( ^ω^)が迷い込んだようです

89: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:43:01.97 ID:JQdN1ghY0
  
( A )「おれは…おれ…は……」
ξ゚听)ξ「ブーン…何で…? 危ないから逃げてって…」
( ^ω^)「逃げて、考えたんだお…僕は危ないところから逃げたんじゃないんだお、何もできない自分から逃げようとしただけなんだお」
       そんなの、いくら逃げたって逃げられない。逃げたら逆に後悔するだけだお…」

( ^ω^)「だから僕は、今できることをするんだお!」

ブーンは壊れたように風を荒し続けるドクオへ、暴風の中心へと翔けて行った。

( A )「ど…れば……れは…おれは」

風は城をミシミシと鳴らすまでに強くなっていた。
このままでは城が崩壊して三人とも助からないだろう。
ブーンは必死でドクオに近づこうとするが風に阻まれ叶わない。

( #ω^;)「ドクオ、今…行くお…!」



92: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:52:25.74 ID:JQdN1ghY0
  
風に巻き込まれているナイフや椅子の残骸によって、ブーンの身体はボロボロになっていった。
それでもブーンは走ることをやめない。
痛くても痛くても、足を止めようとはしない。

ξ;;)ξ「やだよ…ブーンも、ドクオも…みんな死んじゃうよ…」

ツンはその場にへたり込んだ。
今まで立てていたのが不思議なくらい、身体に力が入らない。
ドクオが苦しんでいるのに、ブーンが血を流しているのに何もできない。

ξ;;)ξ「私がヴァンパイアだから、だからこんなことになったのに…何で…なんで動かないのよっ…!」
ξT儺)ξ「うわあぁぁぁん!」

ツンは子供のように声を上げて泣いた。
どうすればいいのか、ツンには分からなくなってしまった。
分からないという感情を泣くことでしか発散することが出来なかった。
だからツンは泣いた。



94: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:02:58.96 ID:85qt/29f0
  
( #ω^)「おおおおぉぉぉぉぉぉっ!!! ドクオーッ!」

風の中に再び突っ込む。
飛んできた椅子に左肩を強打され、身体が傾く。
割れた食器の数多の破片がブーンの身体を小さく確実に傷つける。
右目は瞼が腫れて開かない。
それでもブーンは止まらない。
自分が出来ることをするために。
ツンがこれ以上泣かないように。
三人でまた、朝ごはんを食べるために。



95: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:10:38.77 ID:85qt/29f0
  
( #ω^+)「おっ!」

左目がドクオを捕らえた。あと少し、あと少しでドクオにたどり着く。
けれどドクオの周りには今まで強い風が吹き荒れている。
そう簡単には進めない。けど早くしなければドクオが死んでしまう。

ξ゚听)ξ『私はドクオを傷つけたくない』

ドクオが死んでしまえばツンは悲しむだろう。
それに

( #ω^+)「僕は約束したんだお! また三人で、ご飯を食べるって!」

今、ツンは泣いている。
今、ドクオは苦しんでいる。

( #ω^+)「僕は…」

( #ω゚+)「おおおぉぉぉ〜〜っ!!!」



96: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:13:42.38 ID:85qt/29f0
  
( A )「………おれ…ハ……」

守れと言われた。
守ると決めた。
命令は絶対、けどそれだけじゃなかった。
守れと命じた主は死んだ。
けれど止めなかったのは、命令だけで守っていたからじゃないからだ。
別に恋愛感情を抱いていたわけじゃない。
どちらかといえば人間が構成する“家族”の関係に似ているのだと思う。
ツンには死んで欲しくない。
そう思うのは俺が護魔だからだけではない。



97: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:16:16.78 ID:85qt/29f0
  
ツンが眠っている間も城の中は毎日掃除をした。
いつツンが起きてもいいように。
何十年も何百年も待って、やっと獲物がきた。ツンが目覚めた。
嬉しかった。

ξ゚听)ξ『それで? どうなったの? ブーン』

ただ、旅の話を嬉しそうに聞き入るツンを見て、正直面白くなかった。
だから俺は仕返しとばかりにあいつの首根っこを…

( #ω^+)「ドクオー―――ッ!」

( A )「う…るせ……のピザ…郎……」



101: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:24:17.83 ID:85qt/29f0
  
やっと着いた。
体中ボロボロで痛いしフラフラする。
ブーンが伸ばした手が、ドクオに触れた。

( #ω^+)「目を…覚ますおドクオ!!」

ブーンはドクオの方を掴むと後ろに引き倒した。
ドクオにまたがりマウントを取る。

( A )「うあ"っ!」
( 'A ) 「何…しやがる……このピザ野郎が…っ!」

( #ω^+)「聞けお!! ドクオ!
        僕は…ツンとドクオが大好きだお!」



102: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:32:56.58 ID:85qt/29f0
  
( 'A#) 「俺は…大嫌いだ」
( #ω^+)「僕はそれでもかまわないお! ドクオもドクオの作るご飯も大好きだお!」

暴風の中、傷つけられながらもブーンは続ける。

( #ω^+)「嫌ってるくせに毎朝僕が起きないとご飯がホカホカの内に起こしにきてくれるドクオが大好きだお!
        キメェwって言いながらも一緒にご飯を食べてくれる二人が大好きだお!!」
( 'A#)「化けモンに向かってよくもまぁそんな口が…」
( #ω;+)「人間だとかそうじゃないとか関係ないお! 僕が誰を好きになろうと勝手だお! ドクオは口を挟むなお!」

( #ω;+)「僕はツンもドクオも、二人が二人だから好きなんだお! 何か文句あるのかお!!?」



103: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:39:13.82 ID:85qt/29f0
  
色々と無茶苦茶なことを一気にまくし立てて、ブーンは鼻溝をたらしながらボロボロ泣いた。

( 'A#)「……」
( #ω;+)「うー…グスッ…」
( A#)「…重い、どけ」

ゴオオォォ…ッ!
今まで無秩序に動いていた風が一気にブーンに向かって集まり、ブーンを宙に放り投げた。

ξ )ξ「……!? ブーン?!」
( #ω^+;)「おおおぉぉぉっ?!?!」



105: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:44:03.37 ID:85qt/29f0
  
宙に放り投げられたブーンを見て、ツンは目を覆い、放り投げられたブーンは未だ使ったことのないアレを縮込ませた。



ブーンは床に叩きつけられミンチに

( #ω^+)「……お?」

はならなかった。

('∀#)「キモいんだよ、ピザ野朗が。男に何回告白するつもりだ」
( #^ω^*)「おっおっ! ブーンはピザじゃないお! ちょっとぽっちゃり系なだけだお!」

ξ;;)ξ「ブーン、ドクオ…」
ξT儺)ξ「うわあぁぁぁ! 」



108: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:54:04.96 ID:85qt/29f0
  
( #ω^;)「おぉ?! 何でツン泣いてるんだお? もう大丈夫だお、泣き止むお!」
ξT儺)ξ「うるさい、バカーッ! 少し泣かせなさいよ! それだから彼女いない歴=年齢になって未だ童貞なのよ!」
( #ω^;)「ちょwwwツン、何で知ってるんだお?!」
( 'A#)「見りゃわかんだよ、阿呆ピザ」
( #ω^;)「おぉ?! ドクオもどうせ童貞だおw彼女もいたことないはずだおww」

散々言われたブーンがドクオに反撃をしようと試みる。

('A#)「はっ、そう思いたいんならそう思っとけよ。童貞ピザwww」

( ゚ω゚)「?! まさか…魔法使えるくせに非童貞なのかお?!」
('A#)「さぁな」
( #ω;+)「ひ…酷い裏切りにあったお…」

( ´ω`)「ウツダシノウ…」
('A#)「ちょwそれ俺の台詞wwww」



112: 金魚鉢 ◆M8whhuZ5jM :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 01:00:09.95 ID:85qt/29f0
  
ξ#゚听)ξ「ドクオー! もっと右! 右!!」
('A`) 「…一応俺病みあがりなのに…人使い激しすぎだぞ、ツン…」
( ^ω^)「おっおっおっ! きびきび働くんだお! ドクオ!」
ξ#゚听)ξ「ブーンもよ! 土嚢運び終わったら壁の壁紙変えるの手伝ってね!」

( ゚ω゚)「Sir! Yes,Sir!! だお!」

暫く三人(特にドクオ)は城の修復作業に追われる毎日を過ごすそうです。

今度こそ本当に終わり。



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