('A`)ドクオがハゲたようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:25:48.29 ID:6NR/Rov00

( ^ω^)「おはようだお、ドクオ」

('A`)「おう、ブーン」

( ^ω^)「あれ?」

('A`)「何だよ」

さわさわ

( ^ω^)「薄くね?」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:27:01.40 ID:6NR/Rov00

('A`)「な、何言ってんだよ」

( ^ω^)「だってほら、ここハゲ……」

(´・ω・`)「やあ、どうしたんだい二人とも」

( ^ω^)「ショボン。ドクオがハゲたんだお」

(´・ω・`)「え? ハゲ」

('A`)「ちげーって言ってんだろ。つむじだよ、つむじ」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:28:21.48 ID:6NR/Rov00

( ^ω^)「つむじにしては大きすぎだお。やっぱハゲだお」

('A`)「ハゲじゃねーって言ってんだろ。いい加減にしろよ」

(´・ω・`)「どれどれ」

('A`)「んだよ、ショボまで。見るなよ」

(´・ω・`)「あっ……」


(´・ω・`)「ぼ、僕、用事思い出したから先に行くね。じゃ」

('A`)「え? お、おい。ショボ?」



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:31:18.92 ID:6NR/Rov00

VIP高校。二年一組。

( ^ω^)「だから、それは絶対ハゲだお」

('A`)「しつけーなお前もよー。そろそろ切れるぞ?」

(*゚ー゚)「あ、おはようブーン君、ドクオ君」

( ^ω^)「しいちゃん、おはようだおー!」

('A`)「お、おっす」

(;'A`)(え? 何? 女子から挨拶されるなんて初めてなんすけど)

(*゚ー゚)「ねえねえ、ドクオ君。私、ドクオ君にお願いがあるんだけど」

(;'A`)「え? お、俺?」

(*゚ー゚)「うん。あのね」

(*゚ー゚)「ちょっと後ろ向いてくれない?」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:32:37.18 ID:6NR/Rov00

('A`)「後ろ?」

(*゚ー゚)「うん」

('A`)「別にいいけど……これでいいのか?」

(*゚ー゚)「……」


(*゚ー゚)「あ、うん……もういいよ、ありがとう」


('A`)「何だったんだ?」

( ^ω^)「……」

(´・ω・`) ププッ



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:34:25.02 ID:6NR/Rov00

「いいかー。この数式はー」

('A`)(だりー)

くすくす

「こらー、何かうるさいぞ。授業に集中しろー」

ぷぷっ

('A`)(何か後ろの方が騒がしいな……)

( ^ω^)「ドクオ、これまわってきたお」

('A`)「んあ? 手紙? なんだこれ」

『ドクオ、マジでハゲてるよ笑』

('A`)「……」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:35:41.76 ID:6NR/Rov00

J( 'ー`)し「あら、ドクオおかえり」

どどどどっ

('A`)「はぁはぁ、か、鏡」

ばたん

('A`)「……!」

('A`)「嘘だろ?」

('A`)「寝癖で髪が偏ってるだけだよな。きっとそうだ」

ぶぉぉーん

('A`)「ドライヤーでなおせば大丈夫……」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:37:09.84 ID:6NR/Rov00

('A`)「……あれ?」

はらり

('A`)「抜けた」


('A`)「えー?」

('A`)「俺、まだ17歳だぜ?」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:38:49.03 ID:6NR/Rov00

('A`)「あれか。ストレスによる一時的なあれか」

('A`)「最近、深夜までゲームやってたしな……いかんな、体調管理しないと」

J( 'ー`)し「ドクオー、今日の夕飯、何がいい?」

('A`)「なんでもい……いや、脂っこくないやつがいい。あと、サラダよろしく」


('A`)「まあ、ニ、三日すりゃ生えてくるだろ」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:40:22.13 ID:6NR/Rov00

三日後。

( ^ω^)「おはようだおー。ドクオ」

('A`)「おす」

( ^ω^)「どうしたお? 元気ないお」

('A`)「なあ、ブーン」

( ^ω^)「何だお?」


('A`)「俺の髪、まだ薄い?」

( ^ω^)「うん? 見せてみろお」

('A`)「うん。ここらへん……どう?」

( ^ω^)「うわっ」

('A`)「え?」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:42:51.14 ID:6NR/Rov00

( ^ω^)「……あー」

('A`)「え? おい、何だよブーン。もったいぶんなよ(笑)」

( ^ω^)「……うん。まあ、ね」

('A`)「治ってたよな? まあ、最近深夜までゲームとかやってたし、食生活もめちゃくちゃだったからさー。
    ネットで調べたら、円形脱毛症っていう一時的なものらしいぜ。
    いやぁ、ストレスは現代人の敵だな。まったく」

( ^ω^)「ああ、うん……」

('A`)「お前がハゲとか騒ぐから、クラスでいじられちゃったじゃねーか(笑)
    こんのやろー、てい!」

( ^ω^)「いって……」

('A`)「? お、おい。何だよ。反応薄いなー」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:45:37.72 ID:6NR/Rov00

ざわざわざわ

('A`)「おはよーっす」

ざわ……。

(´・ω・`)「あ、ああ。ドクオ……おはよう」

('A`)「おす、ショボン。お前、昨日変な紙まわしただろー」

(´・ω・`)「え? か、髪?」

('A`)「バレバレなんだよ。ったく、いい加減俺をいじるのやめろよー。
    中学の時も、俺の黒歴史ノートを教室でまわしやがってさー」

(´・ω・`)「あ、いや。う、うん。ついドクオをいじってしまったんだ。すまない」

('A`)「全く。ん?」

(*゚ー゚)「……」
( ^ω^)「……」

('A`)「おいおい、何だよ」


('A`)「何かドッキリでも仕掛けてあんの?」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:48:29.82 ID:6NR/Rov00

「おーい、HRはじめるぞー」

(*゚ー゚) 「……」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」

「ん? 何だ、今日は妙に聞き分けがいいな。何かあったのか?」

(´・ω・`)「何でもありません、先生」


つんつん

( ^ω^)「お?」

('A`)「なあ、皆、何かおかしくね?」

( ^ω^)「別に普通だお」

('A`)「そうか? 何かそわそわしてるっつーか。
    何? 誰かの誕生日会でもやろうってのか? あ、わかった。
    まーた俺に秘密でそういう……」

( ^ω^)「……」

「おらー、ドクオ。静かにしろー」

('A`)「あ、サーセン」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:49:50.72 ID:6NR/Rov00

次の日。

(;'A`)「やべー、遅刻する!」

J( 'ー`)し「ドクオ、朝ごはんは?」

(;'A`)「いらねっ! いってきやーす!」

どだだだだっ!

J( 'ー`)し「全く、せっかく玉子焼き焼いたのに……お布団でも干そうっと。あら?」

はらり。

J( 'ー`)し「髪の毛……?」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:53:06.83 ID:6NR/Rov00

('A`)「でさー。レベル上げてたら急に電池切れしちゃって」

( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」

('A`)「俺の三時間を返せって言いたくなった……っておい、聞いてる?」

( ^ω^)「え? お、お」
(´・ω・`)「う、うんそうだね。プロテインだね」

('A`)「あん? お前ら、昨日から何かおかしくね? ハブですかー?」

( ^ω^)「そう言う訳じゃ……」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:53:55.12 ID:6NR/Rov00

('A`)「おいおい、何だよすっきりしねーなーもー」

がりがり。

( ^ω^)「……!」

('A`)「んあ?」

(;^ω^)「ど、ドクオ。手、手……」

(´・ω・`)「馬鹿!」

('A`)「んだよ。手に何か」


('A`)「え? 何これ髪の毛?」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:57:57.80 ID:6NR/Rov00

川 ゚ -゚)「おはよう」

(*゚ー゚)「あ、委員長!」

川 ゚ -゚)「いやぁ、風邪をこじらせて二日も休んでしまったよ」

(*'A`)(うお、クーさんだ!)

川 ゚ -゚)「ん?」

とことこ

川 ゚ -゚)「おい、ドクオ君」

(*'A`)「え? な、何? お、俺っすか?」


川 ゚ -゚)「君、ハ……」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 20:58:53.07 ID:6NR/Rov00

(*゚ー゚)「委員長! はいこれプリント! 休んでた時のやつ!」

川 ゚ -゚)「む、すまんなしぃ」

(;^ω^)「ドクオ!それで話の続きは!?」

('A`)「え? 何だよいきなり」

(´・ω・`)「いいから、電池が切れてその続きを!早く!」

('A`)「……?」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:00:58.66 ID:6NR/Rov00

('A`)「あー、疲れた。夕飯までゲームでもするか」



J( 'ー`)し「ドクオ、ご飯だよ」

('A`)「うーい」

どたどた

('A`)「うん? 今日のご飯、なんかしょぼくない?」

J( 'ー`)し「そ、そんな事ないわよ。ほら、わかめサラダ、これ美味しいから食べなさい」

('A`)「味噌汁もわかめじゃん。被ってるんだけど・・・」

J( 'ー`)し「気にしないの!食べたくないなら食べないで頂戴!」

(;'A`)「何怒ってんだよ。もぐもぐ」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:02:59.55 ID:6NR/Rov00

風呂場。

('A`)「あー、一日の疲れがとれるぜー」

しゃわぁぁぁぁ

('A`)「っと、念のため、頭は優しく洗うか……」

ごしごし……

('A`)「ん?」

ばらばら

('A`)「え?」



('A`)「え?」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:04:44.77 ID:6NR/Rov00

次の日の朝。

(;'A`)「……」

(;'A`)「何か、広がってるような……」

(;'A`)「くそ! 髪の毛とかして、うまくごまかすしかねー!」

さっさっ。
ばらり

(;'A`)「え、え?」

はらり、はらり

('A`)「ぎ」


('A`)「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

どどどど、ばたん!

J( 'ー`)し「ドクオ!?どうしたの!?」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:06:46.37 ID:6NR/Rov00

(;'A`)「な、何でもない。ゴキブリかと思ったらごみだった」

J( 'ー`)し「・・・! そ、そう。びっくりさせないでよね、もう」

バタン。

(;'A`)「……」

(;'A`)「こ、このドライヤーに挟まってる髪の毛、元からだよな?
     うん、そうだ。いきなりこんな、抜けるわけねーじゃんwwwははwwアホくさwww」

(;'A`)「俺、何かストレスたまってんのかなー?」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:10:48.74 ID:80xVJRAF0

「えー、であるからしてー」

ざわ・・・ざわ・・・

(;'A`)(何か視線感じるな)

ドン!

川 ゚ -゚)「おい、皆。少しやかましいぞ。授業中は私語を慎め」

シィーン……

川 ゚ -゚)「先生、どうぞ授業の続きを」

「ああ。いつもすまんな、委員長」

(*'A`)(おぉ、クーさんかっけぇ。一見、うざい言動だけど美人だから許されるよなー)



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:13:18.27 ID:80xVJRAF0

昼休み。

('A`)「でさー、そこのダンジョンの河童のボスがつよくてつよくて」

カラン!

(;^ω^)「……あ、は、はし落としちゃったお! すまんお!」

('A`)「おいおい、何やってんだよブーン」

(;^ω^)「いやぁははは。お恥ずかしい」

('A`)「でさ、その河童、すげぇ強くて、特性が雨受け皿だから自動回復で」

(´・ω・`)「そ、それより今日の数学、小テストだよね。ドクオ、自信ある?」

(;'A`)「え? マジで? やべー、忘れてたわ。オワタ」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:16:11.62 ID:80xVJRAF0

きーんこーんかーんこーん。

「よし、それじゃ小テストやるぞー。筆記用具だけ机の上出せー。
 始め!」

カリカリ

(;'A`)(やっべ、もうわからん)

('A`)(駄目だ。寝よ寝よ。中間テストから本気だす)

ばたり。

(;^ω^)「・・・!」
(;´・ω・`)「・・・!」


ざわ・・・ざわ・・・

「おい、テスト中は静かにしろー。
 ・・・? 何だ? 激しいって何が激しいんだ」

ドン!

(;^ω^)「な、何でもありませんお!」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:18:41.98 ID:80xVJRAF0

('A`)「いやー、今日のテストはだめだったわ」

( ^ω^)「そ、そうかお。ブーンも今回はだめだったお」

('A`)「お前はいつもだろうが」

*(‘‘)*「あ、はげだー! ママ、あのお兄ちゃんはげてるー!」

('、`*川「こ、こら! ヘリカル!」


('A`)「何だ?」


*(‘‘)*「はげだー!はげはげはげー!つるぴかで変なのー!」
('、`*川「こ、こら! すいません、娘が・・・」


('A`)「え?」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:20:40.29 ID:80xVJRAF0

ドラッグストア『フサギコSHOP』

ミ,,゚Д゚彡「いらっしゃいませー」

('A`)「すいません」

ミ,,゚Д゚彡「はい。ナンでしょう?」

('A`)「えーっと、あの、育毛剤ってどこにありますか・・・?
    あ、父のお使いなんですけど」

ミ,,゚Д゚彡「育毛剤はあちらの並びにございます」

('A`)「あ、ども……」

ミ,,゚Д゚彡 ふさふさ

('A`)「……」

ミ,,゚Д゚彡「? まだ何か?」

('A`)「い、いえ」



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:22:28.90 ID:80xVJRAF0

『育毛Z! あなたの毛根活かします!』

('A`)「高いなオイ……ゲーム代より高ぇぞ」

('A`)「……でもなぁ、やっぱ、ストレスによる一時的なものとはいえ
    放置しとくのはキツイしな」

('A`)「すいません、これください」

ミ,,゚Д゚彡「はい。ありがとうございます」

ピッピ

('A`)「あ、領収書下さい」

('A`)「父のなんで」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:26:12.86 ID:80xVJRAF0

『近くのスーパーにいってます』

('A`)「カーチャンは買い物か…よし」

がちゃり

('A`)「スプレータイプか……こいつをかけて、と」

ぷしゅー!
ぐわしぐわし

('A`)「薄い箇所だけじゃなく、満遍なく全体に、優しく・・・」

はらり

('A`)「わ、わわ」

('A`)「……七本抜けた」

('A`)「……ま、まぁ髪の毛は億千万とあるんだ。七本くらい、どうってことはない」



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:28:30.25 ID:80xVJRAF0

Google検索

 育毛 方法


('A`)「ポチっとな」

('A`)「……」

('A`)「なるほど、マッサージと日ごろのケア、バランスのいい食生活が大切なのか」

('A`)「うわ、禿掲示板とかあるのかよ」

('A`)「うわー・・・可愛そう。ま、俺には関係ないよな。
    どうせ一週間ぐらいしたら、元通りになるだろうし」



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:30:07.03 ID:80xVJRAF0

……一週間後……。

ざわざわ

「ほら、あの人が・・・」
「えー・・・マジ・・・」

('A`)「何か騒がしいな」

( ^ω^)「そうかお? き、気のせいだお。それより早く体育館行くお」

(´・ω・`)「そうだよ。ドクオ、自意識過剰乙」

('A`)「うるせーなぁ」


('A`)「ははっ」



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:32:54.37 ID:80xVJRAF0

「今日は二クラス合同でバスケやるぞー!」

('A`)「だるっ」

(´・ω・`)「ま、どうせバスケ部がハッスルして終わりだろうね」

二十分後。

「試合形式やるぞー!」

( ・∀・)「よっしゃー。最初は素人軍団かぁ? 余裕余裕」

('A`)「だりぃ・・・」
( ^ω^)「げ、バスケ部のモララーだお」
(´・ω・`)「公開レイプ決定だね、これは」



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:34:31.84 ID:80xVJRAF0

( ・∀・)「お前がドクオ?」

('A`)「んあ? そうっすけど」

( ・∀・)「ははは、一目で分かったわ。噂には聞いてるよ、ぷぷ」

('A`)「・・・噂?」

( ・∀・)「まあ、あんまぶつけていかないようにするからさー。よろしく!」
( ゚∀゚)「うひゃひゃ、モララー君やさしー!」

「試合始めるぞ! 両チーム、コートに並べ!」

ピピー!



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:37:09.99 ID:80xVJRAF0

ダムダムダム・・・!
シュバッ!

( ・∀・)「おっしゃー!二十一点ー!おいおいおい、やる気あんのかぁ?」

(;'A`)「無理だって・・・ハァハァ」

「キャー!モララーくぅぅん!」

( ・∀・)ゝキラッ☆

「キャーーーー!!」

(#'A`)「うるせーなぁ、女子・・・」

(*゚ー゚)「ドクオくーん! 頑張ってー!」

川 ゚ -゚)「隣のクラスに負けるんじゃないぞー」

(;'A`)「しぃちゃんに、クーさん!?」

(#'A`)「うおおおお!がぜん燃えてきたぜ・・・俺の中にある闘志に火がついちまったぜ・・・!」



98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:39:11.50 ID:80xVJRAF0

damudamudamu!
キュッキュキュッキュキュ!

( ・∀・)「何だぁ? いっちょまえにマーク?」

('A`)「ども、よろしくっす」

( ・∀・)「バーカ、お前みてえなチビに俺のシュートが止められるかっての」

(#'A`) ぷちん(はらり……)

ひゅっ!

( ・∀・)「おらよ、スリーポイントシュート!」

('A`)「させるか!」

ひゅん!

( ・∀・)「うわっ!」

(´・ω・`)「危ない!」

(*゚ー゚)「キャー!!」

どしぃぃぃん・・・!



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:39:40.79 ID:80xVJRAF0



              ぶちぶちぶちッ・・・!!!!





111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:44:50.21 ID:80xVJRAF0

「お、おい! 大丈夫か!」

(*゚ー゚)「ドクオ君!」

「モララーくぅぅん!」

(;´・ω・`)「ど、ドクオ!」
(;^ω^) 「あ、あああ…うわああああ!」
バタリ
(´・ω・`)「ブーン! おい、誰か保健室へ!」


(;'A`)「いててて・・・野郎、おもっきり髪掴みやがって・・・」

(;・∀・)「・・・」

(#'A`)「おい! お前、わざとかぶせて・・・ん?」

(;・∀・)「お、俺のせいじゃないからな?」

('A`)「え?」

はらり、はらり。


('A`)「あ・・・」



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:46:34.48 ID:80xVJRAF0

('A`)「一、二、三・・・十五・・・二十・・・」

(;・∀・)「・・・俺の手の中にも、何本かある」

('A`)「……」

(;´・ω・`)「ど、ドクオ。保健室にいこうか。足、捻ったろ?」

ぱしん

(;´・ω・`)「ドクオ」

('A`)「なあ、ショボン……正直に言ってくれ」



('A`)「俺って、禿てるのか?」
(´・ω・`)「!!!!」



118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:49:04.04 ID:80xVJRAF0

('A`)「そうか……もういい」

(;´・ω・`)「い、いや。禿てるというほどでもない。そ、その、ちょっと薄いかなーみたいな……」

とことこ。

(*゚ー゚)「ど、ドクオ君? どこいくの?」

('A`)「……」

(;´・ω・`)「ど、ドクオ! 気に病むな! その……薄毛はケアすれば必ず治る!
       そうだ、あれだよ! お前、それは一時的なものだって! だって、お前、まだ十七歳だろ?
       常識的に考えて・・・」

('A`)「なあ、ショボン」

('A`)「『若ハゲ』って、いう言葉が、あるんだってな」



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:50:50.31 ID:80xVJRAF0

(;´・ω・`)「……」

('A`)「ネットで調べた時、掲示板にかかれてたんだ」

('A`)「高校生でも、禿る人はいるんだってな」

(´・ω・`)「ど、ドクオ。そんな、結論を急がなくても」

('A`)「俺の親父さあ!」


('A`)「もう、死んじゃったけどさあ……」



('A`)「バーコード禿だったんだよね……」



132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:53:02.95 ID:80xVJRAF0

('A`)「小さい頃さ、親父に怒られた時、いつもおれ親父のこと禿のくせにって」

('A`)「馬鹿にしてた」

(*゚ー゚)「ドクオ君……」

('A`)「俺がそう言うと、親父は怒ったような、哀しいような、複雑な表情浮かべてさ」

('A`)「俺、今なら親父の気持ち、分かるよ。だって」



(;A;)「俺、禿なんだもんなぁ……禿てきちゃったんだもんなぁ……」



142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 21:56:05.18 ID:80xVJRAF0

(´;ω;`)「……ドクオ」

すっ。

('∀`)「いいよ。どうせ俺なんて、元から不細工だしさwwww」

('∀`)「もし俺がイケメンだったら、凄くやるせなかっただろうけど」

('A`)「不細工がはげになったって、もてないのは変わらねーしwwww」

('A`)「むしろ、不幸中の幸いみたいな? 
    もしも神様が禿る人をランダムに選んでるのなら、俺が禿になったお陰で
    その分誰かが救われたって考えればさwww」


(;A;)「俺、英雄じゃんwwwwうはwww勇者ktkrwwww」



150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:00:34.24 ID:80xVJRAF0

体育館が、水を打ったような静けさに包み込まれた。

聞こえるのは、ドクオの嗚咽だけ。

生徒も、先生も。

ただ、その場で、立ち尽くす。中には涙を目尻に堪えている者も、いた。

(;・∀・)「ドクオ……俺……」

(つA`)「ぐすっ。いいっていいって。俺が無理にジャンプしたのが悪いんだしwww」

('∀`)「モララーこそ、そんな顔すんなよwwwイケメン台無しだぜ?ほら、ファンサービスサービスwww」

(;・∀・)「ドクオ……!」

(´;ω;`)「うう……!」



152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:03:31.14 ID:80xVJRAF0

(*゚ー゚) 「ねぇ、委員長……何か言ってあげた方がいいのかな?
     こんなの、辛すぎるよ……ねえ、委員長?」

川 ゚ -゚)

(*゚ー゚)「委員長? あの」

川;゚ -゚)「はっ。す、すまん。驚きのあまり、放心していた……」

(*゚ー゚)「え?」

とことこ。

('A`)「クーさん……?」

川 ゚ -゚)「ど、ドクオ君。すまない、気付けなかった。
     最近、みなの様子がどうもおかしいとは思っていたのだが、君は……!」

(´・ω・`)「!! だ、駄目だクーさん!」



川 ゚ -゚)「禿だったのか……!」


ずどぴしゃあぁぁぁぁぁん!!!



159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:05:32.26 ID:80xVJRAF0

(;A;)「う、うわあああああ!!」

(´・ω・`)「ドクオ!!」

(;A;)「俺に、俺に生きてる価値なんてないんだぁぁぁ!
     誰か殺してくれ!焼き殺してくれぇぇぇぇ!!」

(;・∀・)「おい、落ち着けよドクオ!」

(;A;)「うるせえええええ! 俺だって、俺だってなぁ!!」



(;A;)「好きで禿たんじゃ、ないんじゃあああああ!!!」



165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:08:12.34 ID:80xVJRAF0

(;´・ω・`)「ああ、わかっている! 好きで禿る奴はいない!」

(;A;)「うわああああ!!!離せ!お前らみたいに毛根が活き活きしてるやつに
    おれの気持ちがわかるかぁぁぁぁ!!」


(*゚ー゚)「委員長!な、何てこというんですか!」

川;゚ -゚)「す、すまん。衝撃のあまり、つい口が……。
      だ、だって、十七だぞ? 高2だぞ? おまけに、河童禿だなんて……。

      驚くに決まってるじゃないか!」


('A`)


(;A;)「うわあああああああああああああああああああああ
     嗚呼アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」



177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:11:58.22 ID:80xVJRAF0

かんかんかん!!

(;´・ω・`)「ドクオ! どこいくんだ! そっちは二階・・・!」

(*゚ー゚)「キャァァァァァー!!!」

川;゚ -゚)「ドクオ君!」

(;・∀・)「ばか! あぶねーって!」


(;A;)「うるさああああい!!俺は、この二階から頭を打ち付けて、死ぬんだあああ!!
     例えしななくても、ショックで毛根が蘇るかもしれないだろうがぁぁぁ!!!
    けええええええええい!!!どけどけ!邪魔だああああ!下にいると、禿がうつるぞこらぁぁぁ!!」

(*゚ー゚)「ドクオ君!お願い、やめてー!!」

川;゚ -゚)「私が悪かった!わびる!だから気に病むな、ドクオ君!
      その、禿だって生きてればいい事があると思うぞ!」

(;A;)「わあああああああああああああああ!!!!
     禿っていうなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:13:08.28 ID:80xVJRAF0

(;A;)「俺は、俺ハァァァァ!!!!!」

タンッ……!

(´・ω・`)「ドクオーーーーー!!!」

(*゚ー゚)「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」



――……


―…



186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:16:40.08 ID:80xVJRAF0

ねえ、トーチャン。

――何だ、ドクオ

何でトーチャンは、つるつるなの?

――それは……そうだな、なんというか、個性だ。

こせい?

――そうだ。いいか、ドクオ。世の中には、肌の黒い人がいれば、眼の色が青い人もいる。
  髪の毛がもさもさの人もいれば、つるぴかの人もいる。

  でもな、皆、同じ人間なんだ。見た目は違うけど、それは個性だから、恥じるべきではなく誇るべきなんだ。

ふうん。何か、かっこいいね!

――だろう? でもな、ドクオ。世の中には差別というものがある。
  大多数の人と見た目が違えば、必ず嫌な事をしてくる奴がいたり、不公平な目にあうこともある。

  ドクオ。お前は、そういう『ヘンケン』を持たない、立派な男になるんだぞ。

うん!



196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:21:32.92 ID:80xVJRAF0

どうして、こんな時になって、子供の頃の記憶がフラッシュバックしてくるのだろう。

('A`)(……もしかして、トーチャンは俺には禿てほしくなかったのかな)

思い返せば、トーチャンはいつも疲れた顔をしていた。

はげた頭を光らせながら、ネクタイを緩めてソファーに倒れこむトーチャンは
本当は、会社なんて行きたくなかったんじゃないだろうか?
本当は、頭をストレスに晒さずに、満員電車や嫌な上司からも離れて、そっと育毛に励みたかったのではないだろうか?

それでも、家族の為に、トーチャンは。

嫌な上司に、頭を下げて、毎日毎日満員電車に押し込められて

頑張っていたのかな。

('A`)(ごめんな、トーチャン。あの時、禿なんていったりして)

トーチャンは、禿だけど。バーコードだけど。

かっこいいのだと、迫り来る体育館の床を見ながら、俺はそう思った。



200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:24:17.08 ID:80xVJRAF0


どさっ……!


('A`)「……え?」

衝撃がくると身構えていたのだが。

「……ふぅ。危機一髪だったな」

('A`)「せ、先生……?」

俺は目を開ける。

俺をうまいことキャッチした、まだ新人の体育教師が、白い歯を見せながら

笑っていた。

その頭には――毛の一本たりとも、生えていなかった。



208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:26:55.98 ID:80xVJRAF0

('A`)「あ、あれ? 先生、髪の毛は・・・?」

「……ハハッ。思いっきりジャンプしたもんだから、ほら」

('A`)「……あ!」

そこには、先生の髪の毛が落ちていた。

('A`)「づ、ヅラ……だったんですか?」

「まあね。今まで隠していたんだが……ふっ。参ったな」

(´・ω・`)「ドクオっぉぉぉぉ!」
(*゚ー゚)「ドクオ君!」
川 ゚ -゚)「ドクオ君!」

どどどどっ!
がしぃ!

(´;ω;`)「うおおおおお!!馬鹿野郎!!
       おま、心配させないでくれよ……ちびったじゃないか!」

('A`)「ショボン……」



214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:29:12.40 ID:80xVJRAF0

(*;ー;)「ドクオ君……ぐすっ。ごめんね、今まで何も出来なくて・・・ごめんね」

川 ゚ -゚)「すまん、ドクオ。委員長とした事が、君を傷つけるような言葉を……」

(つA;)「みんな……」

俺は涙が溢れるのを、こらえる事が出来なかった。

不意に、心の中の黒いもやが、晴れたような気がした。

そっか。俺は、ずっと不安だったんだ。

禿る事自体が怖かったんじゃない。皆から、嫌われる事が。

何より、恐ろしかったんだ。



224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:32:37.44 ID:80xVJRAF0

「えー、嘘ぉ。あの先生ヅラだったの? ショックー」
「イケメンだから狙ってたのに、マジ禿とかありえねー」

川#゚ -゚)「おい、お前ら……」

隣の女子に突っかかろうとするクーを、先生がとめた。

「お前ら、俺に好意を持ってくれていたのか?
 それはありがとう。だがな」

先生は、すぅ、と息を吸い。


「禿だから、何だって言うんだ!!!!!」


雷のような怒号に、女子二人はひ、と悲鳴をあげた。

「禿だからっておめぇらに何か迷惑かけたか? 禿だったら人間の価値は下がるのか?
 あーあー、その程度の好意なら、こっちから願い下げじゃあほんだらぁぁ!!

 お前らみたいにな、見た目で人をはかる奴らにゃ、こう言いてえよ……!

 てめえらの血は何色だぁ!!あぁ!?」



234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:37:06.16 ID:80xVJRAF0

('A`)「先生……」

「ドクオ。あんな奴らなど、気にするな。
 お前には、お前にしかない魅力がある」

('A`)「魅力……?」

「そうだ。お前には魅力がある。
 だって、そうだろ? ――こんなに良い奴らが、周りにいるじゃねえか……!」

俺はふと、視線を辺りに飛ばす。

(*゚ー゚)「そうよ! あなたたち、今度、ドクオ君に酷い事いったら、ユルサナイから!
     女子勢力を挙げて、ハブにするからね!」

川 ゚ -゚)「委員長権限で、学校にいられなくしてやってもいいんだぞ?」

( ・∀・)「てめーら、ドクオ笑ったらフルボッコにすんぞ!
      ドクオは、男だ!男の中の男だ!」
(´・ω・`)「笑った奴は一歩前に出ろ。ショボン真拳でぶち殺すぞ」



242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:42:19.15 ID:80xVJRAF0

「そうだそうだぁ!ドクオは俺達のクラスメイトだ!」
「おらぁ!隣のクラスの菊池!笑ってんじゃねえぞコラァ!」
「俺なんてにきび顔だ!文句あるか!?あ?」

('A`)「みんな……」

ドクオを庇うように、クラスメイト全員が俺のまわりで声を荒げた。

何という、お人よしなのだろうか。
どいつもこいつも、笑うことなく真剣な表情で、臭い台詞をいってやがる。

(;A;)「皆……」

「なあ、ドクオ。お前も辛いだろうけど、強くなれ。
 大丈夫。倒れそうになった時は――支えてやるさ。俺達が、さ」


俺は、涙を袖で拭いながら、何度も何度も、呟いた。

ありがとう、と。

俺は十七歳なのに河童禿で、不細工で、おまけにチビで運動神経も鈍いけど。


――世界の誰よりも、今の俺は、幸せな人間なのだという気がした。

                こんなにも、心強い友達が、いるのだから――



247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/12/14(日) 22:44:34.27 ID:80xVJRAF0


   人は他人のために存在する。

   何よりもまず、その人の笑顔や喜びが
   そのまま自分の幸せであるひとたちのために。

   そして、共感という絆で結ばれている

   無数にいる見知らぬ人たちのために。



                    アルバート・アインシュタイン
                    (ドイツ生まれの理論物理学者)


Fin



251: 1 ◆zpW0mlvJcY :2008/12/14(日) 22:46:07.50 ID:80xVJRAF0
以上で('A`)ドクオがハゲたようですは終わりです。
支援ありがとうございました。ではでは、ドロンドン!



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