( ^ω^)丑三つ時のようです

1: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 02:57:18.24 ID:qW2V1fm90
午前2時 草木も眠る丑三つ時
そんな言葉があるが実際起きている人は沢山いる

( ^ω^)「眠れねえwwテンションあがりまくりんぐwww」

ここに意味もなくテンション上がって起きている男がいた



4: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:00:25.91 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「さて、冷静に考えてみるお」

( ^ω^)「現在午前2時、仕事のために家を出る時間は8時」

( ^ω^)「今寝たら間違いなく寝坊する。てか眠れねえお」

午前2時
この時間に起きている人は寝るか起きているかの2択を迫られる
大抵は4時ぐらいに結局寝てしまって遅刻するパターンが多いと思う



6: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:04:16.36 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「とりあえず眠気覚ましにコーヒーでも飲むかお」

( ^ω^)「ブラックは飲めないからエメラルドマウンテンで」

カシュッと音を立てたプルタブを外し
ゴクゴクとエメラルドマウンテンを一気に流し飲んだ

( ^ω^)「これで朝まで起きていられるお」



8: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:08:28.98 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「さて、朝まで何をするかお…」

この男、趣味と言う趣味が特になかった
2chやネトゲもそこそこやる程度でどっぷりな訳ではない
テレビも点けて面白かったら見るといった程度

( ^ω^)「なんかDVDでも見るかお」

ラックの中から適当にDVDをごそごそしだした

( ^ω^)「ほとんど見たやつばっかりだお」



10: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:11:12.98 ID:qW2V1fm90
自分で買ったDVDと言うのは最初の3日ぐらいはずっと見ているものだが
一週間が過ぎると流石に飽きてくる

そしていよいよ部屋のディスプレイと化してしまう

( ^ω^)「なんか今更タイタニックとかラストサムライとか見る気シネーお」

( ^ω^)「とりあえずネットでもやるかお」



12: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:14:26.07 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「ニコニコでも見るかお」

彼は別にオタクでもない
ニコニコやVIPも人づてで知った程度で
まさに暇つぶしの場所となっていた

( ^ω^)「ランキングは…また東方と遊戯王と松岡ばっかりだお」

( ^ω^)「…特に見たくもないお」



13: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:17:13.07 ID:qW2V1fm90
次に彼はVIPを開く

( ^ω^)「まーた妹スレとけいおんスレばっかりかお」

( ^ω^)「…別に今見る必要もないお」

( ^ω^)「せっかく朝まで時間があるんだからもっと有意義なことをしないと」

そして彼は、自分の部屋をぐるりと見渡してみた

( ^ω^)「掃除でも…するかお」



15: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:20:16.33 ID:qW2V1fm90
彼の部屋は汚くもないが、綺麗とも言えない部屋だった
ごみはちゃんとゴミ箱に捨てているが、コンビニの弁当や漫画の本などは
床にそこそこ散らばっていた

( ^ω^)「とりあえず本の整理でもするかお」

とりあえず近くにあった本を手に取る

( ^ω^)「おっ、これはなんか懐かしいお」

適当にパラパラと読み流し、10秒も経っていないのに
全巻読んだ気になった



16: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:22:37.55 ID:qW2V1fm90
一通り本の整理が終わったことに満足した
まだ汚いところは多少あるものの、彼はそれ以上はする気にならなかった

( ^ω^)「さすがに深夜に掃除機は近所迷惑だお」

( ^ω^)「かといって夜中にハタキかけたりモップかけるのもどうかと」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「この時間帯って起きているとなぜか独り言多くなるよね」



17: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:25:11.61 ID:qW2V1fm90
時計を見てみる
午前2時30分

( ^ω^)「まだ30分しか経ってないのかお」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「気のせいか若干眠気がするお」

エメラルドマウンテンの様な甘みがあるコーヒーは
意外と眠気を増徴させる効果があるのでご注意を



18: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:27:13.14 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「ちょっと早いけどシャワーでも浴びるお」


シャワアアアアアアアアアアアアアアアアア


( ^ω^)「さっぱりしたお」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「心地よさで余計眠くなってしまったような」

( ^ω^)「これは間違いなく睡魔」



19: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:31:02.01 ID:qW2V1fm90
なんとなく本棚を漁ってみる
すると、漫画とは一際違う印象の分厚さを持った物が出てきた

( ^ω^)「卒業アルバムかお」

それは、彼が中学生のときの卒業アルバムであった
小学校や高校のときのアルバムより
中学校のアルバムのほうが思い出深いのはなぜであろうか



20: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:33:14.15 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「おー懐かしいお」

ページをめくる度に懐かしい顔ぶれが
その中には初恋の人や嫌いだった人の顔も出てくる

だが、今となってはそれもよき思い出
社会人となった今となっては疎遠になり
今では当時の友達とは連絡は取っていなかった


( ^ω^)「この時は…よかったお」



21: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:38:49.53 ID:qW2V1fm90
-------

それは始めての修学旅行
行き先は京都であった

('A`)「んで、お前は誰が好きなんだよw」

( ゚∀゚)「言ったらお前絶対言い触らすだろww」

( ^ω^)「でも最近B組のクーと仲良いよなw」

('A`)「そうそうwwどうなんだそこの所wwww」

この時同じ部屋になったのは当時中が良かった二人
基本学校では3人で行動し、一部ではトリオ扱いされていた



22: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:41:33.09 ID:qW2V1fm90
( ゚∀゚)「そんなんじゃねえよ、だって…おっと」

('A`)「なんだw今何を言いかけたw」

( ^ω^)「絶対好きな奴の名前だおw」

( ゚∀゚)「ち、ちげーよwww」

思えばこれが全ての始まりであり
終わりだったのかもしれない

事件は次の日、自由行動のときに起こった



23: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:45:01.79 ID:qW2V1fm90
('A`)「やっぱ金閣寺いくか?」

( ^ω^)「寺なんか見てもしょうがねーお」

( ゚∀゚)「じゃあ嵐山行こうぜ」

この時も3人で行動していた
京都駅でどうするか相談していたときだった

ξ゚听)ξ「あら、あんたちもどっかいくとこ?」

川 ゚ -゚) 「奇遇だな、よかったら一緒に行動しないか?」

从 ゚∀从「いいんじゃねーか?多いほうが楽しいしな!」



24: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:48:04.47 ID:qW2V1fm90
表れたのはB組の女子達だった

( ゚∀゚)「クー達か…俺はかまわないけど」

('A`)「かまわない?嬉しいの間違いなんじゃないかww?」

( ^ω^)「おっおっ、もしくは狙ってここにいたかもわからんお!」

( ゚∀゚)「だからそんなんじゃねーっての」

ξ゚听)ξ「? 何の話」

( ^ω^)「実はね…」

( ゚∀゚)「わあああああああああああああ、早くどっかいこーぜ!」



25: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:50:34.60 ID:qW2V1fm90
从 ゚∀从「しっかしお前らはいつも一緒だな」

('A`)「なんとなくそうなってんだよね」

从 ゚∀从「羨ましいぜ」

( ^ω^)「?」


このときの僕らは本当にガキだったんだお

だからこのときの僕らは


密かに割れつつある、ヒビに気づかなかったんだ



27: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:55:41.00 ID:qW2V1fm90
川 ゚ -゚)「ドクオ…好きだ」

('A`)「はっ?」


それは

ξ゚听)ξ「私、内藤のこと…好きなんだけど!」

( ^ω^)「へっ」


静かに

从 ゚∀从「ジョルジュ、私と付き合ったくれ」



確実に



僕らのナニカヲ壊していった



30: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 03:59:44.66 ID:qW2V1fm90
前夜、彼らは好きな子について話していた

('A`)「実は俺…最近ツンが気になるんだよな」

( ^ω^)「僕は…ハインが可愛いなあって」

( ゚∀゚)「あの男女が好きとかw」

('A`)「趣味わりーわwww」

( ^ω^)「そういうジョルジュはどうせクーなんだお!?」

( ゚∀゚)「…ああそうだよ!わりいか!」

あの時、僕らはあの子達と行動するのは嬉しかった

でもその結末が悲劇だったなんて思わなかったんだ



33: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:04:10.64 ID:qW2V1fm90
( ゚∀゚)「なんで…おまえなんだよ」

('A`)「ジョルジュ!…」

一つのヒビは

( ^ω^)「僕は…もうお前とは友達でいられないお」

( ゚∀゚)「…」


大きな


('A`)「俺のほうがお前より好きなのに…なんでだよ!」

( ^ω^)「僕は…何も」


亀裂となって
僕らを引き裂いた



34: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:07:56.12 ID:qW2V1fm90
結局、彼らは修学旅行から帰ってから
卒業まで一緒になることはなかった

もちろん、恋も

女子のほうはそれぞれなんやかんやで仲が良いままだったが
彼らの場合いは違った

仲が良い友達
気が合う友達

信頼できる友人

それ故に、裏切られた

だれが悪いわけではない
だが、彼らは完全に分かれてしまった



35: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:13:08.65 ID:qW2V1fm90
卒業し、それぞれは別の高校に進んだ
新しい友達も出来た

いつしか、彼らからはその日のことなど消えてしまっていた

それからは普通に恋人も出来た
親友と呼べる友達もいた
親や先生に反抗してタバコも覚えた
また、別れも経験した

卒業し、就職した
新しい仲間が出来た
ひたすら、がむしゃらに働き続けた

今では仕事にも慣れ、1日をなんとなく無難に過ごしていた



36: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:15:27.97 ID:qW2V1fm90
―――――――

( ;ω;)



後悔の涙

取り戻せなかったあの日

二度とは戻れないあの日

( ;ω;)「僕は…なんで大人になってしまったんだお」

( ;ω;)「あの時、誰も悪くなかったんだお」


( ;ω;)



37: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:18:02.30 ID:qW2V1fm90
あいつらは悪い奴らだったか?

お前の中では辛い思い出か?

自分に問いかけた

( ;ω;)「そんなはず…ないお」

( ;ω;)「あの時、ぼくらは確かにガキだったんだお!」

( ;ω;)「若さゆえの…過ち」

( ;ω;)「そんな言葉で無かった事にできないお」



38: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:21:28.12 ID:qW2V1fm90
時間は午前5時

空は白け、オレンジ色の朝日が部屋を染める

まだ空にはかすかに星が見える


空に星が一つ、落ちた

(つ;ω^)

彼は涙を拭った

そしてアルバムを静かに閉じて

元の場所に置いた



40: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:24:00.94 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「…」

( ^ω^)「時間や過去は取り戻せないけど」

( ^ω^)「失ったものは、見つけられるお」


彼は昔の連絡簿から2人の名前を見つけた

( ^ω^)「…飲みにいかないかお?」



42: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:26:28.22 ID:qW2V1fm90
( ^ω^)「空いた時間があれば教えて欲しいお」

( ^ω^)「…逢いたいんだお、また3人で」

( ^ω^)「そして、許すから許して欲しいお」

( ^ω^)「だからお前も、あいつを許してほしいんだお」

( ^ω^)「あいつもきっと許すと思うお」



43: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:29:28.96 ID:qW2V1fm90
―――――――――

( ^ω^)「僕ら、大人になってもこうやって話しているのかお?」

('A`)「どうだろうな」

( ゚∀゚)「それぞれ違う人生を逢うんでいるだろうな」


でも


たまにはこうして肩を並べて



話したり、飲んだりしてえよな




きっと、できるお




…だな!



44: ◆FOy3FlOjcQ :2009/04/11(土) 04:30:59.79 ID:qW2V1fm90
たまにはこうして肩を並べて飲んで

ほんの少しだけ立ち止まってみたいよ

純情を絵に描いたような散々むなしい夜も

笑って話せる今夜は


いいね


終わり



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