- 85: ◆6Ugj38o7Xg :2009/01/03(土) 00:24:35.30 ID:pjU2LG8P0
- http://vipmain.sakura.ne.jp/end/576/002.html より
ちょっと怖くなったので、いい加減やめる事にした。
すると、ちょうど午前の授業が終わって、開放感に浸る声がざわめく。
_
( ゚∀゚)「内藤、飯行くぞー」
(;^ω^)「あ、ちょっと待ってお」
しまった、もうお昼じゃないか。
準備を怠ってしまった、えーと、財布はどこだ…。
_
( ゚∀゚)「先いってるぜー?」
(;^ω^)「ちょっと財布が見当たらないんだお…」
_
(;゚∀゚)「財布? っといけねえ、俺も忘れてたぜ」
慌ててるせいか、見つからない、まさか忘れた?
と更に焦りまくる僕だったが、無情にもジョルジュは僕を置いて行ってしまった。
- 86: ◆aYo30Ks4N6 :2009/01/03(土) 00:25:17.46 ID:pjU2LG8P0
(中略)
- 88: ◆aYo30Ks4N6 :2009/01/03(土) 00:26:38.24 ID:pjU2LG8P0
- (; ω )(……はっ)
て、そうだ、そうだよ……僕は何を考えているんだ…。
わざわざ苦労して作ってきてくれたのに、さっきから僕は自分のことばかりだ。
なんだ僕は、世界の中心気取りか、なにを馬鹿な。
自分の小ささなど、もう何度も味わってきたはずだ。
もう覚悟を決めろ内藤ホライゾン、僕がやらなきゃ、誰がやる。
人の親切、心の優しさを無下にするなんて、最低だ。
他がなんだと言うんだ、これは彼女らの優しさなんだ。
それをちゃんと受け止めないなんて、ただの裏切りに過ぎない。
矢でも鉄砲でも持って来ればいい、覚悟は決めた、もう負けねーお。
(;-ω-)「……」
川 ゚ -゚)「……?」
- 94: ◆aYo30Ks4N6 :2009/01/03(土) 00:32:05.29 ID:pjU2LG8P0
- ノハ;゚听)「……内藤? あの…もしかして、食べたくな」
( ^ω^)「いやこれは嬉しいお、ありがとうヒートさん」
ノハ*゚听) 「ほんと…?」
(;^ω^)「勿論だお、もう、お弁当なんて本当にどれくらいぶりやら」
それに何だかんだ言っても、僕だって年頃の男の子なわけで、
お弁当なんか作ってきてもらって、嬉しくないはずないじゃないのさ。
……まあ正直、かなり恥ずかしいんだけど。
ノハ*゚ー゚)「ああ、いっぱいあるから好きなだけ食べてくれ!!」
ヒートさんも、何だか嬉しそうだし、うん。
ここは恥を捨てて、おいしく頂くとしよう。
そうして箸をつける僕を、ヒートさんは目を輝かせて見守っていた。
食べづらいって、そんな見ないで、とか思って視線をそらそうと正面を向けば、
今度はクーさんが居て、無表情ながらも気にした素振りで見つめてくる。
- 101: ◆aYo30Ks4N6 :2009/01/03(土) 00:41:08.18 ID:pjU2LG8P0
- 何、この針のむしろ。
他にもクラスメイトの視線も相成って、ちょっと胃が痛くなってきた。
恥は捨てても、精神的プレッシャーには打ち克てないようです。
けど、このままでも何も変わらない、意を決しておかずを口に運ぶ。
ノハ;゚听)「……どう?」
まだ噛んでないよ、噛んでも、今はあんまり味がわかんないけど。
僕は我ながらぎこちない咀嚼をくりかえし、ごくりと飲み込んだ。
うん。
口の中に広がる味わいと、風味に残された余韻、きっとおいしかったと思う。
けど目が泳いでる今の僕には、それを自覚している余裕はなくて。
( ^ω^)「すごくおいしいお」
そう答えるのが精一杯で。
でも、そんな胸中を察してくれる人はこの場に居なくて。
居るのはただ、満面の笑みを浮かべる赤い髪の女の子。
- 108: ◆aYo30Ks4N6 :2009/01/03(土) 00:49:47.01 ID:pjU2LG8P0
- こうして、誰かに助けを呼ばずに食した事が、
どうやら、心から彼女を喜ばせてしまった僕は。
それをきっかけに、様々なことを繰り返す羽目になる。
毎日のお弁当。
部活の勧誘。
休日に兄者さんに連れられて、いつもの会合。
そして、やがてその子の、心の根っこに触れる事になるのだった。
next time go to the Heat root――――→
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