( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

151: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:08:52.03 ID:lBBxcmpf0
  
第十一話 『意外なる家主』

寂れたバー。
もはやお馴染みとなっているであろう、『バーボンハウス』だ。
その暗い店内に、もはやお馴染みであろう三人が会話をしていた。

(´・ω・`)「ふぅん、それは大変だったね」

( ,,゚Д゚)「まぁ、怪我があまり無かったのが幸いだった。
     モララーの奴は相当に怪我を負ったようだが」

(;*゚ー゚)「あの攻撃を受けた後であの怪我っていうのは、相当の怪我に入るのかなぁ?」

( ,,゚Д゚)「はン、何にせよ、怪我をさせたのは良い気味だ」

何とものんびりした空気。
当初とはまた別の雰囲気が、ここを支配していた。
客は未だにほとんど来ないが。



152: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:12:31.42 ID:lBBxcmpf0
  
(´・ω・`)「ところで――」

ショボンが二人に話を切り出す。

(´・ω・`)「先刻、弟者さんが新しい情報を手に入れてきたんだ」

( ,,゚Д゚)「それは?」

(´・ω・`)「3rd−Wの所在、だよ」

(*゚ー゚)「3rd−W……」

( ,,゚Д゚)「3rd、5th、10th、12th、14th……残り五つの内の一つか」

その言葉にショボンは少し慌てるような仕草で

(´・ω・`)「あ、5th、12thのことは気にしなくてもいいよ」

(*゚ー゚)「どういう意味?」

(´・ω・`)「ちょっとね……ツテがあるんだ。
      出来ればこちらに任せて欲しい」



154: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:15:11.43 ID:lBBxcmpf0
  
( ,,゚Д゚)「そうか……まぁ、お前が言うなら任せるが。
     それで、3rd−Wは何処に?」

(´・ω・`)「『ミーディ=アストクルフ』という人物が持っているらしいよ。
      既に住所も確認済みだし……行ってくれるかな?」

( ,,゚Д゚)「俺達が情報を買うのではなく、強制的に売りつけてくるか」

(´・ω・`)「形振り構っちゃいられないよ。
      もしかしたら、最悪の事態も――」

と、その時だ。
バンという激しい音と共に扉が開かれる。

(´・ω・`)「?」

このバーにギコ達以外の客とは珍しい。
ギコ、しぃ、ショボンは一斉に入り口へと視線を向けた。



155: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:18:48.42 ID:lBBxcmpf0
  
(;´_ゝ`)「ふぅ……やっと着いた」

( ,,゚Д゚)「誰だ、アンタ」

荒い息と共に現われた男。
ギコは知らないようだが、ショボンには見覚えがあった。
というか、よく似た顔の人物を知っていた。

(´・ω・`)「まさか……兄者さん?」

( ´_ゝ`)「俺を知っているということは、弟者はここにいるのだな?」

(´・ω・`)「いるにはいるけど……」

と、バーの奥の扉が開いた。

(´<_` )「今の音は?」

弟者だ。
何事かとキョロキョロしている彼に

(´・ω・`)「あ、弟者さん、実は――」



157: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:22:24.25 ID:lBBxcmpf0
  
ショボンが言い終わる前に、兄者と弟者は目を合わせる。
数秒の沈黙。
両者が口を開いたのは同時だ。

( ´_ゝ`)(´<_` )「「おぉ、我が兄弟よ!!」」

兄者はカウンターに向かって走り、弟者はカウンターに足を掛け――

( ´_ゝ`)(´<_` )「「会いたかったぞ!!」」

ガシリ、と抱き合う。
カウンターの上で。
その際にグラスが倒れ、コートを汚されたギコは半目でそれを見上げながら

( ,,゚Д゚)「……何だ、これは」

(´・ω・`)「感動の再会ってやつかな?」

( ,,゚Д゚)「随分と迷惑な話だ」



159: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:27:26.23 ID:lBBxcmpf0
  
ギコの愚痴にも構わず、カウンターの上で双子は語り合う。

( ´_ゝ`)「弟者よ……懐かしいな!」

(´<_` )「うむ、そして言う時が来た!」

( ´_ゝ`)b「流石だな――」

d(´<_` )「俺ら!!」

ビシィ! と効果音が響いたような気がした。
ギコ、しぃ、そしてショボンさえも呆然とそれを見つめる。

(´<_` )「して、兄者よ。
      どうしてここにいるのだ?」

( ´_ゝ`)「えーっと、それはクーさんに聞い――そうだ、弟者よ!
      お前達に伝えることがあるのだ!」

(´・ω・`),,゚Д゚)*゚ー゚)´<_` )「「「「?」」」」



160: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:30:38.00 ID:lBBxcmpf0
  
( ^ω^)「ミーディ=アストクルフ、ですかお?」

午後3時、ブーンの部屋。
彼はそこで、聞いたことも無い名を聞かされた。
耳に当てた携帯電話から、ギコの声が続く。

( ,,゚Д゚)『あぁ、そうだ……そこに3rd−Wがあるらしくてな。
     一応、用心のためにお前達も来い』

( ^ω^)「解りましたお」

( ,,゚Д゚)『それと……後で、少し話がある』

( ^ω^)「? 把握ですお」

通話を切ると同時に隣にいたドクオが

('A`)「で、ギコさん何だって?」

( ^ω^)「ミーディ、何とかさんの家に行くから、一緒に来いって」

('A`)「ふぅん……まぁ、暇だから着いて行くけど」

( ^ω^)「んじゃあ、早速行くお!」

ドタバタと準備をし、出かけていく二人。
実はあれから練習はしているが、『OVER ZENITH』を会得出来てはいない。
ギコからヒントでも教えてもらえるかも、と期待を篭めながらブーン達は出発した。



162: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:34:58.67 ID:lBBxcmpf0
  
一時間後。
ブーン、ドクオ、ギコ、しぃの四人はある門前に立っていた。
門の奥には広大な庭、そして中央に巨大な屋敷がそびえて建っていた。

(;^ω^)「お、おぉ……凄い家だおだおだお!」

(;'A`)「ねぇ、これ何? これ何?」

( ,,゚Д゚)「お前ら、しっかり気を保て」

(*゚ー゚)「インターホン押すよ?」

巨大な門に備えられているボタンを押す。
ピンポーン、と間の抜けた音が響いた。

( ^ω^)「あんまり音がゴージャスじゃないお。
      もっと『ズガガガーン』って鳴ると思ってたお」

(;'A`)「いや、インターホンにそんなの求めるなよ……」

( )『はい、アストクルフ家です』

機械音と共に、男の声が聞こえる。



170 名前: ◆BYUt189CYA [さるさん厳しくなってない?('A`)] 投稿日: 2006/11/15(水) 21:53:47.31 ID:lBBxcmpf0
  
( ,,゚Д゚)「先ほど連絡したギコだ……門を開けてもらえるか?」

( )『あ、はい……解りました』

カチリ、と通話が途切れた。
その数秒後、重々しい動きと音を立て巨大な門が開いていく。

( ^ω^)「自動ドア!!」

(;'A`)「え、そこ驚くところ?」

( ,,゚Д゚)「行くぞ」

スタスタと歩いていくギコとしぃ。

( ^ω^)「おっおっお、凄い広い庭だお」

('A`)「すげぇ金持ちなんだなー……テレビでしかこんなの見たことないわ」

遅れてキョロキョロしながら続くブーンとドクオ。
四人の行く先には、形容しがたいほどの豪邸。
この中に、3rd−Wがあるとしたら……探すのは大変だろうな、とのん気に思うブーンであった。



171: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 21:57:00.31 ID:lBBxcmpf0
  
ミ,,゚Д゚彡「こちらで少々お待ちください。
      アストクルフ家・現当主が挨拶をしたいと申しておりまして」

巨大な玄関扉からギコ達を出迎えたのは、執事服を着た若い男だった。
ギコとよりも少し背が低く、ブーンやドクオよりも背は高い。
人の好さそうな顔をしている。

通されたのは応接間。
とんでもない広さと豪華さにブーン達は驚愕を隠せない。

( ^ω^)「何だか、とってもとっても驚きだお!」

('A`)「無駄に緊張するよな、こういうところって」

出された紅茶と菓子をムシャムシャと食べながら二人は会話する。
その様子をギコが半目で睨みながら

( ,,゚Д゚)「お前ら……少しは礼儀を知れ」

(*゚ー゚)「まぁまぁ、まだ子供なんだし」



174: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:00:08.15 ID:lBBxcmpf0
  
しばし待つこと20分。
出された食べ物ほとんどを食べ終わったブーンは、退屈そうに

( ^ω^)「ひーまーだーおー」

('A`)「ってか、当主ってどんな人なんだろな?」

( ,,゚Д゚)「聞いた話では女性らしい。
     ミーディ=アストクルフが死去した後、その娘が継いだと聞いている」

('A`)「きっと美人なんだろうな……ウヘヘ」

(*゚ー゚)「ドクオ君……悪いけど気持ち悪いよ?」

(;'A`)「……オーマイガッ」

( ^ω^)「ところで、3rd−Wはどうやって探すんだお?」

( ,,゚Д゚)「無断に捜索するわけにはいかんからな。
     とりあえず事情を適当に説明し、該当するものを探し出して引き取ろうと思う」

(*゚ー゚)「トラブルが無ければいいんだけどね……」

( ^ω^)「ギコさんとしぃさんがいれば大丈夫だお!」

('A`)「何気に自分では何もする気ないのな」



177: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:03:13.38 ID:lBBxcmpf0
  
と、その時だ。
応接間にある巨大な扉が開き、先ほどの執事の男が現われた。

ミ,,゚Д゚彡「お待たせしました」

( ^ω^)「おっおっ、待ちくたびれたお!」

('A`)「フヒヒ、その麗しいお顔……拝見いたす!」

( ,,゚Д゚)「お前ら、錯乱するな」

ミ,,゚Д゚彡「さぁ、どうぞ、アストクルフお嬢様」

執事の男の背後から現われたのは、綺麗なドレス姿の――



184: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:06:14.40 ID:lBBxcmpf0
  
ξ゚听)ξ「ようこそ、おいで下さいました」

綺麗なドレス姿の――


煤i  ^ ^)    ω

( A )    ' `


一瞬遅れて


買フ )ξ   ゚ ゚




189: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:08:59.01 ID:lBBxcmpf0
  
ミ;,,゚Д゚彡「あ、あの、お嬢様!?」

(;,,゚Д゚)「何やってんだ、お前ら」

(;*゚ー゚)「何も……トラブルが無ければ……いいなぁ……」

思い思いのリアクションに台詞。
優雅だった雰囲気は一瞬にして破壊された。

ξ;゚听)ξ「な、な、何でアンタ達がここにぃぃぃぃ!?」

(;'A`)「そりゃ俺達の台詞だ!」

( ^ω^)「あ、間違えたお」

(  ω )    ^ ^  <えいっ

(;'A`)「やり直すなよ」

ξ;゚听)ξ「っていうか、何でアンタ達がここにぃぃぃぃぃ!?」

再度、同じ叫び。
どうやら随分と錯乱しているようだ……当然だが。
隣では執事の男があたふたとうろたえている。



191: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:12:09.31 ID:lBBxcmpf0
  
( ,,゚Д゚)「お前ら、知り合いか?」

(;^ω^)「っていうか、クラスメートだお」

(;'A`)「こんな所に住んでるなんて知らなかったけどな」

ξ;゚听)ξ「い、いや、別に隠していたわけじゃあ……」

あたふたとうろたえる彼らに、ギコは提案を投げかける。

( ,,゚Д゚)「とりあえず……改めて自己紹介でもしたらどうだ?」

ξ;゚听)ξ「そ、そうね……」

コホン、とツンは咳払い。

ξ゚听)ξ「私の本名は『ツン=アストクルフ』よ。
      現在、アストクルフ家の当主を務めてるわ」

ミ,,゚Д゚彡「私は『フサギコ』と申します。
      ツンお嬢様の執事兼ボディガードをしております」

(;^ω^)「何か凄いものを僕達は見ているのかお……よく解んないお」



194: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:14:58.65 ID:lBBxcmpf0
  
ξ;゚听)ξ「で、ブーン達が何でここにいるのよ?
       話で聞いた限りでは、アンタ達が来るなんて聞かなかったけど」

( ,,゚Д゚)「すまん、言い忘れてた」

悪びれもなくギコが言う。

ξ゚听)ξ「貴方は? もしかして連絡を下さった――」

( ,,゚Д゚)「ギコだ。 ここに危険な指輪があるとの情報を得て、ここへ来た」

嘘は言っていない。

ξ゚听)ξ「危険な指輪、ですか」

怪訝そうに眉をひそめる。
心当たりはなさそうだが。

( ,,゚Д゚)「正直、危険過ぎる。
     我々がそれを引き取ろうと思ったんだが、金がいるなら支払おう」

ξ゚听)ξ「うーん、そういうのは別にいいんだけど……」

ミ,,゚Д゚彡「えぇ、そうですね。
      危険な指輪とやらがこの屋敷から無くなるというならば、むしろ報酬を差し上げるべきかと」

( ,,゚Д゚)「いや、別に報酬目当てではないからいらない」



196: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:17:47.68 ID:lBBxcmpf0
  
ミ,,゚Д゚彡「そうですか……ところで、その指輪の特徴とは?」

( ,,゚Д゚)「漆黒の指輪。 形状はこれとまったく同様だ」

ギコが右手を掲げ、中指にはめられている青い指輪を見せる。
フサギコが近付きしげしげと見つめる。

ミ,,゚Д゚彡「珍しい形状ですね……解りました、私どもが探しておきましょう」

( ,,゚Д゚)「手伝いは?」

ミ,,゚Д゚彡「我らの屋敷は我らが一番把握しております。
      貴方達は、今日は客人として屋敷に居て下さって結構です」

( ,,゚Д゚)「……ふむ」

(*゚ー゚)「いいんじゃない?
     私達は指輪が回収出来ればそれでいいし、それまでは少し休もうよ。
     ギコ君、この間の傷もまだ癒えてないんだし」

( ^ω^)「僕達もツンと話したいから、そうするのがいいと思うお」

( ,,゚Д゚)「……そうか、解った」

ミ,,゚Д゚彡「では、客室へ案内します。
      夕食が出来上がりましたらお呼びしますので、その部屋で遠慮無くくつろいでいて下さい」



197: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:21:31.77 ID:lBBxcmpf0
  
案内された部屋は、応接室にも負けぬほどの豪華さを誇っていた。

('A`)^ω^)「おお〜!」

二人は感嘆の声をあげる。
ちなみにギコとしぃは隣室だ。

ξ゚听)ξ「……で、どういうことか説明してくれる?」

背後を振り向けば、ツンが腕を組んで仁王立ちしていた。
しかしその煌びやかなドレスのお陰か、迫力などは薄らいでいるが。

(;^ω^)「えーっと、それは、そのぉ……」
     (しまったお……問い詰められることを忘れてたんだお)

(;'A`)「まぁ、アレだ、んー……」
    (お前、極上の馬鹿だな……)

#゚听)ξ「ハッキリしないわね!
      何でアンタ達が、ギコさんと一緒にいるわけ!?
      何でアンタ達が、危険な指輪とかいうのを回収するわけ!?」

(;^ω^)「ド、ドクオ、何か良い言い訳を!」

(;'A`)「堂々と言い訳って言ってりゃ世話ねぇな……」



199: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:24:24.08 ID:lBBxcmpf0
  
ξ゚听)ξ「つまりは話す気はないってこと?」

ふと、ツンが悲しそうな顔をする。

ξ゚听)ξ「私、アンタ達と友達だって思ってたけど……それは違うの?」

(;^ω^)「!」

(;'A`)「!」

この言葉は二人にとって、大きな一撃となった。
ブーンはショボン関係で似たような体験をしており
ドクオはツンに惚れている。

あんな表情で問われれば、男として答えるわけにはいかない――!

( ^ω^)「ツン、僕達は――」

(;'A`)「ちょ、この馬鹿!」

先に我に返ったドクオが、ブーンの口を塞ごうとする。
しかし、その動作は少しばかり遅かった。
ブーンの口から、真実が漏れようと――



202: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:27:31.88 ID:lBBxcmpf0
  
ξ゚听)ξ「?」

ツンが背後の扉を振り返る。
コンコン、と硬質な音が響いたのだ。

ミ,,゚Д゚彡「お嬢様、少々お話が……」

ξ゚听)ξ「……解ったわ」

ブーン達に背を向け歩き出す。
金髪ツインテールが揺れているが、その動きは随分と激しい。
どうやら怒らせてしまったようだ。
扉が閉まる音。
それを見届けた二人は、同時に額の汗を拭った。

('A`)「ふぅ、危ねぇ」

(;^ω^)「ドクオ、もっとしっかりするお」

(;'A`)「まず自分のミスを認めろよ……」

(;^ω^)「っていうか、どうするお。
      ツンのことだから、絶対に諦めるわけないお」

(;'A`)「くっ……こうなったら、耳を貸せ。
    これで切り抜けられなかったらアウトだが、やる価値はあるぜ」

二人はゴニョゴニョと作戦会議を始めた。



203: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:31:11.96 ID:lBBxcmpf0
  
ミ,,゚Д゚彡「お嬢様」

ξ゚听)ξ「何? 話の最中だったんだけど」

廊下に出たツンは明らかに機嫌を損ねていた。
ブーン達の態度もだが、フサギコのタイミングも悪かったのだろう。

ミ,,゚Д゚彡「申し訳ございません。
      しかし、指輪が見つかったもので……」

ξ゚听)ξ「あら、もう見つかったの? 何処にあったのかしら?」

ミ,,゚Д゚彡「貴女の父君の机の中です。
      その漆黒の指輪は、貴女の父君であるミーディ様が付けていたものだと」

ξ゚听)ξ「そんなものが危険ですって?
      お父様は病気で亡くなられただけで、別に呪いなんてものは――」

ミ,,゚Д゚彡「同意見です。
      少々嫌な予感がしますよ、私は。
      なので、少し彼らを試したいと思うのですが……」

フサギコは、少し鋭い目つきになる。
何かをツンに提案する時の目だ。



206: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:34:51.30 ID:lBBxcmpf0
  
ξ゚听)ξ「試す?」

ミ,,゚Д゚彡「試すというか……これから私は彼らを逐一監視・調査します。
      信頼に足る人間か、この指輪を渡しても大丈夫な人間なのか。
      それを少し確かめたいと思います」

監視、という言葉が少し引っかかるが、結果的に彼らが気付かねば問題はないだろう。
それにフサギコはこれでも、こういうことに関しては頼りになる。
そう判断したツンは許可を出した。

ξ゚听)ξ「うーん……じゃあ、任せるわ。
      とりあえずタイムリミットは夕食後まで、でいいわね?」

ミ,,゚Д゚彡「充分です。
      では、私は捜索のフリをしてますので、お嬢様も気付かれないよう」

ξ゚听)ξ「解ったわ」

フサギコが足早に立ち去る。
ツンはその後姿を見送った後、再びブーン達のいる部屋に突入した。
勢いよく扉を開け

ξ゚听)ξ「さぁ、白状してもらうわよ!!」

(;^ω^)「わ、解ったお!」

対するブーン達は部屋の中央で待ち構えるように立っていた。
彼のセリフからするに、どうやら話す気になったらしい。



209: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:37:37.79 ID:lBBxcmpf0
  
ξ゚听)ξ「で、どういうことなの?」

(;^ω^)「僕達は、指輪を巡った戦いに巻き込まれているお!
      突然学校に現われた謎の女性と男の戦闘に巻き込まれて
      僕は戦う力を得たんだお!」

(;'A`)「俺はそのブーン達に助けられて、指輪の戦士となった。
    その時の相手は残像さえ見せぬ速度を誇るナイフ使いの女で、これまた大変だったな。
    ちなみにギコさんは超激強の剣士で、正義のために日夜戦っている」

一気にまくし立てるように喋る二人。

ξ゚听)ξ「…………」

対し、呆けるような表情で冷や汗だらけの二人を見つめるツン。
沈黙。
とても痛い沈黙だ。
ブーンとドクオの額からは、ダラダラと汗が止め処なく流れていく。
それが十数秒経った頃だろうか。

ξ゚听)ξ「ア、アンタ達……」

二人は更に顔を緊張させる。
ツンが、信じられないというような表情でこちらを見ていた。



212: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:40:56.96 ID:lBBxcmpf0
  
ξ;゚听)ξ「そんな嘘で私を騙せるとでも思った!?」

実際、信じていなかった。

(;^ω^)「え、えーっと、その……」

ξ゚听)ξ「フン! 馬鹿にして!
      どうせ何かくだらない理由なんでしょ?
      もういいわよ、聞かなくて正解だったわ!」

プリプリと怒りながらツンは部屋を出て行った。
少し経ち、その部屋から男同士の喜びの声が響いたのだが
幸運にもツンの耳には届くことはなかった。



218: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:43:51.74 ID:lBBxcmpf0
  
その隣室。
ギコとしぃは、のんびりと椅子に座って紅茶を飲んでいた。

(*゚ー゚)「トラブルは……起きてない、よね?」

( ,,゚Д゚)「あれをトラブルと考えないならな」

もちろんトラブルというのは、ブーン達とツンのことだ。

( ,,゚Д゚)「まさか、勝手に真実を漏らすようなことはしないとは思うが……」

彼の懸念虚しくしっかり漏らしていた。
それはともかく、とギコは続ける。

( ,,゚Д゚)「しぃ、お前のウェポン……どうだ?」

(*゚ー゚)「うん……時々は光ってくれるんだけど……」

右手を差し出すしぃ。
その指は桃色の指輪がはめられていた。
モララーが襲撃してきた夜、あの場所には実は4th−Wが存在しており
ちゃっかり回収していたりする。
ショボンの言っていた『山』とは、キタコレ山のことだったのだ。
ブーン達が『OVER ZENITH』を試していた時に、二人で寄り添っていたのはこれが理由である。



222: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:46:51.85 ID:lBBxcmpf0
  
( ,,゚Д゚)「出来れば早く使えるようになってほしいのだがな……」

(;*゚ー゚)「ご、ごめんね」

(;,,゚Д゚)「いや、お前のせいじゃない。 お前を認めない指輪が悪いんだろうよ」

それに

( ,,゚Д゚)「……直に認めるさ。 いや、認めてもらわねば困る」

(*゚ー゚)「どういうこと?」

( ,,゚Д゚)「……視線だけで、カーテンの外を見ろ」

(*゚ー゚)「?」

言われたとおりに見る。
そのカーテンの隙間からは、塀の先の道路までが確認出来た。
そこに、黒服の男が数人いるのが見える。

(*゚ー゚)「あれは――」

( ,,゚Д゚)「ここに俺達がいることがバレている。
     正体は解らんが……おそらくはモララーか『VIP』あたりだろう。
     夜にでも襲撃をかけてくるはずだ」

(;*゚ー゚)「そんな……じゃ、じゃあ、早く皆に伝えないと!」



228: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:50:32.87 ID:lBBxcmpf0
  
( ,,゚Д゚)「それはしない……ここは敢えて待ち構え、敵を釣る」

(;*゚ー゚)「釣る?」

( ,,゚Д゚)「指輪持ちの俺達を狙うという事は、それなりの力を持っていなければならない。
     それが出来るのは、やはり指輪……つまり敵側にも指輪持ちがいるはずだ」

ギコは鋭い視線をカーテンに注ぐ。
その鋭い目線で彼は告げた。

( ,,゚Д゚)「ここで一網打尽にし、その指輪を回収する」

(*゚ー゚)「で、でも、内藤君達くらいには知らせないと――」

その言葉に、ギコが珍しく慌てた態度を取った。

(;,,゚Д゚)「い、いや、アイツらに知らせるとロクなことにならんし、それに――」

(*゚ー゚)「それに?」

( ,,゚Д゚)「アイツらの順応力は高いはずだ……俺はそう信じる」

(*゚ー゚)「……まぁ、ギコ君がそう言うなら」

( ,,゚Д゚)「たまには信じてみるのもいいだろ」

紅茶が入ったカップ掴み、一口飲んで一言。

(;,,゚Д゚)「熱っ」



231: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:53:36.10 ID:lBBxcmpf0
  
それからの時間はあっと言う間に過ぎていった。
現在、7時過ぎ。
大広間には豪華な夕食が並び、各人、思い思いの食事をしている。
ツンは一応機嫌を直したらしく、ブーン達と仲良さげに会話していた。
ギコは外の様子を気にしながらも、嫌いな人参を脇にどけようとし、しぃに阻まれている。
フサギコはじっとツンの側で立っている。

そんな、普段のアストクルフ家よりも騒がしい夕食時間が終わりに近付いてきた頃。

( ,,゚Д゚)「ブーン、話がある」

( ^ω^)「お?」

( ,,゚Д゚)「あまり他人には聞かれたくない。
     外に出るぞ」

ブーンの返事も聞かずに部屋を出て行く。
慌てて着いて行こうとし、チラリと背後をうかがった。

('A`)b(ブーン、こっち(ツン)は任せろ!)

(;^ω^)(いや、意味が解らないお)

妙なアイコンタクトを交わし、ブーンはその場を去った。



234: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:56:19.76 ID:lBBxcmpf0
  
豪邸の玄関……その巨大な扉の元に、ギコとブーンが並んで壁に身を任せている。

( ^ω^)「……で、話って何ですかお?」

( ,,゚Д゚)「……クーのことだ」

(;^ω^)「!」

( ,,゚Д゚)「アイツはあの病院の一件以来……自己に対する自信というものを失ってしまってな。
     信頼出来る奴に、そのケアを任せていたんだ」

その病院の一件の内容を掻い摘んで話す。
ブーンは真剣に耳を傾けていた。

( ^ω^)「そんなことがあったんですかお……」

( ,,゚Д゚)「まぁ、彼女もツライ思いをしてきたからな。
     少しくらいの休憩は必要だったのだろう」

( ^ω^)「で、クーは今も元気にしてるんですかお?」

( ,,゚Д゚)「そのことなんだが――」

少し語尾を濁らせる。
ギコにしては珍しく、少し迷った表情をしている。

( ^ω^)「……多分、大丈夫ですお。 聞かせてほしいですお」

( ,,゚Д゚)「……そうか」



237: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 22:58:53.12 ID:lBBxcmpf0
  
ギコは兄者から聞いた話をブーンに伝える。

クーは情報収集のために生まれた場所である元・研究所へ向かったこと。
そこで兄者と出会い、協力することになったこと。
自分が失敗作だと確認したが、しかし生かされたことを疑問に思ったこと。
地下研究室へ入り、そこで完成品とやらが開発されていたこと。
荒巻という男が、実はクルト博士の助手のリトガーだったこと。
彼が指輪の戦士を欲しているということ。

( ^ω^)「で……何で、兄者さんだけ戻ってきたんですかお?」

( ,,゚Д゚)「彼女が、研究所に残ったからだ」

(;^ω^)「……もしかして、人質?
      もしそうだったら助けに行くお!」

( ,,゚Д゚)「違う」

少し語気を強めたギコに、ブーンは戸惑う。
そして最悪のケースが頭に浮かんだ。

(;^ω^)「じゃ、じゃあ……死んじゃった、とか?」

( ,,゚Д゚)「それも、違う」

この報告にブーンは安堵の吐息をする。
命があれば、生があれば、いつかきっと会えるはずだ。



242: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:01:40.20 ID:lBBxcmpf0
  
(;^ω^)「じゃあ、クーはどうしたんだお?」

( ,,゚Д゚)「彼女は……『自発的』に向こうに残ったそうだ」

自発的。
つまり己の意思で、ということだ。

(;^ω^)「クーが望んでリトガーの場所に残るって言ったんですかお!?」

( ,,゚Д゚)「……あぁ」

(;^ω^)「う、嘘ですおね?
      ぼ、僕……単純だから、騙しやすいから……からかってるんですおね?」

( ,,゚Д゚)「…………」

答えは無かった。
無言の否定。
ブーンはその空気を痛いほど理解してしまった。
が、感情は納得が出来ない。

(;^ω^)「ど、どういうことですかお!?
      何でクーが、クーがあっちに!?」



245: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:04:34.39 ID:lBBxcmpf0
  
( ,,゚Д゚)「理由は解らん。
     だがこれだけは言える」

一息。

( ,,゚Д゚)「彼女は――俺達の『敵』になったのかもしれん」

冷たい一言。

クーが……彼女が……敵?
あの頼りになって、クールで、でも優しくて……その彼女が敵になった?

(;^ω^)「は、ははは……し、信じられるわけ無いお!
      これドッキリ? どこかでクーが見てるんですおね?」

あからさまにうろたえながら、ギコに問い寄る。
ギコは無言だ。
目を閉じたまま、首を振った。

(;^ω^)「う、嘘だ……嘘だお!
      そんなことあるわけないお!!」

( ,,゚Д゚)「いい加減にしろ……!」

ギコがいきなり、ブーンの胸倉を掴み壁に叩きつけた。



247: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:07:34.95 ID:lBBxcmpf0
  
(;^ω^)「だ、だって、だって――」

( ,,゚Д゚)「現実を見据えろ。
     彼女は望んで向こうに残った……それが事実なんだ」

ブーンの目から、ポロポロと涙が零れ始める。

( ;ω;)「だって……だって、クーがそんなことするわけないお!!
      いつだって優しくて、クールで、格好よくて……!」

( ,,゚Д゚)「この馬鹿が!
     いつまで彼女に甘えているつもりだ!?
     お前はいつまで彼女に依存するつもりだ!?」

怒号を上げたその時だ。
パン、パン、と断続的な銃声が、夜の空に響く。

( ;ω;)「!?」

( ,,゚Д゚)「来たか――」



249: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:11:14.97 ID:lBBxcmpf0
  
言った途端、玄関のドアが開き、フサギコが顔を出した。

ミ,,゚Д゚彡「い、今のは!?」

( ,,゚Д゚)「敵だ!
     俺が出るから、防護に徹しろ!
     敵は決して弱くはない!」

彼の剣幕から、フサギコは危機の大きさを読み取った。
何故、敵襲だと解ったのかという疑問を発する間もなく

ミ;,,゚Д゚彡「わ、解りました!」

慌てて建物へ入る。
それを見届けたギコは、ブーンを乱暴に突き放し庭へ走り出した。
崩れ落ちるように座り込んだブーンに向かって

( ,,゚Д゚)「あのいけ好かない野郎の言葉を借りるのは不本意だが、言っておく。
     『依存はただの停滞』だ。
     自分の意思で戦場に立てるまで絶対に来るな……今のお前は邪魔だ」

辛辣とも取れる言葉を残し走り去るギコ。
後にはブーンの搾るような泣き声だけが残った。



251: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:16:19.79 ID:lBBxcmpf0
  
夕食を片付け終わった大広間に、フサギコが慌てて飛び込んできた。

ξ゚听)ξ「ど、どうしたの?」

ミ;,,゚Д゚彡「な、何者かの敵襲です!
      すぐに防護体勢に入りますので、お嬢様は最上階へ!」

(;'A`)「敵襲!?」

ミ;,,゚Д゚彡「今、防護兵とギコさんが迎撃にあたっています!」

しぃがそれを聞いて駆け出す。

(*゚ー゚)「ドクオ君、行くわよ!」

(;'A`)「お、おう!」

ξ;゚听)ξ「え? 何でアンタが――って、もう行っちゃった」

ツンが二人が出て行った扉を眺めながら呟く。

ミ,,゚Д゚彡「お嬢様は安全な場所へ……後は私どもにお任せください」

途端、いきなり激しい音と共に、全ての窓に防弾シャッターが降りた。
緊急時に発動する、外からの侵入を防ぐ外壁だ。

ミ,,゚Д゚彡「私は邸内の防護につきます。 何か危険が迫れば私の携帯に連絡を」

そう言い、ツンの腕を取って安全な場所へ連れて行くために走り出した。



254: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:20:12.67 ID:lBBxcmpf0
  
アストクルフ家に構えられた外門の上。
そこに三つの人影が立っている。

( ゚∀゚)「いいねぇ、いいねぇ……
     大規模戦闘っていうのか解んねぇが、こういうのもなかなか良いじゃねぇか」

(*゚∀゚)「それに関しては同感ー」

眼下では銃撃音や悲鳴、怒号が聞こえてくる。
今回連れてきたのは『VIP』の下っ端兵士群。
荒巻がいない今、言うことを聞くのかと思ったのだがいらぬ心配だった。
どうやら命令を聞き入れるよう洗脳みたいなものをされているらしく
ジョルジュやツーの言うことならば何でも聞いた。

そして今、その兵を使っての戦闘を開始したわけだ。

(*゚∀゚)「それにしても……ここに本当にアイツらがいるのかい?」

(゜∈゜)「…………」

クックルが無言で『居る』と書いた紙を差し出す。
受け取ったツーがそれを破り捨てながら

(*゚∀゚)「まぁいいや。
     私としては、たくさんの血が見れればそれでいいし」



257: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:22:52.93 ID:lBBxcmpf0
  
( ゚∀゚)「俺はあのクソガキを殺せりゃ満足だ」

(*゚∀゚)「どっちが先に目的果たすか競争でもする?
     私が満足するまでに、アンタがターゲットを殺せるかって感じで」

( ゚∀゚)「いいねぇ……勝つのは俺だけどな」

(*゚∀゚)「んじゃ、ゲーム開始!」

途端、二つの影が飛び出す。
一瞬遅れてクックルも追従するように飛んだ。

目指すは、敷地の中央にそびえる屋敷だ。



258: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:25:35.60 ID:lBBxcmpf0
  
寂れた情報屋兼バー『バーボンハウス』。
その人気が無い店内で、三つの人影が会話をしている。

( ´_ゝ`)「あー、生き返る」

(´<_` )「夕飯前から酒とは粋だな、兄者」

( ´_ゝ`)「お前も俺を目標にがんばれよ」

(´<_` )「うむ、流石だな兄者」

(´・ω・`)「…………」

ギコ達が出て行ってから、ずっとこんな調子である。
この双子、実は二人揃うと、とてつもなく互いに甘えるようだ。
兄弟愛、というには濃い関係にショボンは少し寒気を憶える。

(´<_` )「ところで――」

弟者が、ショボンの方に視線を向けた。

(´<_` )「俺達はどうするんだ、ショボン」

(´・ω・`)「それなんだよねぇ……」

ハァ、と溜息をつく。



260: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:28:27.08 ID:lBBxcmpf0
  
( ´_ゝ`)「え、何の話?」

弟者が、深刻そうな顔で

(´<_` )「我々が引き込んでしまったのが間違いだったのだろうか……」

(´・ω・`)「でも、向こうに残ると決めたのは彼女自身だよ。
      僕らが背中を押さなくても、きっと誰かが押したはずだ」

(´<_` )「だから目を瞑る……と?」

ショボンは自分のグラスを握りながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

(´・ω・`)「どうだろうね……僕は、どうしたらいいんだろう?」

(´<_` )「それは俺が答えられることじゃないさ。
      お前が答えを考え、出し、実行する。 
      俺はそれの手伝いしか出来んよ」

( ´_ゝ`)「え、俺は何もしなくていいの?」

(´・ω・`)「そうだよ、ね……僕が決めるべきか」

(´<_` )「何を選択しても俺はお前を応援するぞ。 必要あらば力も貸そう」

(´・ω・`)「弟者さん……」



264: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:31:17.45 ID:lBBxcmpf0
  
(´<_` )「悔いのないよう……それが俺からの、唯一つの頼みだ」

(´・ω・`)「……解った」

(´<_` )「焦るなよ、ショボン。
      答えに期限はないんだ。
      ただ、その答えの強さだけが必要なだけだ」

そして

(´<_` )「内藤ホライゾンとの喧嘩別れの後……1年間、悩み考えたこと。
      クーという内藤にとって大事な女性を……不本意ながら奪ってしまったこと。
      それらに対して答えを出すのが、お前の今のやるべきことだ」

(´・ω・`)「うん……解った」

(´<_` )「俺だって強く偉くは言えんがな」

照れ笑いをしながら、弟者はウインクをした。
そして、一人ワケが解っていない兄者の面倒を見始める。



266: ◆BYUt189CYA :2006/11/15(水) 23:33:56.34 ID:lBBxcmpf0
  
一人残されたショボンは、グラスに浮かぶ氷を見ながら

(´・ω・`)「……答え、か。
      僕なんかに出す資格なんてあるのだろうか」

その声を聞く者は無く、それは己の耳だけに響いた。
己への問いかけほど虚しいものはない。
だが、答えを出す時期が来ているのかもしれない。
いや、確実に来ている。

(´・ω・`)「僕は――」

暗いバーに、主の呟きが小さく響く。

(´・ω・`)「僕は、彼に会うべきなのかな?
      会って謝って……それで終わりなのかな?」

違う。

(´・ω・`)「そんなの……そんなのただの逃げだ」

だから

(´・ω・`)「抗わなくちゃいけない時がきたんだね……。
      『かつて』の罪を贖い、そして『これから』を歩むために」

無意識に固く拳を握る。
その手の中には――



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