( ^ω^)ブーンは、春がくるたび戸惑うようです

513: 脅威のながらエピローグ ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/23(火) 23:58:39.62 ID:2oCdtsD60
それからの事を、大事な部分だけちょっと、語っておこうと思う。


まず最初に、モララーについて。

結局のところ、デレの恋を応援していた、というオチだったんだけど。
いくら幼馴染とは言え、どうしてあれほど熱心だったのか、
何となく気になって、僕はそれをデレに訪ねてみたんだ。



ζ(゚、゚*ζ「はっきりそれを聞いた訳じゃないんだけど…
      多分、私と同じ悩みを抱えてたから、じゃないかなって」



(;^ω^)「同じ悩み……?」


ζ(゚ー゚*ζ「うん…実はね……」


何でも、モララーにも小さい頃から憧れていた、女の人が居るらしい。

僕らとは少し違うけど、昔は仲良かったのに、今は離れている…。
という状況に、自分を重ねて、共感したのかもしれない。



519: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 00:08:43.27 ID:utWb2s9o0
( ^ω^)「その人も、どっか行っちゃったのかお……?」

ζ(゚、゚*ζ「え? ううん、そんな事ないよ、同じ学校だもん」

(;^ω^)「へ? そうなの……?」

ζ(゚ー゚*ζ「距離とかじゃなくて……学年と、立場…かな」

(;^ω^)「……どういう事だお?」

ζ(゚ー゚*ζ「えとね、ブーンも知ってるんじゃないかな……つーって人なんだけど」

( ^ω^)「……つー?」

はて、何処かで聞いたような、知った名前ではあるんだけど、
うーむ……ここまで出掛かってるんだけど、思い出せない。


ζ(゚、゚*ζ「その人ね、学校内でもかなり有名な先輩で、生徒会の副会長で、
      しかも、知ってるかな…ヴィッパーっていう凄いひとたちの一人なの」

それも、更に聞いたことあるぞ……ていうか、流石にもうわかった。
ていうか、この話を聞いて、ついでに他の謎も解けちゃった。



526: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 00:20:26.64 ID:utWb2s9o0
そう…やっとわかったよ、実は一つだけわからない事があったんだ。

よくモララー君に、校舎内でジロジロ見られてた訳なんだけど、
何度かデレさんが居ない時にも、というか居ない時こそ、すごい睨まれた事がある。


それは、そう。

僕が、猫さんと一緒に居るときだ。


それに、あの猫さんに憧れている、つまり目差しているんだとと思えば。
モララーのあの優等生っぷりや、始めて会った時のことも頷ける気がした。

うーん、でも、それにしたって、何で何もしないんだろう。
もうちょっとこう、アタックするとかしても良さそうなのに。

ζ(゚、゚*ζ「いやいや、自分の事なんか覚えてないだろう」

デレは、モララーの真似をしながら言った。
流石に長い付き合いだけあって、そっくりだった。


ζ(゚ー゚*ζ「だから、いつか自分で、同じ場所へ立つんだって」

( ^ω^)「……なるほど」



531: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 00:27:48.27 ID:utWb2s9o0
ていうか、この話、しちゃっていいんだろうか。


ζ(-、-*ζ「……いいの、だって私の事だって、ブーンに話しちゃったもん」

だから、これでおあいこ。

デレは口を尖らせ、すねるように言った。
けど、すぐに笑顔になった。

僕もそれもそうだと相槌をうってから、笑った。

でも僕が笑ったのは、それだけが理由じゃない。

……これで、どうやらモララーに、借りを返すことができそうだ。
僕はポケットにある、小さなバッジを指で遊びながら、そう思った。


ζ(゚、゚*ζ「…? どうしたの? なんか嬉しそう」

( ^ω^)「おっお、後のお楽しみ、だお」



538: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 00:36:54.18 ID:utWb2s9o0
というわけで、閃いてからは早かった。
早速、僕は放課後にモララーを、中庭へと連れ出した。


( ・∀・)「それで、どうしたのさ?」

( ^ω^)「これ、モララーにあげるお」

言って、僕はポケットから取り出した物を、半ばむりやり握らせる。
するとモララーは、それを見るなり、驚いた風に僕と、そのバッジを見比べていた。


(;・∀・)「え、いやちょっと、これって……」

( ^ω^)「うん、ヴィッパーの印…だったかお?」



( ^ω^)「つー先輩のだお」


続けてその名を出した途端、モララーは明らかに動揺を見せる。
遠くから睨んでみたりと、何だか結構わかりやすい奴だなぁ。



545: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 00:46:19.13 ID:utWb2s9o0
(;・∀・)「……な、なんで…」

( ^ω^)「僕には必要のない物だからだお」

そして、半ば放心状態のモララーに、僕は淡々と話を続ける。

つー先輩が校舎の掃除を一人でやってて、大変そうだと言う事。
僕がその手伝いをしていた事、そして最後に。


( ^ω^)「代わりに、お願いしていいかお?」

(  ∀ )「………」

モララーは何も答えない、ただ、じっとバッジを見つめていた。
かなり迷っているようだ、そういえば覚えてない云々言ってたっけ……。

なら、もう一押しかな、と思って、僕はとどめの言葉を告げる。


すると、モララーは何も言わないまま、バッジ握り締めて、校舎へ駆けて行った。



547: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 00:50:11.35 ID:utWb2s9o0
( ^ω^)「……」

これでよし、と、後はもう当人同士の問題だから、僕の出る幕はなし。
そうして振り返ると、そこには何時の間にか、デレが立っていた。


ζ(゚、゚;ζ「ねえ、最後、何を言ったの…?」

( ^ω^)「……ちゃんと覚えてる、って言っただけだお」

そう言うと、デレは不思議そうに首をかしげた。
まあ、流石に何でもかんでも話すわけには、ね。


あの時、猫さんは言った。



「だから、俺も昔、お前みたいな奴に会ったことがある、つったんだよ」

「かなり前だけどな、いつもへらへら笑っててよ」

「いっつも、ちょろちょろ俺の後をついてくるんだけど、
 どうにもトロ臭い奴だったっけなぁ」


……ってね。



553: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:00:15.28 ID:utWb2s9o0
それから更に、時間は流れて。



今度は、僕のことなんだけど、えーと、うん、晴れて、か、かか、カップルになりまして。
朝とかも、待ち合わせなんかしちゃって、一緒に行こう的な感じになりまして。

……もう、何だろうね、夜とかも、家で一人で悶えちゃったりして。

今まで街を彷徨うカップルを、見下してきたけど……。
ちょっとだけごめんしたい気分だ。


うん……わかる、今ならわかるよ、彼らの気持ち。


そんなわけで、今日もまた、待ち合わせした場所を目差し、ひた走る。


( ^ω^)「あ…おーーい! デレーーー!!」

やがて、愛しの彼女の姿を見つけた、僕は手を振り駆けて行く。

何事かと、その辺に居た人達も振り返る、でも周囲の事なんか、しったこっちゃない。
ああ、彼女が居るってなんという桃色グラフティ、見ればデレもゆっくりと振り返って。



556: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:02:18.36 ID:utWb2s9o0
ξ#//)ξ「恥ずかしいから叫ぶな!!」

#)゚ω゚)「おはようぼああああああああああ!!」


駆け寄る僕へと、華麗なるカウンターパンチを叩き込んだ。
僕はもんどりうって、コンクリートの上を転がる。


ξ*゚ -゚)ξ「まったくもう……」

(メ;ω;)「……ひ、ひどい……」


うん、何ていうかね……誰だよって思うかもしれないんだけど。
間違いなく、あのデレなんだよね、変化に驚いたのは僕もだから大丈夫。

三つ子の魂百までも、とはよく言った物であるらしく。
あれ以来、自分を着飾ることを止めたデレは、段々と凶ぼ……いやいや。

よく言えば照れ屋さん、悪く言えば、手が先に出るようになってきて……。
それだけでも、なかなか大変な問題なんだけど、それだけじゃない、まだある。

それは……。



567: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:06:50.36 ID:utWb2s9o0
(;・∀・)「ありゃー……ブーン、大丈夫?」

(メ^ω^)「日に日に、拳のキレが増してる気がするお」


ζ(゚ー゚*ζ「あ、おはよう、モララー君」

( ・∀・)「うん、おはよう」


(;^ω^)「………」

ζ(゚、゚*ζ「あれ、どうしたの?」


……これだ、どうやら僕と二人だけだと気を許すあまり、素になってしまうらしい。
だから、他に誰かが居るとこうして変わり身のように、デレになる……。

つまり……人目があるとデレデレ、二人きりだとツンツン。

まさに脅威の新ジャンル、あえて呼ぶなら、デレツン、という所だろうか。



573: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:17:58.27 ID:utWb2s9o0
つまりね、例えば学校だ、クラスでイチャイチャはできないでしょ。
でもね、デレはそういう場では平気なんだよ、全然気にしないんだよ。

こないだも、校門からずっと腕から離れなくて、
周囲からの視線っていうか、殺気がね、凄いんだよ。


なのに、いざ二人っきりになって見たら……。


( ^ω^)「……デレ…」

ξ*゚听)ξ「…ブーン…」


ξ*///)ξ「や、やだ!! や、やっぱ駄目ーーーー!」

(;^ω^)「え、ちょ、ごめ、やめて業務用製氷機だけは!!」


「ぎゃーーーー!!」


ってさ、寸止めどころか、手が出るんだよ。
おかげで、まだき、ききき、キスすらしてないんだ……。



582: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:34:12.62 ID:utWb2s9o0
それから、学校のこと。


とりあえず、デレと僕が付き合っていることは、すぐに広まった。
あれから、もう学校ではどこでも一緒状態なので、それもしょうがない。

けど、それとはまた別で、騒がれている事があった。

デレとモララーの事だ。

どうやら僕が、モララーからデレを奪った説、が流れているらしい。

けれど、その肝心の僕らは、今ではすっかり友達同士、
それにモララーはモララーで、猫さんとそこそこ上手くやっているので。
事情を知らない人たちからしたら、どうなってるの? とミステリー化しているようだ。


けど、仲良くしている……か。


( ・∀・)「それで、ブーンはどう思う?」

( ´ω`)「……何が?」

( ・∀・)「だからさ……」



585: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:40:57.97 ID:utWb2s9o0



(*・∀・)「蝋燭プレイの時は、目隠しは必須だよねー」



流石の僕もね、まさか、君がそっち系の趣味だとは思わなかったよ。

知らないよ、いつ蝋燭が垂れてくるかわからない感じが、
自分の全てをゆだねてる感じで、気持ちいいよね、なんて言われても。


特に、同じM仲間、みたいに思われてるから、手に負えない。


(*・∀・)「またまたー、ツンちゃんになじられて喜んでる癖に」

(;^ω^)「よ、喜んでなんか……」


ない……と言い切れない自分が、どこかに居るのが悲しかった。



594: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 01:54:32.26 ID:utWb2s9o0
 _,
(;゚∀゚)「なんつー会話してんだよお前らは……」

(;^ω^)「ちょ、違うお、こいつが勝手に」

( ・∀・)「え? 何の話かな?」


この野郎……。


lw´‐ _‐ノv「?」

ノパ听)「なんだなんだ?」

(´・ω・`) 「どうしたの?」

  _,
( ゚∀゚)「ああ、なんか内藤がさ、蝋…」

(;゚ω゚)「ぎゃあああああやめてええええええええ!!!!」


川;゚ -゚)(……私、隣だから、丸聞こえなんだけど…どうしよう)



599: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 02:05:21.81 ID:utWb2s9o0
ζ(゚、゚*ζ「あれ、皆そろって…どうしたんですか?」

( ・∀・)「ほら、こないだの話だよ」

ζ(゚ー゚*ζ「……ていうと、あ、ああっ、あれですね!」

こないだのあれ、と言うのを説明する前に。
まずは、教室の外、窓の向こうを見てみよう。

そこには、ジリジリ照らす太陽と、大きな入道雲。
窓を開ければ、きっと蝉の鳴き声くらい、聞こえてくるだろう。
ついでに、僕らの制服も、半そでの夏仕様になっている。


つまり、季節はもうじき夏。

春が過ぎたら、夏がくる、まあそれだけの事で。


今年の夏休み、僕らはみんなで、海に行こうと計画している。
まだまだ先の事なので、細かいことは、これから決めるんだけど。

…うん、今から楽しみだ。



609: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 02:20:52.98 ID:utWb2s9o0
そうやって、明日を楽しみに思いながら、今日を歩く。
ふと隣を見れば、僕の好きな人が、視線に気付いて首をかしげた。

僕が笑えば彼女も、少しだけ照れながら笑う。
今ではもう、どちらの君にも、はっきりと同じ想いを告げられる。

辿り着いたのは、約束の場所。

変わる事を恐れずに。

変わらない物を大事にしながら。

僕らはこうして、毎日を過ごしていくのだろう。



( ^ω^)「あ、そうだ」

ξ゚ー゚)ξ「どうしたの?」

( ^ω^)「僕らも、海行かないかお?」



619: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 02:44:41.54 ID:utWb2s9o0

ξ;゚听)ξ「え、だから、みんなで行くんでしょ?」


(;^ω^)「…うん、だから、その……それとは別に、二人だけで……」


ξ*///)ξ「二人って……ななな、なに言ってんのよ!」


( ^ω^)「どうだお? デレさん?」



ζ(^ー^*ζ「はい! 喜んで行きます!」

Σζ(゚ワ゚;ζ「…!」ハッ



ξ*><)ξ「って……何やらせんのよ!!」


(;^ω^)「ごめ、っていてっ、痛い痛いっ!」



620: ながらエピローグタイム ◆aYo30Ks4N6 :2008/12/24(水) 02:45:58.58 ID:utWb2s9o0


そうやって、また一つ、新たな約束を交わしたら。

君と一緒に、その新しい未来までを行こう。


そして、時が流れて、月日が流れて、季節が流れても。

また。



ξ*゚ー゚)ξ「もー……ブーンのばか」


僕らは、いつまでも、いつまでも、春を目差す。

                      ――――――fin



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