( ^ω^)ブーンは、春がくるたび戸惑うようです

3: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 00:45:48.40 ID:Mvlal76q0
「よい子のみんな! あつまれぇー!」

「わーーーーーーーーーい!!」


ゲートをくぐって内部へ進むと、ゲームセンター風の広場に出た。
そこには、マスコットらしき気ぐるみと、群がる子供たちの姿があって、
更にそれを親御さん方が、ぐるっと囲んでいた。

いや、流石はテーマパークなんて銘打つだけあって、大盛況だ。
親子連れやら、カップルやら、とにかく人がざわざわしてる。


<_プー゚)フ「よ、よい子のみんなは、snegとか、飽きちゃってんじゃないかなー!?」

「飽きてんだよーーー!!」「うんざりだよ」「あきあきだーー!!」「あきたー!!」

「あきたーーーーー!!」lw´‐ _‐ノv「あきた……た?」


<_プー゚)フ「うん…! みんな素直だ、素直が一番! いちばん、成長するぞ!?」


(;^ω^)「あ、あれが噂のエクストプラズマンかお……」

(´・ω・`) 「カービィそっくりでしょ?」



5: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 00:48:29.61 ID:Mvlal76q0
そっくりというか、そのまんまだなぁ……。
違う所といえば、あの尻尾みたいな出っ張りぐらいか。

ていうか、さり気なく仙人様が混ざってるけど。


ノパ听)「ちなみに、あの両手はカッターになっていて、何でも斬れる設定だぞ!」

( ^ω^)「え、なにその危険な設定」

ノパ听)b「得意技は、切り裂いた傷口から相手の体液をすすり、
     その敵の技をコピーする、すいとるだ」


(;^ω^)「少しはひねればいいのに……ていうかまた、えらくグロいな…」

(´・ω・`) 「存在自体、この街に住む地縛霊だしね」

なんか、あの笑顔が怖く見えてきたぞ……てか、それはマスコットとしていいのだろうか。
子供泣くんじゃないか、と思うけど、見れば沢山の笑顔に囲まれている、
うーん、世の中ってわからない物なんだなぁ……。



7: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 00:51:32.53 ID:Mvlal76q0
川 ゚ -゚)「久しぶりに来たけど、結構いろいろ変わってるんだな…」
  _
( ゚∀゚)「そうか? 変わったって言っても、物の配置が違うくらいじゃね?」

川;゚ -゚)「ふむ……? そう、なのか……滅多に来ないからわからないな」
  _
( ゚∀゚)「まあ、確かにスナオはあんまりこういう所、好きじゃなさそうだ」

川;゚ -゚)「いや、そんな事はないけど…」
  _
( ゚∀゚)「へえ? 意外だなー…けど、遊びに誘われたりしねーの?」

川 ゚ -゚)「さそわれたり……?」


川 ゚ -゚)「……」


川  - )「…………しないよ」

 _
(;゚∀゚)(あれ? なんか地雷踏んだ?)



9: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 00:54:11.51 ID:Mvlal76q0
ノハ*゚听)ノシ「おぉぉぉぉぉい!! お姉ぇちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

川;゚ -゚)「?」

( ^ω^)「上の階に行くおー!」
 _
(;゚∀゚)「お? あいよー! わーったぜー!」


そんなこんなで、エスカレーターを経由して、上の階層へ。
ここは、階によってアトラクションが変わる仕組みだ。

そして、僕らが目指す4Fからは、撞球、卓球、投球、蹴球と。
主に体を動かす、スポーツ系の遊戯物が揃っている。

ついでに屋上まで行けば、バスケットコートまであるらしい。
だが、こういう場でのバスケ勝負などといった物は、
あまりにお約束なので、あえてやらない、それが僕のジャスティス。


いや、違うよ、周りが運動神経いいのばっかだから、逃げたとかじゃないよ。
僕って走るのは得意だけど、球技系はすごく苦手なんだとか、そんなんじゃないから。



12: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 00:57:33.45 ID:Mvlal76q0
ノハ*゚听)「内藤ォ!! まずは真ん中だ! 5番を狙うんだああああああああああ!!」

(;^ω^)「は、把握…!!」


( ゚ω゚)「そおい!!」


(´・ω・`) 「どこ投げてんの」

lw´‐ _‐ノv「ざんねん……ガーターです」
  _
( ;∀;)「ねーよwwwwww的当てに溝はwwwwwwwww」

( ;ω;)「……なぜ、毎回横のネットに吸い込まれていくんだお…」
  _
( ;∀;)「ぶぁwwwwっはははははははははwwwwwwwww」

(´・ω・`) 「あと笑いすぎ」

从 ゚∀从「だよねぇ、全くもう」



14: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:00:09.55 ID:Mvlal76q0
<……エ?

<……ダレ?


(;^ω^)「ひどい……ん?」

そして、ふと横を見れば……クーさんが周囲の視線を集めながら、
ストラックアウトの的を前に、野球部顔負けの投球フォームでボールを放つ。


川 ゚ -゚)「ふっ!」

<おお!

長い黒髪がふわりと踊れば、バァン、と音をたて、電光掲示板に灯ったランプが消える。
さっきから一球も外してない、おかげで自分の情けなさがこう、際立ってしょうがないよ。

けど、命中したのを確認した時にふと見せる、あの柔らかな表情は、やはり目を引いて。

チラホラといるギャラリーは、果たして行為を見てるのか、
それとも、彼女を見ているのか……。

とか思って眺めてたら、クーさんがこっちを向いて。
「……やったぁ」とでも言わんばかりに、笑顔を見せた。


うーむ……やるなぁ、完璧超人候補生。



18: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:04:08.34 ID:Mvlal76q0
lw´‐ _‐ノv「では、不束ながら……次は私が」

(;^ω^)「大丈夫かお?」

lw´‐ _‐ノv「うん……」


lw´‐ _‐ノv「あの…数字の板の、裏に書いてある模様……
       それの、同じのを二つ見つければ、いいんだよ…ね?」

( ^ω^)「根本的に間違ってるよ……」


lw´‐ _‐ノv「大丈夫……私、勘はあたるほうだから……」

( ^ω^)「だから、それ何か違うって」


まあ、本人がやりたがっているのに、これ以上口出すのは野暮か。
僕はネットをくぐり、外で待つみんなのところへ向かおうとしたけど、
ありえない物が視界に飛び込んできて、足を止めた。



19: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:07:57.09 ID:Mvlal76q0
そこにあったのは、楽しそうに会話を弾ませる皆の姿。
だが、一点、おかしい部分がある。

ていうか、わかりやすく一言にすれば、一人多い。

  _
( ゚∀゚)「高岡ハイン、ってーのか」

从 ゚∀从「そうだよ」

(´・ω・`) 「じゃあ、昔馴染みなんだ」

从 ゚∀从「うん、そうなんだ、内藤とはずっと同じクラスで」

ノパ听)「あ、出てきたぞ」

しかも、なんで普通に打ち解けてるん?
状態異常、理解不能、こんなとき、僕がすべき事は…。


(´・ω・`) 「ほら内藤君、なんか君の大事な友達が」


(li゚ω゚)「出たぁああああああああああああああああああああああ!!!!」

とにかく、その場から逃げることだった。



22: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:12:50.46 ID:Mvlal76q0
 _
(;゚∀゚)「お、おお! なんだ!?」


从 -∀从つ「あいや待たれよ」ガシッ

( ゚ω゚)「ぐえっ!!」

しかし、出口で待ち構えられていたので、すぐに捕まった。
必死にふりほどこうと抵抗するも、凄い力で首根っこを掴まれ逃げれない


(;゚ω゚)「ひ、ひぃいぃぃいいいい!! どっから沸いたんだお!?
      ていうか、くそっ…このっ、離せ!!」

从 -∀从つ「いやだよ」

(li゚ω゚)ノシ「ぐえっ…で、ていうかぐるし……ちょ、やめてほんと!!」

从 ゚∀从「わかったよ」

手が離れ、ようやく解放されるとめまいがした、
危うく失神寸前でした、ええいこの馬鹿力め……。



23: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:14:22.71 ID:Mvlal76q0
(;^ω^)「ぜぇ、ぜえ……ほんとに、高岡?」

从*-∀从「うん、久しぶりだね、元気だった?」

(;^ω^)「……おかげさまで」

後ろ手に、頬を染め、照れた様子で問いかけてくる。
その背後では、ジョルジュ達がニヤニヤしながら傍観していた。

……いったい、何を聞いたんだろうか。
いい予感は全くしないけど、怖くて聞くに聞けない。

すると、今度は聞いても無いのに語りが始まった。


从 ゚∀从「僕はね……元気じゃなかったよ」

从 -∀从「毎日、毎日、携帯とにらめっこでさ」

从;-∀从「今日は返事くるかな…って、もう何度センター見たかわかんない」


( ^ω^)「そうですか」



25: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:17:47.61 ID:Mvlal76q0
どうでもいいけど、こいつの背後の人たちの視線が痛い。

ああこれ、すごい勘違いされてるんだろうなぁ……。
そんな、目を輝かせて見ないでほしい……。


从 ゚∀从「だから、もしもまた会えたら……
     思いっきり、文句を言いまくってやろうと思ってた」

从 -∀从「でも、いざ顔見たら……どうでもよくなっちゃったよ」

一歩、二歩、僕へと近づいてくる。

すぐに距離は無くなって、すぐ目の前に、お互いの顔がある。
そのまま、口を開くことなく、視線が交わると、ほのかに甘い香りがした。

既に近距離だが、高岡はそこで更に前進。

ぴたりと密着すると、両腕を僕のわき腹へとまわし、
その豪腕をもって、ギリギリと締め付けてきて、苦悶の声がもれる。

なんか、歓声みたいなのも聞こえたけど、それも無視して、
僕はなかば諦めにも似た思いで、それに身を任せていた。



27: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:21:44.42 ID:Mvlal76q0
从 −从「……あーさみしかった」

从 -∀从「すげーさみしかったんだけど、どうしてくれるんだよ」

僕の肩あたりに顔を埋めて、囁くように言った。
首すじにぬるい吐息がかかって、くすぐったい、鳥肌が立った。


( ^ω^)「高岡……」

从*゚∀从「内藤……」

その名を呼ぶと、顔をすこし上げて、上目遣いに見つめてきた。
僕は、一つため息をついてから、こう切り出すことにした。


( ^ω^)「いくつか、聞きたい事があるんだお」

从 ゚∀从「うん、なんだろ」



29: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:24:12.55 ID:Mvlal76q0
( ^ω^)「……僕が携帯をもつようになったのって、母親が倒れて、
       自分で働くようになって、それで必要になったからだお」


从 ゚∀从「…うん、だったよね……」


( ^ω^)「つまり、学校行かなくなってからなんだお…
       だから僕の携帯アドレス、知ってる奴は居ないんだお」



更に言うと、誰にも教えていない。
よけいな心配は…いや、遠慮はされたくなかったから。



(  ω )「だから、ずっと不思議だったんだお……」

从 ∀从「……」



( ゚ω゚)「なぜ、お前が、その僕のアドレスを知っている?」



31: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:27:46.26 ID:Mvlal76q0
 _
(;゚∀゚)(;´・ω・`) ノハ;゚听)「え?」

川;゚ -゚)「???」

背後でひかえていた三人が、見事にはもった。
よく見れば、いつの間にかクーさんも奥で困惑を示している。

そして肝心の高岡は、僕の問いに対してうすら笑いをつくり、
抱きついていた体を離すと、あさっての方向を向いた。


从 ゚∀从「……えー」

从 ^∀从「僕、わかんなーい」

(;゚ω゚)「……それだけじゃないお、今住んでるここだって、
      何も教えてないのに、なんでお前、どうやってこの場所を!?」

从 ゚∀从「え? そりゃGPえs――」

从;゚∀从「あ……知らなーい」

GPSか、グローバル・ポジショニング・システムか。

だが待って欲しい、あれは自分の位置を調べるのであって、
人の現在地を調べあげて、追いまわす物じゃないよ。



34: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:31:29.22 ID:Mvlal76q0
从 ゚∀从「だから知らないと言ってるのにー」

(#゚ω゚)「やかましい!! ていうか何しに来たんだお!?」

从*//∀从「それはもちろん、内藤に会いに」

(li^ω^)「どこのストーカーだお、お前…」

从 ゚∀从「恋する乙女と書いて、ストーカーと読むの知ってた?」


誰が乙女だ、誰が。


あああ、なんかまた眩暈がしてきたよ。
ほんとにもう…何考えてんだよこいつ、本気か……。

そろそろ疲れが押し寄せて、僕はがくりと肩を落とす。

すると、呆気にとられていた皆も、ハッと我にかえったらしく。
僕らの顔を見くらべ、事の顛末を訪ねてきた。


(;´・ω・`) 「えーと……どうなってるの?」
 _
(;゚∀゚)「家の事情で、離れ離れになった恋人同士の再会じゃないのか?」

(;^ω^)「なんだおそれ……ていうか、何を聞かされたんだお…?」



36: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:35:03.57 ID:Mvlal76q0
ノハ;゚听)「確か……」


从 -∀从「そう、あれは、黄色く色づく、イチョウ並木での事だったよ」


風がいつもより冷たくて、いつもより側に居たいと思った日の事。
いくつもの葉っぱが、はらはら舞いおちる素敵な道、
僕たちは、一つのマフラーで繋がって、寄り添いながら歩いていた。
ずっと一緒に居られると思っていた。
だけど、内藤はふと立ち止まって、変わらない笑顔のままで、こう言った

「僕、今度引っ越すんだ」
その瞬間、強い風が吹き乱れた。

ざあああっと、全ての音を掻き消すように、枯れ葉が空へ舞い上がる。
僕は、その言葉の意味をすぐに理解できなくて、ただ内藤の顔を眺めていた。

「……」
「え…ほ、ほんとうに…?」
訪ねても、内藤は悲しいくらい笑顔のまま。
いつもの記憶と同じ、優しい笑顔のままで。
やがて、静かに、そっと頷いた。



39: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:36:17.76 ID:Mvlal76q0
「なんで……ねえ、なんで?」
僕は内藤にすがるように問いかけた。
しかし、内藤は答えない。
何度も続けているうちに、やがて感情が抑えきれなくなった。

「なんでなの!? やだ、そんなのやだよ!!」
僕は泣きじゃくって、内藤の胸を叩いた。
嗚咽で言葉もろくに発せなくなると、僕はただ呻くしかできなくて。
けど涙はいつまでも止まってくれなかった。

その時。
僕は両肩をつよく抱き寄せられた。

「ごめん……ごめんよ、ハイン」
それで、ようやく気付いた。
内藤の腕は、かすかに震えていたから。
「…ばか、内藤のばかぁ…」
僕は、子供のようにわめき散らして、すがりついた。
ただ波のように押し寄せる、この悲しみの赴くままに。

「ハイン」
どれほどそうしていただろう、やがて内藤は、
優しく、まるで諭すように言った。



41: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:40:01.68 ID:Mvlal76q0
「約束するよ、何時の日か、必ずまた会おう」
「……ほんとう?」
「うん、絶対に……だから、もう泣かないで」
「内藤……」
気付けばどちらともなく、自然に顔を向け合っていた、
絡み合う視線、異様なほどに高鳴る胸の鼓動。
僕はちょっとだけ踵を浮かせ、近づく顔に合わせて目を閉じた。
互いの吐息がすぐ近くに感じる。
それでも、更に近づく唇と唇、そして―――――。


( ´ω`)「いや……もういいよ…」

从;゚∀从「えーー! こっからがいい所なのに!?」

( ^ω^)「ていうか、妄想話を普通に話してるけど、恥ずかしくないの?」

从*-∀从「ぜんぜんー」

なんだよこれ、何でこんな恋人みたいな事になってるんだよ。
気色悪いな、ていうか、大体いつ僕は引越しをしたんだ。

もう、突っ込む気力すら足りなくなってきた。

 _
(;゚∀゚)「え、嘘なの?」

ノハ;゚听)「なん……だ…と?」

(;´・ω・`) (あ、本気で信じてたんだ…)

(;^ω^)「いや、ていうか…二人とも、僕がこっち来た事情しってるのに、
       なんで騙されるんだお…」


44: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:43:48.15 ID:Mvlal76q0
そう言うと、二人は「やだなー」とか言ってごまかし始めた。
ついでに見回せば、クーさんが胸に手を置いて呆けている、
おや? と思っていたら、こっちに気付いたのか、慌てる素振りを見せた。


从 ゚∀从「ちぇー…」

(;^ω^)「もー、ほんとに勘弁してくれお……」

从 ゚∀从「なんだよー、折角ひさしぶりの再会なのに、冷たいなぁ」

( ´ω`)「…なら、まずお前が普通にすりゃあいいんだお」

从 ゚∀从「普通って?」

(;^ω^)「前から言ってるじゃないかお……スカート脱げお」

 _
(;゚∀゚)「うおぉおおい! 何言ってんだ内藤!?」

ノハ;゚听)「しかも前から!?」

(;´・ω・`) 「女の子相手にそんな……」

lw´‐ _‐ノv「ケダモ…の」



46: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:45:43.83 ID:Mvlal76q0
(;^ω^)「え!? あ、ああー、いやいや!」

凄い非難のまなざしを向けられてしまった。
しまった…まだ話してなかったっけ……。

ああ思えば、この誤解をされるのも何度目だろう。
そしてこの説明をするのも、何度目だろう。

はぁ…と、またひとつため息を吐いてから、
僕は、少し自嘲気味に笑みをうかべ、切り出した。


( ^ω^)「みんな、誤解してるお……」

从;゚∀从ノシ「あっ、あー! 言っちゃだめー!」

( ^ω^)「こいつの本名は、ハインリッヒ高岡……見た目は、まあ女っぽいけど」


(;^ω^)「れっきとした、男だお」


「「……」」


「「……え?」」


場の空気が凍りついて、皆、声も出さすに固まった。
そんな僕らの間を、すこし冷えた風が吹きぬけた。



49: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:49:46.23 ID:Mvlal76q0
…あ、いや、訂正。


ノハ*゚听)「――――っ!!」

ノハ*゚∀゚)(う、うおおおおおおおお準にゃんキタコレえええええ!!??)

若干一名、なんかすばらしい事を聞いた、と言わんばかりに、
胸のあたりで両手を組み、目をキラキラ輝かせていた。


ノハ*゚听゚听*)(うはwwwこれはwwアーウィンさんへ連絡せねばwwwww)

(;^ω^)「ひぃ!?」

lw´‐ _‐ノv「姉のテンションが……あがっている」

それから、しばらく見ていると、ヒートさんの姿はなんかぶれて見えた。
更に遅れて、それぞれ三者三様の驚きを見せていた。

 _,
(;゚∀゚)「はあっ!?」

(;´・ω・`) 「え、ほんとに……?」



54: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:53:49.90 ID:Mvlal76q0
从 ゚∀从「僕はね、男とか、女とか、そんなの関係ないと思うんだよ」

从 ゚∀从「そう、差別はいけないと思うんだよ」

( ^ω^)「いや、差別じゃなくて、区別をしてるんだお」



川; - )(男……男同士…?)クワンクワン

川;゚ -゚)(そういえば……前にうしろが趣味とか……いや、まさか…)

川;゚ -゚)(で、でも……)

(;^ω^)「って……クーさん?」

川;゚ -゚)ハッ


というわけで、多少のいざこざはあった物の、
あくまでここは遊ぶ場所、いつまでも驚いてばかりも居られない。
と、高岡が言い出したので、なし崩し的に、彼も混ざることになった。



55: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 01:57:13.10 ID:Mvlal76q0
まあ正直なところ、こういう前向きな部分は嫌いじゃない、きもいけど。

久しぶりの、懐かしい顔なじみ、あまり邪険にするのもあれだし。
まあ、今日くらいはこのまま、付き合うとしようか。


从*゚∀从「と、ところで……ここ、シャワーあるけど、一緒に行かない?」

( ^ω^)「鼻息荒いから行かない」

……うん、今日だけ、今日だけね。


そうして、僕らは再びエクストタウンの中で、
色々な遊戯物で、時間いっぱい遊び通し。

やがて、時間もいい感じになってきたので、
最後の締め、というわけで、カラオケにやってきた。


(;^ω^)(でも僕、あんまり知らないんだよね……)

(´・ω・`) 「リモコンは?」
  _
( ゚∀゚)「ほいよ」



59: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:00:20.42 ID:Mvlal76q0
ノパ听)φ「えーと……ち、ち…ょう…」

ヒートさんは、入って早々に手馴れた動作で、即効、曲を入れた。
テレビ画面に数字がならび、幾度かの点滅、そして現れた曲名は。


  「漂流〜スカイハリケーン〜」


( ^ω^)「……?」

聞いたことのない名前だ、すぐに始まった前奏を聴いても、それは変わらない。

しかし、この中に一人、明らかな反応をしめす奴が居た。

高岡だ……ていうか、おもむろにマイクを握って、立ち上がった。
それに気付いたヒートさんは、驚いた風に固まってしまう。


从 ゚∀从「……」

ノハ;゚听)「……」

見つめあうのに従って、盛り上がっていく前奏。
そして、その波が最高潮に達した時。



61: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:03:07.55 ID:Mvlal76q0
从#゚∀从「オーガーーース!!」

ノハ#゚听)「オーガァァァアス!!」


見事に二人の声が、はもった。
なんじゃこりゃ、と思ってる間にも曲は続く。

二人は、初対面とは思えない思えないほど、見事に噛み合っている。
しかも後半になると、それがまた酷い…じゃなかった凄い事になっていき。
僕らはただ、呆気にとられるばかりなのであった。


ノパ听)「時の流れのりこえ!」
从 ゚∀从「後ろがガラ空きだったぞ! 圭」


从 ゚∀从「この大空かけぬけ!」
ノパー゚)「背中はお前に任せてるからな!」


ノハ#゚听)「この手で創ろう新しい世界の、愛の歌ぅぉおおおおおお!!」
从 ゚∀从「命の炎 燃やし尽くして 変わり果てた この世界で〜」



64: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:07:14.24 ID:Mvlal76q0
从 -∀从「フン、調子のいい奴だ」

ノパー゚)「まあまあ、相変わらずということで!」


        ガシッ

  ノハ*゚ー゚)人从∀゚*从


暗がりの中、テレビの灯りをシルエットに、ガッシリと手を重ねる二人。
何だか、よくわからないが、誰も入り込めない世界がそこにあった。


lw´‐ _‐ノv「世界交差、Zの契りが…かわされ…た」

(;´・ω・`) 「なにそれ?」

ちなみに、その後もよくわからない曲ばかりを、二人は歌っていた。

中には名乗ってるのもあったから、わかるものあったけどね、
ダイターン3とか、そういえばその時「鈴置さん…」
とか呟きながら泣いてけど、あれは一体…。



67: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:12:50.18 ID:Mvlal76q0
从 ゚∀从「圭ってさ、あのモームとの別れのシーンのせいでさ、
     どうも軽い男って印象が薄いんだよね」

ノハ*゚∀゚)「あるあるwwwwwwwwwwwwwww」

あと、会話も濃い。


……まあ、そんなこんなで、カラオケルームは無駄に熱く盛り上がり。


ノハ#><)「インマイドリーム! 空の彼方ま『キーーーーーーーーーーン!!!!』」

从;>∀从「ハウリングwwwwwwwwww」
 _
(#゚∀゚)「うるせえええええええ!!!」

川; - )「み、耳が……っ」


大盛況のうちに、幕を閉じた的なノリで、終わった。
…まあ、ほとんどあの二人の独壇場ではあったけど。



68: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:15:43.33 ID:Mvlal76q0
「あー疲れた」なんて口にしながら、外へ出れば。

既に空は真っ暗だけど、街はネオンやライトに照らされ、
なんだか、昼間と言うより、家の中みたいな明るさをしていた。

体はまだほてりが余韻として残り、夜風が涼しい。

そして、エクストタウンを出てすくのバス停前にて、
はるばる遠くからの来訪者に、お別れを告げた。


从*゚∀从「今日は楽しかったよ、ありがとうね」

(´・ω・`) 「こっちこそ、いろいろ新鮮だったし」

川 ゚ー゚)「またな」

lw´‐ _‐ノv「ばいばい」
  _
( ゚∀゚)「んじゃ俺もこれ乗るから、また明日、と」



70: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:18:19.52 ID:Mvlal76q0
ノハ*゚听)「な、もしまた遊ぶ時があったらさ、今度は00のOP歌おうよ!!」

从 ゚∀从b「んじゃ、高い方はまかせた」

ノパ听)「愛が愛ぉうー重すぎるって理解を拒みー」

从 -∀从「憎しみにー! 変わってく前にぃーいー」


从*゚∀从b グッ

ノハ*゚听)b グッ


(;^ω^)「仲いいな君ら」

从*゚∀从「え、もしかして嫉妬!? そんな、僕はいつでも内藤が」

( ^ω^)「あ、バス来たお、気をつけてとっとと帰れお」

从*-∀从「ああん、この扱い、癖になるぅ」



74 名前: あいらーびゅううう ◆aYo30Ks4N6 投稿日: 2008/12/08(月) 02:21:17.56 ID:Mvlal76q0
( ^ω^)「……」

( ^ω^)「……今度は、ちゃんと男の服装で遊びにこいお」

从 ゚∀从「え……?」

(;^ω^)「今日はまあ……楽しかったし、それに…
       久しぶりに会えて、まあ、ちょっとは嬉しかったお」

从;゚∀从「……」

(;^ω^)「だから……またね、だお」

ぐああ、なんか妙に照れくさいのは何だ。
高岡も高岡で、なんかまた俯き加減に、嬉しそうにしてるし。

……言わなきゃよかったかな。
とか思ってたら、パッと顔をあげて、くしゃりと笑顔を浮かべた。
不覚にも、ちょっとだけドキっとしたぞ畜生。


从 -∀从「うん、またね」



78: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:23:50.41 ID:Mvlal76q0
言葉と同時に、バスのライトに照らされ、長い影が伸びると。
蒸すような熱気と、大きな排気音をひきつれ、バスが停車した。

ドアが開くと、続々人が乗り込んで、それに続いてジョルジュ、
そして高岡の順番がやってきた、僕らは手をふり見送った。


从 ゚∀从「あ、そうだ」

( ^ω^)「お?」

その去り際、高岡が僕に耳打ちした。

从 ゚∀从「一つだけ、前から気になってたんだけど……」

(;^ω^)「な、なんだお?」

从 -∀从「…内藤が、僕の妄想だと言ったあのお話、覚えておくといいよ」

(;^ω^)「はぁ? 何を言って…」

从 ゚∀从「だって、内藤は気付いてないんだもん、自分の矛盾に…」



80: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:28:28.88 ID:Mvlal76q0
(;^ω^)「矛盾……?」

从 ゚∀从「そう矛盾、なのに気付けないから、わからないんだよ」

(;^ω^)「?? どういう意味だお?」

从 -∀从「残念ですが、ヒントはおわり、さてもう行かなきゃ」

(;^ω^)「え、ええ!? ちょ、なんなんだお!?」

从*゚∀从「それじゃあね、大好きだよ内藤!」

(;^ω^)「だからきもいからやめろそれ!」

从 ゚∀从ノシ「はははははwwwwwwじゃあのwwwww」

駆け足で乗り込むと、待ちくたびれていたように、バスの扉が閉まる。


こうして旧友は、嵐のように現れて、
やはり嵐のように、去っていった。

僕は、最後にあいつが残した言葉が、妙にひっかかって、
置いてけぼりにされた犬のように、立ち呆けていた。



82: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:30:52.48 ID:Mvlal76q0
……。




「おはようー」

なんて声が行き交う、朝の清々しい校門前。
僕は今、なぜか突然の窮地に立たされています。

三人分の砂地をふむ音が、妙に大きく聞こえる。
それと、周りからの視線が、ちくちく刺さる。


(;^ω^)(……空気が重い気がする)

息苦しい、ていうか、何で無言なんだろう。
かと言ってこう、左右も向き辛いっていうか。


( ・∀・)「どうかした?」

(;゚ω゚)「ひぃ!? いい、いえ、何もないです!」

ζ(゚、゚;ζ「だ、大丈夫ですか?」



83: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:32:58.38 ID:Mvlal76q0
まず現状の整理だ、まあこの会話からわかる通り、
僕は今、この二人の間に挟まれている。


ことの発端は、ついさっき。

たまたまデレさんに会って、気まずいながらも挨拶したら、
一緒に行くことになって、そこにモララー君が合流した。

それだけでも問題なんだけど、会話がない。
ただ黙って、校舎をめざし歩くのみ。


……だったけど、流石に僕の挙動不審っぷりを察したのか、
モララー君がおかしそうに、無邪気な笑顔をむけて、言った。


( ・∀・)「変なの、ブーン君って、昔からこうなの?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、こんな感じだったよ」

ただし、僕にではなく、デレさんに。



88: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:36:40.75 ID:Mvlal76q0
ていうか、なんだそれ、なんでモララーが、僕をそう呼ぶんだ。

考えられる理由なんて、一つしかない。
この親しげな二人を見れば、嫌でもわかる。

……間に挟まれる身にもなってほしい。


(  ω )(……なんだってんだお…)

僕は何も言えなくて、それきり、教室につくまで口を閉ざしていた。



……。



朝のホームルームの時間がやってきました。
教壇には、担任の姿があるんだけど、なんだろう…珍しいっていうか。

ものすごい久しぶりに見たような気がする。


( ФωФ)「えーと、今日は突然なんですが、大事なお知らせがあります」



95: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:46:23.70 ID:Mvlal76q0
( ^ω^)(そう……まるで、一度しか会っていないような…)

とか考えてる間にも、担任の話は続いていく。
僕は呆けながら聞き流していて、まるで耳に入っていなかった。

…しかし、今日はなんだか長い気がする。
このままでは、休み時間に突入してしまうぞ。


( ФωФ)「それじゃ――――どうぞ」

なんて呑気な事を考えていると、担任が入り口へ向かった。
ああ、やっと終わるのかと、ただそう思っていた。

だから、その可能性なんてまるで考えていなかった
しかしながら、冷静になって考えてみれば、そうなのだ。

次の日は、学校。

そして、元地元までの距離、半日で帰れるわけがない。
ならば何故、奴はあんな時間まで、平然と遊んでいたのか。

……その理由は、教室の扉が開かれる音と一緒に、やってきて。



98: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 02:49:51.07 ID:Mvlal76q0
(;゚ω゚)「はい?」

从 ゚∀从「転入生の高岡ハインです」

しかも、女生徒の制服をまとって。


川;゚ -゚)「あ……」
 _,
(;゚∀゚)「え、えええええぇ……」


从* ∀从「よろしくお願いしますね」

してやったり、な表情で、にたぁ、と笑って僕を見ていた。
……平穏な日々は、やはり、まだまだ訪れてはくれないようです。
                        
                                 

              Open your eyes for the next time――――→



114: ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/08(月) 03:49:22.59 ID:Mvlal76q0
   ;;;   :::: ...        ::::: ::;;;:::.....
;;;; ,,, 、、   ,i'            :;;::.,,:  丶;;:;;:
      ヾヾ              ゞ  ```
ゞゝ;;;ヾ  :::,r'  `  `          i、;;;ヽ;;;  ヾ;;;
i;;;::::′~^        `    `        ;;; ″~  ~
ii;;::iヽ /      `               ゞ:,,,:: ヾ 〃::;:
iii;::i `           `     `          ii;;;;::: ::   
iii;;::i    `G「Hの法則、はじめました」     iii;;;;::: ::
iiiii;;::i      `               `      iii;;;;::: ::
iii.,ii;;:i,                          iii;;;;::: :::
iiiii゚i;;:i            `        `      iiiii;;; :::::
iiiiiii;;::i                         ||iiii;;;;::::
iiiiiii;;::::ヽ;;,,';;"'';;";;""~"`"`;.";;""'"~"`~"'';;,,,   /iiiiii;;;;o;;;
iiiiiii;;::;';;"                    `;;/i:ii iii;;;;;::::




こんな感じで…適当に最初にでもお願いしますです。
あとHはエッチじゃないよ、ハインリッヒだよ。

1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、
その背景には300の異常が存在するという法則。

まさに今回のような、という後付。



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