帯に連絡した。

……けど、いつまで経っても出ない。

  _
( ゚∀゚) お

と思ったら、ふと顔をあげて、こっちに気付いた。
んでもって、手をひらひらさせながら、こっちに来る。

  _
( ゚∀゚)「おいおいお前ら、おせーよー」

(;^ω^)「ごめんお」



55: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:37:29.35 ID:yV2Izyvp0
(´・ω・`) 「ジョルジュさぁ、携帯、またマナーにしっ放しだろ……」
  _
( ゚∀゚)「ん? ああ、電車乗ったから、そうかも」

(;´・ω・`) 「この送信専用ケータイ所持者め……」

 _
(;゚∀゚)「あ……っていうかさ、なんか多くね?」

ジョルジュはそう言うと、視線を僕らのうしろにやった。
そこには、先ほどの喫茶店から、行動を共にしている彼女らの姿。
ふりむけば、ばれたかーって仕草をしているのが、なんだか微笑ましいです。


川 ゚ー゚)ノパー゚)lw´‐ _‐ノv「……」


川;゚ -゚)ノハ;゚听)「!?」 lw´‐ _‐ノv「分身の術……」ボソ


そうなのだ、あの後、なんだかんだで彼女等も、
一緒に遊んじゃえばいいじゃない、的な空気になったのだ。

…この、何ともいえないグループ感、たまらないです。


(´・ω・`) 「…ところでさ」



58: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 00:49:40.15 ID:yV2Izyvp0
(;^ω^)(?)

とその時、ショボン君が、こっそりと僕に耳打ちした。

…ああ、言われてみれば、というか、そういうのに敏感なので、
喫茶店に居るときから、ずっと気付いてはいたんだけど。


(;^ω^)(……やっぱり、見られてるお)

特に、男性の方々から、それはもう、チラチラと。
もはや言うまでも無さそうだが、明らかにスナオさん達を見ている。

流石に、こう毎日のように顔を合わせているので、慣れてしまったが、
クーさんを筆頭に、それはもう、綺麗どころが集まってる状態ですし…。

いや、それにしても、本当、すごいな…。

何が凄いって、彼女等は、それを全然気にしてないところだ。

……いや、気付いてないだけなのか?

やっぱり、あれだろうか、ナンパとか、されちゃうものなんだろうか。


ちょっとだけ、こう、離れて、観察してみたい衝動に駆られた。



73: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 01:42:00.38 ID:yV2Izyvp0
  _
( ゚∀゚)「そんじゃま、行くとしますか」

そんな考えを、ジョルジュの言葉が打ち消した。
僕らは思い思いの返事をして、ぞろぞろ入り口へと歩き出した。


( ^ω^)「……お?」

と、そこで、視野にうつった景色に、違和感を感じて、立ち止まった。


(li゚ω゚)「!?」

そして、今までとはまるで違う、異質な視線を感じた。
寒気が走るような、尻が引き締まるような、鳥肌が立つような、そんな感覚。

もう、反射的にそっちを向いてしまった。

誰かが居た、けど、目が合うよりも先に、人ごみに紛れて消えた。

帽子を深く被っていて、顔もよく見えなかった、けれど……。



74: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 01:44:06.34 ID:yV2Izyvp0
今。

今のは、まさか。


(;゚ω゚)(そ……そんな馬鹿な…!!!!)

気のせい、いや、気のせいであってほしい。
いや、そうだとも、気のせいだよ、そんな事はありえない。

居るはずがない、奴がここに居る筈はないのだ。

どれだけ離れてると思ってるんだ?

そもそも、場所だって教えた覚えはないのに。

だから、ありえない。

ありえない……はずなのに、どうしても、不安は拭えなかった。
何故ならば、見てしまったから、見えてしまったから。

帽子からはみ出す、外に跳ねた茶髪と。
あまりに特徴的な、片目を隠した、ヘアスタイル。



76: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 01:50:35.93 ID:yV2Izyvp0
あれには、見覚えがある、もう、嫌ってほどに………。

从 ∀从

そして、脳裏をかすめる、あの、笑い顔。


(;゚ω゚)(……い、いや、待て、落ち着け……別に髪型くらい、被ることはあるさ)

lw´‐ _‐ノv「どうした…の?」

(;^ω^)「え、あ、いや……」

ふと気付けば、皆が立ち止まって、何事かと僕を見ていた。
…そうだ、こんな事で迷惑、いや心配をかけてる場合じゃない。

僕は一つ、深呼吸をして、前を見据えた。
愉しげな音楽と、楽しげな歓声にも似た喧騒。

なんでもないおー、と僕は答えつつ、お先に、と前へ出た。
あ、このやろ、なんて声がして、ジョルジュが横に並んでくる。

それが何だか、妙におかしくて、自然と笑みがこぼれた。
ああそうか、きっと今が楽しくて、ふと見えてしまった幻覚だったのですね。



78: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 01:54:38.26 ID:yV2Izyvp0
( ^ω^)まてまてー
 _
(;゚∀゚) ちょwwwこいつ足はええwwww



ノハ*゚听) 私もまぜてえええええええええええ


<ぎゃwwwwwぎゃwwwww



(;´・ω・`)  落ち着きないなぁ

川 ゚ -゚) 元気なのはいいことだよ

lw´‐ _‐ノv だよ









80: ◆aYo30Ks4N6 :2008/11/12(水) 01:57:09.28 ID:yV2Izyvp0
<wwwwwwww

















                     壁|*゚∀从





    「見ーつけたっ」



……こうして、言い知れぬ不安を宿しながら。
僕らの、波乱の休日が、幕を開けたのだった。

                 Open your eyes for the next time――――→



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