(・∀ ・)たった一つのようです
- 2: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:49:53.96 ID:RwedjZjj0
7:好【ス】
さあ皆!愛を謳おう!
ここは愛に溢れる国!!
誰もが恋に落ち愛を知りある時は破れそして再び恋に落ちる!
そんな夢の国へようこそ!!
(・∀ ・)「オウフ」
その国は一面ピンクのオーラを放つ、ある意味今まで来た中で一番不思議な国だった。
入った瞬間頭にくらりとくる。
まるで顔面に香水をかけられたみたいに、ぼんやりしそうな国だった。
- 3: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:50:40.57 ID:RwedjZjj0
その国はどんな人でも口説いてしまう国。
道行く人に愛を語り、そして気がつけば国の中はカップルだらけ。
一旅人である僕もそんな住人の例外ではないらしく、その国に入った途端道を歩くだけで声をかけられた。
それは綺麗なお姉さんだったり
('、`*川「あらぁ、素敵なヒト、ねぇ、今お時間あるかしら?」
(・∀ ・)「ないですすみません」
それは年端もいかない幼女だったり。
l从・∀・ノ!リ人「お兄ちゃん、かっこいいのじゃ、私のお婿さんになってくれるのじゃ?」
(・∀ ・)「あと10年たったらね」
それはいい男だったり。
N| "゚'` {"゚`lリ「やらないか」
(・∀ ・)「だが断る」
- 4: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:51:27.90 ID:RwedjZjj0
それはいかにも固そうな女性だったり。
(゚、゚トソン「私と付き合わなければ殺します」
(・∀ ・)「それ逃げろー」
それは男でも女でもなかったり
\从^o^)/「スキ!」
(・∀ ・)「本当ごめん!」
まぁ老若男女色々声をかけられるんだけど、いちいち話していたらあっという間に夜が明けてしまう。
それほどまでに、ここは口説くということに全てをかけた国だった。
きっと彼らにとってはコレが挨拶みたいなものなんだろう。
その証拠に、声をかけてきた人たちは、僕が断ると全員何事も無かったかのように去って行った。
道行く人の口説きも程ほどにかわし、ようやくその国の中心にある広場にたどりついたと思ったら
そこもやはりカップルの巣窟だった。
- 5: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:53:40.54 ID:RwedjZjj0
ここでは僕に声をかけてくる人なんて一人もいなく、皆二人だけの世界に入り込んでいる。
(・∀ ・)「オウフ」
まるでいちゃいちゃいちゃいちゃという擬音が聞こえてきそうだ。
そんな恋人とかいない男は自殺しそうな空間の中、噴水広場の所で誰とも話さず、誰とも目をあわそうとしない少女見つけた。
二人のエンジェルの像が口付けを交わす噴水の下、少女の瞳は零れそうなほどに大きく、暗い色をしていた。
(・∀ ・)「…………」
気が付くと、僕は声をかけてしまっていた。
(・∀ ・)「ねぇ、君」
ζ(゚−゚*ζ「………何よ」
(・∀ ・)「いや、何、してるのかなって……」
ζ(゚−゚*ζ「立ってるのよ、見てわかんない?」
(・∀ ・)「ああ、うん、いや、そうだけど……」
可愛らしい容姿に反して、その子はツンとした感じの子で、僕の言葉につれない返事ばかりする。
- 6: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:54:37.67 ID:RwedjZjj0
いや、つれないだなんて、僕もこの国に毒されたのだろうか?
金糸雀のような色の髪をした少女は、その豊かな髪をふわりと巻いていて
愛らしい顔を横に向けた。
軽く凹む。
(・∀ ・)「ここの人たちは皆口説くねー」
とりあえず、世間話から始めてみることにしたが、相変わらず少女の顔はこっちを見向きもしなかった。
ζ(゚−゚*ζ「……アンタ、ここの人じゃないの?」
(・∀ ・)「ああ、うん、まぁね……旅人ってやつかな」
ζ(゚−゚*ζ「あっそう、どうでもいいけどね」
自分から話し掛けてきた話題にも、少女はそっけなかった。
それにしても、この子はここで突っ立って何をしているんだろう。
僕は玉砕覚悟でもう一度聞いてみる。
(・∀ ・)「ねぇ、ここで何してるの?誰か待っているの?」
ζ(゚−゚*ζ「関係ないでしょ、あっち行ってよ」
(・∀ ・)
(・∀ ・)「ごめん」
- 7: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:57:28.10 ID:RwedjZjj0
玉砕。
こうまですげなく断られると、これ以上このまましつこくここに居座ることも出来ない。
僕はすごすごとその子の近くから離れて行った。
「デレー!待たせてごめんねっ!」
しかし、離れた直後、後ろから高い声が響いたので僕は思わず振り返ってしまった。
さっきまで僕といた少女の所に、誰かが走ってくる。
ξ゚听)ξ从 ゚∀从
そこにいたのは、少女に良く似た女の子と、もう一人は中世的だったが……多分男性だろう。
二人は恋人同士のように、仲良く腕を組んでいて、彼女と仲よさそうに話していた。
ξ゚听)ξ「ハインがいきなりお腹すいたー!とか言い出すから……ごめんねデレ、待ったでしょ?」
从 ゚∀从「わりーわりー!」
ζ(゚ー゚*ζ「ううん、気にしないでお姉ちゃんにハインさん、私ちっとも待ってないから!」
するとデレ、と呼ばれた少女はさっきまでのツンケンした態度が嘘のように
にっこりと甘い笑みを彼女らに向けた。
その微笑みはとても魅力的なものだった。
- 9: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 22:59:37.55 ID:RwedjZjj0
ξ*゚听)ξ「デレはいいこねー、ちょっとハイン!見習いなさいよ!」
从 ゚∀从「あーはいはい、ごめんなさいよ。でも、俺は怒るツンの顔も好きなもんでね」
ξ///)ξ「ば、バカ!何言ってんのよ!」
ζ(゚−゚*ζ「…………」
ハインと呼ばれた男と、デレちゃんの姉は、どうやら恋人同士のようだったが
いちゃつくその姿に、彼女の顔は色を失っているみたいに見えた。
僕はなんだか彼らにひどく興味を引かれ、ユーターンしていた足をまた元に戻し近付いていった。
最初に気づいたのは、姉のほうだ。
(・∀ ・)「どうも」
ξ゚听)ξ「…あなたは?」
从 ゚∀从「この娘は俺の恋人だから口説いちゃだめだぜ?」
知らない奴に話しかけられたというのに、不審さも何も感じないところを見ると
やはりこの国では口説くのが常識だからだろうか。
しかし今は好都合だ。
(・∀ ・)「いえ、僕はそこにいるデレさんとお付き合いをさせていただいてるんですよ」
ζ(゚ー゚*;ζ「ちょ……」
- 10: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:05:25.30 ID:RwedjZjj0
ほがらかに、のんびりとした口調で告げると、三人とも驚いたようだった。
まぁ嘘なんだけどね。
ξ*゚听)ξ「えぇ!?そうなの!ちょっとデレ!なんでお姉ちゃんに言わないのよ!」
しかしあっさりと信じられた、流石は恋多き国と呼ぶべきか
ζ(゚ー゚*;ζ「ち、ちが……」
从 ゚∀从「優男っぽいが……まぁまぁだな、許す!」
ζ(゚ー゚*;ζ「ハインさん!」
从 ゚∀从「何せここは愛を謡う国!いつでもどこでも恋をするもんだ!」
両手を広げ、彼は謡った。
その言葉に、僕はにっこりと微笑む。
(・∀ ・)「僕はこの国に来てまだ間もないんですけど、この国はいいところですか?」
从 ゚∀从「もちろんだ!俺は以前、回る国ってところにいたんだけどな
あんなキチガイじみた辛気臭い国に比べればここは天国だぜ!」
(・∀ ・)「回る国?」
- 11: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:06:22.34 ID:RwedjZjj0
その国に、僕は聞き覚えがあった。
燃えるように赤い髪の少女が
住人が
国全体が回っているような、国だった。
彼らはまだ回っているのだろうか。それとももう滅ぼされてしまったかな。
ξ゚听)ξ「ハインが前にいたところよね、そこでも女の子口説いてたんじゃないのー?」
从;゚∀从「ばっ、俺にはお前だけだってw」
ξ゚听)ξ「どうだかー」
ぷいっと、ツンちゃんの方が顔を背けた。
その顔はやはり妹と同じで可愛らしいもので、むくれた仕草が男心をくすぐる。
从 ゚∀从「なんだよ、怒るなよ、俺が愛してるのはお前だけだぜー?」
ξ*゚听)ξ「ふーん」
ζ(゚−゚*ζ「……………」
(・∀ ・)「ところでハインさん、そこにヒートって子、いませんでしたか?」
- 13: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:07:32.59 ID:RwedjZjj0
僕は一応尋ねてみる。
かつて”おにいちゃん”を神様のように言っていた少女のことを。
純粋すぎた、回る少女。
もしかしたら、彼がそのおにいちゃんなのかもしれない。
从 ゚∀从「あ?あー、そういや覚えてるぜ、髪が真っ赤で小っちゃくて元気な子だろ?
自分の名前はこの国じゃ"熱量"って意味なんだって嬉しそうに言ってたっけ」
(・∀ ・)「……そうですか」
从*-∀从「そう、それで俺はね、俺の恋の熱にはお前の熱量も負けるぜといってだな……」
ξ#゚听)ξ「ほぉーーう……」
从;゚∀从「嘘ですごめんなさい!それにあれだよ、あの子は妹みたいなもんだったから!」
ξ゚听)ξ「へーあっそーふーん」
从 ;∀从「ツーンーー!」
ζ(゚−゚*ζ
(・∀ ・)「…………」
- 15: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:09:09.68 ID:RwedjZjj0
- 泣きつく男を見て思ったことはただ一つだ。
ヒートちゃん、君の"お兄ちゃん"とやらは、どうにも恋多き男のようだよ。
まぁ、その言葉が彼女に届くことはないだろうけど。
ζ(゚ー゚*ζ「……あのね、お姉ちゃん、私、彼といくところがあるから
今日はやっぱり一緒にお出かけするの止めとくね」
すると、隣にいたデレちゃんが、突然僕の腕にスルリと白く細い手を回してきた。
何事かと目をやると、思いっきり足を踏んづけられる。
(・∀ ・;)「いっ……」
ζ(゚ー゚*ζ「ね?」
にっこり微笑むが、その目は笑ってなどいない。…話をあわせろってことか。
まぁ、いいんだけどね、突然割り込んできた僕も悪いし。
(・∀ ・)「そ、そうなんです……彼女と二人で行きたいところがあるんです」
ξ゚听)ξ「そう……残念ね、散々待たせちゃったのに、本当にごめんね、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃんは悪くないってば!気にしないで!」
从 ゚∀从「そうそう!ツンはなーんも悪くねぇって、なぁ!?」
ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
- 16: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:11:20.43 ID:RwedjZjj0
デレちゃんはちょっとはにかみながら、手を振り、そうして僕の腕を引っ張り歩き出す。
意外と力手に引っ張られ、僕はただそれについていく形になった。
(・∀ ・)「あの、ねぇ、ごめんね……」
ζ(゚−゚*ζ「…………」
彼女は何も答えない。
(・∀ ・)「でしゃばって本当すみませんでした……」
ζ(゚−゚*ζ
やはり彼女は、何も答えない。
気まずい雰囲気のまま外路地を抜け、やがて人気の無い場所にたどり着くと
痛いほどに掴んでいた腕をようやっと離してもらえた。
僕の腕は彼女の爪が食い込んで真っ赤になっている。
さすりながら、正面を向くと、デレちゃんは微笑んでいた。
その笑みは可愛らしい顔にはおよそ似つかわしくない、狂気を孕んだものだった。
- 17: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:13:33.25 ID:RwedjZjj0
ζ(゚∀゚*ζ「………ありがとね、旅人さん」
(・∀ ・)「え……?」
僕には、お礼を言われた意味がわからなかった。
しかし彼女はにんまりと笑ったままで、本当に僕の方を見ているかさえ危うかった。
(・∀ ・)「デレちゃん?」
ζ(゚∀゚*ζ「貴方のおかげで、ようやく決心がついたの、これでようやく、ようやく……」
(・∀ ・)「………?」
ζ( ∀ *ζ「うふ、うふふふ…」
彼女ははブツブツと呟きながら懐から何かを取り出した。
鈍色に光るそれを、僕が確認する間もなく、デレちゃんは走っていってしまい
(・∀ ・)「あ……ちょ」
止める間もなかった。
悲鳴が聞こえたのは、それからすぐのこと。
- 19: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:15:02.91 ID:RwedjZjj0
それはとても異様な光景だった。
ξ;;)ξ「いやぁああああああああああ!!!ハイン!ハイン!!!」
ζ(゚∀゚*ζ「うふ、うふふふふふふふふふふふふふふふ、あはははははははははははははは
きゃははははははははははははははははははははははははははは!!」
雑踏の中、その手を真っ赤に染めながらも、倒れた男を揺する少女と、その少女の傍らで
返り血を浴びて笑っている少女を見た。
立っている少女の手にはナイフが握られており、血に濡れても直ギラギラと浅ましく光っている。
顔はそっくりなのに、片方は泣き、片方は笑い、中心には男の死体。
その光景はどう見ても異様としか言いようが無いのに、あろうことか、他の人たちは見向きもしなかった。
皆、自分の恋人に釘付けで、愛を囁く声の中に、少女の悲痛な叫び声だけが虚しく響く。
警察はなにをしているんだ、と一瞬思うが、きっと彼らも恋の渦中だ。
ξ;;)ξ「あぁぁぁぁあああああ!デレ!どうして!どうして!!」
ζ(゚∀゚*ζ「うふふふふふ、だっておねえちゃんがいけないのよ?こんな男に浮気するから!」
- 20: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:16:18.80 ID:RwedjZjj0
ξ;;)ξ「う、浮気? 何を言ってるの?」
ζ(゚∀゚*ζ「お姉ちゃんには私がいるでしょ? こんな浮気癖のある男なんていらないでしょ? 私がいればいいでしょ?
私だけがお姉ちゃんを愛しているのよ? ねぇ? わかるでしょ?
ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ!!」
真っ赤に染まった手で、少女の頬を撫で付ける、美しい顔は血と涙でぐしゃぐしゃに汚れていた。
ζ(゚∀゚*ζ「おねえちゃんにはわたしがいるのにわたしいがいはいらないのに、どうしてほかのおとこにいくの?
そんなにおとこがいいの? ねぇおねえちゃん、……おしえてよ」
ξ;−;)ξ「んむっ……」
ねっとりと、デレちゃんのの舌がツンちゃんの唇の中に入り込んだ。
熱烈な光景に、僕は思わず目を瞑ろうと思ったが、なんてことはない、それはただのキスシーンだ。
………おそらくこの国では、そういうことなんだろう。
ζ(゚∀゚*ζ「大好きよお姉ちゃん、せかいで いちばん 愛してる、他の男になんか渡さない」
ξ;;)ξ「デレ……………」
- 23: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:20:27.90 ID:RwedjZjj0
ζ(゚ー゚*ζ「大好きなの、愛してるわ。 ねえ、お姉ちゃんもそうでしょう?
私のこと 愛してるでしょ?」
デレちゃんの手が、やさしくツンちゃんの頭を撫でた。
その笑みは、ごく自然で、優しく、柔らかなものだった。
しばらく泣いていたツンちゃんも、やがてぼんやりとした表情になり
涙と血が乾いて張り付いた顔で、じぃっとデレちゃんを見つめていた。
それはまるで鏡合わせのように。
ξ;;)ξ
そして
ξ;;)ξ「うん……私も貴女が好きよ、デレ……」
地に転がった男の死体を踏みつけて、少女達は口付けを交わす。
もう下にいる男の存在など忘れたかのように
深く、深く、お互いの気持ちを確かめる姿は、ひどく美しい。
(・∀ ・)「…………」
僕はもうその場に留まろうとはしなかった。
驚くことももう止めた。
だって、此処は愛に溢れる国、誰がいつ恋に落ちようと破れようと
それは僕には関係のないことだから。
- 27: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:25:47.56 ID:RwedjZjj0
さあ皆、愛を謳おう
ここは愛に溢れる国
誰もが恋に落ち愛を知りある時は破れそして再び恋に落ちる、そんな夢の国。
ξ;;)ξ「ふふ、うふふふふ……」
ζ( ∀ *ζ「うふふふふ…あははは…」
人は皆愛に溺れ解けていく。
それが本当に幸せなのかどうかは、本人のみぞ知ることだ。
僕には関係の無いことさ。
:::::::::::::::::
鉄の匂いと、鮮明な赤を見たせいか、頭の中をかき回したようにぐらぐらと揺れる。
僕は聖歌を聴きながらその場に丸まっていた。
( ・∀・)「おかえり」
(・∀ ・)「……はい」
- 30: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:31:31.56 ID:RwedjZjj0
( ・∀・)「今回はどうだった?」
(・∀ ・)「……それは本来、僕のセリフですよね」
( ・∀・)「そうだったかな、でももういいよ、君の意見が聞きたいんだ」
その言葉に、僕は沈黙する。
何をどういえばいいかわからなくてじゃない、その言葉を言うのが躊躇われたからだ。
(・∀ ・)「…………」
( ・∀・)「ん?」
優雅に微笑むその人に、ぽそりと告げる。
(・∀ ・)「……疲れました」
( ・∀・)「へぇ?」
(・∀ ・)「人とは面倒くさい生き物です」
ぐったりとリノリウムのような床に蹲ると、僕はため息をついた。
神様の前で無礼のような気もするが、なんだか本当に疲れたんだ、今回くらいは許して欲しい。
(・∀ ・)「愛とか、常識とか、夢とか、面倒くさいんです……」
( ・∀・)「……………」
- 32: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:40:55.65 ID:RwedjZjj0
その言葉に、神様は何も言わなかった。
言わなかったが、やがて近付くと僕に目をその掌で覆う。
そして、耳元で低く甘い声で囁かれた、それはまるで悪魔のように甘い囁きだ。
「じゃあ、次の旅で終わりにしようか」
目をふさがれているせいか、神様の顔は見えない。
( ∀ )「え、でも…」
反論する前に、神様はやんわりとその続きを否定する、その声はどこまでも甘く
優しいものだった。
「つらいんだろう? 疲れたんだろう? じゃあいいよ、俺は君がいればいいんだから
退屈な世界でも、君がいれば俺は幸せさ」
手を避ける。
それと同時に、光に包まれた神様の顔が、僕の目の前にあった。
(・∀ ・)
( ・∀・)「ね? やめよう?」
(・∀ ・)「………はい」
神様がやめようと言うのだから、僕に断る権利など、あろうはずもないだろう。
僕の旅は次でおしまいになる。
- 33: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:41:37.40 ID:RwedjZjj0
そうして旅を終えて、その後は………その後は?
わからない。
わからないさ、けれど
神様がいれば、きっと僕は幸せだ。
そうに決まっている。
………そうでしょう?
光の中、僕達はまるであの姉妹のようににっこりと笑い合っていた。
- 34: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/06(火) 23:41:54.81 ID:RwedjZjj0
女子【ス】
了
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