( ^ω^)が迷い込んだようです

55: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:27:19.67 ID:JQdN1ghY0
  
('A`)「そいつは逃げる。逃げられたらお前は死ぬ。だったらそいつが逃げる前にとっ捕まえておくしかない」
( ^ω^)「死ぬ…? ツンが死ぬってどういうことだお?!」
('A`)「黙れよピザ。餌に喋る権利なんてねぇんだよ」

ドクオが吐き捨てるように言った。
今までだってブーンはドクオに嫌われていたことくらい分かっている。
しかし今のドクオの言葉には明らかにそれよりも上の、憎悪という感情が混ざっていた。

ξ#゚听)ξ「訂正しなさい」
('A`)「何をだよ」
ξ゚听)ξ「ブーンは、餌なんかじゃないわ!」



56: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:32:45.46 ID:JQdN1ghY0
  
('A`)「…何だ、ツン…餌になんか余計な感情持っちまったのか…」

ドクオは大きく溜息をついた。
このやり取りの間も部屋の中には風が吹き荒れ、美しかった部屋を無残なものに変えていっていた。

('A`) 「餌にまともな環境与えるからこうなるんだ…どけよ、ツン」
ξ゚听)ξ「嫌」

ツンの切り捨てるような返答に部屋に転がっていた食器の破片やナイフが次々と宙に浮き、標準を定めた。

('A`)「そこまで餌が大事かよ…いい加減に目ェ覚ませ!」

無数の破片やナイフがツンに襲い掛かる。

( ゚ω゚)「ツン!!?」



6: sageやめてもいいのだろうか・・・ :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:38:09.04 ID:JQdN1ghY0
  
ブーンは見た。
ツンの周りにある紅に、破片やナイフが触れた瞬間
バシュン、
再び、先ほどと同じ音がして、それら全てが消えうせた瞬間を。

( ゚ω゚)「ツン…?」
ξ゚听)ξ「…ブーン、ごめんね」

ブーンは混乱していた。
入るはずもない風が部屋の中で暴れている。
その風はどうやらドクオが操っているようで
ずっとツンと一緒にいたはずのドクオがツンを攻撃して
その攻撃をツンは紅の靄で消してしまった。
信じられないことが目の前で繰り広げられている。



61: sage止めてみるテスト :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:44:41.28 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「私も、ドクオも人じゃないの」
( ゚ω゚)「一体何を言ってるんだお…? ツンもドクオも人にしか見えないお…」

('A`)「あ? この力見てもそんなこと言えるなんて相当の阿呆だな
    俺たちは…化け物だよッ!!」

風が勢いを増す。
風を支えきれなくなったのか窓ガラスが弾けるように割れた。

('A`)「さっき、聞いたよな? どうしてツンが死ぬのか」
( ゚ω゚)「そうだお! それはどういうことなのかお!?」
('A`)「教えてやるよ…ツンは」

ドクオが言うよりも先に、ツンがそれを遮った。

ξ゚听)ξ「私が…ヴァンパイアだからよ」



66: >>62 とりあえず初投稿に近い小説だから。かな :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 21:55:29.11 ID:JQdN1ghY0
  
( ゚ω゚)「ヴァン…パイア……?」

信じられない、とでも言いた気にブーンはツンの言葉を反芻した。
ヴァンパイア、それは人外の生物の名前ではなかったか。
架空の、本や噂でだけの生き物ではなかったのか。

('A`)「吸血鬼、って呼ばれることもあるな」

楽しそうにドクオが付け足した。
ブーンが初めて見たドクオの笑顔はとても歪んだものだった。

ξ;;)ξ「ごめんなさい。ブーンの記憶が繋がらないのは私のせい」
('A`)「俺が薬を飲ませて、ツンの食事の用意をしていた。
    今までどおり、ツンの世話係としてな。ただそれだけのことだ」



71: >>65 それは…!私が毎朝行ってるオムライス様…!! :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:08:57.11 ID:JQdN1ghY0
  
ξ;;)ξ「私もそれを止めなかった。薬で眠っているブーンの血を、私は…飲んだわ……」

ぽたぽたとツンの瞳から涙が零れる。
それを見てもドクオは鼻で笑うだけだった。
罪悪感も、何も感じていない。
ドクオにとってその行為は、ただ当たり前のことをしているだけなのだろう。

('A`)「ったく…いつまでくだらないことするつもりだよ……
    いくら血を飲んだってな、お前はまだ戦えるほど回復はしてないはずだ」
ξ゚听)ξ「う…うるさい! 私は…ブーンをこれ以上苦しめたくないの!」



73: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:21:14.87 ID:JQdN1ghY0
  
ツンの周りにあった紅の靄が刃の形を作る。

ξ゚听)ξ「ブーンは帰るの。邪魔、しないで」
(;^ω^)「ツン…」

刃はドクオに向けて構えられている。
ブーンはただ、何も出来ない。
この二人の戦いに介入できる力をブーンは持っていない。
自身の無力にブーンはやり場のない手で拳を作った。

('A`)「あー…そうかよ…」

ドクオはだらりと両の手の力を抜いた。
ドクオからの殺気が緩んだ。



74: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:31:16.23 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「分かって、くれたのね…?」
( ^ω^)「ドクオ…」
('A`)「あぁ…ハッキリとな」

ドクオの殺気が緩むのを感じ、それと呼応しるかのようにツンの刃も鈍った。
長い間一緒に暮らし、自分の世話をしてきてくれたドクオと戦わずに済むと、ツンが安堵したせいかもしれない。
しかし次の瞬間、ドクオの殺気が先ほどまでとは比べ物にならないくらい爆発的に上がった。

('A`)「…何言っても無駄だってことが…口で言って分からないなら力づくで止める。
    完全に俺のミスだ…余計な感情持たないように、餌は餌らしい格好で保存しなきゃいけなかったんだよな…」

ξ゚听)ξ「ドクオ…!」

('A`)「手足もいで達磨にして、死ぬまで血液タンクにしてやるよ!!!」



75: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:36:58.92 ID:JQdN1ghY0
  
様々なものを風に巻き込んで向かってくるドクオ。
ツンは紅の靄を刃や壁に変えて抑えようとする。

ξ゚听)ξ「ブーン、逃げて!」
(;^ω^)「でも…ツンを置いてなんて行けないお!」
ξ*゚ー゚)ξ「…ありがとう、けどね」

このような戦いの中、化け物である自分を気遣うブーンに思わず口元を緩ませた。
心の中に暖かいものがストンと落ちてくる。



79: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:47:15.27 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「けど、此処から先は“化け物同士”の戦いなの、私はドクオを傷つけたくない。ブーンも傷つけたくない。
      二人も守りながら戦うのは辛いから…ブーンは逃げて。大丈夫だから」
( ^ω^)「ツン…分かったお! ツンも怪我しちゃダメだお! また皆で、ご飯食べるんだお!!」

ツンの言葉に頷くとブーンは自慢の足でその場から駆け出した。
逃げるのではない、ツンの負担を減らすためにその場から離れるだけ。
無力な自分の歯がゆさをかみ締めながら、自分が今出来ることを探して走った。
ブーンの姿が見えなくなると、ツンはドクオに向き直った。

('A`)「大した熱の入れようだな。ツン、完全に間違ってるぞ」
ξ゚听)ξ「間違ってるのはアンタの方よ!」

紅の刃と金製のナイフが交差する。
触れたものを全て消し去る威力があった紅の靄で作られたナイフに触れても、ドクオの操るナイフはその形を保ったままで再びツンに襲い掛かる。



80: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:56:59.95 ID:JQdN1ghY0
  
('A`)「そらみろ」

ギンッ!と紅と金が交錯する耳障りな音が続く。
紅は金を消し去るどころか、金に押され始めていた。
交錯するたびに少しずつ紅が削り取られていく。

('A`)「やっぱり回復しきれてないじゃねーか」
ξ゚听)ξ「何よっ…これくらい……!」

ツンが力を込めると紅の刃が一回り大きくなった。
強度も上がったようで金のナイフとの力の差は均衡に戻った。



82: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:06:43.17 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「どう?!」
('A`)「……」

無言のままドクオは力を抜いてだらりと下げていた右腕を上げ、前を薙ぐようにして振るった。

ξ><)ξ「ああっ!」

ツンが左腕を押さえて倒れこむ。
左腕には金のナイフが刺さっていた。

('A`)「正面に精神集中させてこの程度…そもそもな、俺の力とお前の力が均衡するって事自体、異常なんだよ」

ドクオの言うとおり、ツンは正面から襲い掛かってくるドクオのナイフに対抗すべく精神を正面に集中させていた。
そのせいでドクオが振るった横からの攻撃に反応することができなかった。



83: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:16:24.13 ID:JQdN1ghY0
  
ξ;゚听)ξ「くっ…!」

左腕に刺さったナイフを抜き、投げ捨てる。
腕が熱を持ったように痛む。

('A`)「なぁ、ツン。お前は回復しきれていない。今この状態であいつを逃がしたら…前みたいに眠って次を待つことすら出来ない
    ただ死ぬのを待つだけだぞ」
ξ゚听)ξ「……」
('A`)「別に俺はお前を殺したいわけじゃない。お前に生きていて欲しいんだよ」

ドクオの言葉に悲痛さが混じる。

('A`)「お前、強かったじゃないか。俺が適わない位、何で今…こんなに押されてるんだよ…!」
ξ゚听)ξ「ドクオ…」



84: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:25:20.72 ID:JQdN1ghY0
  
ξ゚听)ξ「ごめん、ごめんねドクオ。でも私、これ以上ブーンを苦しめてまで生きたくない」
ξ;;)ξ「ブーンに嫌われたくないの」

腕の痛みを堪えてツンは立ち上がる。

ξ゚听)ξ「だから、ブーンは自由にさせてあげたい。ドクオを行かせるわけにはいかない」

( A )「だったら…だったら…!
    俺はどうなる。ツンが死んで、俺はどうすればいいんだよ!!」

ドクオの風が動きを変えた。
法則性のない、無意味なまでに暴力的な動き。



86: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:31:00.56 ID:JQdN1ghY0
  
( A )「俺はお前を守るように言われて、それを守って今まで生きてきた。
    お前が死んだら俺はどうすればいいんだよ、守るものもいなくなった護魔は…!」

今やドクオの風は操手であるドクオ自身も傷つけ始めていた。
ドクオの身体がナイフや破片で傷つけられ、血を流す。

ξ;;)ξ「ドクオやめて! お願……」

( ^ω^)「やめるお! ドクオ!」



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