( ^ω^)が迷い込んだようです

30: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 19:45:36.98 ID:JQdN1ghY0
  
( ^ω^)「ちょwwwピザは言いすぎだお。でも手間かけさせて正直スマンカッタお」
('A`) 「黙れピザ。飯の用意ははもうできてんだよ、どれだけ待たせりゃ気が済むんだブタ野郎。」
( ^ω^)「ちょwww暴言吐き過ぎだお。ご飯できてるなんて初耳だし…」

さっきの確信、訂正。
好かれていないのではない。嫌われている。
その理由は分からないけれど。

('A`)「早くしろ」
( ゚ω゚)「アッ―――!」

ドクオは未だ床に座り込んでいたブーンの首根っこを掴むと、そのままずるずると引きずっていく。
その表情は初めて会ったときと変わらない。
自分よりも遥かに太目のブーンを運ぶことも、料理の乗った皿を五枚運ぶのもドクオにとっては大して変わらないことなのだろうか。
一方運ばれている側のブーンは

( ゚ω゚)「ちょ…ドクオ……ッ! 息がああぁぁ…」

首を絞められ窒息寸前だった。



32: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 19:54:22.24 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「おはよう。随分時間がかかったわね」
('A`) 「あぁ…このピザ野郎にgdgdと手間取らされた」
( ゚ω゚)「お…ぉ……」

結局ブーンは部屋から昨日食事をした食堂まで引きずられ続けた。
時間にして三分程度。その間ブーンの脳は酸素を遮断され、ブーンは瀕死状態に陥っていた。

ξ;゚听)ξ「ちょ…大丈夫なの?」
('A`) 「大丈夫だろ。ホラ、早く座れ」

首根っこを掴んだまま持ち上げられ、ブーンはやや乱暴に椅子に座らされた。
テーブルの上には焼きたてのパンやトロトロのオムレツ、サラダなどが並べられている。

(*^ω^)「おっおっおっ! おいしそうだお!」
ξ゚听)ξ「…大丈夫そうね」
('A`) 「だろ? (チッ…回復しやがったか…)」



33: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:00:40.72 ID:JQdN1ghY0
  
昨日と同じくブーンが限度なしにがっついてテーブルの料理は全て消えうせた。

(;^ω^)「そういえば…昨日はお茶の途中で寝ちゃってごめんだお」

空腹が満たされ、完全に回復したブーンは昨日の失態をツンに詫びた。
お茶の途中、話の途中で寝る。
女の子と付き合ったことのない童貞のブーンでさえも分かる失敗だった。
きっとツンも怒っているだろうと思いつつ、頭を下げるブーン。

ξ゚听)ξ「別に気にしてないわよ」
( ^ω^)「お?」

予想外の言葉にブーンは顔を上げた。

ξ゚ー゚)ξ「森の中を歩き回ってたんでしょ? 疲れてるのは当たり前じゃない
      それに今日はブーンのお陰で調子がいいの」



34: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:06:12.14 ID:JQdN1ghY0
  
言われてツンの顔を見ると、心なしか昨日よりも顔色がいい気がする。

( ^ω^)「僕のお陰、かお?」

何もした記憶のないブーンは首をかしげた。
全く心当たりがない。

('A`) 「…久しぶりに外の話を聞けたんだ。いい気分転換になったんだろ」
( ^ω^)「おっおっ! 僕の話が病気に効くんだったらいくらでも話すお! 助けてもらったお礼だお!」
ξ^ー^)ξ「ありがとう、ブーン」



35: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:15:56.95 ID:JQdN1ghY0
  
( ^ω^)「今日はとある国で入ったバーボンハウスの話をするお」

それから毎日、ブーンは今まで旅をしてきた国の話をし続け

( ゚ω゚)「おぉぉ…いい加減それは……やめてほしい…お……」

毎朝首根っこ掴まれて食堂まで連れて行かれ

(*^ω^)「ハフッ! ハフハフッ! ハムッ!」

キモく食事をとることも変わらなかった。


( ^ω^)「……」

そして変わらなかったのがもう一つ。

ξ゚听)ξ「どうしたの? ブーン」
('A`) 「普段にも増してボーッとしてるな」

塞ぎこんでいるブーンに、初めて会ったときよりも遥かに顔色も体調もよくなったツンと変わらず陰鬱で無愛想なドクオが声をかけた。



37: どんどんドクオが悪役になっていきますorz :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:23:30.66 ID:JQdN1ghY0
  
( ´ω`)「僕は…何か悪い病気なのかもしれないお…」

力なく項垂れてブーンは呟いた。
いつもバカみたいには走り回っているブーンには珍しく元気がない。

ξ゚听)ξ「病気って…どっか痛いの?」
('A`)「頭が悪いのは病気のせいじゃないぞ」
ξ#゚听)ξ「ドクオは黙って」

ξ゚听)ξ「…で、本当にどうかした?」
( ´ω`)「……最近、記憶が途切れるんだお…」
ξ゚听)ξ('A`)「………」

何日かに一回、眠る前後で記憶が途切れる。
この城で初めて朝を迎えたときにもあった症状だ。
一回くらいならば気のせいか、で済むかもしれない。



38: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:28:40.92 ID:JQdN1ghY0
  
( ´ω`)「実は今朝もだったんだお…寝るちょっと前のことを覚えてなくて」
('A`)「…お前は自分の足で『今日はもう寝るお!』っつって部屋に戻ったぜ?」
ξ゚听)ξ「そ…そうよ、昨日は」

落ち込むブーンを励ますように、二人はブーンのかけた記憶を補おうとした。

( ;ω;)「そんなこと言われても覚えてないんだお! 分からないだお!」
ξ゚听)ξ「ブーン…」

涙を流して訴えるブーンにツンは言葉を失った。
何も言えずにその場に立っていると、ブーンは

( ´ω`)「…怒鳴ったりして悪かったお、今日は部屋で休んでるお」

と言い残し、部屋に引きこもってしまった。



39: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:34:58.85 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「………」
('A`)「どうした、あのピザ野郎みたいにボーっとして」

ブーンが部屋に引きこもったあと、ツンは広間にあるソファーに座って一人考え込んでいた。

ξ゚听)ξ「間違ってないかな…」
('A`)「? 何がだよ」

独り言のようなツンの問いかけにドクオは逆に問い返す。
ドクオは遠慮なしにツンとは反対側のソファーに座り、返事を待つ。

ξ゚听)ξ「分からない?」
('A`)「全く」
ξ゚听)ξ「私たちが、してること」



40: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:40:21.01 ID:JQdN1ghY0
  
('A`)「はっ、阿呆らしい」
ξ゚听)ξ「ドクオ」

乱暴にソファーから立ち上がるとドクオは部屋から出て行こうとした。
それをツンが呼び止める。

ξ゚听)ξ「真面目に考えて。私は真剣に考えてるの」
('A`)「………」

ドアに手をかけたまま、ドクオはツンを睨むように見た。

('A`)「…じゃあ、死ぬのかよ」
ξ゚听)ξ「!」

('A`)「そういうことだ。俺たちは招いた、向こうは招かれた。
    ……それからの関係は、今までの奴らと変わらない」

射抜かれたように何も言わなくなったツンを置いて、ドクオは部屋を出て行った。
バタン、というドアの閉まる音だけが無音となった広間に響いた。



42: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:46:07.05 ID:JQdN1ghY0
  
その日は一日、ブーンが食事をとることはなかった。

( ^ω^)「僕は、ここを出ようと思うお」
ξ゚听)ξ「!!!」

次の日、ドクオに引きずられることなく自力で食堂までやってきた。
そして開口一番、城を出て行くと宣言をした。

('A`) 「…どういうことだよ」

明らかに怒りの籠った声でドクオが詰め寄る。

(;^ω^)「さ…最近ブーンはちょっとおかしいお」
('A`) 「おかしいのは此処に来る前からだろ」
( ^ω^)「ちょ…、とにかく記憶が何度も途切れるなんてそうそうあることじゃないお。一回医者に…」

('A`) 「ふざけんな!」



43: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:50:25.56 ID:JQdN1ghY0
  
ドクオが料理の載ったテーブルを殴った。
ガチャンと食器同士がぶつかり合う音がして綺麗な硝子細工のついたグラスが落ちて割れた。

ξ゚听)ξ「ドクオ!!」
('A`)「ふざけんなよ、お前……」

ドクオの握り締めた拳が震えている。
その拳はドクオの握力で血流が止まり、白くなっていた。

('A`)「ヘロヘロで城に来て、助けてもらって、元気になったらはいさよならか?」
(;^ω^)「違うお、話を聞いてくれお…」
(#'A`)「うるせぇ!」

フレッシュジュースに濡れたテーブルクロスが風にはためいている。
窓は、開いていない。
風はどんどん勢いを増していく。

ξ;゚听)ξ「ドクオやめて!」



45: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:58:50.66 ID:JQdN1ghY0
  
テーブルクロスが浮き上がって、食器が次々床や壁に叩きつけられて割れていく。
大きな花瓶浮き上がる。
椅子が
テーブルが
風なんかではびくともするはずがないモノたちが次々に宙へと舞っていく。

('A`)「此処から逃げるつもりなら…その前に…」

ビュウと風切り音を上げて椅子がブーンに襲い掛かる。
一体この風は何なのか、ドクオの力なのか、そんなことを考えている時間はブーンにはなかった。

( ゚ω゚)「おおっ!?」

寸でのところでブーンは避けた。がその後にも続いて次々と椅子がブーンへと叩きつけられる。
三、四、五……
紙一重でかわしていたブーンであったが六、七を数えた頃、転がっていた椅子の残骸に足を取られ転倒した。

('A`) 「逃げる前に両足の骨粉々にして身動き取れないようにしてやるよ!」
( ゚ω゚)「!!!」

死ぬ。
ブーンはそう確信した。



46: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:01:19.85 ID:JQdN1ghY0
  
親から風呂入れとせっつかれているので20分ほど席を外させていただきます。
その間、厚かましいとは思いますが保守をお願いしてよろしいでしょうか。

…親と同居はこういうとき辛い…

もしダメでしたら放置してください。次スレ立てます。
本当にすみません。

あと支援して下さっている方々、本当にありがとうございます。



52: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:21:06.45 ID:JQdN1ghY0
  
バシュン、
人に木製の椅子が当たったには似つかわしくない音がした。

( ´ω`)「……お?」

襲い掛かってくるはずの痛みもない。
ブーンはそっと瞑っていた目を開いた。

ξ#゚听)ξ「いい加減に…して…」

赤、いや紅と言ったほうが相応しい熟成された赤ワインよりも深い色。
紅の光のような靄のようなものに包まれたツンがブーンの目の前に立ち、ドクオと向かい合っていた。

('A`)「ツン、どけ」
ξ゚听)ξ「どかないわ」



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