(・∀ ・)たった一つのようです
- 74: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:18:31.47 ID:exc/kZR30
( ;∀;)「わかった…………」
「神様?」
( ;∀;)「帰るよ、……このままじゃいけないことは、僕だってとっくにわかってたさ」
震える声で、神様は呟いた。
僕にはもう体が無いから、手を伸ばしたりすることは出来ないけれど、気持ちは神様の心に伸びていた。
( う∀・)「帰らなくちゃね、そして、謝らなくちゃいけない………」
誰に、とも言わず立ち上がる神様に、僕は言った。
「お供しますよ、どこまでも」
世界が、崩れる。
真っ黒い闇はどこまでも落ちていって、神様の意識は上へ上へと上がっていく。
聞こえてきたのは良く聞いていた子守唄のように暖かな声。
僕は神様がそれに包まれていくのを感じながら………
ゆっくりと、目を閉じた。
- 77: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:23:19.77 ID:exc/kZR30
::::::::::::::
( ,,゚Д゚)「なぁモララー、クラスの話なんだけどさ……っつっても、聞きたくネェか、ごめんな」
気が付けば、目の前にはギコがいる。
最後に見た時よりもちょっと痩せたみたいだ。
相変わらず悲しそうな目で、僕を見ていた。
ごめんね、傷つけてしまって
ごめんね、僕を思って言っただけなのに
( ,,゚Д゚)「内藤さ、落ちたの、あれ2階からだったろ?奇跡的に助かったんだ……今度退院するみてぇだよ
って言っても、お前には届いてねぇのかな」
え………?
僕は、ギコの言葉に耳を疑った。
生きている?ブーンくんが?
( ,,゚Д゚)「この間さ、見舞いに行ったんだ、正直シカトされるかと思ったんだけど
内藤、笑ってた」
( ,,゚Д゚)「あいつは、強いなぁ………」
ギコは悔しそうな、つらそうな声でぼそぼそと呟いているけど、僕には彼の言った言葉が信じられなかった。
- 80: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:28:38.86 ID:exc/kZR30
( ,,゚Д゚)「俺には、出来ねぇよ……あんな真似……そういったら、さぁ
「ハニャーンに褒められるとはwww」とかって……わけわかんねぇよな?」
瞬間、涙がぼろりと溢れ出た。
( ,,゚Д゚)「モララー?」
ギコが、驚いたようにこっちを見てくる。
ごめん、ごめんねブーンくん
ごめんギコ
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
( ;∀;)「ごめん……ね……」
( ,,゚Д゚)「モララー……おまえっ……」
ギコの手が震えるように僕の方へと伸びてきた。
久々に感じる体温だ。
あの世界は酷く居心地がよかったけど、どこか無機質な空気が漂っていたから。
久々に喋るせいか、声が掠れているのが、自分でもわかった。
( ;∀;)「ずっと……ずっと謝りたかったんだ……ごめんね……本当にごめんなさい」
後から後から溢れてくる涙を両手で拭いながら、ギコに泣きつくと、ギコも涙を堪えたような顔で僕に言う。
( ,,うД゚)「ばっ……お前……バカヤロウ……!どんだけ心配したと……っ畜生っ……!」
- 81: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:31:08.27 ID:exc/kZR30
やがて我慢できなくなったのか、ギコも大きな声で泣き始めた。
( ,,;Д;)「謝るのは俺のほうだろゴルァ!」
( ;∀;)「うっ……うあぁああああん!!」
まるで幼い子供のように
その日、僕らはずっとそこで泣いていた。
やがて、声をかけつけた両親もやってくる。
心配かけてごめんなさい。
皆みんな、ごめんなさい
ふと、テーブルの方に置いてあるぬいぐるみが、僕を見て笑った気がした。
- 84: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:35:16.83 ID:exc/kZR30
それから、僕はブーンくんのお見舞いに行った。
もう会いたくないってつっぱねられるかと思ってたのに、意外にもブーンくんはすんなりと
病室に入れてくれた。
( ・∀・)「ブーンくん……」
( ^ω^)「この間美味い煎餅見つけたんだお、食うかお」
( ・∀・)「あ、ありがとう……じゃなくて、僕、その………」
顔を見ることが出来なくて、僕はそのまま底に座り込んだ。
ああ、くそ、どうしてこういうときにかぎって僕はこんなによわっちいんだ。
なんのために戻ってきたんだ!?
早く、早く、言うんだ!
早く、たった一つの、あの言葉を!!!
( ・∀・)「あのっ……ごm」
( ^ω^)「ごめんお」
( ・∀・)「………え?」
しかし、言おうとしたそれはブーンくん自身の言葉によって遮られた。
顔を見ると、酷くつらそうな、あの時のような笑みを作っている。
- 88: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:41:02.34 ID:exc/kZR30
( ^ω^)「こんなに追い込んでしまってごめんなさいだお」
( ・∀・)「あ、謝るのは……僕のほうで………」
( ^ω^)「違うお、僕は確かに君に救われたお、なのに僕が君を追い込んでしまったんだお」
( う∀・)「違う…違うよ…僕が……君を傷つけて……」
僕がそういうと、ブーンくんは静かに立ち上がり、にっこりと笑った。
( ^ω^)「話しかけてもらえて、嬉しかったお。いじめられるってわかってたのに
話してくれて嬉しかったお。ありがとお」
( ;∀;)「うっ………」
( ^ω^)「君が友達って思ってなくても、いいんだお。僕は、嬉しかったから」
その言葉に、僕は涙が止まらなかった。
ごめんなさい
ごめんなさい
ありがとう
許してくれて、本当に本当にありがとう。
- 89: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:42:27.84 ID:exc/kZR30
( ;∀;)「ごめんなさい……僕も……友達だと……思ってるんだ……」
( ^ω^)「おっおっww最近はハニャーンも来るし、友達が増えたおーw」
( ;∀;)「うっ……あ、ありが……」
( ^ω^)「泣いてないで顔あげるお、煎餅食おうお!」
( ;∀;)「うんっ………」
ブーン君が差し出した煎餅は、昔どこかで見たような鳥の絵が描かれていた。
それは以前彼が旅した僕の記憶
彼が大好きだった、ピギナーの絵。
( ^ω^)「おいしいお!」
( ;∀;)「う゛んっ………」
涙で、味は良くわからなかったけれど。
*
- 97: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:46:55.59 ID:exc/kZR30
それから、ブーン君は退院して、僕やギコと一緒に学校に通うようになった。
ニダー達はあの一件以来、やっていたことが公になったらしく、学校を退学にさせられ
どこか遠くに引っ越したと聞いた。
クラスにも、以前よりもっと平和な空気が戻ってきた気がする。
僕は階下で待ってるギコとブーン君に急かされながらも、制服を着ている最中だった。
天気は雲ひとつ無い快晴で、いつかの世界を思わせる。
ふと、目覚めたとき、テーブルの上においてあったぬいぐるみが目に映った。
それは子供の頃、買ってもらった猫のぬいぐるみだ。
僕はそれを手に取って、そっと微笑んだ。
( ・∀・)「本当に、ずっと一緒にいてくれたんだね」
部屋の片隅にある、片目の取れかかったぬいぐるみを手にとって、僕は呟いた。
∧ ∧
(・∀ ・)
ねぇ君、君は僕の代わりにいつでも悲しんでくれたけど、僕は君のために何もできなかった。
だからね、僕はいつか、胸を張って君にこういえるようになりたいんだ。
君が、僕を戻してくれたから
僕を幸せにしてくれたから
- 99: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:48:29.27 ID:exc/kZR30
僕は、この世界が好きだよ
てね。
- 103: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:50:17.98 ID:exc/kZR30
まだ困難は少し多いけど、大丈夫だよ、君がずっと一緒にいてくれるからね。
「おーい、モララー、行くぞー!」
ギコの声が聞こえた。
僕は持っていたぬいぐるみを元の位置に戻し、一言だけ呟いた。
( ・∀・)「いってきます」
いってらっしゃいませ、神様
どこかで、そんな声が聞こえた気がした。
僕はその言葉に微笑んで、走り出す。
大丈夫、僕は、きっとうまくやっていくよ。
僕と君は二人で一つだものね。君がいてくれたなら大丈夫
今までありがとう、もう一人の僕。
- 105: ◆q/GlKnlG6s :2009/01/24(土) 23:51:09.92 ID:exc/kZR30
10:余【ヨ】
了
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